Just Nowスタンダード!vol.34 -ジャパンスタンダードカップ優勝はゴルガリ!大会で判明した「勝ち組デッキ」の存在-

紳さん

はじめに

こんにちは。晴れる屋メディアの紳さんです。

先週はマジックの祭典、『プレイヤーズコンベンション静岡2024』がありました。そのなかで大規模なテーブルトップのオープン大会であるジャパンスタンダードカップ:『ダスクモーン:戦慄の館』という、現スタンダード環境を定義しうる重要なイベントも行われております。

一体、どんなデッキが活躍したのでしょうか。『Standard Challenge』の結果と合わせてチェックしていきましょう!

ジャパンスタンダードカップ:『ダスクモーン:戦慄の館』

ジャパンスタンダードカップ:『ダスクモーン:戦慄の館』には海外からの参加も含む精鋭246名が参加し、予選ラウンド9回戦と決勝トーナメントが行われました。

注目の大会結果がこちらです。

優勝はコバヤシ チアキさんのゴルガリミッドレンジでした。

コバヤシさんといえば3ヵ月前、『第27期スタンダード神挑戦者決定戦』でも決勝まで勝ち上がった強豪プレイヤーです。

このときも完成度の高いゴルガリミッドレンジを使用していましたが、あれからどのようなアップデートがあったのでしょうか。

また、アゾリウス眼魔は準優勝含めトップ8に2名。アゾリウスエンチャントもトップに2名が入賞するなど、健闘しています。

ゴルガリミッドレンジ

こちらがコバヤシさんの新ゴルガリミッドレンジのリストです。

止められぬ斬鬼狩人の才能

新戦力としてはメインから4枚採用された《止められぬ斬鬼》が強い存在感を放ちます。

特に《止められぬ斬鬼》の接死と《狩人の才能》の相性が素晴らしく、戦場に出たときの「噛みつき」ダメージは確定除去となり、レベル2となった《狩人の才能》がトランプルを付与することで《止められぬ斬鬼》の戦闘ダメージが通りやすくなるというシナジーがあります。チャンプブロックが効かなくなるのは強力ですね。

除霊用掃除機不浄な別室+祭儀室

汎用性の高い墓地対策カード、《除霊用掃除機》はメインから採用。アゾリウス眼魔との戦いにしっかりと備えているようです。

サイドボードには注目のドローエンジン、《不浄な別室/祭儀室》が採用されています。

強迫鋼と油の夢大洞窟のコウモリヴェールのリリアナ

序盤から手札に干渉する手段が豊富で、あらゆるデッキに対して有効に働きます。対戦相手のゲームプランを狂わせつつ、《苔森の戦慄騎士》《止められぬ斬鬼》といった場持ちの良いクリーチャーでジワジワと攻めを継続させ、粘り強く戦えるデッキです。

グリッサ・サンスレイヤー羅利骨灰屑鉄撃ち温厚な襞背向上した精霊信者、ニッサ

ハンデスに加え、エンチャントやアーティファクトを破壊できるカードも多く採用されています。また、ただの置き物対策ではなく、ほかの役割もこなせる汎用的なカードが多く、対応力の高さが伺えます。

豆の木をのぼれ世話人の才能ウラブラスクの溶鉱炉残響の力線永劫の好奇心ミストムーアの大主

現スタンダード環境において「置き物対策」が万全なのは心強いです。リソース勝負が本髄ともいえるゴルガリミッドレンジにおいて、《豆の木をのぼれ》《世話人の才能》が相手にもたらすカードアドバンテージは敗着となりえます。

『ダスクモーン:戦慄の館』からの新戦力、《残響の力線》・永劫シリーズ・オーバーロード(大主)に対しても真っ向から立ち向かうことができそうですね。

それにしても《狩人の才能》は素晴らしい着眼点です。優勝、おめでとうございます!

