『ダスクモーン:戦慄の館』へようこそ!
新セット『ダスクモーン:戦慄の館』がまもなく発売されます!
魅力的なカードばかりの『ダスクモーン:戦慄の館』を見ると、どんなカードやデッキが強いのか、どのカードを買えばいいのか、悩みますよね。
そこで、各構築フォーマットを代表する実力者である「神」のみなさんに、『ダスクモーン:戦慄の館』で注目するカードトップ3!を聞いてみました!
■「神」とは?
晴れる屋が主催している、『神決定戦』という大会の暫定王者。スタンダード・パイオニア・モダン・レガシー・ヴィンテージ・パウパー・統率者・リミテッドの8フォーマットそれぞれで行われており、予選大会(挑戦者決定戦)と決勝大会(神決定戦)を勝ち抜いた者だけが「神」になることができる。
詳しくはこちらをご覧ください。→『神決定戦』特設ページ
各フォーマットを熟知した者ならではの視点から、鋭い意見が飛び交いました。「神」の目にはなにが映り、なにを考えたのでしょうか。
◆第28期スタンダード神:吉田 悠太郎
『ダスクモーン:戦慄の館』カードセット全体の印象
『ブル~ムバロウ』から一転してのホラー次元ということで、まずはカードイラストの落差に戸惑ってしまいます(笑)
キーワード能力としてはスタンダードでは久々となる「昂揚」が再登場しており、それに伴ってかエンチャントがテーマとして多く収録されています。特に新キーワード能力「兆候」を持つ「大主」サイクルを筆頭に、エンチャントはパワーが高いカードが目立つように感じます。新しいアーキタイプの登場に期待ができそうです。
一方、既存のデッキの強化として採用できそうなカードも複数あり、現在の主流デッキに対して新デッキが挑む戦いが見れそうで、今から楽しみですね。
『ダスクモーン:戦慄の館』スタンダード注目カードトップ3!
3位:《闇の中の研究者、ナシ》
今回のストーリーのヒロイン枠、《闇の中の研究者、ナシ》は2マナのクリーチャーながらダメージを通す度にリソースを増やす能力を持っています。
個人的に待望のネズミ・クリーチャーであるのはもちろんですが、デッキを伝説やエンチャントで固めることで強力なリソース源となってくれそうです。この類のカードにありがちな、「選んで1枚」ではなく「条件を満たすカードを好きなだけ」なのは本当に凄いですね。
たとえば、ローテーション前のエスパーレジェンズのようなデッキや、《永遠の策謀家、ズアー》を採用したエンチャントデッキを構築する際の2ターン目の動きとして、かなり優秀なカードだと思います。
2位:《永劫の好奇心》
青になり「瞬速」と「死亡時にエンチャントとして場に戻る除去耐性」を手に入れた、新しい《ヨーグモスの法務官、ギックス》です。特に除去耐性が優秀で、攻撃を通せるクリーチャーは並んだものの、ギックス自体を処理されてリソースが増えないという状況が、このカードなら起こりづらいです。
現環境で主に《ヨーグモスの法務官、ギックス》を使用しているディミーアミッドレンジに追加で採用されそうなほか、非常に高いクロックパーミッション適性を持つため、このカードを中心とした青いビートダウンデッキが登場するのではないかと思います。
1位:《ホーントウッドの大主》
いずれも強力な大主サイクルですが、特に緑の《ホーントウッドの大主》は版図ランプに採用されそうです。
先日のローテーションで《装飾庭園を踏み歩くもの》と各種トライオームを失ったことにより、マナベースが少し弱体化した版図ランプですが、このカードが生み出す「偏在地・トークン」があれば一気に版図カードをフルパワーで使用することができます。
「兆候」コストで唱えても《豆の木をのぼれ》が誘発するシナジーもあり、純粋なリソース対決ではほかのデッキの追随を許しません。私の可愛いネズミたちも《太陽降下》されてしまうので、気をつけたいと思います。
◆第15期パイオニア神:齋藤 慎也
『ダスクモーン:戦慄の館』カードセット全体の印象
こんにちは。パイオニア神の齋藤です。このセットのリミテッドが非常に楽しく、プレリリース期間に7回もドラフトしてしまいました。
エンチャントをテーマにしたセットとのことで、新たなエンチャント・タイプの「部屋」や、エンチャントが戦場に出ることによって誘発する新キーワード能力の「違和感」などが登場。また、懐かしのメカニズム「昂揚」を持ったカードも収録されています。
リミテッドにおいてはエンチャント・クリーチャーやアーティファクト・クリーチャーが多く、「戦慄予示」も相まって比較的簡単に達成できる印象ですが、構築においては既存デッキに投入するだけとはいかないかもしれません。
全体的にカードパワーは高めの印象で、パイオニアにも影響を与える可能性が大いにあると感じています。
『ダスクモーン:戦慄の館』パイオニア注目カードトップ3!
