はじめに
みなさん、こんにちは。
12月16日の禁止改定で《一つの指輪》《色めき立つ猛竜》《湧き出る源、ジェガンサ》が禁止になり、《オパールのモックス》《緑の太陽の頂点》《信仰無き物あさり》《欠片の双子》が禁止解除されました。
これはモダンの歴史上、最も大規模な変更になります。《一つの指輪》と何かしらのエネルギーのパーツが禁止になることまでは予想していましたが、今回の禁止解除は大きなサプライズでした。
さて、今回の連載では禁止改定後にMOで開催された『Modern Challenge』『Modern Qualifier』、そして先週末に開催された『THE LAST SUN 2024』の結果を見ながら、新環境のモダンを解析していきたいと思います。
『Modern Challenge 32』 -新デッキ多数、生まれ変わったモダン-
禁止改定直後にMOで開催された『Modern Challenge』は、Dimir Oculusを新環境向けに調整したバージョンが優勝しました。
一度に3種類のカードが禁止、4種類のカードが解禁されたモダンは、全く別のフォーマットと言っても過言ではないほどの変化が見られました。禁止解除の影響は大きく、今大会では複数の新デッキが結果を残しています。
Grixis Oculus
前回の記事でも予想した通り、禁止改定の影響を受けなかった《忌まわしき眼魔》デッキが新環境のモダンでも活躍しています。
《忌まわしき眼魔》デッキは《致命的な一押し》《呪文嵌め》《対抗呪文》といった軽くて優秀なスペルを複数使える青黒のミッドレンジです。キャントリップで墓地のカードを増やし、《超能力蛙》や《忌まわしき眼魔》《濁浪の執政》などのクリーチャーを展開していきます。
新環境のモダンでは能動的なコンボデッキが多いため、軽いクロックを効率的な妨害スペルでバックアップしていく戦略が有効です。相性が悪かったエネルギーも弱体化しているため、Dimir Oculusは現在良い立ち位置にあります。
☆注目ポイント
《オパールのモックス》が解禁されたことで、Affinityなどアーティファクトデッキが増加傾向にあるので、サイドの《溶融》用に赤がタッチされています。
2ターン目の《超能力蛙》はそれだけでも十分に脅威となりますが、《忌まわしき眼魔》を捨てて《発掘》でリアニメイトする強力な動きも可能にしてくれます。
《思考掃き》で最序盤から墓地を肥やすこともでき、一度に自身含めカードを3枚墓地に落とすことができるので、フェッチランドと組み合わせることで最速2ターン目から《濁浪の執政》で圧をかけることもできます。
《信仰無き物あさり》や《オパールのモックス》など、今回解禁されたカードによってコンボデッキが増えることが予想されます。《否定の力》は《信仰無き物あさり》を追放できるのが大きく、今後もメインのカウンターとして活躍が期待できます。禁止改定後もエネルギーデッキは人気があり、Ruby Stormも多くいるので《呪文嵌め》も引き続き優秀なカウンターになります。
『Modern Qualifier』 -禁止改定後の環境でも強いエネルギー-
先週末にMOで開催されたモダンの予選イベント。
今大会で優勝したのはなんとBoros Energyでした。禁止改定の影響で弱体化されましたが、メインのパーツは健在なため新環境でも十分に通用する強さのようです。
Breach Combo
今回解禁されたカードの中でも、最も大きな影響があると噂のカードなのが《オパールのモックス》です。かつてモダンで活躍した強力なカードで、解禁されたことにより初めて《ウルザの物語》との共演が実現しました。
《オパールのモックス》を最も強く使えるデッキとして、今回入賞していたBreach Comboが挙げられます。《オパールのモックス》と《死の国からの脱出》の組み合わせは非常に強力で、今後もよく使われるデッキになりそうです。
☆注目ポイント
《オパールのモックス》を得て、《モックス・アンバー》とあわせて2種類のマナ加速をそなえたことによってデッキの安定性が大幅に向上し、爆発力も上がっています。0マナアーティファクトが増えたことで《ウルザの物語》の構築物・トークンのサイズも強化しやすくなり、《湖に潜む者、エムリー》を軽いコストでプレイしやすくなりました。
《オパールのモックス》からマナが出る状態で、《オパールのモックス》+《死の国からの脱出》+《研磨基地》が場にあるとループできます。
《オパールのモックス》でマナを出したあとに《研磨基地》を起動して《オパールのモックス》をサクリファイスし、墓地に落ちた《オパールのモックス》を《死の国からの脱出》の能力によって「脱出」させます。《オパールのモックス》が場に出たときに《研磨基地》が誘発してアンタップするので、これを繰り返すことが可能です。
《知りたがりの学徒、タミヨウ》はこのデッキが『モダンホライゾン3』から得た一番の収穫です。伝説のクリーチャーなので《モックス・アンバー》と相性が良く、攻撃するたびに得られる手掛かり・トークンも、《オパールのモックス》の「金属術」の条件を満たしたり、《ウルザの物語》の構築物・トークンの強化や、《湖に潜む者、エムリー》のコストダウンに貢献するなど、このデッキでは追加のドロー以上の価値があります。
『THE LAST SUN 2024』 -新環境のトップメタはDimir Oculus-
開催日:2024年12月21-22日
2位 Mardu Energy
3位 Dimir Oculus
4位 Dimir Oculus
5位 Blue Belcher