アゾリウス眼魔

トップ8に2名を送り込んだアゾリウス眼魔。こちらは準優勝したデッキのリストです。

忌まわしき眼魔傲慢なジン救いの手

「切削」などで墓地を肥やし、墓地に置かれた《忌まわしき眼魔》《傲慢なジン》《救いの手》で釣り上げるプチ・リアニメイト戦略を狙います。

わずか1マナでリアニメイトができる《救いの手》や、追加の釣り竿である《再稼働》も2マナと、勝つためのアクションが軽いことが強みです。

行き届いた書庫

運が良ければ《行き届いた書庫》の諜報から2ターン目に《忌まわしき眼魔》を戦場に出すことも可能で、《戦慄予示》から新たな《忌まわしき眼魔》に繋がることもあるなど、低マナ域のカードだけでも十分すぎるほどの爆発力があります。

また、一般的なリアニメイトデッキと違い、釣り上げるメインとなるクリーチャーがそれぞれ3マナと現実的に支払えるコストであるため、フェアに戦っても強いデッキといえるでしょう。

安らかなる眠り除霊用掃除機僧院の導師

とはいえ、フェアに戦ったとしても墓地対策は刺さります《忌まわしき眼魔》は手札からプレイすることが難しくなり、《傲慢なジン》は戦場に出たとしてもパワーが低く、戦力になりません。

最近では《除霊用掃除機》といった汎用的な墓地対策カードの採用率も上がり、サイドボードから《僧院の導師》を投入するなど、追加の勝ち筋は必須です。

ただ、繰り返しにはなりますがアクションが軽いことは最大の強みで、このデッキには墓地対策カードを引かれる前にリアニメイトを狙えるスピードがあります。

失せろ幻影の干渉三歩先

除去や打ち消しといったクロック・パーミッション要素も濃く、総合的には安定性が高いデッキといえるでしょう。

使用者がどんどん増えており、今後も注目のアーキタイプです。

アゾリウスエンチャント

使用者が246名中わずか6名と少数ながら、2名をトップ8に送り込んだアゾリウスエンチャントのパフォーマンスは圧巻でした。

今大会の「勝ち組」となったデッキではないでしょうか。

呑気な物漁りグレムリンを手懐ける者知りたがりの光霊

「違和感」によって+1/+1カウンターをばらまく《呑気な物漁り》と、1/1のグレムリンを量産する《グレムリンを手懐ける者》はどちらも無視できない爆発力があります。ターン1回という制限もなく、縦の突破と横並べの両面で攻めることができるデッキです。

《知りたがりの光霊》はエンチャント呪文のコストを軽減し、自身もエンチャントであるため違和感の誘発に一役買います。

幽霊による庇護天上の鎧破片魔道士の救出フェイの飛行

そしてなんといっても各種オーラが極めて優秀です。パーマネント追放をしながらエンチャントされたクリーチャーに+1/+0修正と絆魂付与、さらに護法2まで持たせる《幽霊による庇護》はあまりにも強く、カードテキストを五度見するプレイヤーが続出するほどです。

今大会ではグルール果敢が使用者数37名、使用率15.3%とトップメタとなりましたが、大抵のアグロデッキは絆魂を持ったクリーチャーに《天上の鎧》がついた時点でゲームセットとなります。

ピンポイントな除去は《破片魔道士の救出》《フェイの飛行》ではじかれてしまいますし、これらのオーラを唱えるたびに違和感が誘発するのは強力です。

精体の追跡者永劫の無垢

また、《精体の追跡者》《永劫の無垢》によるドローサポートも強く、なかなか息切れしにくいデッキでもあります。

一時的封鎖太陽降下否認

《一時的封鎖》《太陽降下》といった全体除去はクリティカルに刺さりますが、サイド後はアゾリウスエンチャント側も《否認》などで対抗することができます。

歴史の彼方

現スタンダード環境において、とても立ち位置が良いデッキの一つであることは間違いありません。

個人的な予想ですが、このデッキの台頭によってゴルガリミッドレンジや版図ランプのサイドボードに《歴史の彼方》が採用され始めるのではないかと考えています。

10/12(土)『Standard Challenge 32』

それではつづいて、MOで開催された『Standard Challenge 32』の大会結果をチェックしていきましょう。

ここでは、安定した成績を残しつづけるアゾリウス眼魔が優勝しました。

8位に入賞した4色オーバーロードがかなり斬新な構築であったので、ピックアップさせていただきます。

4色オーバーロード

こちらが入賞した4色オーバーロードのデッキリストです。

豆の木をのぼれミストムーアの大主ボイラービルジの大主ホーントウッドの大主

《豆の木をのぼれ》と各種オーバーロード(大主)の相性が良いことは周知の事実ですが、ここまで大胆な構築のデッキが登場するとは思いませんでした。

山積みの収穫洞窟探検失せろ

《ホーントウッドの大主》に加え、《山積みの収穫》《洞窟探検》といった3マナのランプカードがフル投入されています。諜報ランドが多く採用されていますが、《洞窟探検》がある状況では最強の土地です。