3位:《幽霊による庇護》
除去でありながら、「絆魂」や「護法」までつけてしまう能力盛りだくさんのオーラ。エンチャント先のクリーチャーを除去されたときのリスクが非常に大きくはありますが、護法がつくので多少は抵抗でき、呪禁などの除去耐性を持ったクリーチャーであればより安心です。最近はあまり見かけませんが、呪禁オーラの復権もあるかもしれません。
2位:《救助のけだもの、コーナ》
『ダスクモーン:戦慄の館』にて新たに登場した能力「生存」によって、パーマネントの踏み倒しができるクリーチャー。タフネス3と戦闘で生き残るには心もとないスタッツのため、ぜひとも《密輸人の回転翼機》や《エシカの戦車》といった機体と一緒に使いたいところ。アブザンパルへリオンや、グルール機体で試してみたいカードです。
1位:《残響の力線》
ラクドス果敢にもってこいの1枚。《巨怪の怒り》や《タイタンの力》をコピーすることで2ターンキルも達成できてしまいます。《無感情の売剣》の出来事や《無謀な怒り》は対象を2つ取ってしまうためコピーできないのは残念。1ターン目にぜひともクリーチャーを展開したいため、《騒音の悪獣》の採用も考えられますが果たして…?
◆第27期モダン神:内藤 圭佑
『ダスクモーン:戦慄の館』カードセット全体の印象
今回のセットは前回の可愛らしい『ブルームバロウ』の世界から一転、禍々しさ溢れる世界観となっております。たがこれもマジックの醍醐味、いやこれこそが本来のマジックの世界観だと思っています。みなさまも戦慄の館の世界にどっぷりと浸かりましょう!
キーワード能力としては「生存」に注目しております。第2メインにタップ状態であれば恩恵を受けられる新能力ですが、《バネ葉の太鼓》のようなカードとあわせて使えば、容易に生存の条件を達成してくれることでしょう。
『ダスクモーン:戦慄の館』モダン注目カードトップ3!
3位:《悪魔的助言》
よくある黒のチューターシリーズですが、2マナで好きなカードをサーチできる点に注目しています。もちろん「昂揚」という条件付きですが、モダンではフェッチランドや《ミシュラのガラクタ》のようなカードがあるので昂揚達成はそこまで難しくないと感じます。
また、このカードを使うなら「昂揚」が達成されていないときでも有効に使いたいので、デッキにある程度のデーモンも必要になると思います。デーモンリアニメイトのようなデッキが生まれたら面白いですね。デーモンファンの方、よろしくお願いします!
2位:《変異の力線》
今回登場した「力線」シリーズのうちのひとつですが、なかなかユニークな能力を持っています。能力としては《太陽の拳》と同じなのですが、力線なので初手にあればタダで出すことができます。
モダンで採用するとしたら、少しマイナーですが《明日の瞥見》デッキでしょうか。《明日の瞥見》には《創造の座、オムナス》などの強力カードを詰め込んだミッドレンジ型と、《全知》や《引き裂かれし永劫、エムラクール》などを入れたロマン型に分かれるのですが、《変異の力線》はロマン型のタイプで採用できそうです。
少しマナベースを整える必要はありますが、5マナで《全知》や《引き裂かれし永劫、エムラクール》をキャストする動きはとても強力!《明日の瞥見》が決まらないときの勝ちパターンのひとつとして入れてみるのは面白そうです。
1位:《残響の力線》
1位も「力線」シリーズからチョイスさせていただきました。やはり初手にあれば無条件で出せるというのは強いですね(笑)
スタンダードでも、このカードを0ターン目に出してパンプスペルからの《無感情の売剣》で2キル!と騒がれていますが、当然モダンでも2ターンキルが狙えます。モダンとなるとカードプールも広いので、《巨怪の怒り》のようなスタンダードでもお馴染みの呪文から、《強大化》のような、条件さえ満たせば1マナで+6/+6修正のような破格の呪文までいろいろと選択肢があります。
選択肢が多いということは構築も難しくなるのですが、2ターンキルは夢があるので研究する価値はあると思います。あとから力線を引かないことを祈りましょう!
