はじめに
みなさん、こんにちは。元統率者神の吉田です。
今回は『ファウンデーションズ』の発売に先駆けてカードレビューを担当させていただきました。基礎的なセットということもあって効果はシンプルなカードが多め。『ジャンプスタート』のカードは統率者戦を意識しているのか、やや複雑な伝説のクリーチャーが多い印象を受けました。
また、《具眼の主、エレノラ卿》を代表とした日本人絵師による新規イラストもインパクトがありますね。新規カードではないのか…?
前回の記事以降、統率者戦にて4枚の禁止推奨カード発表、さらに新たに設立された「統率者戦フォーマット委員会/Commander Format Panel(CFP)」に日本人代表としていってつさんが就任されるなど激動の2ヵ月でした。今間違いなく一番アツイフォーマットであろう統率者戦で、使われそう・面白そうなカードは何なのか見ていきましょう。
カードレビュー
白
《継位兎》
制限なく好きな枚数入れられるクリーチャー。ハイランダーの統率者戦でも、もちろん何枚でも入れられます。
兎シナジーのある《腕利きの射手、フィニアス》、とにかく数が必要な《宴の結節点、ジェトミア》で使われそうです。《刈り手、ベイレン》では3体トークン生成できるだけで、《雲石の工芸品》で無限マナ、無限ドローができます。《波止場の恐喝者》?そんな奴はもういない!
まとめてブリンクできると効率よくトークン生成できるので、《ゴライオンの養子、アブデル・エイドリアン》《永遠王、ブレイゴ》で使っても面白そうですね。パワー2なので《世慣れた見張り、デルニー》と相性がよく、「いろいろな呪文を使えるのが楽しい!」という統率者戦の醍醐味をかなぐり捨てた《継位兎》79枚、《平地》20枚デッキを組むことも可能です!
《アジャニの群れ仲間、カラ》
『ジャンプスタート』より。《幽霊議員カルロフ》と同様の強化条件ですが、こちらは自身の強化効率が落ちた代わりにまわりを強化します。
《魂の導き手》《魂の管理人》などの小粒のクリーチャーたちが猛烈な打点になるのは強力。白にしてはめずらしくタフネスは上がらないので、攻撃先には気をつけたいですね。自分だけじゃ回復が足りなければ、《ゴーレムの心臓》で相手にも回復させてもらいましょう。
ライフ回復が多くなるので《運命の天使》《霊気貯蔵器》による一撃必殺も狙えそうです。また、全体強化は+1/+1カウンターに限らずすべてのカウンターを参照するので、《臨機応変な防御》で《暗黒の深部》から氷カウンター10個輸入!《永遠の器》から蓄積カウンター40個輸入!なんて大雑把なこともできます。
《光の模範》
毎ターン1回だけですが、ライフゲインするだけでドローできる便利なクリーチャー。単体では何もしないのでぜひ統率者と絡めたいところ。ライフゲインしなくても直接+1/+1カウンターを置いてもいいので《バンブルフラワー夫人》《大衆扇動者、ブリーナ》《野生の意志、マラス》あたりで各ターンのドローを狙いたいですね。
青
《抜け目ない潜り手、ニアディヴ》
『ジャンプスタート』より。墓地から唱えるか能力を起動するたびにドローと強化ができる統率者。
自身をタップ&アンタップができる《統制のオーラ》で墓地を肥やし、《ジャック・オー・ランタン》や《ターディス発進》などでドローを重ねていくことになりそうです。
《溺神の信奉者、リーア》や《ウォーターディープの多芸多才、ゲイル》に繋いで大量ドローをし、最終的に《アガサの魂の大釜》に《アフェットの錬金術師》を放り込めば自身を無限タップアンタップでき、無限切削で勝てるでしょう。同じマーフォークの《湖に潜む者、エムリー》とも相性がいいです。
色は異なりますが、《六番》《収納室/忘れられた地下室》《死の国からの脱出》からの大量ドローもいいですね。
《ルーンの大魔導師》
《大魔導師の名誉教授》のようなドローができるクリーチャー。あちらと違って《狼狽の嵐》で大量ドローはできませんが、1マナ軽くなるので《見えざる糸》のようなアンタップ呪文でマナ加速できるのが強み。3/6と滅茶苦茶硬いのもシステム系クリーチャーとしてはありがたいですね。
《イズマグナスのミジックス》では《ふにゃふにゃ》を連打しつつ大量ドロー!なんて活躍もできるかもしれません。《大渦を操る者、イドリス》でも捲れ次第では10枚以上引けるでしょう。
