THE LAST SUN 2024 スタンダードメタゲームブレイクダウン
12月21日、年末のマジックの祭典『THE LAST SUN 2024』が晴れる屋TC東京で開催された。
全国各地の予選を勝ち抜いた強豪プレイヤー220名は、どのようなデッキ選択をしたのだろうか。メタゲームブレイクダウンを見ていこう。
デッキ | 使用者数 | 使用率 |
---|---|---|
ディミーアミッドレンジ | 58 | 26.13% |
グルール果敢 | 41 | 18.47% |
ゴルガリミッドレンジ | 17 | 7.66% |
オーバーロード | 13 | 5.86% |
ジェスカイ召集 | 13 | 5.86% |
ボロスハツカネズミ | 9 | 4.05% |
シミックテラー | 8 | 3.60% |
ティムールカワウソ | 6 | 2.70% |
アゾリウス眼魔 | 5 | 2.25% |
ボロスバーン | 4 | 1.80% |
アゾリウスアグロ | 4 | 1.80% |
赤単 | 3 | 1.35% |
黒単デーモン | 3 | 1.35% |
ボロストークン | 3 | 1.35% |
白単コントロール | 3 | 1.35% |
アゾリウスエンチャント | 3 | 1.35% |
ディミーアコントロール | 3 | 1.35% |
セレズニアミッドレンジ | 3 | 1.35% |
アゾリウスアーティファクト | 3 | 1.35% |
《もがく出現》 | 2 | 0.90% |
ゴルガリコントロール | 2 | 0.90% |
緑単 | 1 | 0.45% |
《悪魔の契約》 | 1 | 0.45% |
グルール昂揚 | 1 | 0.45% |
ボロスオーラ | 1 | 0.45% |
4色レジェンズ | 1 | 0.45% |
5色レジェンズ | 1 | 0.45% |
スゥルタイ昂揚 | 1 | 0.45% |
バントポイズン | 1 | 0.45% |
ラクドストカゲ | 1 | 0.45% |
スゥルタイテラー | 1 | 0.45% |
《血に飢えた征服者》 | 1 | 0.45% |
ディミーアポイズン | 1 | 0.45% |
ティムールポイズン | 1 | 0.45% |
ディミーアデーモン | 1 | 0.45% |
オルゾフミッドレンジ | 1 | 0.45% |
ファルコンギャンビット | 1 | 0.45% |
合計 | 222 | 100% |
(※提出されたリストをすべて掲載しています)
ディミーアミッドレンジ (使用率26.13%)
使用率26.13%と圧倒的なトップメタとなったのがディミーアミッドレンジだ。220名が参加する大会で、4人に1人がこのデッキを選択した。
スタンダード最強プレインズウォーカーと呼び声が高い《悪夢滅ぼし、魁渡》と、最強ドローエンジンの《永劫の好奇心》はこのデッキのエースで、どちらも除去耐性を持つのが特徴だ。
《フラッドピットの溺れさせ》《フェアリーの黒幕》といった瞬速クリーチャーを除去や打ち消しと同時に構えられることが、このデッキの安定性を高くしている。特に疑似除去としても有能な《フラッドピットの溺れさせ》を《悪夢滅ぼし、魁渡》の忍術によって手札に戻す動きが強力だ。
サイドボードプランも豊富で、相手に合わせてハンデス・除去・打ち消しを自在に増やせる柔軟性も魅力だ。なかでも《ティシャーナの潮縛り》は実に多くの脅威に対応できる便利なクリーチャーで、本来ならディミーアというカラーで対処しにくい《ウラブラスクの溶鉱炉》のようなカードを止めることもできる。
現スタンダードには、単純なカードパワーで比較するとディミーアミッドレンジよりも強力なデッキはいくらでも存在する。しかし、このデッキの最大の武器である「対応力」に多くのプレイヤーは魅かれたのだろう。
「一番人気」は獲得した。あとは優勝トロフィーという「一番」を手に入れるだけだ。
グルール果敢 (使用率18.47%)
先日の『Arena Championship 7』を制したばかりのグルール果敢。今大会の使用率では2番手に甘んじたが、「現王者」と呼ぶならこのデッキだろう。
