はじめに
お疲れ様です。てんさいチンパンジー(@tensai_manohito)です。
少し遅くなりましたが、『プレイヤーズコンベンション静岡』に参加されたみなさんはお疲れ様でした。
私は初日の『チャンピオンズカップファイナル』に参加して惨敗、2日目は『モダンオープン』に参加して惨敗。結果は奮わなかったものの、2日間通してどっぷりリアルマジックに浸れて最高に楽しめました。
現在は11月頭から始まる『チャンピオンズカップファイナル シーズン3 ラウンド2』のエリア予選に向けて準備中です(※抜けました)。さらには、来年の『チャンピオンズカップ シーズン4(仮)』でもモダンシーズンがあるとのこと。戦いは終わらない…!!
ということで今回は、モダンのエルドラージについて語ります。
エルドラージ系のデッキについて
エルドラージ系のデッキは大きく分けて3タイプ存在します。それぞれ「大型のエルドラージ・クリーチャーを戦場に出す」という目的は共通していますが、その方法や足回りに違いがあります。
エルドラージトロン
昔から存在するデッキタイプ。《ウルザの塔》《ウルザの魔力炉》《ウルザの鉱山》の通称ウルザ・ランドから大量のマナを用意し、そこからエルドラージ・クリーチャーや各種強力な大型の無色カードを唱えて戦います。
メイン戦では強力な反面、対策カードが多くサイド後は弱くなりがち。《減衰球》《氷砕き》《血染めの月》《黒曜石の焦がし口》などの対策が気持ちよく刺さります。
エルドラージブリーチ
《裂け目の突破》を採用して大型エルドラージを投げつけるタイプ。エルドラージトロンと異なり、一撃必殺のコンボ要素を擁しています。
特に《一つの指輪》に強いのが魅力的。対戦相手にプロテクションが付いていようが、「滅殺」して戦場のパーマネントを一掃すれば関係なし!
ただ、絵合わせ的な要素も大きく、事故による自爆はほかのタイプに比べると多め。《減衰球》のようなメジャーな対策には強い反面、《ぐるぐる》や《絶望の力》など予想外のカードが刺さります。
エルドラージランプ
普通にマナ加速するタイプ。《衝動のタリスマン》や《楽園の拡散》などで地道に使えるマナを増やして戦います。威力は据え置きで速度も遅め。
あまりメリットらしいメリットがないですが、逆にデメリットらしいデメリットもありません。故に対策が効きづらく、ほかのタイプでは有効な《減衰球》《氷砕き》《血染めの月》《黒曜石の焦がし口》のどれもがそこまでクリティカルではないのが特徴です。
恐ろしいほどに“地味”なエルドラージランプですが、意外にもエルドラージ系デッキの中では一番人気のタイプです。ほかのタイプに比べると威力はひかえめかもしれませんが、それでも通常のミッドレンジを粉々するくらいの威力はあります。
最近の赤いデッキがサイドに《黒曜石の焦がし口》《血染めの月》のどちらも入れていないということは稀なので、そういった事情も含めて、安定感のあるエルドラージランプに人気が集まっているのでしょう。
今回はそんな”地味”な「エルドラージランプ」の解説になります。
サンプルリスト
採用カード:メインボード
《森》《商業地区》
《楽園の拡散》に対応した土地。フェッチランドも含めると合計で13枚です。《楽園の拡散》は《森》以外に貼ると《血染めの月》《海の先駆け》《廃墟の地》などで剥がれてしまうので、可能なら《森》に貼りたいところ。そのため、《踏み鳴らされる地》は不採用。赤マナは《楽園の拡散》や《衝動のタリスマン》で十分用意できると判断しています。
《商業地区》はフェッチランドからのオプションとして採用していますが、《踏み鳴らされる地》と同様に《楽園の拡散》は可能な限り貼らないようにしましょう。
《エルドラージの寺院》《ウギンの迷宮》
モダンで許された2マナランドたち。2マナが出るということは、2マナが出るということです。セットランドだけでマナ加速しているようなもので、これらを強く使えるのがエルドラージ系デッキのメリットです。特に専用土地である《エルドラージの寺院》は、マナの使い道に制限こそあれどノーデメリット。ハッキリ言って壊れています。
《魂の洞窟》
《まき散らす菌糸生物》からのサーチ先。対コントロールを一発で機能不全にする威力があります。無色マナが出るので普通使いもできて無駄がありません。1枚採用するメリットは非常に大きいです。
《まき散らす菌糸生物》
サイズは並。効果も並。しかし、想定より1ターン早く出てきたら流石に強い。エルドラージはそういったクリーチャーが多いですし、それを可能にするのが《エルドラージの寺院》の存在です。そして、それをサーチするのがこの《まき散らす菌糸生物》です。
最速2ターン目にマナ加速、3ターン目には「キッカー」で土地破壊も可能。エルドラージランプはマナ加速&デカブツの準備で大量にリソースを使うので、リソース損なく土地を伸ばせるクリーチャーは嬉しいです。
