はじめに
こんにちは。晴れる屋メディアチームです。
【#プレイヤーズコンベンション】参加者613名。初日スイスラウンド9回戦と2日目トップ8による決勝ラウンド3回戦を制覇し、「Asia Legacy Championship 2024」すべての参加者の頂点に立ったのは、赤単プリズンを使用した高野成樹選手でした。おめでとうございます! #mtgjp https://t.co/K5uTXOoyis pic.twitter.com/TLFkswWCes
— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) October 13, 2024
先日の『プレイヤーズコンベンション静岡2024』で行われた『Asia Legacy Championship 2024』にて通販チームスタッフの「シゲキ」こと高野 成樹が優勝しました!
晴れる屋チャンネルでは生配信でシゲキにいろいろと質問するコーナーを実施しましたが、改めてゆっくりと話を聞いてみたいですよね。
せっかくなので今回はシゲキに優勝インタビューをしながら、ガッツリとレガシーで勝つための思考力やデッキテクニックを学ばせていただきましょう。
使用したデッキは赤単プリズン。なぜこのデッキを選択したのか、現レガシー環境をどのように分析しているかなど、赤裸々に語っていただきます!
人物紹介
シゲキ
第17期~20期レガシー神・BMOレガシー優勝など輝かしい実績を持つ、日本を代表するレガシープレイヤー。晴れる屋では通販チームのスタッフをしている。趣味は筋トレと料理。
紳さん
ライター。マジック歴は26年。趣味はインタビュー。
紳さん:シゲキさん、優勝おめでとうございます。本日はよろしくお願いします。
シゲキ:ありがとうございます。なんでも聞いてください。
なぜ赤単プリズンを選択したのか
紳さん:早速の質問です。レガシーには強力なデッキがたくさんありますが、どうして赤単プリズンを選択したのですか?
シゲキ:順を追って説明しましょう。まず、現レガシー環境はディミーアリアニメイトとエルドラージの二強状態であると考えています。
紳さん:なるほど。たしかにほかの大会結果などを見ても、その両デッキの活躍ぶりは抜けてますよね。
シゲキ:ディミーアリアニメイトは《納墓》と《再活性》など、1マナの呪文だけでゲームを決めてしまう圧倒的なスピードとピッチスペルがあり、ほかを寄せつけない強さがあります。
シゲキ:そして、エルドラージは《まき散らす菌糸生物》が最強な上に、《まばゆい肉掻き》と《コジレックの命令》を絡めた2ターンキルも現実的に起こるほどのスピードとパワーがあります。さらに対策がとてもしにくいデッキです。
シゲキ:よくエルドラージ対策に《記憶への放逐》が有効、なんて言われますが、自分はそうでもないと考えています。最大でも1:1交換にしかならず、《魂の洞窟》を使われたらエルドラージ本体が残り、1:1交換すら望めません。
紳さん:ふむふむ。トップメタのデッキは強いですね。そうなると、ディミーアリアニメイトやエルドラージを使うという選択肢もあったのでは?
シゲキ:もちろん、頭にはありました。ただ、大会ではディミーアリアニメイトとエルドラージは激しくメタられるのに対し、赤単プリズンはそこまで意識されず、対策もされづらいデッキであることが魅力です。
シゲキ:試しに晴れる屋での仕事終わりに大会に出ていたら、想像以上に強かったので本番は赤単プリズンでいくことに決めました。
紳さん:仕事が終わってすぐに大会に出られるのは晴れる屋で働く特権ですよね。
シゲキ:そうですね。勝てば晴れる屋ポイントもめちゃくちゃ貯まりますしね。
紳さん:シゲキさん、ほぼ毎日晴れる屋の大会に出てますもんね。
シゲキ:今回の赤単プリズンも、ほとんど晴れる屋ポイントだけでカード揃えましたからね。
(※晴れる屋の平日大会では3勝すると2000ポイント、2勝すると1000ポイントがもらえます。)
赤単プリズンの強さ
紳さん:それでは、この赤単プリズンというデッキの強さはどんなところにありますか?
シゲキ:はい。このデッキはマナ加速が強くて、1ターン目にかなりの確率で3マナのカードをプレイすることができます。
紳さん:2マナ出る土地が8枚と、《猿人の指導霊》と《金属モックス》がありますもんね。
シゲキ:1ターン目に優先してプレイするのは《鏡割りの寓話》です。ゴブリン・シャーマン・トークンでさらなるマナ加速(宝物)ができたら最高ですし、《金属モックス》など重ねて引きたくないカードをルーティングできるのも強いですね。
シゲキ:《血染めの月》はトップメタのエルドラージに強く、デッキ相性的にかなり有利です。月より先に《まばゆい肉掻き》や《コジレックの命令》をプレイされるパターンなど、負けうる展開もあるにはあるんですが。
紳さん:メインからトップメタの片方に対して有利というのは素晴らしいですね。《再鍛の刃、ラエリア》は昔の赤単プリズンのリストではよく見かけましたが、最近では珍しい気がします。強いんですか?
