最新のスタンダード大会結果をチェック!
こんにちは。晴れる屋メディアの紳さんです。
先週、2月22-24日の3日間でプロツアー『霊気走破』が行われました。
プロツアーとは1年に3回開催されるマジックの世界大会で、世界各地の予選を突破したプレイヤーだけが参加できる招待制のイベントです。
世界最高峰の舞台で、どんなデッキが活躍したのでしょうか。プロツアー『霊気走破』の結果をチェックしていきましょう!
プロツアー『霊気走破』のメタゲーム
349名が参加したプロツアー『霊気走破』。使用デッキの分布は下記の通りとなりました。
デッキ | 使用者数 | 使用率 |
---|---|---|
グルール果敢 | 66 | 18.9% |
エスパーピクシー | 58 | 16.6% |
オーバーロード | 53 | 15.2% |
ジェスカイ眼魔 | 21 | 6.0% |
赤単 | 11 | 3.2% |
ディミーアミッドレンジ | 9 | 2.6% |
ディミーアバウンス | 9 | 2.6% |
アゾリウス眼魔 | 9 | 2.6% |
ゴルガリミッドレンジ | 8 | 2.3% |
セレズニアケージ | 8 | 2.3% |
エスパー模範 | 7 | 2.0% |
アゾリウス全知 | 7 | 2.0% |
ジェスカイ召集 | 7 | 2.0% |
グルール果敢(残響の力線) | 7 | 2.0% |
アゾリウスコントロール | 7 | 2.0% |
陰湿な根 | 4 | 1.1% |
ジェスカイモニュメント | 4 | 1.1% |
ボロス召集 | 4 | 1.1% |
ゴルガリ墓地利用 | 4 | 1.1% |
ゴルガリ抹消者 | 4 | 1.1% |
ディミーアエンチャント | 3 | 0.9% |
グルール昂揚 | 3 | 0.9% |
バントケージ | 3 | 0.9% |
バント機械巨人 | 3 | 0.9% |
白単コントロール | 3 | 0.9% |
アゾリウスアグロ | 3 | 0.9% |
マルドゥモニュメント | 3 | 0.9% |
イゼットアーティファクト | 2 | 0.6% |
そのほか使用者1名のデッキ | 19 | 5.4% |
合計 | 349 | 100% |
トップメタとなったのはグルール果敢。《残響の力線》型も含めればシェア率は20%を超え、圧倒的な人気を誇ります。
アグロデッキとしてのスピードはもちろん、《探索するドルイド》によるリソース補充もでき、ロングゲームにも対応できる強度があります。
グルール果敢に次ぐ人気だったのはエスパーピクシーでした。
バウンスギミックと《呑気な物漁り》が組み合わさったときのスピード感はアグロデッキに劣らず、終盤は《嵐追いの才能》と《この町は狭すぎる》を延々と使い回すシナジーコンボを狙うことができ、序盤から終盤まで隙のないデッキです。
3番目に人気だったのがオーバーロードです。
《豆の木をのぼれ》設置後、《ホーントウッドの大主》や《ミストムーアの大主》を「兆候」で唱えることで安定したドローを重ねることができ、《永遠の策謀家、ズアー》が着地すると、各オーバーロードを一気にクリーチャー化して強力なビートダウンを仕掛けることができます。
ほかにも有力なデッキはあるものの、プロツアー『霊気走破』はおおむね「グルール果敢」「エスパーピクシー」「オーバーロード」の三つ巴となりました。
プロツアー『霊気走破』大会結果
リミテッドとスタンダードによって競われたプロツアー『霊気走破』。大会結果、トップ16はこのようになりました。
プロツアー『霊気走破』
優勝 オーバーロード
準優勝 オーバーロード
トップ4 オーバーロード
トップ4 グルール果敢
トップ8 ゴルガリ墓地利用
トップ8 グルール果敢(残響の力線)
トップ8 ジェスカイ眼魔
トップ8 赤単
トップ16 エスパーピクシー
トップ16 ジェスカイ眼魔
トップ16 セレズニアケージ
トップ16 アゾリウスコントロール
トップ16 オーバーロード
トップ16 グルール果敢
トップ16 オルゾフピクシー
トップ16 エスパーピクシー
優勝&準優勝をオーバーロードが独占する結果となりました。
- 2025/02/13
オーバーロード
戦場のエンチャントがズアーの号令で牙をむく!屈指のハイパワーデッキ!
