はじめに
みなさん、こんにちは。元統率者神の吉田です。今回も『タルキール:龍嵐録』の発売に先駆けてカードレビューを担当させていただきました。
統率者戦は昔「Elder Dragon Highlander」の名前で遊ばれていて、その名のとおり各種エルダー・ドラゴンを始めとする『レジェンド』の伝説のクリーチャーを統率者に指定するゲームでした。
そんなわけでエルダー・ドラゴンとは切っては切れない関係のフォーマットなんですが、タルキールは《龍王オジュタイ》のようなエルダー・ドラゴンがいる次元。今回はどんなカードになるんだろうと楽しみにしていたのですが……
し、死んでる……(生死不明です)。一応ウギンがいるのですが、統率者には指定できないので梯子を外された気分。その代わりに登場したスピリット・ドラゴンは、メインセットにも統率者セットにも収録される好待遇で、「前兆」持ちのようにソーサリー・インスタントとして使えるドラゴンも登場し、ドラゴンデッキはかなり多彩になったように感じます。
どのようなカードが使われそうか見ていきましょう。
カードレビュー
白
《鳴り渡る龍哮の征服者》
《無のロッド》と《呪われたトーテム像》と《不滅の太陽》が1枚になった強烈なロックカード。本体も3マナ3/3と小柄で、獰猛なドラゴンが好きなサルカンには解釈違いと思われそうですがドラゴンです。
あまりにもロック範囲が広すぎて自分の首も絞まるので採用するデッキは限られそうです。エンチャントで加速する《僻境宮廷のエリヴェア》や、ロッククリーチャーを多用する《軍団のまとめ役、ウィノータ》《サリアとギトラグの怪物》あたりで採用されるでしょうか。ドラゴンなので《ズルゴとオジュタイ》では、手札に戻してから一旦マナファクトを動かして再度プレイしなおすこともできるので面白そうです。
《勝利の楽士》
統率者戦でお馴染みの死刑宣告クリーチャー、《堂々たる撤廃者》が使いやすくなりました。なんで!?
「応召2」も持っており、トークンの攻撃先は別のプレイヤーを選べるので《織り手のティムナ》では最序盤からドローもできて超強力。また、トークンはすぐ消えてしまうので《リージョンの皇帝、シーザー》なら生け贄にできてこれもお得。
《堂々たる撤廃者》はクリーチャー、アーティファクト、エンチャントの起動型能力まで封じていたので、「魂力」で対処しようとしたら宝物・トークンや《ウルザの物語》からマナが出なくて負けということもありましたが、これはそれに比べると対処はまだしやすいです。《歩行バリスタ》や《スランの医師、ヨーグモス》で除去できるのは大きいですね。なぜかタフネス3もありますけど!
「応召」があって序盤から使いやすいとはいえ、使われてる側にとっては危険すぎるので除去の的になるうえに、コピーや奪われたりすると目も当てられないのであまり気軽に置かないようにしましょう。
《アイノクの急襲指揮官》
統率者デッキより。犬が猫に乗ってゴブリンを生成するよく分からないクリーチャー。犬猫両成分摂れてお得?
やっていることは《輝かしい聖戦士、エーデリン》と同じなのですが、2マナは破格ですね。たとえば《策謀の予見者、ラフィーン》ではこれ→ラフィーンと繋げるだけで「謀議4」に、《二天一流、一心》では毎ターン6体生成されます。生け贄による破壊不能も数を並べるデッキではありがたいですね。トークンはゴブリンなので《咆吼部隊の重量級》などと組み合わせても面白そう。
1/1じゃ心許ないという人は《神聖な訪問》で毎ターン4/4トークンを3体並べていきましょう。
青
《マラング川の執政》
《啓示の雨》と同等の「前兆」呪文を持つドラゴン。出来事と同じ枠なので最初勘違いしてましたが、前兆で唱えるとライブラリーに帰っていきます。
《眷者の神童、キナン》では手札に来たら前兆でアドを稼ぎ、起動型能力で捲れても妨害クリーチャーとして使えるという理由で注目されているようです。また、《ドラゴン使い、シヴィトリ》でも[-3]能力でアドを稼げるようになり、《船砕きの怪物》などの無限マナ無限バウンスで無限ドローもできます。ドラゴン・サーチがとりあえず《啓示の雨》にはなる、ということで今後も少し出番はありそうです。
《卓絶の龍》
統率者デッキより。《呪文乗っ取り》内蔵クリーチャー。《呪文乗っ取り》との最大の違いは、消した呪文をその場で唱える形式なので状況起因処理を挟まないところ。つまり相手の統率者を打ち消した場合、統率領域に移動する前にこちらが唱えることができます。
6マナと重く、これ自身を唱えていないといけないため使える統率者は《精霊の魂、アニマー》《神経質な予見者、ヘルガ》など限られますが、急に全然関係ないデッキから《深淵への覗き込み》や《約束された終末、エムラクール》が唱えられたらびっくりしますね。
《大渦の放浪者》《頂点壊滅獣》などの「続唱」で捲れたら続唱もとを打ち消すことで再度続唱で遊べます。以降は捲れた《ファイレクシアの変形者》などでこれをコピーし続ければ続唱チェインも可能!《風への放流》と合わせて続唱ガチャをぶん回していきましょう。
《大食の愛書家》
統率者デッキより。呪文の対象の数だけドローできるドラゴン。対象の数……《Sea Kings’ Blessing》?