◆第26期レガシー神:大川 博史
『ダスクモーン:戦慄の館』カードセット全体の印象
6月にレガシー神になった大川です。今回もよろしくお願いします。
『ダスクモーン:戦慄の館』は近年発売したエキスパンションの中でも、独特な雰囲気が漂っており、昔のカードを彷彿とさせるカードも多く収録されています。1枚1枚のカードパワーも高く、レガシーで使いたいカードが目白押しで新環境が楽しみです。
余談ですが、今回も高コストの面白そうなカードが多く、ヒュージリーダーズでもデッキの組みがいがありそうです。
『ダスクモーン:戦慄の館』レガシー注目カードトップ3!
3位:《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》
まずはじめは、《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》。
エターナルフォーマットでも十分に通用する強力な能力を持った大型クリーチャーです。現レガシー環境で猛威を奮っているディミーアリアニメイトに採用できそうなカードですね。リアニメイト先のクリーチャーとして申し分のないスタッツ、能力を持っており、《偉大なる統一者、アトラクサ》や《残虐の執政官》に次ぐ選択肢のひとつとして検討しています。
特に「護法」は白い除去が入っているデッキに対して強いと感じています。同様に強力な「護法」を持つ《冥王、サウロン》と比較してみると、飛行や絆魂などを持っている点ではこちらに軍配が上がります。
しかし、《豆の木をのぼれ》を採用した4色コントロールなどは簡単に生贄用のパーマネント3つを用意してくるため、そこは《冥王、サウロン》に劣る点であるといえます。現行のファッティも含め、メタゲームに合わせて使い分けていきたいですね。
2位:《変化の狂信者》
黒の「奇跡」呪文が登場しました。場に出たときにいわゆるリアニメイトを行う強力なクリーチャーです。追加のリアニメイト呪文でありながら、釣り上げたクリーチャーに絆魂を与えるので、ライスレースを優位に進めることができます。
また、墓地対策をされていても素のスタッツが4/4・絆魂となかなか侮れません。リアニメイトデッキではなく、スゥルタイカラーの《豆の木をのぼれ》デッキで使ってみても面白いかも知れません(ヒュージリーダーズでも期待の1枚です)。
1位:《除霊用掃除機》
ついに1マナで継続的に墓地追放ができる置物が登場しました!現在の1マナ置物は対象は取れても一度きりであったり、起動にマナがかかったりと一癖あるものばかりでした。《未認可霊柩車》と比較すると、このカードは1枚しか追放はできませんが、マナ加速を必要とせず、1ターン目に置けるという大きなメリットがあります。
今後のレガシー環境でよく見かけるカードになると思っています。また、重ね引きしてしまった場合でも、腐らない能力をもっているのもいいですね!
『ダスクモーン:戦慄の館』には強力なカードが多く、3枚に絞るのにとても苦心しました。今回は上記のカードを選択させていただきましたが、ほかにもレガシー環境で目にすると思われるカードが多数収録されているので、どんなカードが活躍するのか、次のレガシー環境が楽しみです。
◆第25期ヴィンテージ神:東 真幸
『ダスクモーン:戦慄の館』カードセット全体の印象
こんにちは!ヴィンテージ神の東です。
『ダスクモーン:戦慄の館』は「分割エンチャント」「英雄譚」「クリーチャー・エンチャント」など、まさにエンチャントがテーマのセットです。特に、新ルールである分割エンチャントの「部屋」が各フォーマットでどのように活かされるのかが楽しみですね。ただ、どの分割エンチャントも、お世辞にもヴィンテージの速度に間に合いそうになかったため、残念ながらヴィンテージの3選では1枚も取り上げておりません。
『ダスクモーン:戦慄の館』ヴィンテージ注目カードトップ3!
