はじめに
みなさん、こんにちは。元統率者神の吉田です。今回も『霊気走破』の発売に先駆けてカードレビューを担当させていただきました。
今回は「機体」がメインのセットで、舞台にアヴィシュカー(カラデシュ)を含むこともあってかアーティファクトに関するカードが多いように感じました。アーティファクトシナジーの多い統率者戦でそんなセットを出していいのか……?
やや不穏な感じがしますが、使われそう・面白そうなカードは何なのか、見ていきましょう。
カードレビュー
白
《守護の陽馬》
《冠毛の陽馬》のリメイクみたいですが、一瞬目を疑うほど強いサーチ能力内蔵でリメイク元と全然違う能力になっています。
「騎乗4」はやや厳しいですが、《マラメトの模範、クチル》《堂々たる撤廃者》のような対話拒否カード、《ファイレクシアの供犠台》《食物連鎖》《死の国からの脱出》のようなコンボパーツをそのまま戦場に出せるのは強力。《Rasputin Dreamweaver》ではパワー4なのですぐ騎乗でき、無限パーツである《変位エルドラージ》を出せます。
それ以外にも《ネクロポーテンス》で一気に手札を補充したり、《追い討ち》と《饗宴と飢餓の剣》を持ってきて無限戦闘に入ったりとなんでもできます。誘発を倍にする《二天一流、一心》でぜひ使ってみたいですね。
《新たな結束》
統率者セットより。《選定された行進》系のカードですが、この手のカードにしては珍しく3マナと軽く、トークンのパワーも上がります。
生成するトークンを3倍にする《最深の基盤、オヘル・タク》と相性がよく、トークン1体生成時にまず3体、そして終了ステップ時に追加で9体も生成できます。1/1トークンとはいえ、12体いて+1/+0修整が入るのでかなりの脅威となります。
クリーチャータイプの指定はありますが、《エドガー・マルコフ》《リッチの女王、ヴァリーナ》《黄金の風、ゼリアム》のような同族デッキや、《アーボーグのラタドラビック》《消失師、プレストン》のようにクリーチャータイプを付与する統率者なら問題なく使えますね。《エレボスの手、アニクテア》ではこれ自身を追放して増やすことも。
《老練な指導者》
統率者デッキより。《過酷な指導者》がゾンビになりました。地味にエンチャントやプレインズウォーカーにも反応するようになっています。
トークンでドローができる《リッチの女王、ヴァリーナ》《マルネウス・カルガー》《Galadriel, Light of Valinor》、とにかく頭数が欲しい《宴の結節点、ジェトミア》《軍団のまとめ役、ウィノータ》《見捨てられた人形、アラベラ》で採用が見込めますが、強さは完全に相手依存。フェッチランドや《一つの指輪》のようなカードが出てこないと、何もしないクリーチャーで終わることもあるので、普段遊ぶ卓で使われているか考えて採用しましょう。
能動的(?)に使うなら、《個人用セキュリトロン、イエスマン》を送り付けるとポンポン起動してもらえそうです。
青
《再利用隔室》
アーティファクト版の《出産の殻》。
アーティファクトはアンタップ手段が多いので、マナさえあれば《通電式キー》→《通路の監視者》→《ソニック・ドライバー》……と次々マナ総量を上げていくことが可能です。《浸食するマイコシンス》でサーチ範囲を広げることも。
《再利用隔室》をサーチできて、自身をコストにできる《Iron Man, Titan of Innovation》では強力な1枚。《精神隷属器》《王神の立像》のようなエンドカードが出てくるので、放置するのは危険です。統率者をコストにするなら何度でも統率領域からプレイできるので、《K-9 マークI型》に採用してデッキを2マナのアーティファクトで固めてみるのも面白そうです。
《運送の魔道士》
《粗石の魔道士》《宝物の魔道士》《戦利品の魔道士》《捧げ物の魔道士》と20年以上かけて完成したメガサイクル最後の1枚。
《精霊の魂、アニマー》プレイヤーから強く望まれていたカードで、無限パーツである《祖先の像》をサーチできます。《運送の魔道士》自身も《帝国の徴募兵》でサーチできるので、アニマーの脅威度は大きく上がったといえるでしょう。