6位 Mardu Energy
7位 Dimir Oculus
8位 Breach Combo
トップ8デッキリスト(スイスラウンド順)
先週末に晴れる屋TCで開催された『THE LAST SUN 2024』は、各地の予選を勝ち抜いたプレイヤーや招待枠のプレイヤーのみが参戦できるイベントなだけあり、高いレベルの対戦を観戦することができました。
今大会のモダン部門で最も人気があり、多くの上位入賞者を出していたのはDimir Oculusでした。
禁止改定によって弱体化を強いられたエネルギーデッキもDimir Oculusの次に人気があり、プレイオフにも進出しているなど新環境でも強いデッキのようです。また、禁止解除によって強化されたGolgari Yawgmoth、Breach Comboも見られました。
Golgari Yawgmoth
Golgari Yawgmothは禁止改定の恩恵を受けたデッキとして注目を集めていたデッキです。もともと《召喚の調べ》などサーチスペルのおかげで動きが安定していたデッキでしたが、《緑の太陽の頂点》が解禁されたことでさらに強化されました。
- 2024/12/23
- デッキテク:奥野 篤哉の「ヨーグモス医院」 ~強化されたサーチ戦略~
- 晴れる屋メディアチーム
デッキの動きやデッキ選択の理由については奥野 篤哉氏のデッキテクにも載ってます。
クリーチャーベースのコンボデッキであると同時に、《召喚の調べ》のおかげでインスタントスピードで動くことができ、相手に常に《スランの医師、ヨーグモス》コンボの脅威をちらつかせつつミッドレンジとしても振る舞えるのがこのデッキの特徴です。
☆注目ポイント
《緑の太陽の頂点》は序盤は《ドライアドの東屋》をサーチすることでマナ加速でき、マナが出る中盤以降は《飢餓の潮流、グリスト》なども持ってこれる大変フレキシブルなサーチスペルです。《忍耐》など特定のマッチアップに有効なクリーチャーも必要なときにサーチできます。
《邪悪鳴らし》は実質1マナでパーマネントカードを手札に加えられるスペルで、《飢餓の潮流、グリスト》や《スランの医師、ヨーグモス》で落とし子・トークンをサクリファイスしてさらにアドバンテージを稼いだり、《召喚の調べ》の招集のコストにしたりと有効に使う手段が複数あります。
《変容する森林》は中盤以降に使える強力な土地で、《邪悪鳴らし》もあるので「昂揚」のハードルも低めです。カウンターや除去などで墓地に落ちた《スランの医師、ヨーグモス》をコピーできるのが優秀で、Dimirなど青いミッドレンジとのマッチアップに強いカードになります。
しかし、《飢餓の潮流、グリスト》などプレインズウォーカーはコピーしても忠誠値が0になるため、コピーした瞬間に墓地に落ちてしまうので注意が必要です。
Mardu Energy
禁止改定後のMOの予選でも優勝とプレイオフに2名送り込む安定感を見せます。《色めき立つ猛竜》と《一つの指輪》を失い弱体化を強いられましたが、《魂の導き手》《オセロットの群れ》《ナカティルの最下層民、アジャニ》《火の怒りのタイタン、フレージ》といった『モダンホライゾン3』の強力なカードは健在です。
横に並べて圧をかけつつ《火の怒りのタイタン、フレージ》や《ゴブリンの砲撃》といった火力でライフを攻めることもでき、ハンデスや高性能な除去、アドバンテージ源にも恵まれているなど、多角的な攻めができるエネルギーは新環境でも有力な選択肢になります。
☆注目ポイント
《色めき立つ猛竜》と《一つの指輪》という2種類のアドバンテージ源を失ったものの、《鏡割りの寓話》と《火の怒りのタイタン、フレージ》といったカードが使えるので中盤以降の対応力は健在です。
《色めき立つ猛竜》が退場したことで、旧環境のときと比べるとエネルギーが貯まりにくくなっているため、《静牢》の枚数は減らされる傾向にあるようです。
サイドにはRuby Storm対策として《耳の痛い静寂》が用意されています。《オパールのモックス》と《信仰無き物あさり》の解禁により、アーティファクトデッキや墓地デッキが増えているため、それらに対する《溶融》と《虚無の呪文爆弾》が多めに採用されていました。
《オークの弓使い》はミラーマッチでタフネス1のクリーチャーを処理することができ、今大会で最も高い使用率だったDimir Oculusとのマッチアップでも活躍します。《信仰無き物あさり》を使ったデッキも複数散見されるため、新環境でも優秀なクリーチャーです。
《思考囲い》にアクセスできるのも大きく、現環境ではコンボやコントロールとのマッチアップで、相手のプランを妨害しつつクロックをかけるプランが立てやすいため、エネルギーを使うならMarduバージョンがオススメです。
総括
今回の禁止改定はモダンというフォーマットが設立されて以来、最も大規模な変更でした。ここ最近のモダンは多くの問題を抱えていましたが、MOの『Modern Challenge』に100人以上集まるなど、多くのプレイヤーが楽しんでいる印象です。
ひとつ残念なところを挙げるとすれば、やっと解禁された《欠片の双子》が今のところ目立った活躍をしていないことです。かつてはモダンの環境を定義していた双子コンボも、さすがに現代のカードパワーに着いてこれていない感がありますが、まだまだこの環境も始まったばかりなので今後に期待です。
USA Modern Express vol.126は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!そしてよいお年を!