はじめに
みなさん、新年明けましておめでとうございます。今年もレガシーの最新情報をお届けしていきたいと思うので、よろしくお願いいたします。
禁止改定がされて数週間が経ち、MOやテーブルトップでもイベントがいくつか行われました。
今回の連載では『Legacy Super Qualifier』『Eternal Party 2024 in Tokyo』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
『Legacy Super Qualifier』 -エルドラージの時代-
年末にMOで開催されたレガシーの予選イベント。
禁止改定後に開催された初の大規模なイベントということもあり、注目を集めていました。
今大会で人気があったのはEldraziやMono Red Prison、Dimir Tempo、Izzet Delverといったデッキで、禁止改定後の勝ち組デッキと噂のNadu Comboも入賞していました。
Eldrazi
《苛立たしいガラクタ》が禁止になったことでMono Red Prisonの数が減少すると予想されていたようで、今大会ではEldraziが台頭しています。決勝戦では、そのMono Red Prisonに敗れたものの、高い勝率を維持していました。
Eldraziというアーキタイプ自体は禁止改定後も大きな変化はなく、《まばゆい肉掻き》や《まき散らす菌糸生物》といった『モダンホライゾン3』からの強力なエルドラージ軍は健在です。
今大会でも優勝していたMono Red Prisonとの相性を、サイドボードのカード選択によって改善していくことが今後の課題になりそうです。
☆注目ポイント
《まき散らす菌糸生物》や《運命を貪るもの》といったカウンター不能な誘発が豊富で、《魂の洞窟》も使えるので青いデッキに耐性があります。またEldraziのシェア率が高いこともあり、現環境の多くのデッキがサイドボードに《記憶への放逐》を採用しています。
《コジレックの命令》は、無色デッキにカードアドバンテージ・ライブラリー操作・除去・墓地対策といったフレキシブルさをもたらしてくれました。禁止改定後の環境でも、その強さは変わりません。
《苛立たしいガラクタ》が禁止になった代わりに、《虚空の杯》が再び採用されています。Izzet Delverも復活してきているので、1マナのスペルをシャットアウトできる《虚空の杯》には活躍が期待できますが、「複製」によるコピーをカウンターできないため《記憶への放逐》には注意が必要です。
Dimir Tempo
《超能力蛙》の禁止で弱体化を強いられたDimir Tempoでしたが、依然として大型イベントで結果を残せるほどの強さのようです。
《オークの弓使い》《思考囲い》《致命的な一押し》といったカードパワーの高いカードにアクセスすることができ、最近のセットからも《ネザーゴイフ》《バロウゴイフ》《悪夢滅ぼし、魁渡》といった強力なカードが登場したため、青黒デッキは禁止改定後の環境でも有力な選択肢になります。
青黒と2色でまとまっているため、《不毛の大地》で必要な土地を潰されて何もできずに負けるといった状況に陥りにくいのも、このバージョンの強みになります。
☆注目ポイント
《超能力蛙》が採用されていた枠には《オークの弓使い》が収まっています。禁止改定後も幅を利かせているEldraziやMono Red Prisonなどの《古えの墳墓》デッキに対しては極めて平凡なクリーチャーになりますが、青いデッキ全般に強く、青赤よりも青黒バージョンを優先してプレイする理由になります。
《超能力蛙》亡き後の環境も《ネザーゴイフ》《バロウゴイフ》《難題の予見者》など高タフネスのクリーチャーが散見されるため、それらを除去できる《致命的な一押し》が使えることも青黒バージョンのアドバンテージになります。
《ネザーゴイフ》は回避能力こそないものの、序盤から3/4以上のサイズになることも多く、《超能力蛙》が去ったことで使用率が上昇傾向にある《稲妻》にも耐性があります。
《バロウゴイフ》もほかのルアゴイフ系と同様に火力系の除去に耐性があり、接死で攻撃を通しやすくかつ絆魂持ちなのでダメージレースでも優位に立てるため、テンポデッキとのミラーマッチで特に強さを発揮します。
Temur Delver
《超能力蛙》が禁止になったことで復活してきたTemur Delver。ティムール型のテンポデッキを見るのは久々です。