普通に打ち消しやバウンスしてるだけでもアド損しないので結構強いです。《大魔導師の名誉教授》と異なり相手に殴られにくい3/3飛行警戒のスタッツが偉い。対象の数分コストが軽減される《暁冠の日向》では、唐突に湧いて出たオリカです。《渦巻く霧の行進》でクリーチャーの数分、《現実のひきつけ》にいたってはすべてのパーマネントの数分ドローができます。
唱えたときの対象の数を見るので《精神壊しの罠》では複数枚引けますが、唱えていないコピーがたくさん対象をとるだけの《狼狽の嵐》ではオリジナルの1枚だけ、そもそも対象をとっていない《旋風のごとき否定》では引けないので注意しましょう。
黒
《シブシグの儀式》
《心なき召喚》のようなコスト軽減エンチャント。
せっかく軽くしたクリーチャーが破壊されてしまうデメリットがあるのですが、《墓所這い》なら破壊されても唱え直せるうえに唱える条件のゾンビも供給してくれます。破壊効果が誘発すれば破壊できなくてもゾンビは生成されるので、《ファイレクシアの供犠台》があれば無限ゾンビです。
同様に《アーチリッチ、アサーラック》でも黒1マナごとにダンジョン探索をしつつゾンビ生成できるので、ゾンビを《ファイレクシアの供犠台》に投げれば無限にダンジョン探索できます。
死亡時誘発する統率者とも相性がよく、《碑出告と開璃》では積み込んだカードを即唱えることができ、再度統率領域から唱え直すことができます。普通のデッキでは悪用しにくいので《喜劇の天才、ブリム》で送りつけてもよさそうですね。
《壌土からの後生》
統率者デッキより。《陰鬱の始源体》とは異なり自分の墓地からも釣ることができます。7マナのカードが3マナで使えるようになるのはインフレを感じますね……。
《賢きモスマン》のように自他問わずライブラリーを削れる統率者なら安定して大量リアニメイトを狙えます。また、ゾンビを付与するので《ナクタムンの意志、テムメト》で使えば大幅に打点を上げられ、《腐敗の大鉈、ウィルヘルト》ならドローも可能。マナ総量が大きいので《白の手、サルマン》で馬鹿デカオークを作ってもよさそうです。
赤
《龍の創始》
ドラゴン版《屋根の上の嵐》。《全知》とは異なり手札以外の領域からでもタダになるのが特長。統率領域からでもタダ(統率者税は別に必要)です。
話題になってますが《ティアマト》から好き放題できて、《峰の恐怖》《マラング川の執政》《欺きのフロストカイト》《霜のモーリット》を持ってくれば、《欺きのフロストカイト》と《霜のモーリット》の2枚が《マラング川の執政》をコピーしてバウンスし合い、《峰の恐怖》で無限ダメージです。
ほかにも《ドラコリッチ、エボンデス》を墓地から無限に唱えられるようになったり、統率者指定の《噴火するヌルカイト、ヘリガスト》を相当な回数出し直せるようになります。
問題なのはその重さ。8マナは重すぎるので《アカデミーの学長》などで踏み倒していきましょう。
《ジェスカイの意志》
《ジェスカの意志》……ではなく《ジェスカイの意志》。購入する際は注意だ!ちょっと弱い《Wheel of Fortune》+《炎の中の過去》といったところ。
ドローモードは強制ではないので、唱えるのに対応して《オークの弓使い》が出てきたときに引かない選択もできます。4マナとはいえ、これを唱えるために使った《炎の儀式》をもう一度使えるので見た目よりは重くはないかも。《戦争の世継ぎ、ローアン》や《星の大魔導師、ヴァドリック》ではこれ自身を軽減できるうえに、サーチやドロー呪文を多く採用するので爆発的なアドを稼げます。
《長日祭》
よくある衝動的ドローなんですが「調和」がついているのが強み。《船壊し、ダーゴ》や《再稼働、リバティ・プライム》のようなパワーが高い統率者では気軽に《Ancestral Recall》を超えるドロー効率になります。このゲームすぐ《Ancestral Recall》を超えますね……。
