最新のスタンダード大会結果をチェック!
こんにちは。晴れる屋メディアの紳さんです。
先週、日本では『チャンピオンズカップファイナル シーズン3ラウンド3』が、アメリカでは『Regional Championship – SCG CON Minneapolis』が開催されました。
イベント名は違いますが、どちらも「地域チャンピオンシップ」と呼ばれる大会で、プロツアー出場権利や世界選手権出場権利を懸けて、多くの強豪プレイヤーたちが激闘を繰り広げました。
今回は、2つの地域チャンピオンシップの結果と、ジャパンスタンダードカップ:『タルキール:龍嵐録』の結果を合わせてチェックしていきます!
『Regional Championship – SCG CON Minneapolis』
アメリカのミネソタ州ミネアポリスにて、5月3-4日の日程で開催された地域チャンピオンシップの結果からチェックしていきましょう。
参加者はなんと1365名!さすがはマジックの本場、アメリカといったところでしょうか。
1日目はスイスラウンド9回戦、2日目はスイスラウンド6回戦+シングルエリミネーションという長丁場の戦いとなりました。
『Regional Championship – SCG CON Minneapolis』
優勝 ジェスカイコントロール
準優勝 ジェスカイ眼魔
3位 イゼット果敢
4位 アゾリウス全知
5位 ジェスカイ眼魔
6位 アゾリウス全知
7位 イゼット果敢
8位 アゾリウス全知
赤単やイゼット果敢など、アグロデッキが隆盛しているなか、優勝はジェスカイコントロールという結果となりました。
また、ジェスカイ眼魔は準優勝を含めトップ8に2名が入賞、アゾリウス全知はトップ8に3名が入賞と非常に高いパフォーマンスを見せています。どちらも墓地を多用するデッキです。
トップメタが赤系アグロならば、《安らかなる眠り》や《虚空の力線》といった強めの墓地対策を採用される心配がなく、墓地利用デッキにとっては追い風となったのかもしれません。
特にジェスカイ眼魔は《除霊用掃除機》のような1ターンに1枚だけの墓地追放ならば簡単に乗り越えることが可能です。《救いの手》などは腐るかもしれませんが、《忌まわしき眼魔》の素出しは十分に狙えます。加えて、《略奪するアオザメ》や《プロフトの映像記憶》でサイズの大きいアタッカーが用意できるなど、墓地に頼ってばかりのデッキでもないところが強みです。
《逸失への恐怖》《蒸気核の学者》《光砕く者、テルサ》などルーティングができるカードも多く、不要なカードを有効札と入れ替えられるのもいいですね。
また、トップ8に入賞したアゾリウス全知は3つとも《一時的封鎖》を4枚フル採用しています。
アメリカ独自のメタゲーム事情も伺え、アグロに対するガードは高く、墓地利用やコンボに対するガードが下がったタイミングで《アブエロの覚醒》が暴れたということでしょうか。
ジェスカイコントロール
《稲妻のらせん》《一時的封鎖》《跳ねる春、ベーザ》がいずれも4枚フル採用され、《叫ぶ宿敵》や《陽背骨のオオヤマネコ》があるとはいえ、アグロデッキが簡単に勝てる相手ではないことが伺えます。
《道の体現者、シィコ》で《食糧補充》を使い回す動きはあまりにも強力で、リソース勝負でも簡単には負けない骨太なデッキです。ドラゴンの着地を許すと《乱動するドラゴンの嵐》も使い回されることになり、打ち消しがないデッキは《道の体現者、シィコ》に手を焼くことになります。
2マナの打ち消し枠には《払拭の吐息》を採用。ドラゴンシナジーを活かした要求は《喝破》よりも強い場面があることでしょう。マナ拘束が緩いのも使いやすいです。
まったく色は合っていませんが、サイドボードには《強情なベイロス》を用意するなど、ピクシー系のセルフバウンスデッキ対策もしっかりとしています。
現在のメタゲームにしっかりと照準を合わせた調整が、今回の優勝という結果に結びついているようです。1365名の頂点に立ったジェスカイコントロール、これからの活躍が楽しみですね!