《世界を壊すもの》
平成のスペック。ですが、「想定より1ターン早く出てきたら流石に強い」というのがエルドラージの共通文言になります。《まき散らす菌糸生物》とともに先手のマウントモンスター。酷いときは相手の土地が2枚から増えません。《コジレックの帰還》《ウギンの迷宮》に対応しているクリーチャーの中では使いやすい部類なので、優先して採用しています。
《運命を貪るもの》
《むかしむかし》のような何か。当然ながら初手にあると嬉しい。《ウギンの迷宮》のお友達。ただ、複数枚引いても効果が薄いので、必ずしも4枚必須というわけではありません。追放する対象のないミラーマッチなどではサイド後に減らすのも視野です。手出ししてもまあまあ強力で、意外にも《火の怒りのタイタン、フレージ》を綺麗に処理できるカードがこれくらいしかありません。
《約束された終末、エムラクール》
「唱えたら勝ち」を体現する大型エルドラージ。今回のリストでは大体8~9マナで唱えることが多いです。対戦相手をコントロールするという特殊な行動を取るため、普段とは異なるプレイが求められます。詳細は後述します。
《楽園の拡散》《衝動のタリスマン》《邪悪鳴らし》
序盤のマナ加速たち。この辺りがキープ基準になります。
《楽園の拡散》は使えるデッキこそ限られていますが、明らかに現代では許されないスペックのマナ加速。初手にあるとロケットスタート。後手の場合は《運命を貪るもの》でライブラリーの上に固定することも多いです。
《衝動のタリスマン》は無色マナと色マナを同時に供給します。つまりエルドラージ版トライオームです(?)《海の先駆け》や《血染めの月》などの対策の上からも動けるようになるため、特にサイド後は頼りになります。
《邪悪鳴らし》は手札を減らさずに落とし子・トークンを生成&墓地を肥やします。墓地を肥やすことで《約束された終末、エムラクール》のコストが下がる=実質のマナ加速だったり、《世界を壊すもの》《コジレックの帰還》を疑似的にサーチしたりと、器用なリソースの稼ぎ方をします。
逆に言うとそのあたりに寄与しない場合、2マナで唱えて落とし子・トークンが出てくるだけの、なんだかよく分からない呪文になってしまいます。そのため、序盤で唱えたいマナ加速の中では一番優先度が低いです。
《コジレックの命令》
除去・ドロー・マナ加速・墓地対策と欲しい要素がすべて詰まっています。しかも、「同族」呪文なので《エルドラージの寺院》に対応しています。そのため、ゲーム序盤から想定より大きなXの値で唱えることが可能です。
また、同族というカードタイプのおかげで、《約束された終末、エムラクール》のカウントにもなります。至れり尽くせりとはこのこと。常に引きたいですし、サイド後も減らすことはありません。
《コジレックの帰還》
3マナのインスタントで2点オール。通称”平成”のカード。手札から唱えるとまあこんなもんかという感じですが、真の強さは墓地から追放したとき。
《世界を壊すもの》《運命を貪るもの》で置き物を破壊しつつ、《コジレックの帰還》でクリーチャーを一掃というのがエルドラージランプの黄金ムーブになります。5点オールが5マナ相当なので、それにパーマネント除去+7マナ相当のサイズのクリーチャーが付いてきたら、並のデッキは耐えられません。つまり勝ちです。
採用カード:サイドボード
《高山の月》
対ミラーなど、土地コンボ系にサイドインします。この手のシリーズにはめずらしく、自身には影響がありません。この枠には《石の雨》が採用されることが多いですが、《邪悪鳴らし》で拾える点や軽さを考慮し《高山の月》を優先しています。
《魂なき看守》
対ストーム、エスパー御霊など。《邪悪鳴らし》で手札に入るパーマネントでの対策カードを優先しています。
《自然の要求》
普通の置き物破壊です。ライフを削って勝つことは稀なので、デメリット部分はほとんど関係ありません。自身の《一つの指輪》を対象にとって回復もできます。
《コジレックの帰還》
追加の全体除去。対ボロスエネルギーなどのクリーチャーデッキに追加します。見たまんまです。
《宝石の洞窟》
エルドラージランプは急にマナが増えるようなことはなく、1ターンに1~2マナが見た目通りにしか増えません。なので、先手と後手の差が激しく、後手で間に合わないということもしばしばあります。というわけで、その先手/後手を逆転させる用です。後手の場合にサイドインします。特に速度勝負となる対アグロなどでは重要になります。
《除霊用掃除機》
墓地対策枠。対エスパー御霊など。土地が伸びやすく6マナ起動も現実的なため、ほかのデッキより強く使えます。
プレイアドバイス&TIPS
本項では、エルドラージランプを使うにあたってのプレイアドバイスやTIPSについてを紹介・解説します。
《約束された終末、エムラクール》を使いこなせ!
