はじめに
みなさん、こんにちは。
『地域チャンピオンシップ』の予選イベントや、来月に東京と大阪で開催される『MMM Finals 2024』など、モダンのテーブルトップのイベントが充実しています。
今回の連載では、先週末にMOで開催された大規模イベント『Modern Showcase Challenge』の結果を見ていきたいと思います。
『Modern Showcase Challenge』 -エネルギーだらけのイベントを制したのはAmulet Titan-
開催日:2024年11月15日
優勝 Amulet Titan
準優勝 Mardu Energy
3位 Eldrazi Tron
4位 Boros Energy
5位 Boros Energy
6位 Eldrazi Tron
7位 Ruby Storm
8位 Mardu Energy
参加者400名以上、スイスラウンド10回戦という大変長丁場なイベントだった『Modern Showcase Challenge』。
やはり、エネルギーデッキが今回でも最大勢力で、トップ32に13名入賞、プレイオフも半数を占めるという結果になりました。最終的に優勝したのはAmulet Titanとなっています。
Amulet Titan
今大会で優勝したのは、kanisterことPiotr Glogowski(@kanister_mtg)氏のAmulet Titanでした。
- 2024/10/07
- アミュレットタイタンにおける《事件現場の分析者》の使い方
- Piotr Glogowski
Amuet Titanを得意としており、デッキについては彼自身の記事で紹介されています。非常に複雑なデッキになりますが、《変容する森林》ループのやり方などが詳しく解説されているので、気になる方は参考にしてみてください。
Xでの投稿によると、大会中エネルギーデッキに合計で11回も対戦するという極端な当たり方だったようです。
☆注目ポイント
『モダンホライゾン3』から登場した《変容する森林》によってカウンターなど妨害に耐性ができ、《精力の護符》+《事件現場の分析者》とのループによって大量のマナを出すことができます。コンボ速度も速く、妨害が少ないエネルギーに強いデッキになります。
現環境の主要な除去が《電気放出》や《致命的な一押し》なため、《イリーシア木立のドライアド》の採用が見送られる傾向にありましたが、戦闘をすることなくゲームに勝つ手段として《イリーシア木立のドライアド》+《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》のコンボが改めて採用されています。
今回のリストで最も印象的だったのは、サイドに複数とられている《吸血鬼の復讐》です。インスタントでプレイできるスイーパーで、エネルギーデッキのクリーチャーやトークンを一掃することができます。血・トークンによるルーティングも、キーカードを探しつつ墓地を肥やすことができるため、《変容する森林》ともシナジーがあります。
Mardu Energy
現環境トップメタのエネルギーデッキは、今大会でも高い勝率を出していました。
マルドゥバージョンは除去の種類、ハンデス、《オークの弓使い》、《虚無の呪文爆弾》など選択肢が増えるため、ボロスとはプレイパターンが異なり、プレイ難易度も高くなります。
色マナはボロスバージョンのほうが安定していますが、ミラーマッチではマルドゥのほうが有利で、各種コンボやビッグマナデッキとの相性も若干改善されているため、現環境のモダンでエネルギーを使う場合はマルドゥのほうが推奨されます。
☆注目ポイント
《オークの弓使い》はミラーマッチでクロックを追加しつつ、《色めき立つ猛竜》や《オセロットの群れ》といったタフネス1のクリーチャーを除去する動きが強力です。また、ミラーマッチを含めた多くのデッキが採用している《一つの指輪》も牽制できるため、マルドゥバージョンを選択する理由のひとつになります。
軽いハンデスの《思考囲い》は《色めき立つ猛竜》との相性が抜群です。青いデッキとのマッチアップでは、カウンターを落として《一つの指輪》を通しやすくしたり、コンボのキーカードを落とすことでゲームプランを妨害することができます。エネルギーはアグロプランもミッドレンジプランも強力なため、コンボを完全に止める必要はなく、一度相手のプランを妨害してトップデッキされる前にゲームを終わらせることができます。
《鋼と油の夢》はハンデスと墓地対策を組み合わせた優秀なスペルで、ミラーマッチでは相手の《一つの指輪》を落としつつ墓地にいる《火の怒りのタイタン、フレージ》を追放することができます。