ほかのデッキでも《一つの指輪》《出産の殻》《ファイレクシアの変形者》をサーチできますが、サーチ範囲はかなり限定的なので、よほど上記のカードが欲しいデッキかクリーチャーであることを活かせるデッキでの採用となりそうです。
《多弁な司会、ヴンウクスト》
統率領域に置いておける2マナの統率者なので、非常に安定して「エンジン始動!」ができます。
1ターン目に《トリトンの岸忍び》などのブロック不可クリーチャーを出せれば、テンポよく「最高速度」を目指せるでしょう。攻撃しなくても、何かしらの形で相手がライフを失っていれば速度は上がるので、《陽焼けした砂漠》《蒸気の絡みつき》も大真面目に使えそうです。
「最高速度」に到達後はドローが倍になることを活かして、《狡猾な幻術師、ミーン》や《ホムンクルスの大群》《時間の旅人、テフェリー》で襲い掛かると青単らしくなくて楽しそうですね。
黒
《スピードデーモン》
出したターンに相手のライフを削れていれば2枚、次のターンには3枚引けるのでかなり強力。その動きはさながら黒い《一つの指輪》のようです。飛行・トランプル持ちなので、相手のライフを失わせるのは苦労しないでしょう。初期ライフが40ある統率者戦では、自分のライフを気にせず爆走できます。
統率者として使う場合は、「最高速度」で出していきなり4枚ドローしたいので《ムラガンダ・サーキット》などの土地であらかじめ速度を上げておきたいですね。
注意点としては、「エンジン始動!」は戦場に出たときの誘発型能力ではなく状況起因処理なので、このカードのコントロールを奪われると相手も「速度1」を持ってドローし始めます……がフレイバーテキスト曰く「注意は腰抜けのすること」らしいので気にしなくていいでしょう!奪われたら事故です!事故!
《悪魔の破砕機》
宝物・トークンや《秘儀の印鑑》などのマナアーティファクトが多用される統率者戦では、2~3マナで気軽にプレイできそうです。
《秘密売り、ティヴィット》では投票後に5マナ軽くなるのでオマケ感覚でプレイできますね。《鉄喰いイムスカー》では妨害しつつイムスカーを統率領域に戻せて良し、マナ総量が大きいので起動型能力で投げつけても良しと相性いいです。
アーティファクトであり、クリーチャー化もできるのでコピーも容易。《生け贄》《Burnt Offering》で加速したり《悪意の閃光》で放り込んだりといろいろと融通の利く除去カードです。
親和(アーティファクト)の呪文を宝物・トークンから唱える際は、コストの決定をしてからマナを払うので、失った宝物・トークンの分コストが増えることはありません。覚えておきましょう。
《夜の大臣、ゴンティ》
《絞り取る徴税人、レヴ》同様、相手のライブラリーからカードを奪って戦えるカード。効果は戦場のすべてのクリーチャーに適用されます。
レヴとの違いは、相手にも利用されるけど奪える枚数に上限がないということ。自分が愛用している《トレストの密偵長、エドリック》と《織り手のティムナ》の関係に近いです(ティムナは共闘ですが……)。
エドリックは自分が殴られにくいのをいいことに《森の知恵》などでガンガンライフを払ってましたが、それを黒でできるのは強そうですね。《墓石の階段》を置けば殴り合いもヒートアップしてカオスな盤面も期待できそうです。ただ、《家路》や《ドラニスの判事》1枚ですべてが狂うので破壊できるカードは入れましょう。
赤
《咆吼部隊の重量級》
「エンジン始動!」によるマナ能力が目を引きますが、実際にはトークン生成とゴブリンに速攻を与える能力がメインになりそうです。
《群衆の親分、クレンコ》ではぜひ使いたい逸材。微妙にややこしいのですが、トークンの強制戦闘はこのターンに生成されたものだけで、前のターンに生成されたものはブロックに回せます。《ゴブリンの熟練扇動者》とは違うので気をつけましょう。
《溶岩族の砲兵》
《光り角の海賊》をマイルドにしたようなカード。《鋭い目の航海士、マルコム》とのコンボはできませんが、《知恵の蛇の眼》とのクリンナップ・ステップでのディスカードによるループは可能なので、パウパーEDH界隈ではちょっと話題みたいです。