《ハイフェイのトリックスター》
《予期の力線》内蔵クリーチャー。今までも《渓間の洪水呼び》や《蜃気楼のマイア》などがいましたが、対象に制限があり《ネクロポーテンス》と組み合わせるのが一番実用的でした。
今回は4マナと重いのでその使い方は難しくなりましたが、コストを軽減できる《精霊の魂、アニマー》、各ターンになんでもいいから呪文を唱えたい《ウーナのトリックスター、ニムリス》などでは強く使えそうです。《召喚の調べ》からのインスタントウィンも狙えるため、これからは最後まで気を抜けないゲームになりそうです。
黒
《冒涜的布告》
各プレイヤーがだいたい3体ずつコントロールしていれば、わずか1マナで唱えられる全除去。合計13体ではなく各プレイヤーが13体ずつ生け贄なので、まず確実に全滅するでしょう。中盤で睨み合いになったときは便利そうです。別に13体いなくても5マナなら許容範囲の重さ。
生け贄に反応して強化する《クロールの死の僧侶、マジレク》では非常にたくさん誘発するでしょう。こっちのクリーチャーも全滅していますが、誘発解決前に《変わり谷》起動や瞬速持ち、緑フェッチから《ドライアドの東屋》を出せれば、ガラ空きの盤面をデカつよクリーチャーたちが蹂躙!
一部ではありますが、《コスモスの門徒、アレクシオス》《突撃鎧》《打ち砕かれた者、ジョン・イレニカス》など相手に送りつけるカードは、生け贄に捧げられない能力を持つので回避できます。なかなかオタクポイント高いので覚えておきましょう。
《のたくる幼虫》
書いてあることがあまりにも地味…!なんですが、2マナで3体分のクリーチャーを確保できるのは黒では唯一無二。《スランの医師、ヨーグモス》《頭蓋骨絞め》で大量ドローしたり、《地下牢の管理人、グレンゾ》《テイサ・カルロフ》で《アシュノッドの供犠台》とセットで使って展開したりとデッキの潤滑油として良い仕事をしてくれます。
《絞り取る徴税人、レヴ》
『ジャンプスタート』より。《敏捷なこそ泥、ラガバン》《顔壊しのプロ》のような能力を持つクリーチャー。プレイヤー3人にダメージを与えれば3回誘発します。しかも永続的に置いておけるので、打ち消し呪文が捲れても安心。裏向きなのでコンボパーツを奪っても気づかれないのが強みです。
相手のカードや追放領域のカードを唱えやすくする《抜け目ない取得者、ゴンティ》《反逆者、ドン・アンドレ》《秘本に縛られし者、プロスパー》でなら、テンポよく相手のカードを使い切れるでしょう。しれっと付与する接死のおかげで《疫病をもたらす者、ケルシン》や黒と組んだ《Lucas, the Sharpshooter》で接死ビームも撃てます。
レヴ自身を統率者とする場合には、追放領域が実質第2の手札になることを活かして《精神を刻むもの》や《底なしの奈落》《死の雲》で手札を吹き飛ばして相手のカードで戦っていくのも面白そうです。
赤
《次元の先駆者、ケラン》
ケランの旅の軌跡が集約された1枚。統率者として使うと3ターン目には3/2二段攻撃、衝動ドロー2回になるので安定しそうです。
一度上の能力を解決するとスカウトでなくなるので二度と起動できませんが、《ルーン刻みの鍾乳石》《鏡の精体》でスカウトのクリーチャータイプを付与すれば再度起動でき、衝動ドローの能力が重複していきます。
ケランを《アガサの魂の大釜》で煮込めば、そのへんのスカウトや探偵を3/2二段攻撃まで成長させることも可能。まだあまり実用的ではないですが、今後赤いスカウト・クリーチャーが増えたとき用に覚えておきましょう。
《電気複製》
《二重詠唱の魔道士》との組み合わせでお馴染みの《熱の陽炎》の調整版。「フラッシュバック」が比較的軽いので《原初の征服者、エターリ》で捲ったあとマナ加速してもう1回!という動きもできそうです。
トークンは伝説ルールで即死亡するので《万物の父、ハーヴィ》《蒐集家、ザンダー卿》のような死亡時に誘発する統率者でもアリ。「フラッシュバック」がついているので《ドルイドの誓い》でまとめて落として戦場に出た《太陽のタイタン》のようなクリーチャーをコピーする、なんてコンボパーツとしても使えそうです。
《電光の姫将軍、クレート》
