はじめに
みなさん、こんにちは。
禁止改定から1か月以上が経ち、MOやテーブルトップのイベントもいくつか開催されました。来月に開催される『プレイヤーズコンベンション千葉2025』に併催して、『日本レガシー選手権・冬』の開催も決定されましたのでレガシーファンはお見逃しなく。
さて、今回の連載では先週末に開催された『Legacy Challenge』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
『Legacy Challenge 32』 -禁止改定後の環境でも安定のリアニメイト-
最近のレガシーでは珍しくプレイオフにテンポデッキやNaduが見られず、Eldrazi・Mono Red Stompy・Worldgorger Dragon Comboなどコンボデッキが中心となっていました。
今大会で優勝したのはDimir Reanimatorで、《超能力蛙》禁止後も結果を残し続けています。
Dimir Reanimator
《超能力蛙》亡きあとの環境でも第一線で活躍し続けているDimir Reanimator。《再活性》や《納墓》といったカードが使える限り、リアニメイトというアーキタイプはレガシーから消えることはありません。
《超能力蛙》を失ったことでテンポプランが取りにくくなり弱体化していますが、今大会ではリアニメイト以外の勝ち手段として《バロウゴイフ》をメインから採用したリストが結果を残していました。
☆注目ポイント
《超能力蛙》がなくなりクリーチャーを能動的に墓地に落とせる手段が減ったため、初手に来ると弱い《変化の狂信者》は禁止改定後のリストでは採用が見送られる傾向にあります。
《厚かましい借り手》は《虚空の杯》やサイド後の《墓掘りの檻》《虚空の力線》といった置物を対策できるため、メインから3枚と多めにとられています。
サイドには追加の置物対策として《仕組まれた爆薬》も採用されており、サイド後に《墓掘りの檻》で時間を稼ぎつつ1マナのクロックで圧をかけてくるDelverとのマッチアップで活躍します。
禁止改定後にメインから採用されるようになった《バロウゴイフ》は、フェアプランを取る際に優秀なクリーチャーです。火力で除去されにくく、接死・絆魂持ちなので増加してきたIzzet Delverを含めた多くのマッチアップで活躍します。また、3マナなので《再活性》によるライフの負担も軽く済みます。
サイドの《ダウスィーの虚空歩き》は、リアニメイトプラン以外の勝ち手段であると同時に墓地対策としても機能しますが、《除霊用掃除機》などと比べると悠長なため主要な墓地対策としては使いにくくなります。
『Legacy Challenge 32』 -禁止改定後の環境でも強い《古えの墳墓》デッキ-
今大会で優勝していたMysticforge Combo、Red Stompy、Painterといった《古えの墳墓》デッキが活躍していました。
ほかにはDimir Reanimator、禁止改定後に復権してきたTemur Delverも安定した勝率を出していました。
Mono Red Stompy
旧環境でも活躍していたMono Red Stompyは、《苛立たしいガラクタ》禁止後の環境でも上位でよく見られるデッキです。
EldraziやNaduなど特殊地形に依存したデッキが多いため、最速1ターン目から《血染めの月》をプレイできるこのデッキはレガシーのメタゲームに大きな影響を与えています。
☆注目ポイント
《苛立たしいガラクタ》を禁止改定によって失いましたが、そのほかの強力なカードは健在なのでそれほど大きな痛手ではなく、空いた枠には《虚空の杯》が採用されています。
《パイロゴイフ》や《舷側砲の砲撃手》といった強力なクリーチャーを複数搭載しているため、《虚空の杯》や《血染めの月》といったカードで相手の行動を縛っている間に速やかにゲームを終わらせることができます。
一度脅威を対処されてしまうと、中盤以降息切れしてしまうところがこのタイプのデッキの弱点でしたが、《一つの指輪》のおかげで中盤以降もアドバンテージを稼げるようになり、1ターン凌ぐことができるためダメージレースでも有利になります。
『Legacy Challenge 32』 -レガシーでも《ベイルマークの大主》が大活躍-
Death and Taxes
モダンでもMardu EnergyやOrzhov Blinkで採用されている《ベイルマークの大主》ですが、レガシーでもDeath and Taxesの新戦力として加えられています。
カードパワーのインフレにより過去に活躍していた多くのアーキタイプが衰退する中、Death and Taxesは最近のセットからも収穫があり現在でもレガシーで活躍しています。
☆注目ポイント
モダンのブリンクと同様に「兆候」でプレイした《ベイルマークの大主》を《溌剌の牧羊犬、フィリア》や《ちらつき鬼火》の能力によってブリンクさせ、早い段階からテンポとアドバンテージの両方を稼ぐことができます。
《ベイルマークの大主》だけでなく、《護衛募集員》や《石鍛冶の神秘家》といったサーチ能力を持つクリーチャーをブリンクすることでアドバンテージを得ることもできます。レガシーはモダン以上に特殊地形を使うデッキが多いので、《白蘭の幻影》をブリンクして複数の土地を破壊する動きも強力です。
『アサシンクリード』がMOで実装され、《ファントムブレード》が使えるようになりました。《石鍛冶の神秘家》でサーチ可能な除去であり、《石鍛冶の神秘家》の能力によってインスタントスピードで場に出すことができます。もちろん、《溌剌の牧羊犬、フィリア》や《ちらつき鬼火》でブリンクして能力を使いまわすことも可能です。
『Fallout』に収録された《戦前の正装》もMOに実装されました。デッキに入っているクリーチャーがほとんど3マナ以下であり、場に出たときの能力を持つカードが多いため、リアニメイトしつつアドバンテージを稼げます。
『Legacy Challenge 32』 –《邪悪鳴らし》入りのLands-
アメリカ時間の日曜日の午前中に開催される『Legacy Challenge』は、ほかのChallengeよりも参加人数が多くなる傾向にあります。今回は66名のプレイヤーが参加していました。
Lands
Landsは昔からレガシーに存在しているデッキです。
《踏査》で追加の土地をプレイし、《壌土からの生命》で墓地の土地を回収し続けて《不毛の大地》で相手をロックしつつ、《演劇の舞台》 +《暗黒の深部》のコンボや《ウルザの物語》で勝利を狙います。
☆注目ポイント
『モダンホライゾン3』最高のコモンの1枚と評価されている《邪悪鳴らし》が採用されています。キーとなる土地をサーチすると同時に墓地を肥やすこともできるため、《壌土からの生命》でアドバンテージを得る下準備ができます。
《マダラの鉤爪門》は《エルフの開墾者》や《輪作》といった土地をインスタント・タイミングでサーチできるカードと相性が良く、《セジーリのステップ》のようにブロッカーを退かしたりする使い方ができます。アンタップインなのも《セジーリのステップ》よりも優れている点です。
《攪乱のフルート》は優秀なサイドカードです。瞬速持ちなので隙が小さく、起動能力を封じるだけでなくスペルを重くすることもできるのでコンボデッキに対して有効です。
総括
《苛立たしいガラクタ》と《超能力蛙》が退場した後の環境でも、《古えの墳墓》デッキやDimir Reanimatorが引き続き上位でよく見られます。
《古えの墳墓》デッキの中でも、EldraziやNaduに有効な《血染めの月》を使用できるMono Red Stompyが活躍しているようです。テンポデッキではTemur Delverが高い勝率を維持していますが、Dimir Tempoも《超能力蛙》なしで結果を残しています。
USA Legacy Express vol.248は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!