シゲキ:もともとは《混沌の洞窟の冒険者》の枠でした。しかし4マナは遅く、《超能力蛙》に殴られるだけでイニシアチブを奪われる点が気になります。
シゲキ:《再鍛の刃、ラエリア》の方が軽くて使いやすいですし、ミラーマッチでもこちらの方が早くクリーチャーを出せる可能性が高くなります。《再鍛の刃、ラエリア》を出せば、相手はもう《混沌の洞窟の冒険者》をプレイできなくなりますよね。
紳さん:なるほど。早いターンに出してたくさん攻撃した方が衝動的ドローによるアドバンテージも多く稼げますし、「軽いは正義」ですね。
シゲキ:また、赤単プリズンは《一つの指輪》を一番強く使えるデッキです。マナ加速から早期ターンにプレイした《一つの指輪》はたくさんの手札をもたらしますが、このデッキはピッチでプレイできる《激情》や《猿人の指導霊》《金属モックス》といった0マナでプレイできるカードが多く、引いたカードをすぐに盤面へ還元できる点が優れています。
紳さん:赤単プリズンはすぐ手札がなくなるイメージですが、《一つの指輪》は失ったハンドアドバンテージもすぐ回復してくれそうですね。
シゲキ:極めつけは《舷側砲の砲撃手》です。一般的なデッキは重荷カウンターが乗りすぎた《一つの指輪》を処理するために新しく《一つの指輪》を出し直す必要がありますが、このデッキなら《舷側砲の砲撃手》で投げ飛ばすことができます。いらない指輪を投げて6点ダメージですからね。
紳さん:赤単プリズンこそが最強の指輪デッキでしたか。
シゲキ:そして、メタゲーム的にも赤単プリズンならではの優れている点があります。
紳さん:なるほど。相対的に赤単プリズンが強いところも知りたいです!
シゲキ:現レガシー環境においてタフネス4のクリーチャーが倒せないのはかなり厳しいんです。ディミーアリアニメイトの《変化の狂信者》は墓地対策でリアニメイトを封じたとしても、奇跡で絆魂4/4が着地するだけで強い。エルドラージにも《難題の予見者》がいて、《稲妻》で対処できないこれらをスムーズに倒す方法を考える必要がありました。
シゲキ:そこで活躍するのが《パイロゴイフ》です。
紳さん:まさかの《パイロゴイフ》!
シゲキ:対戦相手のデッキにもよりますが、墓地が肥えやすいレガシーでは4点ダメージを出すのはそんなに難しくありません。
紳さん:赤単プリズンは1ターン目に《鏡割りの寓話》を置くデッキですしね。
シゲキ:さらに戦場に2体の《パイロゴイフ》が並ぶと、誘発も2回に増えて爆発的なダメージを出せるようになります《キキジキの鏡像》でコピーしても強いですね。
シゲキ:ほかにも《激情》や《舷側砲の砲撃手》など、赤単プリズンは4/4を簡単に処理できるデッキで、現在のメタゲームに合っているんです。
対トップメタ用のサイドボーディング
紳さん:ここまでの話をまとめて、トップメタデッキであるディミーアリアニメイトとエルドラージとの総合的な相性、勝つためのサイドボーディングなどについて教えてください。
シゲキ:OKです。
対ディミーア系
シゲキ:ディミーアリアニメイトとの相性ですが、相手が早いターンに《納墓》を引くかどうかで大きく勝率が変わります。早く引かれたら負け、遅ければ勝ち。メイン戦はやや不利ですね。
vs. ディミーアリアニメイト
シゲキ:サイド後は《除霊用掃除機》を4枚フル投入して相性が改善します。先手1ターン目に置ける墓地対策カードは《目くらまし》されにくいため、かなり強いです。
紳さん:軽い墓地対策といえば、《墓掘りの檻》や打ち消されにくい《フェアリーの忌み者》などもありますが。
シゲキ:《墓掘りの檻》は墓地に爆弾が残り続けるため、《厚かましい借り手》で戻されたときが辛いです。《フェアリーの忌み者》は短期的には強いですが、ディミーアリアニメイトは《納墓》《カザド=ドゥームのトロール》《超能力蛙》などでいつでも墓地を強くしてくるため、恒久的な墓地対策ができないと手数の差で詰みます。
紳さん:なるほど。《除霊用掃除機》はレガシーでも革新的なカードなんですね。
シゲキ:ちなみに、対ディミーアテンポのサイドボーディングはこんな感じです。
vs. ディミーアテンポ
シゲキ:《ネザーゴイフ》のために《除霊用掃除機》まで入れる必要はありません。《濁浪の執政》をバウンスできるように《死亡/退場》を入れています。
紳さん:フェッチから基本土地を持ってこれるなど、ディミーア相手には《血染めの月》はケアされやすいから抜くんですね。
シゲキ:基本的にはそうです。対策を散らすために《血染めの月》を残したりもするんですけどね。《引き離しの噴火》でデッキに1枚しか入ってない《沼》を破壊して勝ったゲームもありましたね。
