はじめに
こんにちは。晴れる屋メディアの紳さんです。
先週の記事では「グルール果敢」「《救いの手リアニメイト》」「アゾリウスオーラ」「白単コントロール」が現スタンダード環境の最有力デッキである、という紹介をしました。
- 2024/09/30
- Just Nowスタンダード!vol.32 -《残響の力線》果敢が優勝!《忌まわしき眼魔》《幽霊による庇護》も活躍-
- 紳さん
特にグルール果敢のパフォーマンスは圧倒的であり、最速2ターンキルを決めてくるこのアグロデッキに対抗するべく、いろいろな策が講じられています。
これらのカードは代表的なアグロ対策で、今ではどのデッキもメインから採用していることが多いです。
追放やバウンス、マイナス修正による除去は《心火の英雄》や《騒音の悪獣》をノーダメージで処理できる点が評価されています。
《残響の力線》とグルール果敢を巡って動き始めたメタゲーム。今度はどんなデッキが活躍したのでしょうか。最新の大会結果をチェックしていきましょう!
10/3(木)『Standard Challenge 32』
まずは56名が参加した木曜日の『Standard Challenge』の結果から。
10/3(木) 『Standard Challenge 32』
優勝 白単コントロール
準優勝 白単コントロール
3位 赤単
4位 《救いの手》リアニメイト
5位 ディミーアミッドレンジ
6位 ディミーアミッドレンジ
7位 グルール果敢
8位 グルール果敢
グルール果敢に対して強い、白単コントロールが優勝&準優勝という結果となりました。
3位に入賞した赤単には《精鋭射手団の目立ちたがり》が採用されておらず、《擬態する歓楽者、ゴドリック》《怪しげな統治者、スクイー》《稲妻の一撃》などが採用された昔ながらの赤単に近い構成でした。
オールイン気味に強化呪文を連打するグルール果敢に比べると、スタックでクリーチャーを除去されたときのリスクがやや抑えられているように感じます。ただし、追放除去が増えている現環境において《怪しげな統治者、スクイー》はやや真価を発揮しづらいかもしれません。
白単コントロール
優勝した白単コントロールのリストがこちらです。
『ダスクモーン:戦慄の館』からの新カード、《永劫の無垢》はさながら「生ける《トカシアの歓待》」といったところでしょうか。
果敢系アグロデッキが猛威を振るうなか、絆魂2/1のブロッカーは沁みます。一度破壊されても戦場に戻ってこれますし、《世話人の才能》とおなじく、白単の強力なドローエンジンとして働くことでしょう。
メタゲーム的に追放除去をたくさん採用できている点も強く、《大天使エルズペス》は絆魂1/1を生成しつづけ、ロングゲームにも強いカードです。
また、《魂の仕切り》も便利なカードです。追放除去としてはもちろん、自分が戦場に出した《第三の道のロラン》や《跳ねる春、ベーザ》を再利用する目的に使ったり、破壊されそうになった《世話人の才能》や《大天使エルズペス》を守る目的でプレイすることも考えられます。
白単コントロールの展望についてですが、今後も使用者が増えるであろう「《救いの手》リアニメイト」に対して《安らかなる眠り》という絶対的なカードを用意できる点が強みとなります。
また、現在はアグロデッキの台頭によって抑えつけられている「大豆」こと各種大主と《豆の木をのぼれ》を軸としたランプデッキですが、カードパワーは極めて高く、どこかのタイミングで浮上してくることが予想されます。
相対的にエンチャント破壊の価値が上がるため、《失せろ》と《第三の道のロラン》を携えた白単コントロールは、ますます立ち位置が良くなるのではないでしょうか。
ディミーアミッドレンジ
つづいて、トップ8に2名を送り込んだディミーアミッドレンジを紹介したいと思います。
序盤から軽くて優秀なフライヤーをプレイしつつ、戦闘ダメージを通すたびにドローする動きはあまりにも強力です。
《ヨーグモスの法務官、ギックス》の枠には新たに《永劫の好奇心》が採用されました。《ギックス》と比べると1マナ重いものの、瞬速と破壊されても戦場に戻ってくる場持ちの良さは、ドローエンジンとして破格の性能です。
流行中の《苦痛ある選定》で追放されにくい点を考えれば、むしろ4マナで良かったとすら思えるのではないでしょうか。
一度、盤面の優位が取れたら簡単には崩れません。獲得した手札で除去と打ち消しを行い、クロックを守り抜きます。
このデッキを使うなら、なんとしても先攻が欲しいですね。
メタゲーム上の立ち位置としては、良くも悪くもないという印象のデッキです。クリーチャーのサイズが全体的に小さく、ほかのアグロやミッドレンジ系のデッキと戦闘で渡り合うことが難しいため、除去や打ち消しを構えながらクリーチャーをプレイするという、シビアなプレイングが求められます。
サイド後は《最深の裏切り、アクロゾズ》や《ギックスの命令》というフェアデッキに強い「逆転札」がキーカードとなりそうです。
10/4(金)『Standard Challenge 32』
つづいて、53名が参加した金曜日の大会結果を見ていきましょう。
10/4(金) 『Standard Challenge 32』
優勝 白単コントロール
準優勝 赤単
3位 オルゾフミッドレンジ
4位 《救いの手》リアニメイト
5位 《救いの手》リアニメイト
6位 赤単
7位 ラクドスリザード
8位 赤単
ここでも白単コントロールが優勝と、勢いが止まりません。とにかく立ち位置が良さそうですね。