『ジャンプスタート』より。《鍛冶の神、パーフォロス》のようなダメージ能力を持つクリーチャー。パーフォロスよりもダメージが少ないので《囚われの黒幕、オブ・ニクシリス》《ケラーモーフ、ギルソン・スターン》では逆に強いという謎現象が起きるのが統率者戦です。
再録された《群衆の親分、クレンコ》とも相性抜群!《スカークの探鉱者》と《稲妻のすね当て》で統率者クレンコを出し続けて焼き切ることも可能ですが、クレンコ算は少し複雑なのであらかじめ計算した上で使うようにしましょう。
緑
《エルフの大ドルイド、ダイオヌス》
『ジャンプスタート』より。エルフ統率者において非常に強力。《養育者、マーウィン》では自身のサイズも強化されるので噛み合っています。
また《有翼の叡智、ナドゥ》と同様、これ自身が一度戦場を離れて出し直せば使用回数がリセットされるので《ティムールの剣歯虎》《祝福されたエミエル》がいれば無限マナ、無限パワーも狙えます。再録された《エルフの刃、ラスリル》では全員20点のライフロスが飛んでくる事態に!《有翼の叡智、ナドゥ》と異なり、能力は自分のターンにしか誘発しないので注意しましょう。
《非常識な図体》
あまりにも適当……大雑把な全体修整が入るカード。通常の構築では明らかにオーバーキルですが、トランプルは付与されないので統率者戦ならちょうどいいくらい……本当?
警戒が付与されるため戦闘後に起動型能力が使える《エルフの刃、ラスリル》や、尋常でない数の苗木・蛇を生成できる《芽生えの王、シュルーファス》《のたうつ嵐、ザイリス》、統率者ダメージで一撃必殺しつつトークンを生成できる《ガルタとマーブレン》、勝手に極限バトルを始める《全てを喰らうグロサーマ》では強いのではないでしょうか。まあ適当なカードなんで、適当にマナ加速して適当に唱えるくらいでいいと思います。
《溌剌とした探検家、おたから》
《迷える探求者、梓》のような能力を持つ統率者。速度は落ちますが、起動型能力のおかげで暇になることはないでしょう。この手のシステムクリーチャーにしては、タフネスが4もあるのが嬉しいですね。
《ホーントウッドの大主》や《ウッド・エルフ》のようなクリーチャーで土地を増やし、《種子生まれの詩神》《大蛇の守護神》で各ターンガチャをしていきましょう。もちろん《迷える探求者、梓》同様、《ラムナプの採掘者》からの《露天鉱床》ハメも強力。幼いころからガチャや土地ハメ教育を施されるおたから君の将来が心配です。
多色・無色
《先見者、ニヴ=ミゼット》
7枚目となるニヴ=ミゼット。自尊心の塊すぎる……。過去の自分である《火想者ニヴ=ミゼット》か《パルン、ニヴ=ミゼット》がいれば、ライブラリーの続く限りドロー&ダメージになります。
直接火力とも相性がよく、今回収録の《稲妻波》なら3倍《Ancestral Recall》!《発展の代価》でも20枚くらいは引けます。
《光輝の魔道士》《大地の刃》のようなカードでチェインも狙えるかも。マジックこんな適当にドローするゲームだったっけ……?手札上限がないため、いくら引いてもディスカードの心配がないのも強いですが、その反面《光り角の海賊》と手札上限7枚のディスカードを組み合わせた無限ルーティングはできないので注意。
《世界を喰らうもの、コーマ》
《星界の大蛇、コーマ》から起動型能力がなくなったので小回りは効かなくなりましたが、「護法」と異常タフネスのおかげでかなり倒されにくくなりました。「護法」の《秘密売り、ティヴィット》でも厄介なのに4って。
殴ることしかできませんが、《ナノジーンの変換》《オートンの兵士》でコーマを増やせば超大量のトークンを生成できます。生成するトークンは《星界の大蛇、コーマ》と同じなので、ニヴ=ミゼット同様過去の自分を採用してもよさそうです。打ち消されない統率者なので、同じく打ち消されない《エント最後の進軍》で12枚ドローを狙ってもいいですね。
《略奪総督、エヴェレス》
『ジャンプスタート』より。黒単色ですが、テキストに赤黒の混成マナがあるため固有色は赤黒になります。マナがかからないサクリ台として単体でもそれなりに優秀。
《活性機構》があればマナの続く限り強化し続けられます。吸血鬼なので《血の長の刃》があるとさらにお得。《ウギンのきずな》をサクれば即追加ターン!