緑
《龍を狙い撃つ者》
キーワード能力を3つ持っているだけのクリーチャーですが、《様相ねじり、カスリル》《最初に堕ちし者、ラヤミ》《君臨するもの、インドミナス・レックス》などキーワード能力を参照して能力を得る統率者はたびたび登場しているので今後も出番はありそうです。警戒持ちは緑ではレアなのも嬉しい。
また1マナで接死持ちなので《牙持ち、フィン》や、射手なので《オハビ・カレリア》でも使われる可能性がありますね。「単体で何もしなくても、統率者と組み合わせて強いなら使われる」というのはこのフォーマットの面白いところです。
《自然の律動》
《破滅の終焉》《イコリアへの侵攻》のような万能クリーチャーサーチ。「調和」があるので2回唱えられ、マナさえあれば《歯と爪》のように使うこともできます。
《パリンクロン》+《幻影の像》や《守護フェリダー》+《鏡割りのキキジキ》、《野生の魂、アシャヤ》+《クウィリーオン・レインジャー》のように1回目で支払ったマナを取り返せる組み合わせだとスムーズにコンボが決まりそうです。
7マナ以上の呪文を2回唱えられるので《ゴアガッツ団の親分、ラッガドラッガ》とも相性は良いでしょう。1回目で《ファイレクシアン・ドレッドノート》を持ってきて大量マナから2回目に繋げられる《野生の心、セルヴァラ》でも強そうです。
《破滅の終焉》《イコリアへの侵攻》と異なり墓地から探すことはできないので、《敵対工作員》からは逃げられずにコントロールを奪われてしまうので注意しましょう。
《収穫の執事》
追放する土地によっては大変なことになるクリーチャー。みんな《ガイアの揺籃の地》になったらもう止められません。
《アルゴスの庇護者、ティタニア》では《露天鉱床》を追放すればトークンでランデスしてはすぐ補充されます。《稲妻のすね当て》もあればオールランデス!
グリフィンをアンタップできる《グリフィンの峡谷》と《変わり谷》がいれば無限パワーもできます。速攻持ち+《雲の宮殿、朧宮》+複数マナが出る土地や、《ゴースト・タウン》+《魔の魅惑》でも無限に出入りは可能。ただ、これ自身が戦場を離れると追放した土地を参照できなくなるので除去は全力で避けましょう。
多色
《ジェスカイの道師、ナーセット》
呪文を連打するほど終了ステップにドローできる統率者。マナアーティファクト連打からの統率者プレイで手札を補充できるのが強み。
ジェスカイですがクリーチャーもカウントしてくれるので、《金切り声のドレイク》を何度も繰り返してプレイするだけで大量ドローができます。手札に戻した状態だと捨てられてしまうので、最後は適当なクリーチャーを戻して盤面に維持して《水晶の破片》などで次のターンにまたドレイクマラソンをしましょう。
普通に組むなら《未来予知》系が無難でしょうか。軽量カードを連打するので《ラグ・オヴ・スマザリング》《減衰球》は天敵。割れるようにしておきましょう。
《高徳の調停者、テヴァル》
すべての呪文に「探査」を付与するとんでもない統率者。その代わりにライフもとんでもない勢いで失っていきます。
《催眠の宝珠》や《研磨基地》で墓地を肥やし、ある程度溜まったら《道徳の変遷》でひっくり返して《ドライアドの蘇生》や《彼方よりの霊感》といったフラッシュバック呪文から《瀉血》《霰炎の責め苦》に繋いで焼き切りましょう。ライフロスがキツかったら《霊気貯蔵器》《Lich》あたりを使えば耐えられそうです。
《ケルゥの黄金守り》
この手のカードにしては珍しくターン1制限がないのでいろいろなコンボが狙えます。