「《救いの手》リアニメイト」に関しては先週の記事で紹介しておりますので、ここではトップ8に3名と著しい活躍を見せた赤単をピックアップしたいと思います。
赤単
赤単には関しては、先述した昔ながらの赤単と、《残響の力線》に寄せた最近の赤単の両方が入賞しております。ここでは6位に入賞した新しい赤単について紹介させていただきます。
すでにグルール果敢が証明しているように、《残響の力線》と強化呪文の組み合わせは強力無比です。そんななか、《裏の裏まで》だけでは満足できず、《罪深き憤怒》まで4枚採用した超攻撃的な赤単が誕生したようです。
《裏の裏まで》で強化したクリーチャーが死亡すると、置き土産として戦慄予示をすることができます。《残響の力線》でコピーすれば戦慄予示も2回行えるため、強力です。
そして、「戦慄予示ほど強くはないものの、2/2探偵でもそれなりに強いのでは?」という考えが形になったのが、この《罪深き憤怒》4枚採用の赤単ということですね。
シンプルな作戦ながら、置き土産つき強化呪文8枚体制は安定性が高そうです。
《無感情の売剣》も4枚フル投入され、「どうせ強化したなら、なるべく死亡させたい(投げ飛ばしたい)」という意図が見てとれます。
ちなみに《罪深き憤怒》には速攻付与もあるため、中盤以降に引いてきた《騒音の悪獣》や《心火の英雄》をすぐに強化しながら戦闘に向かわせられるのはかなり強力ですね。
相手からすると攻撃を通しても地獄、ブロックして破壊しても地獄です。
グルール果敢と比べると、赤単の方がより攻撃的ではありますが、クリーチャーを守る方法がないことがバレているのが弱点でしょうか。
クリーチャーを躊躇なく除去されてしまうため、《裏の裏まで》や《罪深き憤怒》にスタックで除去を使われ、簡単にアドバンテージを失ってしまうのが難点です。
「常にタップアウトの隙を狙う」ということであれば、最強のデッキかもしれませんね。今後の動向に注目したいと思います。
10/5(土)『Standard Challenge 32』
それでは最後に、54名が参加した土曜日の大会結果です。
10/5(土) 『Standard Challenge 32』
優勝 ゴルガリミッドレンジ
準優勝 《救いの手》リアニメイト
3位 グルール果敢
4位 白単コントロール
5位 版図ランプ
6位 ディミーアミッドレンジ
7位 赤単
8位 ボロスコントロール
なんと、久しぶりにゴルガリミッドレンジが優勝という結果になりました。
『Standard Challenge』でゴルガリミッドレンジがトップ8以内に入ったのは9月20日以来、実に2週間以上ぶりです。どんな構築だったのでしょうか。
ゴルガリミッドレンジ
こちらが優勝したデッキのリストです。《亭主の才能》や《裏切りの棘、ヴラスカ》を不採用とした、なんとも斬新な構築ですね。
最大の注目ポイントは、《玉虫色の蔦打ち》と《自由放浪団の見張り》のベストカップルです。
上陸をするたびに《玉虫色の蔦打ち》が対戦相手1人を対象にして1点のダメージを飛ばしますが、これは紛れもない「悪事を働く」ことになり、《自由放浪団の見張り》の能力が誘発します。
ライブラリーを上から5枚見て土地が1枚もないことは少なく、ほぼ戦場に土地を出すことができるでしょう。ふたたび《玉虫色の蔦打ち》の上陸が誘発し、1点のダメージが飛びます。
「新生」を含めて《玉虫色の蔦打ち》を複数体並べたり、《自由放浪団の見張り》が2体、3体と並べばダメージ量はグングンと加速し、さらに土地も大量に並びます。
また、《自由放浪団の見張り》の能力は1ターンに1度しか誘発しませんが、相手のターンに《寓話の小道》や《解体爆破場》を起動させれば上陸可能ですので、意外と爆発力もありそうです。
それなりにマナの使い道もあり、スケールの大きさでも引けを取りません。
《除霊用掃除機》は単なる「悪事を働く」要員ではなく、6マナ支払って生け贄にすると奥義が発動する点も見逃せませんね。
従来のゴルガリミッドレンジと比べると、《失せろ》1枚で対処されてしまう《亭主の才能》や《裏切りの棘、ヴラスカ》と違い、「新生」を持つ《玉虫色の蔦打ち》は1:1交換を簡単に許さない点が優秀です。
土地をプレイすることにスタックで対応されることもなく、《自由放浪団の見張り》も着地すれば1回は確実に能力を誘発させることができます。アドバンテージ勝負では簡単に負けないデッキです。
クリーチャーコンボであるため《太陽降下》が天敵?そんなものは《強迫》で捨てちゃいましょう!
『Standard Challenge』優勝デッキのリストに《続・食肉鉤虐殺事件》があるのもロマンを感じてたまりません。このデッキであればは余裕で捻出できるでしょう。
この新型ゴルガリミッドレンジは今後、どんな活躍を見せるのでしょうか。
おわりに
アグロデッキ・クロックパーミッション・高速リアニメイト・除去コントロールと、いろんなデッキが活躍する混沌としたメタゲームになってきました。
すべてのデッキが1マナ除去を採用しているという点は少し気になる部分ではありますが、《残響の力線》に支配された環境というほどでもないようです。
このまま白単コントロールの隆盛がつづけば、果敢系のデッキも使用率が下がってくるのではないでしょうか。
個人的には《豆の木をのぼれ》がめちゃくちゃ強い環境だと考えています。来週あたり、「大豆」デッキの活躍をお伝えできると信じています。頑張れ大主!
余談ですが、最近までずっと「大主(おおあるじ)」ではなく「大王(だいおう)」だと思っていました。「各色に大王がいるなんて素敵!」と思っていたのですが、勘違いです。
次回の大会結果もお楽しみに!それでは、また。