はじめに
みなさん、こんにちは。
今週末には『第28期レガシー神挑戦者決定戦』が開催されます。『日本レガシー選手権・冬』から2週連続で開催されるテーブルトップのイベントで、今月は日本国内のイベントが充実していますね。
さて、今回の連載では『Legacy Showcase Challenge』と『日本レガシー選手権・冬』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
『Legacy Showcase Challenge』 -墓地を使ったデッキが多数-
『Legacy Showcase Challenge』はMOで開催されるプレミアイベントで、トップ8に入賞したプレイヤーには『Showcase Qualifier』への参加権が与えられます。
参加者238名で開催された今大会の上位は、現在のレガシーらしくReanimator、Dredge、Cephalid Naduなど墓地を使ったコンボデッキが多数見られました。
優勝したのはCephalid Naduでした。
Cephalid Nadu
L4rss0nは同デッキのエキスパートで、禁止改定直前にヨーロッパで開催された『Eternal Weekend EU』でも優勝していた強豪プレイヤーです。
《コーの遊牧民》+《セファリッドの幻術師》のコンボプランは墓地対策が弱点でしたが、《有翼の叡智、ナドゥ》が登場したことでミッドレンジプランも取りやすくなり、多角的な攻めを展開しやすくなりました。
☆注目ポイント
《ウルザの物語》はメインではコンボパーツの《手甲》、サイド後は墓地対策の《除霊用掃除機》やコンボデッキに有効な《真髄の針》をサーチすることができ、コンボ以外の勝ち手段にもなります。
メインはオーソドックスな構成ですが、サイドは《フェアリーの忌み者》と《否定の力》が各種3枚ずつ採用されているなど、ReanimatorやThe Spyなどコンボデッキが多い現環境に合わせた構成になっています。
相性の悪いマッチアップであるMono Red Prisonも意識していたようで《水流破》も見られます。また、Mono Red Prisonやエルドラージなど複数のマッチアップで有用な《記憶への放逐》も欠かせません。
Dredge
Dredgeは墓地を使ったコンボデッキの中でも非常に爆発力が高く、過去のレガシーで多くのデッキが常にサイドボードの枠を墓地対策に割いている理由となっていました。
このデッキの強さは墓地対策の使用率によって変動しますが、現在のレガシーではReanimatorやThe Spy、Cephalid Naduなど、墓地を使ったコンボデッキが複数活躍しているため、墓地にオールインしたDredgeは対策されやすくなっています。
そんななか、Dredgeを得意とし、過去のイベントでも結果を残しているMahfuzVanGoghは、《ライオンの瞳のダイアモンド》によってマナを供給しつつ、手札の「発掘」カードを即座に墓地に落とせるLED型のDredgeで準優勝という好成績を残していました。
☆注目ポイント
《異世界の凝視》は能動的に「発掘」カードを墓地に落とせる手段です。爆発力の面ではほかのスペルに劣るものの、「フラッシュバック」持ちで軽いのでカウンターされても再度プレイできます。ライブラリートップから3枚見ることができれば「発掘」カードを見つけるのも容易で、「切削」なので《ナルコメーバ》も出すことができます。
『統率者デッキ:Warhammer 40,000』で登場した《ポクスウォーカー》は「フラッシュバック」スペルとの相性が抜群で、Dredgeには《陰謀団式療法》《戦慄の復活》《信仰無き物あさり》《異世界の凝視》といったスペルを複数採用しているため、簡単に墓地から戻すことができます。
このデッキには《ナルコメーバ》や《ポクスウォーカー》といったマナを支払わずに場に出せるクリーチャーがいるので、《潜入者、悟》の能力で簡単にドローできます。このドローを「発掘」に置換できるため、また《ナルコメーバ》が捲れれば再度ドローから発掘に繋げることが可能です。これにより、一気にライブラリーのカードを墓地に落として《タッサの神託者》で勝利するという動きもできます。
『プレイヤーズコンベンション千葉2025 日本レガシー選手権・冬』 –《古えの墳墓》の時代-
先週末に日本国内で開催された大規模イベント『日本レガシー選手権・冬』は参加者約190名と大盛況でした。
今大会の上位は、Mystic Forge Combo、Mono Red Prisonなど複数の《古えの墳墓》デッキが見られました。ほかには、Dimir ReanimatorやNaduといった禁止改定前の環境から活躍していたデッキが中心となっています。