無限の有無に関わらず、《鉄面連合の略取者、ブリーチェス》では強いカードなのでディスカードシナジーを増やして使うのもよさそうです。ちなみに、《溶岩族の砲兵》は「サイクリング」時にも1点ダメージを与えられますが、《鋭い目の航海士、マルコム》はパーマネントの海賊が誘発条件なので宝物・トークンは生成されません。残念。
緑
《重厚な世界踏破車》
3マナのタップインでは少し遅そうですが、繰り返し使えるなら話は別。
「上陸」能力が使える《創造の座、オムナス》《円渦海峡の暴君、アシー》や、「搭乗」でタップできる《救助のけだもの、コーナ》《アティインの英雄、ワイリー・デューク》で使えそうです。ゲームが長引くとパワーも大きく上がるので脅威になりえます。成長したら《よりよい品物》や《フレイアリーズの信奉者》に放り込んでいきましょう。
《脱皮の世話人》
限定的な1マナのマナクリーチャーです。《ラノワールのエルフ》系列をありったけ入れても足りてないデッキでは貴重な戦力です。
ドルイドなので《クローサの庇護者シートン》、昆虫なので《飢餓の潮流、グリスト》でも出番はありそうです。採用する際は《虹色の眺望》含めたフェッチランドをガン積みしましょう。《死儀礼のシャーマン》とは異なりマナ能力なので《眷者の神童、キナン》でも安心です。
《網撃の精鋭》
《沈黙》や《堂々たる撤廃者》をよく見かける統率者戦では、呪文を唱えず相手のパーマネントに干渉できるカードは重宝されます。マナ総量X以下ではなく、Xのみ対象に取るため《偏向はたき》がやや当たりにくいのも特長。
ただ、「サイクリング」コストはかなり重いので2~3マナあたりが限界ですね。通常プレイはただの3/3・到達で《オハビ・カレリア》くらいでしか活用できないので、割りたいカードを想定してからデッキに入れるようにしましょう。
多色
《ロケッティアの隊長、レッドシフト》
自分のパワー分のマナを出せる統率者。ただしマナは起動型能力にしか使えません。
パワーを上げつつアンタップできる《暗黒のマントル》《パルンズの剣》でお手軽(起動型能力限定)無限マナ。そのまま《らせんの円錐》や《追い討ち》で勝ちにいきましょう。通常マナに変換したくなったら《大蛇の葉詠み》や《燭台の大魔術師》で。
細かいところだと《モスファイアの谷》《火の灯る茂み》の起動マナに充てたり、警戒を持っているので攻撃しながら自分で《イス卿の迷路》を起動すると1回分のマナを稼ぐことができます。
「消尽」で全展開できますが赤緑カラーでは限界があるので、《統べるもの、ジョダー》に入れてパワーを大幅に上げつつ、「消尽」起動に合わせて《よりよい品物》に放り込むのも面白そうです。
《スカラベの拳、ハシャトン》
統率者セットより。テキストに青が含まれているので固有色は白青黒。クリーチャーを捨てたときにマナを払ってリアニメイトするのですが、呪文を一切唱えず出てくるので非常に妨害がしにくいです。
《穢れた血、ラザケシュ》《アストラル・ドラゴン》《エインシャント・シルヴァー・ドラゴン》がいきなり出てくるのは恐怖。ゾンビ化しても元のクリーチャーは追放されないので、《拷問生活》で《パリンクロン》を捨てて拾って……を繰り返すだけで無限マナになります。
2マナなので《深海の破滅、ジャイルーダ》や《夢の巣のルールス》を相棒にすることも一応可能。
海外で少し話題になっていたのが、《根絶》などの「刹那」呪文を唱え、優先権放棄せず《ライオンの瞳のダイアモンド》を起動(起動タイミングに制限はあるが、マナ能力ではあるので起動できる)して、《タッサの神託者》《地ならし屋》を捨てる→ゾンビ化させて「刹那」下のまま勝つという動き。必要枚数が多いので実戦向きではありませんが、「刹那」下で勝つのは一度はやってみたいですね。
《ナクタムンの意志、テムメト》
統率者セットより。ドローするたびゾンビが強化される統率者。単体でもドローステップと攻撃時で2枚引けているので、6/6・警戒・威迫で攻撃できます。《忘れられた作品》《テフェリーの細工箱》で毎ターン引き直すのも強力。
《闇市の人脈》《リッチの女王、ヴァリーナ》とも相性抜群で、ゾンビ(多相)生成もドローもできるので尋常でない打点を叩きこめます。問題は執筆当時での《リッチの女王、ヴァリーナ》の晴れる屋在庫が0なところ。手遅れだぞ!