赤いハツカネズミたちの速度と攻撃力もさることながら、《探索するドルイド》によるリソース補充は「息切れ」というアグロデッキが本来持つべき弱点を消してしまった。
「アグロデッキが本来持つべき弱点」といえば、ライフ回復も天敵であった。しかし、ひとたび《叫ぶ宿敵》の能力が誘発すれば永続的にライフも得られなくなり、以降は引いてきた火力を本体に撃ち込み続けるだけでもゲームに勝ててしまう。
相手が除去を増やすといった対策をしてきても、サイド後は《ウラブラスクの溶鉱炉》で軸をずらしながらロングゲームに持ち込むことだって可能だ。
それでいて、ブン回ったときには「熊パンチ」の相性でおなじみの《巨怪の怒り》の一撃で一瞬にしてゲームを終わらせてしまう。
ほかのデッキからすれば「グルール果敢に勝てるか?」が、一番最初に考えるべき課題となるだろう。
オーバーロード (使用率5.86%)
王者格のデッキを2つ紹介したが、「風格」という意味ならオーバーロードも引けを取らない。おそらく単純なカードパワーで比較すれば、このデッキが一番強力だからだ。
《豆の木をのぼれ》さえ設置できれば、各種オーバーロードを唱えるだけでリソースが補充でき、なおかつ盤面にクリーチャーを追加したりマナ加速ができてしまう。
まるで悠長に見える置き物のオーバーロードたちも、《永遠の策謀家、ズアー》によってクリーチャー化すれば、以降は攻撃するだけで莫大なアドバンテージを得ることができる。しかも、接死・絆魂・呪禁が付与されるというオマケつきだ。なぜか《力線の束縛》がフィニッシャーになってしまう点も見逃すことはできない。
相手からすれば、どのオーバーロードもマスト除去が必須となる性能なのに、まずは貧弱な3マナクリーチャーの処理を余儀なくされるのだから堪らないだろう。
すっかり影が薄くなってはいるが、グルール果敢のようなクリーチャーが強い環境で《太陽降下》が弱いという道理もないはずだ。
5マナのソーサリーじゃ間に合わない?《領事の権限》を置いても同じことが言えるだろうか?
使用者13名、使用率約6%は低い数字ではない。高速アグロ環境といっても差し支えない現スタンダード、しかも『THE LAST SUN 2024』という究極の舞台で、プレイヤーたちの目は静かにこのデッキに向けられている。
そのほかの注目デッキ
『ファウンデーションズ』で使えるようになった《悪魔の契約》と《無害な申し出》のシナジーは、一撃で対戦相手を敗北に追い込む必殺コンボだ。
しかも、勝ち手段となる《悪魔の契約》自体に強力な盤面干渉能力やドロー能力が付随しており、ただコンボパーツを揃えることを目指すという平凡な動きではない。
この手のコンボデッキにありがちな「デッキに4枚のキーカードを引けなければ勝てない」ということもなく、《悪魔の契約》の代役となる《強欲の計略》、《無害な申し出》の代役となる《切望の隼》が存在している。あとは除去や打ち消しといった対応札で時間を稼げば、コンボ成立の可能性は高いだろう。
いわゆる「ドネイトコンボ」だが、今大会にもこのコンボデッキを持ち込んだプレイヤーはわずかながら存在している。
《血に飢えた征服者》にも注目だ。こちらも『ファウンデーションズ』からの新カードだが、油断すると即死コンボに繋げてくる強力なカードである。
しかも、コンボが成立しなかったとしてもフェアに強い性能のクリーチャーであり、黒単をはじめゴルガリミッドレンジ、オルゾフミッドレンジなどあらゆるデッキに潜ませることができる。
コンボパーツである《星景の僧侶》と《永劫の不屈》にしても平凡な性能ではなく、どちらも優秀なアタッカーとして働くうえに「新生」や「死亡時に戦場へ戻ってくる」能力のおかげで単体除去に対しても強い。
そのポテンシャルは高く、今後評価されるデッキの代表格となるだろうか。
展望
以上、『THE LAST SUN 2024』スタンダードのメタゲームをお届けした。ディミーアミッドレンジとグルール果敢の二強ではあるが、その牙城を崩すのに十分な戦力を備えたデッキはたくさんある。
最後に勝利を手にするデッキはなんだろうか。そして、どんなデッキが勝ったとしても驚くことはないだろう。