3位:《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》
《偉大なる統一者、アトラクサ》よりも除去耐性やサイズが勝るため、《ドルイドの誓い》デッキの追加のフィニッシャーとして使用される可能性があります。戦場に出せれば墓地対策になってくれる点も見逃せないポイントで、《Bazaar of Baghdad》や《ヨーグモスの意志》《死の国からの脱出》などを使用するデッキ相手に優位に立てます。
当然、《偉大なる統一者、アトラクサ》のほうがアドバンテージを安定して得られるため、《アトラクサ》を数枚積んだうえで、《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》を1枚だけ採用するか否かの形になると考えられます。
2位:《幽霊による庇護》
白単イニシアチブなど、クリーチャー主体のデッキでは万能除去兼パワーアップアイテムとなります。《一つの指輪》や《ドルイドの誓い》などのやっかいなパーマネントを除去しながら、自分のクリーチャーの除去耐性やパワーを上げられるのは魅力的です。
特に《ドルイドの誓い》デッキに対しては、相手がこちらに押し付けてきた《禁忌の果樹園》のスピリット・トークンに《幽霊による庇護》を付ける使い方もできます。クリーチャーを多めに入れれば、エスパー・ルールスのようなデッキでも使用できる可能性があり、メインボードとサイドボードに合わせて1~2枚採用される程度になると考えられます。
1位:《間の悪い故障》
強力なアーティファクトが多いヴィンテージ環境では、最低でもアーティファクト除去として役に立ちます。呪文や能力の対象を曲げるモードは、《Ancestral Recall》のドローを奪えるほか、除去や打ち消しの対象を曲げてアドバンテージを取ることもできます。ブロック不可にするモードも、最後の攻撃が通れば勝利できるときに役に立つ可能性があります。
《削剥》との比較にはなりますが、メインボードとサイドボードに合わせて1~2枚採用される程度になると考えられます。
◆第4期パウパー神:長谷川 翔一
(※編注:現パウパー神・片山さんのご都合が合わなかったため、第4期パウパー神の長谷川さんに執筆していただきました)
『ダスクモーン:戦慄の館』カードセット全体の印象
こんにちは、元パウパー神の長谷川です。今回でなんと10回目のレビュー記事になりまして、いつも貴重な機会をいただけることをありがたく思っております。
さて、新セット『ダスクモーン:戦慄の館』がまもなく発売となります。
本セットはモダンホラーテーマということもあり、なかなかビジュアルが強烈なイラストが多く、前回の『ブルームバロウ』からのギャップに驚いた方も多いことでしょう。正直なところ、個人的にホラー映画がかなり苦手なので《薄気味悪い双子》のイラストにビビり過ぎてしっかりと見ることができませんでした!(涙)
そんな本格的に作り込まれたセットのメカニズムで注目しているのは「部屋」と「戦慄予示」。
「部屋」は両面分割カードに近いですが、場に出たあとに開いてない部屋を開けることで、もう一方の効果を使用できるというもの。エルドレインの「出来事」に近い効果でプレイに柔軟性があり、アドバンテージを獲得できる可能性が高いメカニズムです。
「戦慄予示」は『運命再編』の「予示」メカニズムの強化版で、山札の上2枚から選んで予示します。2枚から選べるため《ウラモグの破壊者》を予示→《儚い存在》などで表返すコンボが狙いやすくなっていますし、予示されなかったもう片方が墓地に行くのもメリットです。「フラッシュバック」持ちを落としたり、リアニメイトとコンボの複合も可能かもしれませんし、できることの幅が大きいことが魅力だと感じています。
リリースされたらどちらもいろいろ試してみたいメカニズムですね。では、今回の注目カードの紹介に移りますので、『そちらの部屋へどうぞ。』
『ダスクモーン:戦慄の館』パウパー注目カードトップ3!
3位:《目標の強奪》
前回の『ブルームバロウ』のレビューにて《サザキャップの醸造》を取り上げた際に「今後にも期待が持てそう!」と書いた矢先に、まさかこんなルーティング(手札入れ替え)呪文がいただけるとは!!
