2025年3月31日 禁止制限告知
2025年3月31日、モダン・レガシー・パウパーで禁止制限告知が行われました。
ここでは、禁止または解除された各カードについて紹介していきます。
【スタンダード】
変更なし【パイオニア】
変更なし【モダン】
《死の国からの脱出》 禁止【レガシー】
《まき散らす菌糸生物》 禁止
《カザド=ドゥームのトロール》 禁止
【ヴィンテージ】
変更なし【パウパー】
《日を浴びる繁殖鱗》 禁止
《カルドーサの再誕》 禁止
《命取りの論争》 禁止
《予言のプリズム》 禁止解除
《満潮》 禁止解除
モダン
禁止:《死の国からの脱出》
多くのプレイヤーが予想していた通り《死の国からの脱出》が禁止となりました。
前回の禁止改定では3枚の禁止カードに加えて、4枚の禁止解除とモダン環境に大きな変化をもたらしました。
復活した《欠片の双子》やモダンで初めて使えるようになった《緑の太陽の頂点》などいろいろと話題になりましたが、フタを開けてみると《オパールのモックス》を手に入れた「脱出基地コンボ」が大暴れ。
先月アメリカで開催された『地域チャンピオンシップ』では、参加者1327名という大規模なイベントにもかかわらず、トップ8に脱出基地コンボが6名と圧倒的な支配率を見せています。
これだけ支配的だと対策も強烈なものになりそうですが、妨害への耐性の高さについても公式の記事で言及がありました。
このデッキの悪名を高めているのは、多彩な脅威を持つことができるため墓地対策やアーティファクト対策に強く、サイドボーディングによって打開するのが他に類を見ないほど難しい点にあります。その強靭性と(早ければ1ターン目に勝負を決められるほどの)爆発力を鑑みて、私たちは《死の国からの脱出》を死の国へ送り返すときが来たのだと確信しました。
さて、今回の禁止改定で脱出基地コンボは環境から去りますが、果たして次期環境はどんなデッキが活躍するでしょうか?
『タルキール:龍嵐録』の発売も控えており、新たに始まった『チャンピオンズカップファイナル』の予選フォーマットがモダンということもあって、環境の解明は早く、革新的なデッキが誕生するかもしれません。
レガシー
禁止:《カザド=ドゥームのトロール》
《悲嘆》の禁止、《超能力蛙》の禁止を経ても依然として環境トップを走り続けていたディミーアリアニメイトでしたが、ここにきて再びメスが入りました。
リアニメイト戦略は本来、リアニメイト呪文・墓地に落とすカード・フィニッシャーを用意する必要があり、動きが決まればアンフェアな展開を押しつけられますが、不安定な部分もありました。
しかし、《カザド=ドゥームのトロール》は最序盤から土地を供給しつつ、自身がリアニメイト対象になるなど、1枚で安定性に大きく貢献してくれる非常に優秀なカードでした。
また、デッキの柔軟性が上がったことでリアニメイトプランだけでなく、《バロウゴイフ》などを用いたミッドレンジプランを取りやすくなっています。この点に関しても公式の記事で触れられており、《カザド=ドゥームのトロール》を禁止にすることで柔軟性を削ぎ、よりシナジー重視のデッキにしたいという意図が見受けられました。
ただしこのデッキがより楽しく、相手をしてフラストレーションを感じにくいものになるには、テンポ・アグロとコンボの境界を行き来できる贅沢なデッキではなく、よりシナジー重視のデッキになるしかありません。
今後のディミーアリアニメイトは、かつてのようにもっとコンボに寄った形になるかもしれませんね。
禁止:《まき散らす菌糸生物》
『モダンホライゾン3』で大幅に強化されたエルドラージでしたが、そのなかでもひときわ強力な能力を持つ《まき散らす菌糸生物》が禁止となりました。
《まき散らす菌糸生物》は「キッカー」することで相手の土地をなんでも追放でき、レガシーでは大量の2マナランドとマナアーティファクトから2-3ターン目に繰り出すことができます。
また、能力で《不毛の大地》をサーチすることで追加で土地を破壊することが可能で、序盤から2枚も土地を割られてはゲームになりません。
唱えるだけで誘発するので《記憶への放逐》以外では対処が難しく、ミッドレンジやコントロールデッキなど速度の遅いデッキをメタゲームの外に追いやってしまったのも問題として挙げられています。
理不尽な展開による望ましくない体験や、メタゲームへの影響を鑑みて《まき散らす菌糸生物》はレガシーを去ることになりました。
このカードの存在はレガシー環境にプレッシャーを与え、ゲームを最初の数ターンに圧縮させ、マジックのプレイ体験を損ねるリスクを抱えています。環境に与える影響とフォーマットの規範違反から、《まき散らす菌糸生物》は禁止となります。
《カザド=ドゥームのトロール》と《まき散らす菌糸生物》というデッキの核を失い、これらのデッキが弱体化するとともに台頭してくるデッキは何になるでしょうか?