《約束された終末、エムラクール》は対戦相手のコントロールを得られるため、普段と違ったプレイが求められます。いかに効率”悪く”、いかに”自分”を不利にするかという、本来とは真逆の行動を取る必要があります。そのため、どのカードが自分を対象に取れるかを知っておくとスムーズです。
いくつか例を挙げますので、最低でもこの辺りは覚えておきましょう。
例1. エネルギー系(ボロス、マルドゥ)
意外と自爆させるのが難しいです。特に戦場に大量にクリーチャーが並んでいる場合、自爆させきれず追加ターンで敗北してしまうこともしばしばあります。
《火の怒りのタイタン、フレージ》は対象に3点ダメージ+自身が3点回復なので、自分(相手)に撃ち込んでも差し引きで0点になるので注意。ライフを削るという観点ではプレイしても意味がありません。自身のクリーチャーを焼くのであれば、その限りではないですが。
《ナカティルの報復者、アジャニ》は[+0]能力が好きな対象にダメージなので、《オセロットの群れ》で戦場が広がってる場合などは自爆が可能です。そうでなくとも、最低でもプレイヤー自身のライフやアジャニ自身の忠誠度を減らすことは可能です。[-4]能力は自分自身を対象に取れない(対象の対戦相手のみ)ため、使うことはないでしょう。
《栄光の闘技場》は「督励」しておくと次のターンにアンタップしなくなります。またフェッチランドから諜報ランドを持ってきて、次のターンのトップを操作することも可能です。これはほとんどのデッキで有効なテクニックです。諜報ランドがない場合は、そのまま土地を探さない or ショックランドをショックインして自爆させましょう。
《静牢》はエネルギーを支払わないことを選べばパーマネントを取り戻せます。《電気放出》はすべてのエネルギーを一発で吐き出せられます。
例2. ディミーアマークタイド
《超能力蛙》がいると非常に簡単です。《超能力蛙》を殴らせて、手札をすべて捨ててパンプ&墓地をすべて追放し、適当に飛行をつけた状態で《約束された終末、エムラクール》に激突させれば、一気にリソースを枯らすことができます。
また手札に《毒の濁流》があれば、自身のライフをある分一気に払わせることで瞬殺も可能です。
こちら(=エムラクールを唱えたプレイヤー)に起動していない《一つの指輪》が戦場にある場合、《オークの弓使い》を戦場に出して《一つの指輪》を起動→《オークの弓使い》を誤射(…)させて、自身にダメージを与えることも可能です。《大魔導師の魔除け》のドローモードは対象を取るので、こちら(=エムラクールを唱えたプレイヤー)に向けて唱えてカードを引かせたりも可能です。
《定業》でトップ操作して土地を積んでおけば、次のターンも何もできなくなって詰ませられます。
例3. ルビーストーム
このデッキに関しては普通にプレイしましょう。対戦相手をコントロールして対戦相手のデッキのやりたいことをやります。そして最後に《ぶどう弾》などのフィニッシュ手段を自身向けて唱えて自爆すれば完璧です。
ただ、《願い》で対戦相手のサイドボードを見ることができないため(※)、サイドボードにしか《ぶどう弾》がない場合はこの方法は取れません。その場合はライブラリーを掘り切るように進めて、最後にライブラリーを0枚の状態にしてターンを終了すれば、追加ターンでカードが引けずに敗北します。
ライブラリー内の儀式系呪文をすべて使い切って、《炎の中の過去》で墓地のカードもすべて追放させてしまえば、それはそれで勝ち手段を失って実質勝ちです。なのでエルドラージを使う人はストームを回せるようになっておきましょう(?)