ランプ戦略自体は問題なさそうですが、4枚採用された《失せろ》以外は軽めのアクションがなく、アグロデッキとの戦いが不安です。

間の悪い爆発塔の点火怒りの大天使

ただし、メインの全体除去が《太陽降下》よりも1マナ軽い《間の悪い爆発》であること、サイドボードに《塔の点火》《怒りの大天使》がフル投入されていることから、決してアグロデッキとの戦いをあきらめていないことが伺えます。

そして、序盤さえしのげれば、オーバーロードたちの時間です

ミストムーアの大主ボイラービルジの大主力線の束縛

アタッカーにもブロッカーにもなれる2/1飛行を2体生成する《ミストムーアの大主》、好きな対象に4点のダメージを飛ばせる《ボイラービルジの大主》を兆候でプレイしながら《豆の木をのぼれ》でドローする動きは強力無比で、《力線の束縛》と共に盤面をコントロールしていきます。

ドッペルギャング苦々しい再会

《ドッペルギャング》はゲームが長引いてマナが伸びれば、その分だけ威力を増幅させる必殺技です。特に《ボイラービルジの大主》のコピートークンを2体、3体と量産すれば対戦相手に致死ダメージを与えることは難しくないでしょう。

また、兆候で出したオーバーロードをコピーした場合、置かれている時間カウンターまではコピーされないため、すぐにクリーチャーとして運用できる点も見逃せません。《苦々しい再会》ですべてのオーバーロードに速攻を付与すれば、フィニッシュ手段としては申し分ないことでしょう。

完成化した精神、ジェイス花粉の分析

ちなみに、この手のランプデッキは《豆の木をのぼれ》でカードを引き過ぎた結果、《完成化した精神、ジェイス》の[-X]能力でライブラリーアウト負けをすることも多いのですが、なにげに80枚デッキなので《完成化した精神、ジェイス》にやや耐性があります

《空を放浪するもの、ヨーリオン》がスタンダードにいないことが悔やまれますね。オーバーロードとも相性が抜群に良いので、ぜひパイオニアでシナジーを実現させてほしいです。

また、デッキ枚数が増えたことで必要なカードにたどり着く可能性が下がっているものの、《苦々しい再会》《間の悪い爆発》で捨てたカードを証拠収集コストにして《花粉の分析》をプレイし、必要なオーバーロードを探しにいくというテクニックが隠されています。大雑把に見えて、実は緻密な計算によって組み上げられたデッキなのかもしれません。

おわりに

残響の力線心火の英雄騒音の悪獣無感情の売剣

『ダスクモーン:戦慄の館』発売以降、グルール果敢を中心に動き出したメタゲーム。

今回の大会結果を見る限りでは大きな偏りもなく、フェアデッキを中心として、いろいろなデッキに活躍のチャンスがある、バランスのとれた環境といえるでしょう。

グルール果敢もまだまだ存在感があり、1マナの除去はどのデッキにも欠かせません。アゾリウスエンチャントのようなデッキも台頭し、アグロデッキとの睨み合いはもうしばらく続きそうです。

永劫の活力嵐を断つ者探索するドルイド

また、《永劫の活力》《嵐を断つ者》を軸としたスプリッターコンボも徐々に勢力を伸ばしつつあります。フェアデッキ全般に強く、大会での実績はまだまだ少ないのですが、今後注目のアーキタイプであることは間違いないでしょう。

次回の大会結果もお楽しみに!それでは、また。

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紳さん マジック愛に生きるフリーライターです。モダン、パイオニア、スタンダードでローグデッキを使い、勝利を目指す! 至って真剣勝負の毎日です。 紳さんの記事はこちら