土地以外のカードを捨てると対戦相手に2点を与えるという、まるで《苦しめる声》と《ショック》が合体したブラッドバーンで使ってくれと言わんばかりの性能です。シンプルに「マッドネス」を狙うだけで2点飛ぶので、《台所のインプ》や《癇しゃく》と合わせて効率よくダメージを稼ぐことができるようになったのは大きなアップデートでしょう。
《サザキャップの醸造》と合わせて、ダメージソースになるルーティングが8枚採用できるようになったことで動きの再現性も大きく上がりましたし、このカードが事実上の火力呪文としてカウントできるので、デッキの構成もクリーチャーを増やしたり「マッドネス」スペルを増やすなど、新たなアプローチが生まれるかもしれません。
2位:《機械仕掛けの打楽器奏者》
生きている《実験統合機》ともいえるクリーチャー。なぜか1マナ1/1速攻ですし、めくったカードを次のターンまで使うことができる新設設計。どうやら、この世界の玩具メーカーはずいぶんと良心的な会社のようです。
《カルドーサの再誕》との組み合わせはパウパープレイヤー誰しもが思いつくはず。1ターン目にプレイして、2ターン目に《ゴブリンの墓荒らし》と一緒にアタックしたあとに《カルドーサの再誕》を撃ってリソース確保など、簡単に思いつくだけでもすでに強そうな雰囲気があります。最悪チャンプアタック/ブロックすることで自身を新たなカードに作り替えることができるのも、このカードならではの利点です。
ただゴブリンではないので、うまく使うためにアーティファクトであることを活かしたり、サクリファイスに寄ったデッキ構成にする必要がありそうです。たとえば《ゴブリンの手投げ弾》よりも《巻き添え被害》や《命知らず》のようなカードが優先されるかもしれません。リリース後は、このカードをいかにうまく使うかに注目していきたいですね。
1位:《剃刀罠の山峡》を始めとした不吉の数字(13)土地
ほぼ順張りですが、さすがにこの土地サイクルを取り上げないわけにはいかないでしょう。パウパー史上初のアンタップインできる2色土地サイクルの登場です。
これまでお馴染みの「お帰りランド」やタルキールの「ゲインランド」たちから始まり、最近では『カルドハイム』と『団結のドミナリア』で登場した「基本土地タイプ持ち2色土地」などが登場してきました。年々コモンの2色土地は確実に強くなってきており、さまざまなメリットを持つものがありますが、すべてタップインするのが今までのパウパーの常識だったといえます。
ですが、この『ダスクモーン:戦慄の館』のリリースからはその常識は変わり、新たな歴史のスタートになると感じています。「条件こそあるものの、アンタップインできるコモンの2色土地が出た」ということは大きな意味を持つでしょう。
今までの常識が崩れたことで、今後リリースされるさまざまなセットでアンタップインする2色土地が出るかもしれません!そう思うだけで、これからますます楽しみになりますよね。
今回登場した土地は、「いずれかのプレイヤーのライフが13以下」という条件を満たせばアンタップインできます。これは、アグロデッキへのタップインによる遅れを軽減するのが主な目的だと思いますが、パウパーでは《殺し》を始めとしたライフを払うカードと組み合わせて能動的に達成するのも面白そうですね!
ただし、アンタップインすることを狙いすぎてセットするターンを遅らせると、かえって自分の動きを悪くしてしまうことになりかねないので注意が必要です。採用する際は割り切ってプレイしていきましょう。
◆第9期統率者神:髙橋 龍司
『ダスクモーン:戦慄の館』カードセット全体の印象
今回のセットはずば抜けたパワーカードや汎用性の高いカードはあまりなかったように思います。しかし、単色や2色の色の少いデッキでは「これを待ち望んでいた!」と思わせるカードが見受けられました。
また、ジェネラルを起点としてシナジーを活かすタイプのデッキには化けそうなカードが多く、そういったカードを中心に紹介していきます。
『ダスクモーン:戦慄の館』統率者注目カードトップ3!
3位:《永劫の好奇心》
《沿岸の海賊行為》がクリーチャーになったら、なぜか4/3という恵まれたスタッツに瞬速と除去耐性がついてしまいました。死亡しても戦場に戻ってくるため、気軽に殴りに行けるのが能力と噛み合っていて強力です。コンバットトリックとして出す場合もタフネス4までは道連れにしつつ、《沿岸の海賊行為》が場に残る挙動は何か違和感がありますね……笑
《トレストの密偵長、エドリック》や《浄火の戦術家、デリーヴィー》などの戦闘ダメージを与えることで誘発する能力持ちのジェネラルでの採用が見込まれます。
2位:《殺人人形、マーヴィン》
先出しすることでタップ能力持ちのクリーチャーを擬似的に速攻のように振舞え、次のターンからは2倍起動できる点が優れていると感じます。