(※《願い》でサイドを見れないのは以下のルールのためです)
『異界月』 リリースノートより引用
・プレイヤーをコントロールしていても、そのプレイヤーのサイドボードを見ることはできない。何らかの効果がそのプレイヤーにゲームの外部にあるカードを選ぶように指示したとしても、あなたは、そのプレイヤーにカードを選ばせることはできない。これは以前のルールからの変更点である。
例4. ジェスカイコントロール
能動的に唱えられるカードが少ないので、自爆にはコツがいります。戦場に《一つの指輪》がある場合、アップキープに起動しておくと自爆ダメージが1点増えます。《水辺の学舎、水面院》などを駆使して指輪を起こして何度も引いて手札を溢れさせ、相手のクリンナップ・ステップで手札に土地を7枚残して呪文をすべて捨てさせるのが有効です。
《対抗呪文》がある場合は、手札のカードを唱える→自分で打ち消すでも手札の呪文を減らせるので、どちらが有効かは戦場や手札次第で判断しましょう。
例5. 黒単ネクロ
《ネクロドミナンス》が手札にあるか戦場にあればその場で終わりです。ライフ分のカードを引いて自爆して即勝ちです。
それらがない場合は、適当に両面土地を3点払ってアンタップインさせたり、《不憫な悲哀の行進》や《魂の撃ち込み》で手札の呪文をすべて追放して適当な対象に撃つなどでも簡単に手札とライフと戦場を壊せます。手札破壊を自身に向けて撃ってもいいです。とにかく自爆させる方法が豊富なので、《約束された終末、エムラクール》が通ればほぼ勝ちです。
例6. エルドラージ系
墓地に《世界を壊すもの》がある場合、墓地から手札に戻す効果を解決前に何度も起動することで、3マナにつきセルフで土地破壊することが可能です。土地を削っておけば、追加ターンで相手のやることはなくなるでしょう。
《一つの指輪》に関するテクニックはジェスカイコントロールと同じです。アップキープでの起動や大量ドロー→手札に土地を残してディスカードなどは同じく有効です。
《衝動のタリスマン》や《カープルーザンの森》、各種フェッチランドで自爆ダメージを稼げるので、特に理由がなければダメージを稼いでおきましょう。
《ウギンの迷宮》に「刻印」されているカードを手札に戻しても1枚分の土地破壊として使えます。《まき散らす菌糸生物》は自身の土地も破壊可能です。土地を探すのは任意(見つからないことを選べる)ので、「キッカー」して土地を探さずに自身の土地破壊だけを選びましょう。《世界を壊すもの》も自身の土地を対象に取れます。
とにかく土地を割っておけば、手札をいくら持ってても使いきれないので、これを積極的に狙います。
無色ランドは後ろにずらせ!
《エルドラージの寺院》《ウギンの迷宮》はサイド後は序盤に置かないほうがいいです。特に赤いデッキとの対戦では要注意です。
《ウギンの迷宮》に「刻印」した状態で《黒曜石の焦がし口》《氷砕き》《血染めの月》で対処されると、大きくアドバンテージを損します。可能な限り遅らせて、重いカードを唱えるタイミングで置くことを意識しましょう。
仮に《ウギンの迷宮》を置く場合も、刻印しない、破壊などに対応して刻印したカードを手札に戻せるようにアンタップ状態を維持するなど気をつけてプレイすることを心掛けてください。
《まき散らす菌糸生物》《ウギンの迷宮》
マナが十分に出ている場合、《ウギンの迷宮》を持ってきて、次のターンに唱えたい大型クリーチャーを「刻印」して隠すことが可能です。こうすることで、相手の大型クリーチャーを手札破壊から守れます。黒いデッキには有効なテクニックです。
《コジレックの帰還》
墓地から追放する効果は唱えていないので、打ち消すには誘発を無効にする必要があります。また、追放する=5点オールを飛ばすかどうかは解決時に決定します。誘発した時点で決める必要はありません。
欠色のカードなので《古きものの活性》で手札に加えられます。また、プロテクション(赤)も効きません。欠色は無色ということです(?)