Mystic Forge Combo
今大会で見事に優勝を果たしたMystic Forge Combo。禁止改定前の環境でも『Eternal Weekend 2024 NA』を制するなど、《苛立たしいガラクタ》が禁止になってもその強さは変わりないようです。
《苛立たしいガラクタ》が《防御の光網》に挿し変わった以外ではメインのプランは変わらず、2マナランドやマナアーティファクトによるマナ加速から《神秘の炉》《大いなる創造者、カーン》《一つの指輪》といった強力な4マナの無色カードを高速展開していきます。
『モダンホライゾン3』からも《まばゆい肉掻き》や《コジレックの命令》といった強力な無色カードを獲得し、脅威の密度が増したため青いデッキやほかのコンボにも耐性が付いています。
☆注目ポイント
《まばゆい肉掻き》+《コジレックの命令》コンボはこのデッキの主な勝ち手段になります。《水蓮の花びら》など軽いアーティファクトを多用するので、《まばゆい肉掻き》は単体でも非常に強力なカードになります。
《コジレックの命令》はライブラリー操作・クリーチャー除去・墓地対策など非常にフレキシブルなカードですが、特にマナが大量に出るこのデッキではエルドラージ・落とし子・トークンを生成するモードが強力です。また、《まばゆい肉掻き》と組み合わせることで相手のライフを一気に削り切ることができます。
《大いなる創造者、カーン》+《マイコシンスの格子》のロックコンボも、このデッキの勝ち手段のひとつです。《大いなる創造者、カーン》は状況に応じてさまざまなアーティファクトをサーチできるので、《神秘の炉》と同様にこのデッキの重要なカードになります。
カードを大量にドローできる《一つの指輪》が加わったことにより、息切れしにくくなりました。マナベースも大幅に強化されており、《次元の結節点》と《ウルザの塔》の組み合わせによって《神秘の炉》など強力な4マナスペルを早い段階からプレイしやすくなっています。
Dimir Reanimator
今大会でも最大勢力だったDimir Reanimator。《悲嘆》や《超能力蛙》といったカードが禁止になり弱体化を強いられてきましたが、現在でもレガシーのトップメタの一角で高い勝率を維持しています。
メインから墓地対策されることはあまりないので、リアニメイトは強力なプランになります。また、サイド後は《ダウスィーの虚空歩き》や《バロウゴイフ》といった軽い優秀なクリーチャーで攻めるプランを取ることができるのがデッキの特徴です。
このように《納墓》から《再活性》による高速コンボプランを狙いつつ、各種ドロースペルで手札を整えながらじっくりと勝ちにいけるフレキシブルさが強みで、禁止改定後も高い勝率を維持している理由になります。また、マナ基盤に余裕があるため《血染めの月》や《不毛の大地》といった特殊地形対策にも耐性があります。
☆注目ポイント
《バロウゴイフ》はリアニメイトプラン以外の勝ち手段として、特にフェアデッキとのマッチアップで重宝します。ゲームが長引いたときのために、このリストではメインからも1枚だけ採用されています。除去やカウンターされても《再活性》で容易に復活させることができ、3マナなのでライフの負担も軽く済みます。
《剣を鍬に》を使ったデッキも意識していたようで、追加のリアニメイトの対象として《グリセルブランド》もメインから採用されています。
《苛立たしいガラクタ》が禁止になったことで、Mono Red Prisonなどが《虚空の杯》をふたたび採用するようになったため、メインから複数の《厚かましい借り手》が採用されています。サイド後も《墓掘りの檻》や《虚空の力線》といった置物を対策できるので、リアニメイトプランも取りやすくなります。
環境に存在する複数のコンボデッキ用に追加の《否定の力》のほかにも、《記憶への放逐》や《無のロッド》といったカードも見られるなど、ストンピィ系やアーティファクトデッキも意識しているようです。エルドラージなど特殊地形を多用するマッチアップでは《海の先駆け》が有効です。
総括
禁止改定後のレガシーでは各種《古えの墳墓》デッキが中心で、Dimir ReanimatorやCephalid Nadu、The Spyなど墓地を使うコンボデッキも結果を残しています。
《古えの墳墓》デッキに勝つ最善の方法は、相手のマナ基盤を攻めつつ軽いクロックを展開することで、Temur Delverは現環境で有効な選択肢のひとつになります。《古えの墳墓》によるライフロスも加算されるので、軽いクロックと《稲妻》による火力でライフを攻めてくるテンポデッキは脅威となります。
USA Legacy Express vol.249は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!