はじめに
みなさん、こんにちは。
各地の地域チャンピオンシップが終了し、新セットである『霊気走破』がリリースされて新環境に突入したモダン。『霊気走破』にはモダンでも使えるカードがいくつか見られるようです。
今回の連載では、先週末にMagic Onlineで開催された『Modern Showcase Challenge』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
『Modern Showcase Challenge』 -別次元の強さを見せるGrinding Station-
先週末に開催された『Modern Showcase Challenge』は、トップ8の内6名がGrinding Stationという極端な結果になりました。
各地で開催された予選イベントでも高い勝率を出していたデッキで、《オパールのモックス》が解禁されて以来、このデッキが環境を支配するのは時間の問題とされていました。
最速で2ターン目にコンボを決めることができる一方で、ロングゲームにも対応できるため対戦難易度が非常に高く、競技思考のプレイヤーが集った『Showcase Challenge』のようなイベントでは今回のような結果も納得です。
Grinding Station
《オパールのモックス》が禁止解除されたことにより、このデッキは圧倒的な速度と安定性を手に入れました。
《研磨基地》+《死の国からの脱出》+《オパールのモックス》でコンボを決めることができ、最速2ターン目に勝利することも可能です。また、コンボが対策されても《ウルザの物語》の構築物・トークンによるビートダウンプランをとることができます。
デッキの型にいくつかバリエーションがありますが、最もポピュラーな形は《邪悪鳴らし》を採用でき、サイドボードの選択肢が豊富なティムール型になります。
☆注目ポイント
《知りたがりの学徒、タミヨウ》は青い伝説のクリーチャーなので、《モックス・アンバー》から青マナが出るようになります。攻撃時の能力でアーティファクトである手掛かり・トークンを生成できるため、《湖に潜む者、エムリー》のコストを軽くしたり、《ウルザの物語》の構築物・トークンを強化をでき、《研磨基地》ともシナジーがあります。
《邪悪鳴らし》は現環境の主流なバージョンになっている理由のひとつです。コンボパーツを探しつつ墓地を肥やすことができ、コンボを始動するターンでも《死の国からの脱出》の能力を利用して墓地から複数回プレイすることで、必要なカードを確保しやすくなります。
Esper Oculus
《超能力蛙》と《忌まわしき眼魔》を軸にしたDimir Oculusも、禁止改定後のモダンで常に上位で見られるデッキです。
最新のセットである『霊気走破』からは、《新たな夜明け、ケトラモーズ》という新戦力を獲得しました。タッチ白型は、《害獣駆除》を採用したものが『霊気走破』発売前の大会で結果を残していましたが、今大会では《新たな夜明け、ケトラモーズ》を採用したEsper Oculusがプレイオフに入賞していました。
☆注目ポイント
このデッキには、軽い優秀なスペルで相手を妨害しつつ《超能力蛙》でアドバンテージを稼いでいくミッドレンジプランと、《超能力蛙》などで墓地に送った《忌まわしき眼魔》を《発掘》で釣るというリアニメイトプランがあります。この動きは、レガシーでも人気なDimir Reanimatorと似ています。
1マナ以下の土地でないパーマネントを一掃する《害獣駆除》は、苦手なマッチアップであるBoros Energyの《魂の導き手》や《オセロットの群れ》、トークンなどをまとめて流すことができます。0マナのアーティファクトや構築物・トークンも流すことができ、Grinding Stationにも有効なので現環境のメタに合っています。
《新たな夜明け、ケトラモーズ》は自分のターンにカードが追放されるたびにカードをドローでき、攻撃できるようになれば絆魂でライフロスも取り返すことができます。《虹色の終焉》などの追放系の除去や《大祖始の遺産》が実質アドバンテージ源となり、《超能力蛙》の起動型能力でもドローできます。
Boros Energy
《一つの指輪》と《色めき立つ猛竜》を禁止にされたのにも関わらず、Boros Energyは世界中の地域チャンピオンシップで最も人気のあるデッキでした。
このデッキはGrinding Stationに次いでモダンのベストデッキであり、メインの相性はGrinding Stationに対して悪いですが、サイド後は対策カードを複数投入できるので、優秀なクロックと組み合わせることで互角以上に渡り合えます。
☆注目ポイント
Boros Energyは《魂の導き手》や《オセロットの群れ》といったクリーチャーで並べて圧をかけるアグロデッキです。《ナカティルの最下層民、アジャニ》と《ゴブリンの砲撃》を組み合わせてプレインズウォーカーに変身させたり、《火の怒りのタイタン、フレージ》+《栄光の闘技場》による奇襲など多角的な攻めが可能なデッキになります。
またこのデッキは、《オアリムの詠唱》《石のような静寂》といったコンボデッキに有効なサイドカードの選択肢が豊富です。特に《オアリムの詠唱》は、メインで相性の悪いGrinding StationやRuby Stormに刺さる優秀な妨害札です。《除霊用掃除機》などの墓地対策は、墓地を使うコンボデッキだけでなくDimir Oculusとのマッチアップでも使えます。
《一つの指輪》と《色めき立つ猛竜》に代わる中盤以降のアドバンテージ源として、《歴戦の紅蓮術士》と《鏡割りの寓話》が採用されています。《歴戦の紅蓮術士》は《魂の導き手》ともシナジーがあり、《キキジキの鏡像》の有力なコピー対象になります。
Amulet Titan
北米の地域チャンピオンシップを制したAmulet Titanは、現環境のトップメタであるGrinding Stationに強いデッキということで注目を集めていました。
アドバンテージ源であった《一つの指輪》は禁止になりましたが、《精力の護符》とバウンスランドを組み合わせて《原始のタイタン》を早い段階から展開する爆発力は健在です。《緑の太陽の頂点》の禁止が解除され、《召喚士の契約》とともにデッキの安定性を支えています。プレイ難易度こそ高いデッキですが、コンボ速度が速く現環境でいい立ち位置にあるデッキになります。
☆注目ポイント
Amulet Titanを得意としているkanisterのリストは、《緑の太陽の頂点》がメインでは不採用であり、《探検》を採用して《風景の変容》を増量することで可能な限り早くコンボを決めることを優先しています。
メインに1枚挿しされている《森の轟き、ルムラ》は、《原始のタイタン》と異なり必要な土地を厳選してサーチしてくることはできないものの、土地を多くプレイするこのデッキでは《原始のタイタン》と同じような役割を果たすことが多く、追加のフィニッシャーとして有力です。
このデッキがGrinding Stationに強い理由は、《耐え抜くもの、母聖樹》《溜め込み屋のアウフ》《活性の力》《ボジューカの沼》といったさまざまな対策カードにアクセスできることです。
《耐え抜くもの、母聖樹》を《事件現場の分析者》+《変容する森林》で再利用すれば、相手はコンボパーツをそろえることが困難になります。さらに《ボジューカの沼》で墓地を掃除し、《溜め込み屋のアウフ》で《研磨基地》などのアーティファクトの起動を封じることが可能です。
総括
『地域チャンピオンシップ』や『Modern Showcase Challenge』の結果から、Grinding Stationのパーツのどれかが今後の改定で禁止になるのではという声もあります。
かつての《ゴルガリの墓トロール》と同様に、《オパールのモックス》を禁止解除したのは間違いだったという意見も散見されますが、AffinityやHammer Timeなど「アーティファクトを軸にした戦略がトーナメントレベルでも活躍できるように」としたのが《オパールのモックス》を解除した本来の目的だったので、ほかのカードが禁止になるかもしれないと予想するプレイヤーもいるようです。
USA Modern Express vol.128は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!