禁止制限告知の記事によると、今後は《古えの墳墓》デッキである赤単ストンピィや高速コンボのThe Spyなどに注視していくようです。ほかにも、最近の『Legacy Qualifier』で1-2フィニッシュを果たした青単ペインターも注目のデッキになるでしょう。
パウパー
禁止:《日を浴びる繁殖鱗》
『モダンホライゾン3』で登場し、約10ヵ月ものあいだ、パウパーの最強コンボデッキのエースとして活躍していた《日を浴びる繁殖鱗》がついに禁止となりました。
《日を浴びる繁殖鱗》と《サディスト的喜び》の2枚が揃うだけで無限コンボが成立し、《間に合わせの砲弾》があればそのままゲームが終わってしまいます。
《邪悪鳴らし》によってコンボパーツを集めながらマナ加速する動きも強力で、速度、再現性の高さはトップクラスのデッキでした。
《強迫》による安全確認や《タミヨウの保管》による妨害耐性も持っており、対戦相手からするとかなり止めづらいコンボだったのではないでしょうか。
もし、コンボを止められたとしても《のたうつ蛹》が単体のカードパワーで押し切るフェアプランもあり、隙がありません。
ただし、最強コンボデッキといえども、メタゲームの総合的な勝率は53.5%程度に収まっており、支配的というわけではなかったようです。それでも禁止となった理由について、パウパー・フォーマット委員会のガヴィン・ヴァーヘイは次のように説明しています。
このデッキがメタゲームに与える影響は依然として強大だ。序盤に繰り出される《サディスト的喜び》とのコンボに誰もが対策を強いられており、対抗手段として《殺し》や手札破壊呪文の価値が大きく上がっている。さらには「サディスト繁殖鱗」に強いという理由で「ジャンド・ワイルドファイア」のような新しいデッキが舞台に上がるほどだ。繁殖燐コンボがパウパーに与えてきた、そしてこれからも与え続けるプレッシャーの大きさは、計り知れない。
禁止:《命取りの論争》
《命取りの論争》は、繁殖鱗コンボの隆盛を裏で支え続けていた強力なドローソースです。
唱えるために生け贄コストを要求されますが、各種アーティファクトや《カルニの庭》が生成するトークン、はたまた《囁きの大霊堂》のようなアーティファクト・土地まで、種を用意するのは容易です。
特に戦場に出たときと離れたときにドローできる《胆液の水源》とのシナジーは強烈で、パウパーのトップメタとして活躍する黒いデッキのほとんどに、このシナジーが組み込まれています。
どんなにデッキが多彩であっても、黒いデッキには毎回、おなじ8枚が採用されるという状況は環境の画一化につながりかねない問題です。そこで、《命取りの論争》を禁止にすることで、黒の定番化したドローエンジンの枠に変化を与えるという狙いがあるようです。
ちなみに、《命取りの論争》の代替カードはいくつも候補があります。これらは実際に追加の《命取りの論争》として採用された実績があるカードであり、今回の禁止によってカルニブラックや親和といったデッキがすぐに衰退することはないでしょう。
しかし、《命取りの論争》がドローのついでに生成する1つの《宝物トークン》がそれなりに大きな影響を与えていたことも確かです。今後も《胆液の水源》は使用されることになるでしょうが、一番強いパートナーはここでパウパーの表舞台から姿を消します。
今後《胆液の水源》を禁止する必要に迫られるかもしれないし、《毒気の薬》を禁止することになるかもしれない。プレイヤーたちが《胆液の水源》と《腸抜きの洞察》や《勢団の取り引き》などを組み合わせて使う姿を目にすることになるかもしれない。
禁止:《カルドーサの再誕》
パウパーの「赤単」といえばカルドーサレッド。最速のアグロデッキであり、メイン戦の勝率も圧倒的No.1のデッキでした。
特に強力なのは《ゴブリンの奇襲隊》との組み合わせで、《カルドーサの再誕》が生成した3体のゴブリンにすぐさま速攻と+1/+0のパワー修正を与えます。
戦場に土地以外なにもない盤面からでも、《大焼炉》を生け贄にして《カルドーサの再誕》を唱え、《ゴブリンの奇襲隊》を唱えて速攻8点ダメージが発生するのは強力無比で、環境に必要以上のプレッシャーを与える結果となっていました。
サイドボードによって対策が容易なデッキであることから、マッチ勝率が特別高いデッキではないものの、ほとんどのデッキがカルドーサレッドのために大量の対策カードを用意しなければならない状況は好ましくありません。
また、2戦目以降はサイドのカードを引けるかどうかが一番の焦点となってしまい、ゲームの主体性や面白みが半減してしまう可能性もありました。
今回、《カルドーサの再誕》は禁止となりますが、赤単にとって必要以上の大打撃となっていないかどうか、観察を続けるとのことです。
今回の変更を受けても赤はプレイに足る存在であり続けるだろうし、フォーマットの進化も止まらないと私たちは予想しているよ。
禁止解除:《予言のプリズム》
2022年1月の禁止制限告知で禁止となった《予言のプリズム》が3年ぶりにパウパーに戻ってきました!