《墓所這い》とマナのかからないサクリ台で無限にサクリ台の効果が使えますし、《ネクロポーテンス》は手札を捨てると墓地に落ちてから追放するので爆発的に加速できます。《巨獣の巣》も色マナが出せるようになったりとやりたい放題。
《拷問生活》でも墓地と手札のクリーチャーが無限に行き来するようになるので、今回登場の《釣り合った天秤、テヴァル》で無限にゾンビを出せます。能力は強いのですが固有色の都合上使えるデッキが少ないのが残念。
無色
《嵐の目、ウギン》
ほかのフォーマットではウルザ・トロンとの組み合わせで話題ですが、統率者戦でもかなり強力。
無色呪文に「続唱」を付与できる《虚空喰らい、ズロドック》や誘発型能力をコピーできる《合体した非道、ウラレック》ではガンガン追放していけますし、《ウルザの空戦艇、リベレーター号》ではインスタント・タイミングで追放除去が飛んでくるように。《師範の占い独楽》が毎ターン追放除去になるだけでもかなり鬱陶しいです。
3人から攻撃されるためプレインズウォーカーは使いにくいとされていますが、唱えた段階で除去できるうえに[+2]を使えば忠誠度9になるので1-2ターンは耐えられるでしょう。奥義は無色統率者なら文字通り一撃必殺。全エルドラージを一斉に叩きつけてゼンディカーを粉砕しましょう!
《モックス・ジャスパー》
ドラゴンをコントロールしていればマナを出せる「モックス」シリーズの新作。無から1マナを出せるカードにはみな飢えているのですが、ドラゴンの条件は結構厳しい……。
《始祖ドラゴン》のようなデッキ内にドラゴンが多く入る例外を除くと《万物の姿、オルヴァール》のような多相持ちや《驚異の商人、レナリー》のような軽めのドラゴン統率者で2枚目の《モックス・アンバー》としての使われ方になりそうです。
《精霊龍の大渦》
ドラゴンをサーチできる土地です。サーチコストが重く、サーチ先のドラゴンもたいてい重いという二重苦なのですが《巨大なるカーリア》なら話は別。攻撃時の誘発に対応してサーチすることで確実に《溜め込む親玉》や《エインシャント・カッパー・ドラゴン》を出すことができます。
サーチはドラゴンなのですが、アーティファクトのドワーフが欲しい《厚顔の無法者、マグダ》では《自在自動機械》などの多相持ちを持ってくる手段として有用です。「ド」から始まる4文字のクリーチャー・タイプだし大体一緒でしょ一緒!
《湧霧の村》
次の呪文が打ち消されなくなる土地。対象に制限がないのが強く、《死の国からの脱出》や《むかつき》もそのまま突っ込んできます。逆に相手の危険なカードを確実に打ち消す守りの手段として使うことも。
山や森がなくてもタップインを許容できるなら青単でも使えます。この状況を考えるなら《成長の揺り篭、ヤヴィマヤ》の安易な採用は危険かもしれません。青ければ大体入ってる《天上都市、大田原》よりは使われないと思いますが、それでも非常に強力な土地。今後の統率者戦でよく見かけることになるでしょう。
過去セットの注目カード
今回はドラゴンの多い次元ということで《爪のライヴァズ》。
ドラゴンへのマナ加速をしつつ墓地からもドラゴンを唱えられるようになります。《ティアマト》や《始祖ドラゴン》のようにデッキ内にドラゴンを複数匹入れる統率者が強くなったので、マナクリーチャーとしても安定してきました。マナクリーチャーにしては無駄に強いスタッツなのもポイント。マナクリーチャーに威迫いるかなあ……。
記事執筆時点で晴れる屋価格50円!大会参加時の100円券の使い道として良いのではないでしょうか。
これで『タルキール:龍嵐録』カードレビューは以上となります。今回紹介したカードのほかにも面白そうなカードがたくさんあるので、みなさんもいろいろ試してみてください!
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