デッキの構成はIzzet Delverをベースに《探索するドルイド》のために軽く緑がタッチされており、サイドに《記憶への放逐》が採用されている以外は『モダンホライゾン3』以前のリストと大きな変化は見られません。
☆注目ポイント
1マナ3/3・飛行にもなる《ドラゴンの怒りの媒介者》は、必要なカードを探しつつ墓地も肥やせるので、このクリーチャーを使えるのはTemurの明確な強みになります。《稲妻》と組み合わせることで相手のライフに圧をかけることができ、土地からのダメージが大きい《古えの墳墓》デッキにとって脅威となります。
イゼット(ティムール)バージョンの魅力は強力なサイドボードカードにアクセスできる点です。青いデッキとのマッチアップで有効な《紅蓮破》はもちろん、特殊地形を多用するデッキに対して刺さる《発展の代価》、今回のリストでは不採用ですが、アーティファクトデッキに有効な《溶融》にアクセスできます。
《古えの墳墓》デッキやNadu Comboとのマッチアップにおいて、《発展の代価》は最高のサイドカードになります。特に土地からのライフロスが痛い《古えの墳墓》デッキに対しては、《発展の代価》1枚で勝てるゲームも多くなります。
『Eternal Party 2024 in Tokyo』 -禁止改定後の環境を支配するNadu-
開催日:2024年12月29日
8位 Reanimator
年末に日本国内で開催された大規模なテーブルトップイベント『Eternal Party 2024 in Tokyo』。禁止改定後の大型イベントだったこともあり、注目が集まっていました。
見事に優勝したのはNadu Breakfastでした。今大会のプレイオフに3名送り込むなど安定した強さを見せています。
Nadu Breakfast
今回禁止を免れた《有翼の叡智、ナドゥ》は、前環境でもEternal Weekendなどで結果を残していたため、新環境でも支配的になると予想されていました。
バントカラーのミッドレンジバージョンやエルフとのハイブリットバージョンなど、いくつかバリエーションが存在しますが、今大会で結果を残していたのは《セファリッドの幻術師》コンボに《有翼の叡智、ナドゥ》を加えたNadu Breakfastでした。
《セファリッドの幻術師》コンボをちらつかせつつ、カウンターや《剣を鍬に》《虹色の終焉》といった優秀な除去でコントロールもできるコンボコントロールになります。
☆注目ポイント
《手甲》をサーチできる《ウルザの物語》や、「ウィザード・サイクリング」で《有翼の叡智、ナドゥ》《セファリッドの幻術師》《タッサの神託者》をサーチ可能な《通り抜け》もあるのでデッキの動きが安定しています。また、ウィザードを指定した《魂の洞窟》により、カウンターされることなくプレイすることが可能です。
《有翼の叡智、ナドゥ》によって異なる角度から攻めることができるようになりました。《手甲》や《コーの遊牧民》といったコンボパーツは、《セファリッドの幻術師》とのコンボ以外に基本的にあまり役に立たないカードでしたが、《有翼の叡智、ナドゥ》と組み合わせることで圧倒的なアドバンテージでゲームに勝つことができます。
また、このデッキにとって有効な墓地対策に引っ掛からないのも、《有翼の叡智、ナドゥ》の強みです。
《記憶の旅》は最近のリストで見られるようになったカードで、相手の墓地対策を対策する手段として機能すると同時に、相手の墓地を牽制することも可能です。《戦慄の復活》に対応して《フェアリーの忌み者》などで墓地対策をされても、《記憶の旅》によって《タッサの神託者》をライブラリートップに戻し、次のターンに《タッサの神託者》を普通にプレイしてゲームに勝つという動きも可能です。
総括
禁止改定後の環境で有力視されていたのは《有翼の叡智、ナドゥ》コンボで、年末に開催された『Eternal Party 2024 in Tokyo』でも優勝、複数の上位入賞と、新環境のベストデッキのひとつとして間違いなさそうです。
《超能力蛙》が退場したことで《稲妻》も再評価され、Izzet Delverも復活してきています。デッキの動きが安定しているため、強いプレイヤーが好んで使う傾向にあり、禁止改定後の環境で高い勝率を出していました。
Nadu、Reanimator、The Spyなど禁止改定後のレガシー環境も墓地を使うデッキが多いため、墓地対策は今後も必須になりそうです。
以上、USA Legacy Express vol. 247でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!