自分は《艦長シッセイ》をジェネラルとして使用しているのですが、伝説なのでサーチできるところも含め非常に期待してます。無色2マナと軽いので、とりあえず置いておけばマナクリになったり、《野生の魂、アシャヤ》+《希望守り》の、本来は召喚酔いが解けるのを待つ必要があるコンボを奇襲的に仕掛けることが可能になります。
《ガイアの揺籃の地》や《一つの指輪》をクリーチャー化して使い回すのも面白そうです。《アーカム・ダグソン》や《レオナルド・ダ・ヴィンチ》をジェネラルにしたデッキでも使用されるのではないでしょうか。
1位:《人気者の利己主義者》
《血の芸術家》の亜種なのですが、サクリ台としても使えるのはかなり嬉しいです。
おなじみの《レオニンの遺物囲い》+《動く死体》コンボに加え、最近だと《巣穴の魂商人》を使った無限コンボも登場し、この手のカードの需要は高まってるかもしれません。さらに統率者戦では宝物やフェッチランドを多用するので気軽に誘発させることができ、対戦相手のライフをチクチク攻めることができるのも面白いと感じています。
サクリ台としてはマナが必要な点に使いづらさを感じますが、すでに戦場に出してしまった《レオニンの遺物囲い》を墓地に落としたり、《精神を刻むもの》や《墓穴までの契約》などの強力な能力を誘発させるのに役立ちます。追放除去に対してほかのクリーチャーを墓地に逃がしたり、全体除去に対してこれだけは場に残せたりと何かと器用に立ち回ってくれそうです。
《リスの将軍、サワギバ》をジェネラルにしたデッキでの採用が見込まれます。
◆第19期リミテッド神:鈴木 勇樹
『ダスクモーン:戦慄の館』カードセット全体の印象
前回のかわいらしい動物次元の『ブルームバロウ』から180度方向転換して、おどろおどろしいホラー次元のダスクモーンへ。どうしてこうなった。『ブルームバロウ』で興味を持たれた方が困惑しないか心配です。
昔からやってるおじ達は「これこれ~!これだよマジックは!」ってなってる人も多いかもしれませんね。個人的にはどちらも非常に魅力的なので大いにアリです。
セット全体としては『ブルームバロウ』よりもカードパワー高い感じがしますね。新しいメカニズムの「部屋」と「違和感」にも大注目です。
「部屋」はゲーム中に取れる選択肢を増やしてくれるので、リミテッドをやるうえでとても楽しいメカニズムになるんじゃないかなと思います。
「違和感」は上述の「部屋」を使うことによって2回の誘発が担保されていますし、クリーチャーでありつつエンチャントでもあるといったカードもいるのでしっかり機能させていくことができそうです。
それでは今回の注目カードです。前回はレアを選ばせていただきましたが、リミテッド目線ということで、今回はコモンのいぶし銀的なカードをチョイスしていこうと思います。
『ダスクモーン:戦慄の館』リミテッド注目カードトップ3!
3位:《戦慄予示》
リミテッドで最重要な2マナのアクションかつ、新ギミックということでこちらの《戦慄予示》を第3位に。この《戦慄予示》を唱えると、なんとなんと「戦慄予示」することができるんです!す、すごすぎる~!!
過去メカニズムの「変異」や「予示」と少し似ていますが、新しい「戦慄予示」では墓地を肥やして「昂揚」達成に手を進めながら盤面を作っていくことができます。リアニメイトなんかともやや相性がいいですね。
「戦慄予示」で裏向きにされているカードは「変異」と違って、環境にいるすべてのクリーチャー・カードのどれかである可能性があるので、その辺りのゲーム性も面白そうです。そして2枚から1枚を選ぶということで「予示」よりも断然クリーチャーである可能性が高くなっています。
裏向き同士がぶつかることは稀だと思いますが、また変異(予示)ジャンケンが楽しめますね!わしの裏面カードは《長毛ロクソドン》(《よだれ流しの枝潰し》)じゃぞ!
2位:《食肉用冷凍室/冠水した食堂》
時間稼ぎ&アドバンテージ&麻痺カウンター2個なのが偉いです。部屋系コントロールを組むときなんかに強そうですね!「生存」持ちクリーチャーを麻痺らせないようにご注意ください。ところでこの部屋……かの虐殺事件と何か関連があるんでしょうか?
1位:《大玄関/優雅なる円形広間》
玄関なのに部屋……妙だな……。1枚で3回も違和感を感じることができる変な家(部屋)です。
こちらはアグロ向きの性能ですね。コストがそれぞれ2・3なのでほかの手札との兼ね合いで柔軟にプレイしていくことができます。割と地味そうに見えるんですが、使う or 使われると強いと感じるタイプのカードなのかなと思います。
この辺りと組み合わさるともう……もうヤバイですよ!違和感ビートキメてきましょう!
新環境を楽しもう!
「神」ならではの柔軟な発想と鋭い着眼点から、各フォーマットの『ダスクモーン:戦慄の館』の注目カードをレビューしてもらいました!
目を引くような強いカードが多く、どんなデッキを組むか考えるのが楽しいですね!彼らの意見を参考に新たな戦力とともに新環境へと踏み出しましょう!
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