《コジレックの命令》
占術ドロー&トークン生成はプレイヤーを対象に取り、クリーチャー追放&墓地追放はプレイヤーを対象に取りません。そのため、《一つの指輪》でプロテクションを得ているプレイヤーに向けて対象を取るモード=占術ドロー&トークン生成を選ぶことができません。自分が《一つの指輪》を唱えた際には注意してください。
また、占術ドローは相手プレイヤーを対象に取ることも可能です。相手のライブラリーが0枚の状態で《タッサの神託者》を唱えてきたとき、対戦相手を対象にドローさせることでライブラリーアウトさせることも可能です。
《楽園の拡散》
今回、紹介するリストでは緑/赤以外は使わないですが、適当な色を指定することも可能です。エルドラージランプには青をタッチしたバージョンも存在するので、色に余裕がある場合は青を指定することで相手に警戒させられます。
《エルドラージの寺院》
クリーチャーの起動型能力のコストにもあてることができますが、今回のリストで影響するカードはありません。
勘違いしがちですが、墓地に存在する《世界を壊すもの》の起動型能力の支払いには使えません。墓地に存在する《世界を壊すもの》は、エルドラージ・クリーチャーの起動型能力ではないためです。
総合ルール 109.オブジェクトより引用
109.2. 呪文や能力が「カード/card」「呪文/spell」「発生源/source」「計略/Scheme」という単語なしで、特定の領域を指定せずに、カード・タイプやサブタイプを用いてオブジェクトを表現している場合、戦場にありそのカード・タイプやサブタイプであるパーマネントのことを意味する。
マリガン判断
本項ではマリガン判断について解説します。エルドラージランプはキープ/マリガンが非常に分かりやすいデッキです。十分な土地枚数があり、足回りがしっかりしていればキープ。そうでなければマリガンです。
キープ例①
2ターン目に《一つの指輪》《まき散らす菌糸生物》が唱えられる組み合わせはすべてキープです。《ウギンの迷宮》(「刻印」可能)+《衝動のタリスマン》+適当な土地+4マナ、のような組み合わせも同様にキープです。
キープ例②
土地とマナ加速のみの手札でもキープします。序盤にマナ加速さえ終えてしまえば、あとは無限の受け入れがあります。重いカードを引くことを祈りましょう。7マナ以上の重量級エルドラージと《一つの指輪》が大当たりですが、《まき散らす菌糸生物》《邪悪鳴らし》あたりも中当たりくらいはあるので、トップ勝負になった際には意外と分のいい勝負であることが多いです。
マリガン例①
マナ加速のみの手札は重い部分をすべて受け入れられますが、その逆は受け入れられません。最初の1-2ターン以内のマナ加速しか受け入れられないため、素直にマリガンしましょう。
マリガン例②
無色ランド+《楽園の拡散》や、「刻印」できない《ウギンの迷宮》など、チグハグな初手もよく配られます。「あと××さえ引けば……」という手札は基本的に罠です。少なくとも1回はマリガンしたほうが無難です。
マッチアップガイド&サイドボーディング
本項では、マッチアップごとに簡単な戦い方とサイドボーディングについて解説します。
ボロスエネルギー
vs. ボロスエネルギー
(※後手のときは《魂の洞窟》を抜いて《宝石の洞窟》を入れます)
理屈上は有利です。《コジレックの帰還》《コジレックの命令》《一つの指輪》で時間を稼ぎ、《運命を貪るもの》《世界を壊すもの》で《ゴブリンの砲撃》を処理しつつ《コジレックの帰還》の5点オールで戦場を一掃するのが理想的な展開です。
ただ、実際にはボロスエネルギーの攻めが激しすぎて、除去が間に合わないケースも多々発生します。特定カードに依存した有利であり、圧倒的にエルドラージが有利!というほどではないです。なので、相手の相棒に《湧き出る源、ジェガンサ》が公開された場合は、2ターン目に4マナが出るロケットスタート、もしくは《コジレックの帰還》などの除去でキープするようにしましょう。
サイド後は土地ハメがキツくて……とならないのがエルドラージランプの良いところ。ボロスエネルギーのサイド後の妨害が《血染めの月》や《黒曜石の焦がし口》に寄ってるので、比較的ケアは簡単です。