『チャンピオンズカップファイナル シーズン3ラウンド3』
つづいて、日本で開催された地域チャンピオンシップの結果です。
こちらも5月3-4日の日程で開催され、262名が参加しました。
『チャンピオンズカップファイナル シーズン3ラウンド3』
優勝 オルゾフピクシー
準優勝 イゼット果敢
3位 黒単デーモン
4位 イゼット果敢
5位 イゼット果敢
6位 赤単
7位 イゼット果敢
8位 赤単
この大会では赤単がトップ8に2名入賞、イゼット果敢が準優勝含めトップ8に4名が入賞とアグロデッキが圧倒的なパフォーマンスを見せています。
そんななか、決勝トーナメントにてオルゾフピクシーがイゼット果敢との3連戦をすべて2-0のストレートで勝利し、優勝しました。
オルゾフピクシー
こちらが優勝したオルゾフピクシーのリストです。
このデッキもまた、《一時的封鎖》を4枚フル採用しています。《コーリ鋼の短刀》を対処できるという理由も大きいですが、このオルゾフピクシーにおいては自分のパーマネントを一時的に追放できることも大きいようです。
アグロ相手には自分の《望み無き悪夢》や《勢い挫き》を巻き込みながら《一時的封鎖》で一掃します。後々、折りをみて《養育するピクシー》や《陽光真珠の麒麟》で《一時的封鎖》を手札に戻せば、戦場に出たとき能力が再度誘発し、相手の手札をハンデスで締めつけることができます。
また、これらの小粒な飛行クリーチャーのクロックが意外に早く、《望み無き悪夢》の2点ルーズとセットになると、驚異的なスピードでライフを奪い去っていきます。
また、細かい動きに加え、《分派の説教者》や《黙示録、シェオルドレッド》などタフネスが高めの中堅クリーチャーが盤面にプレッシャーをかける動きも強力でした。
特にトップメタのイゼット果敢はタフネス4以上が意外と対処できず、《洪水の大口へ》でバウンスするにしても、そこまで多く採用しているデッキはありません。
《魔女跡追いの激情》《焦熱の殲滅》《焦熱の射撃》を採用しているリストもありましたが、やはりサイドに1-2枚採用する程度に留まっており、決勝トーナメントでは《黙示録、シェオルドレッド》を対処できずにイゼット果敢が散っていく場面を多く見かけました。
《一時的封鎖》や《黙示録、シェオルドレッド》などダブルシンボルのカードを存分に採用できるのは、エスパー(3色)ではないオルゾフ(2色)の強みですね。
サイドボードには墓地対策、ハンデス対策、置物対策が準備されていました。《萎れ葉のしもべ》は同型戦でかなり強く、《養育するピクシー》や《陽光真珠の麒麟》のクロックが3点になるのは驚異的ですし、相手のハンデスに合わせてインスタントタイミングで《萎れ葉のしもべ》を手札に戻すといった使い方ができます。
使用者の長尾 泰貴さんは優勝インタビューで「オーバーロードには勝てない」と謙遜しながら話しておりました。
実際にそうなのかもしれませんが、オーバーロードは赤単やイゼット果敢のように極端に速いデッキを苦手としており、現在のメタゲームでは勝ちきることは難しそうです。わりきってトップメタを倒すことに全精力を注いだことが優勝という最高の結果に結びついているのだと思います。
「イゼット果敢にどうしても勝てない!」という方はぜひ、オルゾフピクシーを使ってみてください。
イゼット果敢
つづいて、惜しくも準優勝となったイゼット果敢のリストを紹介させていただきます。もはや説明不要の大ブレイクデッキですが、最新型には少し変化がありました。
最注目は《ドレイクの孵卵者》の採用で、トップ8に残ったイゼット果敢ではすべてのデッキに2~4枚採用されていました。
クリーチャー – 人間・ウィザード
警戒、果敢(あなたがクリーチャーでない呪文1つを唱えるたび、ターン終了時まで、このクリーチャーは+1/+1の修整を受ける。)
このクリーチャーがプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、これの上にその点数に等しい個数の孵化カウンターを置く。
このクリーチャーの上から孵化カウンター3個を取り除く:飛行を持つ青の2/2のドレイク・クリーチャー・トークン1体を生成する。
警戒と果敢を持つため攻撃にいきやすく、チャンプブロックに対しても《巨怪の怒り》でトランプルダメージを通すなど、安定して孵化カウンターを乗せることができます。
