はじめに
みなさん、こんにちは。
来月には『MMM Finals 2024』『THE LAST SUN 2024』の開催も予定されているなど、大規模なモダンのイベントが充実しています。
今回の連載では、先週末にMOで開催された『Modern Showcase Challenge』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
『Modern Showcase Challenge』 -エネルギー一強環境-
開催日:2024年11月1日
優勝 Boros Energy
準優勝 Mono Black Necro
3位 Boros Energy
4位 Mardu Energy
5位 Boros Energy
6位 Boros Energy
7位 Ruby Storm
《悲嘆》と《有翼の叡智、ナドゥ》が禁止になって2か月以上が経ったモダンは、禁止改定前の環境から活躍していたBoros/Mardu Energyと、それらに相性がいいコンボデッキが中心のメタゲームとなっています。
先週末にMagic Onlineで開催された『Modern Showcase Challenge』のプレイオフも、半数以上がエネルギーデッキと現在の一強環境を証明する結果になりました。
Boros Energy
現環境トップメタのBoros Energyは、今大会でも最もポピュラーで高い勝率を維持していました。
Ruby Storm、Blue Belcherなどのコンボデッキとの相性は良くないですが、サイドボードの対策カードやハンデスにアクセスできるMarduバージョンにする選択肢もあります。
☆注目ポイント
モダンを普段から触っているプレイヤーにとっては《一つの指輪》の強さは説明不要だと思われますが、このカードがもたらすアドバンテージは従来のアドバンテージエンジンとは比べ物になりません。また、《火の怒りのタイタン、フレージ》でライフを回復できるのも嬉しいポイントです。
『ダスクモーン:戦慄の館』のカードも数種類見られます。ソーサリーでクリーチャー除去としては受けが狭い部類に入る《悪魔祓い》ですが、《一つの指輪》《静牢》《火の怒りのタイタン、フレージ》などを幅広く処理できるため、主にミラーマッチで有用な除去として機能します。
同じく新登場した《除霊用掃除機》は現在さまざまなデッキに採用されています。《大祖始の遺産》などと異なり、墓地の特定のカードを対象にできるため、リアニメイト系のデッキに有効な対策カードとして機能します。
《オアリムの詠唱》はStormやLiving Endなどコンボデッキとのマッチアップで有用な妨害として機能します。「キッカー」でプレイすることでクリーチャーによる攻撃を防ぐこともできるので、《裂け目の突破》対策にもなります。
Mono Black Necro
Mono Black Necroはプロツアー『モダンホライゾン3』でもプレイオフに2名の入賞者を出すなど、Nadu Comboの次に有力な選択肢とされていました。
除去やハンデスで妨害しつつ《ネクロドミナンス》や《一つの指輪》でカードアドバンテージを補充していき、最終的に《魂の撃ち込み》や《黙示録、シェオルドレッド》でゲームを決めるミッドレンジコンボになります。
《悲嘆》が退場したことで弱体化を強いられたデッキになりますが、《ネクロドミナンス》と《一つの指輪》が健在な限り、このデッキが環境から姿を消すことはなさそうです。
☆注目ポイント
《ネクロドミナンス》は『モダンホライゾン3』のカードの中でも、最も壊れたカードの1枚になります。大量に引いたカードを《不憫な悲哀の行進》や《魂の撃ち込み》といったピッチスペルのコストに充てていき、失ったライフを補充しつつさらにアドバンテージを稼ぐことができます。
これらのピッチスペルを安定してプレイするために、《アガディームの覚醒》《不敬者破り》《ボガートの獲物さらい》といった黒いカードとしてカウントできる両面カードも多数採用されています。
《ボガートの獲物さらい》はメインから採用できる墓地対策として、複数のコンボデッキに対して使えます。《不敬者破り》も効率面では劣りますが、クリーチャー除去としても機能する土地というフレキシブルさが魅力です。