①序盤に色マナ=《森》を用意する。
②無色マナを序盤に置かない。
この2点がすべての対策に一貫します。《楽園の拡散》や《衝動のタリスマン》でマナを伸ばしつつ、《コジレックの帰還》や《コジレックの命令》でゆるゆると除去して時間を稼ぎ、相手の対策を回避しながら戦いましょう。
マルドゥエネルギー
vs. マルドゥエネルギー
(※後手のときは《魂の洞窟》を抜いて《宝石の洞窟》を入れます)
ボロスエネルギーと似たような構成ですが、黒い要素がアンフェアデッキに有効なため、ボロスエネルギーよりも厳しい戦いになります。特に《思考囲い》は、序盤ならマナ加速を抜かれて実質土地破壊、中盤以降はフィニッシャーを抜かれるなど、こちらの戦略に”穴”を空けてきます。
なので、《ウギンの迷宮》に重いカードを隠しておくのが有効です。これで手札破壊からフィニッシャーを守ることができます。ほかにもさっさと手札を使い切って、トップ任せにしてしまうのも手です。
マルドゥエネルギーの場合、ボロスエネルギーと比べて《血染めの月》の採用率が低いですが、ゼロではありません。《黒曜石の焦がし口》は変わらず採用率が高いので、ケアできるのであればケアはしたいです。無策に突っ込むのだけはなしです。《陽背骨のオオヤマネコ》のパターンもあるため、《一つの指輪》で1ターン耐えようとするのは危険です。除去で耐えられるなら除去を優先しましょう。
ドメインズー
vs. ドメインズー
(※後手のときは《樹木茂る山麓》を抜いて《宝石の洞窟》を入れます)
《ギルドパクトの力線》状態の《ドラコの末裔》には直接は触る方法はありませんが、《コジレックの帰還》の5点オールで流したり、《運命を貪るもの》《世界を壊すもの》で《ギルドパクトの力線》を除去したり、《世界を壊すもの》《約束された終末、エムラクール》で止めたりと、対処方法は多いです。
そのため、長引けばまず負けることはありません。いかにして序盤の猛攻を凌ぐか、もしくは相手のクロックが並ぶスピード以上に、こちらがマナ加速から大型クリーチャーを並べるかの勝負になります。
サイド後は《自然の要求》が追加され、《ギルドパクトの力線》+《ドラコの末裔》にも多少なり耐性がつきます。ただ、相手側も《記憶への放逐》が追加され、かなりやりづらくなります。
《コジレックの帰還》は手撃ちで倒せるクリーチャーはほとんどいませんが、墓地からの追放で使う場合は圧倒的。一瞬で戦場が消し炭になります。《邪悪鳴らし》で直接墓地に送るのがベストですが、引いてしまった場合は対象がなくても適当に空撃ちして墓地に送っておいたほうが良いです。
ルビーストーム
vs. ルビーストーム
(※後手のときは《魂の洞窟》を抜いて《宝石の洞窟》を入れます)
メイン戦は必敗です。相手のコンボを眺めることしかできません。妨害手段がほぼないため、勝てるとしたら相手が事故った場合だけでしょう。
サイド後は《魂なき看守》で祈ります。先手の際はぎりぎり《邪悪鳴らし》で見つかれば間に合いますが、後手の際は直接引いてない限りは間に合わないので、初手になければほぼオートでマリガンです。こればかりは仕方ありません。コンボデッキに弱いというランプデッキの宿命を受け入れてください。
ジェスカイコントロール
vs. ジェスカイコントロール
かなり有利なマッチアップです。コントロールがエルドラージ系に取れるプランが「《記憶への放逐》を大量に採用する」という一点のみのため、それが絡まなかった場合は一方的なゲームになります。
エルドラージ・クリーチャーは各能力が唱えたときに誘発するため、単純に打ち消すだけでは解決になりません。《魂の洞窟》があれば、仮に《記憶への放逐》で誘発時の効果を打ち消されたとしても、本体が残ります。なので、《まき散らす菌糸生物》が通った際には真っ先に《魂の洞窟》をサーチします。
逆にジェスカイコントロール視点では《まき散らす菌糸生物》自体もマストカウンターになります。しかし、このレベルのクリーチャーにまで《記憶への放逐》のようなプレミアムな打ち消しを吐かされるとなると、当然打ち消しが足りません。この圧倒的なまでのマストカウンターの量が、エルドラージ系デッキがコントロールに対して有利とされる理由です。