宝物・トークンで絆魂が得られるので、自身を死亡させれば《憎悪》《語られざる印》で失ったライフも取り返せます。統率者ダメージは戦闘ダメージ限定なので、能力で勝つには《汚れた一撃》などで感染を付与するか素直にパワー40を目指しましょう。土地を絞れば《大軍の結集》でパワー40も夢じゃない!?エヴェレスを自爆させ死亡時のコスト支払いに充てられる《ファイレクシアの塔》はぜひ入れましょう。
《這いまわる落書き屋》
《精神破壊者、ネクサル》のようなカード。随分軽くなりました。この手のカードにありがちな「相手が先にカードを引く」欠点がないのは偉いですね。
《囚われの黒幕、オブ・ニクシリス》《魂の鋤引き、ヴァルガヴォス》ではアップキープに実質4枚増えるので超優秀。《クルーグ公、ウルザ》で増やせば、ドローもダメージも馬鹿にならないでしょう。《浄化プロジェクトを懸けた戦い》のように全員ドローする置物を入れまくるデッキは、いつの時代も需要があるのでたまに見ることになりそうです。
《力線の斧》
ゲーム開始時に置ける装備品。力線シリーズと相性のいい《茨の吟遊詩人、ベロ》が装備品は範囲外のため、悪いことは難しそう……。《激情で錬磨された者、ナヒリ》でゲーム開始時から1マナ軽くできるくらいでしょうか。普通に使うと統率者が大型エルドラージの場合、二段攻撃とトランプルのおかげでたいていは一撃必殺に!
装備コストが少し重いので《剛胆な考古学者、アーデン》《ブルーノー・バトルハンマー》《Captain America, First Avenger》あたりで踏み倒していきましょう。
《魂石の聖域》
《変わり谷》のように一瞬見えますが、ターン終了時に終わらないので《隠れ石》に近いですね。
《厚顔の無法者、マグダ》のドワーフや、《命狙いの逃亡者、エトラータ》《タカの眼》の暗殺者などマイナー同族にとっては、枠を圧迫せずに数を増やせる土地は非常にありがたいです。愛用している《トレストの密偵長、エドリック》でも、一度起動すれば以降は警戒のおかげでマナを減らさず攻撃できるので、なかなか強いのではないかと思っています。
過去セットの注目カード
『ジャンプスタート』収録の《芽生えの王、シュルーファス》は自身含めた苗木をサポートする能力を持っているので、じゃあ苗木クリーチャーを入れよう!となるのですが、なんと過去に苗木・クリーチャーはカードとして刷られていない!
というわけで、今回は苗木サポートカードをピックアップしていきます。
《芽生えの王、シュルーファス》と相性がいいのは間違いなく《木立ちの守護者ネマタ》でしょう。苗木全体を強化できるのでトークン生成速度がとんでもなく上がります。数が並ぶので《若葉のドライアド》《Andúril, Narsil Reforged》の「昇殿」達成も容易です。
《ユートピアの菌類》ならマナを、《菌類の勢力範囲》《向精神サリッド》なら手札を補充できます。地味すぎるのか《向精神サリッド》って一度も再録されてないんですね。買うなら今のうちだぞ……?
これで『ファウンデーションズ』カードレビューは以上となります。
今回紹介したカードのほかにも面白そうなカードがたくさんあるので、みなさんもいろいろ試してみてください!
吉田敏行
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