グルール果敢やエスパーピクシーもトップ16に複数名が入賞するなど、安定した成績を残しています。
- 2024/10/01
果敢ビートダウン
目指せ2ターンキル!クリーチャーを超絶強化して大ダメージ!
- 2025/1/15
エスパーピクシー
強力エンチャントを使いまわす!驚異のセルフバウンスシステム
オーバーロード
こちらが見事、優勝を果たしたMatt Nass選手のオーバーロードのリストです。
3枚の採用に抑えられることも多い《ミストムーアの大主》と《永遠の策謀家、ズアー》を4枚フル採用し、デッキの出力を最大限まで高くしようとした構築であることが伺えます。《群れの渡り》も完全に抜けていますね。
『霊気走破』の新カードとしては《全損事故》が4枚フル投入されています。《眠りからの襲撃》や《光明の叱責》とほぼ同じ性能ではありますが、機体も対象に取れるようになっている分、わずかに上位互換といえるでしょう。
《力線の束縛》と同様、《豆の木をのぼれ》のドローを誘発させる優秀な除去です。
今大会、オーバーロードが有力デッキの一つであることは周知の事実であり、ミラーマッチに有効なカードがサイドボードにいくつか採用されています。
準優勝したデッキを含め、ほかのオーバーロードには《完成化した精神、ジェイス》や《ドッペルギャング》の採用がよく見られましたが、Matt Nass選手はその上をいく《機械の母、エリシュ・ノーン》を採用していました。
《機械の母、エリシュ・ノーン》がいれば、対戦相手の各オーバーロードの出たとき能力や《力線の束縛》を完全に沈黙させ、自身の出たとき能力の誘発は2倍となります。決勝戦でも存在感を示しました。
グルール果敢やエスパーピクシーに対するガードも下げておらず、墓地対策も怠らない、素晴らしい構築です。
ジェスカイ眼魔
今大会、森山JAPANが調整した持ち込みデッキ、ジェスカイ眼魔も素晴らしい活躍をしました。なかでも原根 健太選手はトップ8入賞を果たし、次回以降のプロツアーと世界選手権出場の権利を手に入れております。
《逸失への恐怖》と《太陽の執事長、インティ》は《忌まわしき眼魔》を墓地に落としながら、盤面に残れば大きなプレッシャーとなる強力なクリーチャーです。
《塔の点火》とこれらのクリーチャーを採用できる点が、「ジェスカイ型」眼魔デッキの強みとなります。
各ルーティングシナジーは単に《忌まわしき眼魔》のリアニメイトを狙うだけでなく、《プロフトの映像記憶》と強力なシナジーを形成します。
《プロフトの映像記憶》は飛行・警戒を持つ《蒸気核の学者》をフィニッシャーに変えてしまえるほどのインパクトがあり、さらに戦闘の開始時に能力が誘発するため、《逸失への恐怖》による追加の戦闘フェイズの価値も格段に高くなります。
伝説のエンチャントである点がネックですが、強気の3枚採用をしていることからも、森山JAPANはこのカードを高く評価しているようです。
『霊気走破』では《呪文貫き》とサイドボード要員として《灯を追う者、チャンドラ》を獲得しました。
《灯を追う者、チャンドラ》は全体除去に巻き込まれず、安定して速攻3/2の機体・クリーチャーを生成することができます。[+2]能力でルーティングが可能な点もデッキに噛み合っており、 まさしく必殺のサイドカードだったのではないでしょうか。
原根選手がトップ8を決めたROUND15のゲームでは、まるでチャンドラが「TOP8まで連れてってあげるけど、乗る?」と語りかけるかのような活躍でした。