サイド後は不要な《コジレックの帰還》がクリティカルな《夏の帳》に差し替わるので、よりやりやすくなります。相手が《力線の束縛》を採用しているタイプの場合は、《自然の要求》をサイドインするのも視野です。その場合は、大型クリーチャーかマナ加速部分を少し減らして差し替えてください。
ディミーアマークタイド
vs. ディミーアマークタイド
ジェスカイコントロール同様、コントロールは得意なマッチアップです。負けるパターンは《超能力蛙》から手札を一気に捨てつつ、《濁浪の執政》を巨大サイズで唱えられて一瞬で制圧されるか、《超能力蛙》で引き増した手札から、無限に《記憶への放逐》を撃たれ続けるか。この2パターンしかありません。いずれにせよ《超能力蛙》頼みであり、これが絡まないゲームは必勝レベルです。
メイン戦/サイド後問わず、《海の先駆け》に引っかからないように注意してください。《森》や《衝動のタリスマン》《楽園の拡散》などでマナベースを整えておくと安全ですし、余裕があるなら《ウギンの迷宮》にカードを「刻印」しないほうが無難です。《邪悪鳴らし》の落とし子・トークンも貴重な無色マナです。大事に使いましょう。
《コジレックの帰還》は《オークの弓使い》用にそのまま残します。墓地から追放した際のモードも、《超能力蛙》を吹き飛ばすくらいの威力はあります。これが平成のカードなのか……?
エルドラージ系(トロン・ブリーチ・ランプ)
vs. エルドラージ系
(※後手のときは《魂の洞窟》を抜いて《宝石の洞窟》を入れます)
圧倒的に先手ゲーです。《まき散らす菌糸生物》《世界を壊すもの》などの土地破壊のせいで、先に相手の土地を破壊し始めたほうが圧倒的に有利になり、そのマウントを取り返すことができません。《一つの指輪》などで延命しても、結局土地を破壊されてしまうと行動ができないので逆転の芽がないです。
序盤の土地伸ばしに失敗したら終わりなので、サイド後の妨害もそれに寄せています。《高山の月》で《エルドラージの寺院》《ウギンの迷宮》を指定すると、実質土地破壊のように使えますし、《自然の要求》も《楽園の拡散》や各種タリスマンを破壊すれば、実質土地破壊です。
どちらが先に《まき散らす菌糸生物》《世界を壊すもの》を唱えるかのゲームになるので、さらにその手前から妨害するのが有効、ということです。
エスパー御霊
vs. エスパー御霊
(※後手のときは適当な土地を抜いて《宝石の洞窟》を入れます)
メイン戦から《コジレックの命令》によって墓地対策は可能ではあるものの、相手の2マナ仕掛けに対して3マナ以上を起こし続けるのは非現実的なので、あまり有効ではありません。基本的には構えずにガンガン自分の動きを通していきましょう。
《御霊の復讐》で《偉大なる統一者、アトラクサ》を釣られたとしても、その場で負けが決まったわけではありません。クリーチャーのインパクトであれば、エルドラージのほうが圧倒的に上です。《約束された終末、エムラクール》が唱えられれば逆転の可能性があります。諦めずに戦いましょう。
サイド後は墓地対策が増えて多少は戦いやすくなります。とはいえ《魂なき看守》は《骨の皇帝》に突破されたりと完璧ではないので、過信は禁物です。あくまで対策カードは時間稼ぎ程度に考えて、本来のランプデッキとして勝つことを目指しましょう。
おわりに
エルドラージランプのデッキガイドは以上になります。エルドラージランプはエルドラージ系の中でもいろいろとマイルドで、複雑なプレイも少ないのでモダン入門には最適なデッキです(《約束された終末、エムラクール》関連だけ覚えることが多いですが……)。
デッキパワーも保証されており、現在最強と謳われているボロスエネルギーに対しても比較的有利なのがストロングポイントです。これを機にぜひ手に取ってみてください。このデッキガイドがそのきっかけになれば幸いです。
増田 勝仁(X)
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