かつて、パウパーで最高クラスの勝率を誇っていたトロン。大量マナから《記憶の壁》と《儚い存在》のループへと繋げる動きは強力で、フェアデッキが主流であるパウパーにおいてはほとんど《時間のねじれ》のような効果を持つ《一瞬の平和》を使い回す動きは難攻不落でした。
2022年当時、トロンを最強たらしめている原因は、すべての色を気軽に使えることだと判断し、《眷者の装飾品》と《予言のプリズム》を禁止することでバランス調整を行っています。
また、トロンと双璧をなして支配的なメタゲームを構築していた親和デッキにも《予言のプリズム》は採用されており、多様性を取り戻すべく《エイトグ》と一緒に禁止されています。
さて、それでは2025年現在のパウパー環境において、《予言のプリズム》がどのようなインパクトを与えることになるか、少し想像してみましょう。
当面は《予言のプリズム》を解禁することでトロンと親和が強くなりすぎるかどうかが焦点となるでしょう。
現在のトロンは《契約人形の恐怖》という攻防一体のフィニッシャーを手に入れており、《予言のプリズム》よりも数段落ちる《エネルギー屈折体》を採用しながら、かつての栄光を取り戻そうと奮闘している最中です。
《予言のプリズム》が戻れば、もっと気軽に各色のベストカードを集結させた最強デッキとなる可能性もなくはありません。
グリクシス親和においても、《予言のプリズム》が再び採用される可能性はあります。色マナが確保しやすくなり、《命取りの論争》が抜けた枠を埋めるのに一役買ってくれることでしょう。
タップインのアーティファクト・土地を減らし、《教議会の座席》《囁きの大霊堂》《大焼炉》をフル採用してスピードアップを図ることも可能かもしれません。
また、色マナサポートを獲得したことで、サイドボードを含め、これまで採用が見送られたカードの採用が見られるようになるのは面白そうですね。
ただし、今回の禁止解除はあくまで「試験的」なものということで、次回の禁止制限告知が行われる6月30日に改めて、《予言のプリズム》の処遇について考える方針のようです。
「トロン」や「親和」を望ましくないレベルまで強化し、それらが環境のベスト・デッキになったり、似たようなカードが1つのデッキに詰め込まれる画一的なフォーマットになったりするなら、再び禁止リストへ送り返すことになるだろう。
禁止解除:《満潮》
2019年6月、パウパーが公認フォーマットとなったタイミングで《満潮》は禁止カードに制定されています。
「なんか、ヤバそう」という予防措置的理由で禁止されているカードであるため、今回の解禁でどんなことが起こるのかは未知数です。逆に、その段階で禁止にされたということは、とんでもなく強力なカードが解禁されたということでもあります。
誰もが思いつくのは、《満潮》によって追加でマナが出せるようになった状態の《島》を何度もアンタップして爆発的なマナを出すコンボです。しかし、「土地をアンタップする呪文」はパウパーにおいて、ほとんど禁止となっています。
しかし、まだパウパーには《断絶》が残されております!《古術師》をバウンスして《断絶》を使い回すコンボは実現可能であり、デッキビルダーの腕の見せどころがきたのではないでしょうか。
また、《満潮》も《予言のプリズム》と同じく、「試験的な禁止解除」です。パウパーにどんな変化を与えてくれるのか、とても楽しみですね!
私たちは、これからパウパーに起こることを観察していく。みんなもどうかパウパーをプレイして、感じたことを教えてくれ!
パウパー・フォーマット委員会を代表して――ガヴィン
展望
今回はモダン、レガシー、パウパーの3つのフォーマットで禁止改定がありました。
どれも環境がそれなりに動きそうな改定で、特にパウパーは解禁もあってこれから面白くなりそうです。
それでは、次回の禁止改定でお会いしましょう。