サイドの《氷砕き》は、主にエルドラージとのマッチアップで刺さります。黒単なので色拘束も気にならず、2マナと軽いため後手でも使いやすい土地破壊になります。《外科的摘出》はリアニメイト系のコンボだけでなく、《火の怒りのタイタン、フレージ》対策としても有用です。
Jeskai Control
『モダンホライゾン3』の新カードによって大幅に強化されたJeskai Control。
《否定の力》《緻密》《孤独》などの0マナでプレイできるスペルや、《力線の束縛》など効率的な除去でゲームをコントロールします。《一つの指輪》でアドバンテージを稼ぎ、最終的に《火の怒りのタイタン、フレージ》を「脱出」させてゲームを終わらせます。
☆注目ポイント
Boros Energy、Ruby Stormなど2マナの脅威が散見される現環境では、《呪文嵌め》は優秀なカウンターになります。《一つの指輪》をわずか1マナでカウンターでき、妨害できる範囲が広い《記憶への放逐》もメインからの採用になっています。
除去兼ダメージ源である《火の怒りのタイタン、フレージ》は、このデッキのキーカードになります。ライフゲインもできるので《一つの指輪》とも相性が良く、フェッチランド・軽い除去・カウンターを多用するので「脱出」させることも容易です。
『モダンホライゾン3』リリース後は《空の怒り》などエネルギースペルを採用した形が主流でしたが、今大会で入賞したリストはエネルギー関連のカードが不採用になっています。スイーパーに《至高の評決》が採用されているなど、『モダンホライゾン3』前のコントロールに近い構成になっています。
メインからフル搭載された《力線の束縛》と《虹色の終焉》のおかげで、多色デッキの弱点である《血染めの月》の処理もしやすくなっています。Boros Energyに対して、大きな隙を作らずに盤面を更地にできる《紅蓮地獄》もサイドに4枚採用されているなど、対策が徹底されています。
Ruby Storm
妨害が少ないBoros Energyに強いコンボデッキであるRuby Stormは、現環境で有力な選択肢になります。
赤いスペルのコストを軽減する《ルビーの大メダル》や《モンスーンの魔道士、ラル》を利用し、マナ加速や手札補充スペルを連打して「ストーム」カウントを稼ぎます。その後《炎の中の過去》で墓地のスペルを再利用し、最終的に《願い》から《ぶどう弾》をサーチしてゲームを決めるデッキです。
コンボスピードも速く、安定して3ターン目にはゲームに勝つことができるデッキですが、現環境では《ドラニスの判事》や《減衰球》など対策カードが複数存在するため意識されると厳しく、徹底的にマークされていたプロツアー『モダンホライゾン』では活躍できませんでした。
☆注目ポイント
《モンスーンの魔道士、ラル》はコストを軽減させる役であると同時に、このデッキのエンジンでもあります。ソーサリーやインスタントを6回プレイしたあとに変身させることで、即座に[-8]能力を起動することができます。《ラル》を高い忠誠値の状態で変身させるのも、メインのプランのひとつです。
《炎の中の過去》はストームの古典的なエンジンです。墓地に落ちた「儀式」スペルやドロースペルでマナとカードアドバンテージを稼ぎ、《願い》からの勝ち手段への繋ぎを円滑にします。
勝ち手段以外で《願い》でよくサーチするカードの1枚として、ドロースペルの《電位式リレー》が挙げられます。カウンターの多いコントロールに対して有効で、4枚以上のスペルがめくれれば次のターンにゲームに勝つことも容易です。
総括
『Modern Showcase Challenge』では、エネルギーがBorosとMarduを合わせて全体で30%以上の勝率を出しており、プレイオフにも5名&優勝もBoros Energyと、現在のモダンはエネルギー一強の環境とみて間違いないでしょう。
エネルギーの次に高い勝率だったのがBlue Belcherで、Ruby Stormなどエネルギーに強いコンボデッキは現環境で良チョイスになります。
12月に予定されている禁止改定で何か変更があるとしたら、現環境を支配しているエネルギーや以前から問題視されていた《一つの指輪》あたりになることが予想されます。
USA Modern Express vol. 123は以上になります、それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!