24枚目の土地として《栄光の闘技場》が追加でとられているため、《火の怒りのタイタン、フレージ》をより強く使えるようになっています。相手の《火の怒りのタイタン、フレージ》やRuby Storm、Esper Goyoなど墓地を使ったデッキを対策できる《虚無の呪文爆弾》が使えるのも、黒をタッチするメリットになります。
Eldrazi Tron
『モダンホライゾン3』から2マナランドの《ウギンの迷宮》や、強力なエルドラージが登場したことで大幅に強化されたEldrazi Tron。現在は《血染めの月》を採用したデッキが減少傾向にあるため、ビッグマナ系のデッキも復権してきています。
このデッキの強みは、1ターン目の《ウギンの迷宮》からタリスマン、2ターン目に《まき散らす菌糸生物》などのマナ加速を利用して早い段階から強力なエルドラージを展開できることです。また、《虚空の杯》や《三なる宝球》といったカードで相手の行動を制限するプリズン要素も搭載されています。
☆注目ポイント
《まき散らす菌糸生物》はマナ加速として機能しつつ、相手の土地を破壊することもできる強力なエルドラージ・クリーチャーです。マッチアップによっては、《魂の洞窟》や《世界を壊すもの》をプレイするための緑マナを確保するために《森》をサーチすることもできます。
《運命を貪るもの》はトロン・ランドがそろえば3ターン目にプレイすることができます。《むかしむかし》のような効果があるので初手に来てもうれしく、必要なトロン・ランドも手に入りやすくなります。《ウギンの迷宮》で「刻印」できるカードで、デッキの安定性の向上に貢献しつつ、マナがそろったあとは除去兼フィニッシャーとして機能します。
《コジレックの命令》は除去・ライブラリー操作・マナ加速、そしてメインから使える墓地対策と、このタイプのデッキが欲しかった要素が多く含まれた優秀なスペルになります。同族スペルなので《エルドラージの寺院》の恩恵が受けられるのも大きく、このデッキにとって重要なスペルになります。
Ruby Storm
エネルギーデッキに次いで多くのトップ32入賞者を出していたRuby Storm。《ドラニスの判事》など多くのデッキが対策カードをサイドボードに複数とっているなかでも常に上位で見られるデッキで、エネルギーに対して相性が良いデッキなので現環境ではベストな選択肢のひとつになります。
☆注目ポイント
『ブルームバロウ』から登場した《美術家の才能》は、特にレベル1-2の能力がこのデッキに合っているため、最近採用するリストが増えてきています。レベル1は非クリーチャースペルにルーターを付与でき、手札に余った土地を《無謀なる衝動》や儀式スペルなどに変換することができます。
クリーチャー以外のスペルのコストを軽くするレベル2は、追加の《ルビーの大メダル》や《モンスーンの魔道士、ラル》として機能します。レベルを上げるためにマナが必要になりますが、このデッキにとって貴重なコスト減少手段になります。
《一攫千金》は1ターン目にプレイすることができれば、次のターンには《ルビーの大メダル》や《モンスーンの魔道士、ラル》をプレイしてから儀式スペルにつなげることで、残りの手札の状況によっては2ターン目にコンボを決めることもできます。また2ターン目にコンボを決めることが難しくても、安定して3ターン目に決めることが可能です。「フラッシュバック」もついているため、マナがあれば1枚で「ストーム」2回分を稼ぎつつ《モンスーンの魔道士、ラル》も2回誘発させることができます。
サイド後は《ドラニスの判事》など対策カードを処理できるように、《虹色の終焉》が複数枚とられています。《火の怒りのタイタン、フレージ》は《ドラニスの判事》対策として働きつつ、コンボ以外の追加の勝つ手段にもなります。
総括
『Modern Showcase Challenge』の結果からもエネルギーデッキ一強状態の環境は変わらず、来月の禁止改定で何かしらのテコ入れが予想されます。
禁止になる候補のカードとして挙げられているのが《一つの指輪》です。これは前回の禁止改定の声明でも、禁止にするか検討されていたカードです。無色なのでどんなデッキにも入る可能性があり、実際にさまざまなデッキで採用されています。
時間を稼ぎつつアドバンテージ源としても機能する《一つの指輪》が禁止になることでエネルギーも弱体化するため、エネルギーかそれに有利なコンボデッキの現環境よりも選択の幅が広がりそうです。
以上、USA Modern Express vol.124でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!