対エルドラージ系
シゲキ:エルドラージは正直、《血染めの月》がある以上、めちゃくちゃ有利なマッチアップです。
紳さん:ですよね~。
vs. エルドラージ
シゲキ:《コジレックの命令》や《まばゆい肉掻き》などでエルドラージ・落とし子を並べてきたときに備えて、《焦熱の合流点》を入れる感じですかね。
紳さん:有利とはいえ、エルドラージにはブン回りがあるので注意したいところですね。
そのほかのデッキ対策とメタゲームの「読み」について
紳さん:そのほかのデッキ対策はどうだったのでしょうか。
シゲキ:そうですね。スピードでなんとかなる場合が多いですが、コンボデッキは少し苦手ですかね。
シゲキ:ドゥームズデイに対しては《攪乱のフルート》をサイドインします。《暗黒の儀式》を指定すればしばらく大丈夫ですし、もし《最後の審判》をプレイされても《タッサの神託者》を指定して勝つルートがありますね。
シゲキ:ペインターに対しても《攪乱のフルート》をサイドインします。《丸砥石》《ゴブリンの溶接工》《ゴブリンの技師》などの起動型能力を止めるのが目的です。
シゲキ:《有翼の叡智、ナドゥ》系のデッキは多色なので《血染めの月》が刺さります。あとはマナクリを丁寧に焼けばスピードで勝てますね。
シゲキ:ちなみに《苛立たしいガラクタ》をメインから4枚採用していますが、赤単プリズンが負けやすい高速コンボに刺さるカードだからです。
紳さん:《虚空の杯》だった枠ですよね。
シゲキ:《意志の力》などピッチスペル全般を止めてくれるので、ザ・スパイや0マナファクトを多用するデッキに有効です。まぁ、《苛立たしいガラクタ》に《意志の力》を切らせて、本命の動きで勝つパターンが多いですかね。
シゲキ:ちなみに、一番不利なマッチアップはスニーク・ショーです。《血染めの月》が効きませんし、もともと赤単プリズンが苦手とするデッキなんですよね。ただ、メタゲーム的にそこまで多いデッキではないので、1度までなら踏んでも(大会であたっても)大丈夫と割り切りました。
紳さん:先日の大会では唯一の黒星をつけられた相手がスニーク・ショーでしたね。それ以外は全部勝って、見事に優勝!
シゲキ:ディミーアリアニメイトに3回、ペインターに2回、ナドゥに2回あたりました。エルドラージは決勝の1度だけでしたが、だいたい予想通りのメタゲームでしたね。
紳さん:さすがの読みです。有利なエルドラージと一度しかあたらずに優勝してますし、シゲキさんの赤単プリズンがかなり良い構築だったことが伺えます。
赤単プリズンを使って気がついたこと
紳さん:この赤単プリズンというデッキを使ってみて新しく気がついたことがあれば教えてください。
シゲキ:このデッキ、実際に使ってみると攻撃力の高さが想像を超えていました。
シゲキ:特に《舷側砲の砲撃手》の瞬間火力はイカれてますね。
紳さん:決勝でも、かなり不利な展開から《舷側砲の砲撃手》を2体並べて一瞬で逆転していましたね。
シゲキ:《舷側砲の砲撃手》自体も威迫を持っているので攻撃が通りやすいですし、2体で攻撃したときはブロックされた方を投げ飛ばすことが選べます。絆魂を持ったクリーチャーにブロックされても、それで乗り切れることが多いですね。
シゲキ:いざとなれば《変化の狂信者》や《偉大なる統一者、アトラクサ》は火力で倒す想定でしたが、盤面を完全に無視しながら顔面(プレイヤー本体)にすべて投げて勝つルートが多くてびっくりしました。
紳さん:もう、一気にライフを削ってしまうんですね。
シゲキ:ディミーアリアニメイトが《再活性》でライフを支払った返しで一気にライフを狙う、というのはよくありましたね。
紳さん:《舷側砲の砲撃手》と《パイロゴイフ》の火力を考えれば、納得です。
紳さん:それでは最後に、今回の赤単プリズンでMVPだったカードを発表してください。
シゲキ:まぁ、MVPは《一つの指輪》ですかね。
紳さん:なるほど。やはり指輪でしたか。
シゲキ:さすがにね。
優勝記念!「ポイント3倍」キャンペーン開催中!
記事を読んでいただき、ありがとうございました。
このたびはシゲキの優勝を記念し、本日10月23日(水)17:00~25日(金)23:59までの期間中「ポイント3倍」キャンペーンを実施いたします。
こちらのキャンペーンは通販にてお買い物をしていただいた方が対象となります。また店頭受け取りの場合でも、スムーズ店頭受け取り(事前決済)をご利用していただいた場合はポイントが3倍になりますので、ぜひご利用ください。トーナメントセンター東京の店頭でのお支払いは対象外となってしまいますのでご注意ください。