無色
《光輝の睡蓮》
新しい「睡蓮」のカード。戦場のアーティファクトが実質《Black Lotus》になりますが、対象をとるため《死儀礼のシャーマン》と同様にこれはマナ能力ではなく、スタックで《沈黙》を当てられて何もできなくなったり、《偏向はたき》でマナをすべて奪われて無を得たりします。
それでも《クラーク族の鉄工所》を遥かに上回る圧倒的なマナ加速のため、瞬間加速の欲しいエルドラージ統率者や繰り返し使える《ウェザーライトの英雄、ジェラード》、能力をコピーできる《冷酷な者、アシュノッド》では採用されそうです。《大いなる歪み、コジレック》で使う際は、無色マナの支払いに気をつけましょう。
《霊気式増幅器》
統率者セットより。マナファクトでありながら、カウンターを倍にもできるカード。
忠誠度を倍にできるので《知りたがりの学徒、タミヨウ》《愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット》のような、統率者に指定できるプレインズウォーカーで使われそうです。統率者には指定できませんが、《時の支配者、テフェリー》でも忠誠度12の状態で奥義が撃てれば無限ターンに入ります。
《空想小僧、ピール》&《空想の友人、トゥーシー》など+1/+1カウンターを使う統率者では、一気に打点を上げられるためかなり危険なカードです。
《歩行格納庫の自動機械》
統率者セットより。最近よくある追加でトークン生成シリーズですが、アーティファクトかつクリーチャーのトークンを生成するので、非常に悪さがしやすいカードとなっております。
《巣穴の魂商人》がいればライフ分宝物・トークン、《召喚基地》か《無慈悲な略奪者》とサクリ台で無限トークン、《前兆の時計》と《改良式鋳造所》で無限トークン……などなど怪しそうなカードとすぐコンボします。
無限でなくとも《息詰まる徴税》の宝物・トークンに毎回2/2飛行トークンがついてくるようになり、もともと飛行機械・トークンを生成できる《練達飛行機械職人、サイ》《レオナルド・ダ・ヴィンチ》では倍速で生成されるようになります。特にダ・ヴィンチは飛行機械に全体修整をかけられるので、あっという間に殴り切られるでしょう。
《生体生成エンジン》
《厚顔の無法者、マグダ》で使われるであろう1枚。ドワーフをタップして宝物・トークンを生成できるので機体との相性はもともと良かったのですが、その機体までドワーフになるので宝物・トークンの生成スピードがさらに上がります。
オマケにアーティファクト・ドワーフなので《前兆の時計》があれば無限に宝物トークンが生成され、デッキ内のアーティファクトがすべて出てくることに。危険すぎるので必ずカウンターか《厚顔の無法者、マグダ》を除去しましょう。
過去セットの注目カード
今回は《新たな夜明け、ケトラモーズ》で使われている《次元の狭間》に注目しています。墓地対策カードなのですが、《虚空の力線》と異なり一度墓地を経由してから追放されるためケトラモーズでドローすることができます。
モダンでの相方である《超能力蛙》が固有色の都合上使えないため、《朽ちゆくインプ》などの「共鳴者」+《次元の狭間》でライフの続く限りルーティング、手札を増やしたくなったら《暗黒破》などの「発掘」持ちを加えて力ずくでループしていきます。
もともとは『ウルザズ・サーガ』のアンコモンなのですが、一度も再録がないためか執筆当時の晴れる屋在庫0!当時やっていた人なら押し入れに眠っている可能性があるので探してみましょう。
これで『霊気走破』カードレビューは以上となります。
今回紹介したカードのほかにも面白そうなカードがたくさんあるので、みなさんもいろいろ試してみてください!
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