このゲームは3ターン目に《悪夢滅ぼし、魁渡》を出される苦しい展開だったのですが、絶妙な切り返し方でピンチを脱する原根さんのプレイングがとても印象的です。
ゴルガリ墓地利用
まったくノーマークの墓地利用デッキがトップ8に入賞していました。359名中、使用者はたった4名のアーキタイプです。
「切削」で墓地に大量のカードを送り込み、「墓地にあるクリーチャーやアーティファクトの数だけコスト軽減される」呪文を唱えるというコンセプトのデッキです。
コスト軽減された呪文は1-2マナで唱えたとしても、《豆の木をのぼれ》が誘発します。アイディアとしてはシミックテラーに近いですが、今回のデッキは黒が入るため、メインからクリーチャー除去ができるという強みがありますね。
《迷いし者の魂》は2マナでありながら、驚くべきスピードでスタッツが大きくなるアタッカーです。スタンダードでは《威厳あるバニコーン》に勝るとも劣りません。
唱える時にカードを1枚捨てるか、パーマネント1つを生け贄に捧げる必要がありますが、墓地が増えるため、このデッキにとってはむしろメリットとなる場面の方が多そうです。
《かじりつく害獣》を生け贄に捧げて、タフネス1のクリーチャーを能動的に除去するといった使い方もできます。
さて。当然ながら、このゴルガリ墓地利用にとって墓地対策カードは致命的です。ましてや現スタンダードは《忌まわしき眼魔》が幅を利かせているため、どのデッキも墓地対策を怠ることはありません。
しかしながらこのデッキは、サイドボードに《屑鉄撃ち》4枚をはじめとした「墓地対策の対策」が徹底的になされていました。
おなじ墓地利用デッキでもアゾリウス全知やリアニメイトと違い、「特定のカードを墓地から追放されると詰む」タイプのデッキではなく、ふたたび「切削」することでリカバリーが容易です。
序盤に「切削」目的でプレイした《ベイルマークの大主》が終盤になって動きだす点も、墓地対策だけではデッキが止まらない理由の1つといえるでしょう。
デッキリストを最初に見たときに感じる印象より、デッキ強度は高そうです。
《脱皮の世話人》や《キチン質の墓地歩き》といった新カードも採用されており、今後の活躍が楽しみなデッキですね。
おわりに
以上、プロツアー『霊気走破』の大会結果まとめでした。オーバーロードがここにきて本格化しているようですが、メタゲームが面白くなるのは、まさにここからです!
実は今大会にも、トップ16に《完成化した精神、ジェイス》を4枚採用したアゾリウスコントロールが入賞しており、このデッキは予選ラウンドでグルール果敢に1敗した以外はすべてのゲームで勝利していました。(最終的な順位はリミテッドの結果も影響します)
大注目の新カード、《食糧補充》も4枚採用されており、新時代のアゾリウスコントロールという感じがします。
もし、今回の結果を受けてオーバーロードがトップメタになるとすれば、今度はコントロールデッキの活躍が見られることになるでしょう。
初日、ドラフトラウンドを全敗(0-3)して窮地に立たされたRémi ROUDIER選手は、残りのスタンダードラウンドを独特なアーティファクトデッキを使って全勝し、2日目に進みました。
《奇怪な宝石》と《再利用隔室》のシナジーはあらゆるアーティファクトを脅威に変え、《身代わり合成機》をサーチしたあとは、いとも簡単に盤面を制圧します。
このイゼットアーティファクトもまだまだ発展の可能性を秘めているかもしれません!今後の動向が気になりますね!
さあ、プロツアーの結果は、メタゲームにどのような影響を与えるのでしょうか。次回の大会結果もお楽しみに!