同型戦では飛行2/2のドレイク・クリーチャー・トークンが強く、モンクやカワウソを飛び越えてダメージを与えることで盤面を打開します。リソース勝負でも負けにくくなり、《コーリ鋼の短刀》が引けなかったり対処されてしまった場合の奥の手として優秀な2マナクリーチャーといえるでしょう。
また、改めて《精鋭射手団の目立ちたがり》の評価が上昇中です。《コーリ鋼の短刀》の登場によって強さがさらに引き出された感があります。
「計画」しておけば0マナの呪文としてプレイできる点も《コーリ鋼の短刀》とは相性が良いのですが、計画状態の《精鋭射手団の目立ちたがり》を対戦相手に見せておくことで除去を構えるようになったり、動きを制限させる効果があるのが強みです。
ドロー呪文連打からのビッグターンを予感させ、構えた対戦相手に対しては《精鋭射手団の目立ちたがり》をプレイすることなく悠々と《食糧補充》を唱えるといった、攻撃タイミングをずらすプレイングがとても効果的です。
もちろん、タップアウトした隙には《精鋭射手団の目立ちたがり》にオールインすることで10点~15点ぐらいのライフは簡単に奪い去ることができます。
ただ、1-2マナの呪文を多く採用して爆発的な果敢シナジーは実現できたものの、カード単体の火力不足という弱点が今大会で露見したように思えます。今後は高タフネスのクリーチャーを対処するなんらかの手段を探すことになるでしょうか。
《洪水の大口へ》のようなバウンスを増やすという方向性も悪くないように思えます。準優勝した今回のリストでは3枚と多めに採用されており、準々決勝の黒単デーモン戦では決め手となりました。
ジャパンスタンダードカップ:『タルキール:龍嵐録』
さいごに、地域チャンピオンシップとは別に開催されたジャパンスタンダードカップ:『タルキール:龍嵐録』の結果をチェックしていきましょう。
こちらはオープン大会ということもあり、320名と多くのプレイヤーが参加しました。
ジャパンスタンダードカップ:『タルキール:龍嵐録』
優勝 黒単デーモン
準優勝 イゼット果敢
3位 エスパーピクシー
4位 イゼット果敢
5位 ディミーアミッドレンジ
6位 イゼット果敢
7位 イゼット果敢
8位 イゼット果敢
ここでもイゼット果敢が大暴れしていますが、やはり黒系ミッドレンジが立ちふさがる形で黒単デーモンが優勝という結果となりました。
黒単デーモン
こちらが優勝した黒単デーモンのリストです。《魂石の聖域》を4枚フル採用するなど、デーモンシナジーを強く意識しています。
やはりイゼット果敢に対して強い高タフネスクリーチャーを多く採用しています。特に《ドロスの魔神》は5点火力でも倒すことができず、4ターン目に着地する脅威としてはあまりにも高スタッツです。
《一時的封鎖》はありませんが、《切り崩し》をフル採用することでアグロデッキをなんとか対処しようとしています。
時間を稼げば《分派の説教者》が生成するトークンや《カルシの帰還者》など絆魂持ちのクリーチャーでライフ回復が狙え、《不浄な別室》や《黙示録、シェオルドレッド》のライフゲインが効いてきます。
オルゾフピクシーもさることながら、この黒単デーモンもトップメタのイゼット果敢を咎めるデッキとして有力です。
《ドロスの魔神》のクロックは早いものの、速度的にはややコントロールに近いレンジのデッキであり、打ち消しなどもないためアゾリウス全知のようなコンボデッキとの相性は少し気になるところです。
今回の優勝したデッキのサイドボードには、《強迫》と《除霊用掃除機》に加え、《石の脳》が2枚採用されており、コンボデッキに対して現実的に勝つ工夫が施されていました。
トークンをまとめて流せる《金線の酒杯》もナイスな対策カードですね!
おわりに
以上、直近の大きな大会の結果を紹介しました。
日本では《コーリ鋼の短刀》 vs. 黒いデッキという構図のメタゲームが出来上がっていますね!
一方、アメリカではジェスカイ眼魔やアゾリウス全知が人気になるなど、まったく違うメタゲームになっているのがなんとも興味深いです。
今回の大会結果をふまえ、さらにメタゲームが進むことは間違いないでしょう。抜け出すのはイゼット果敢か、それともまったく別のデッキなのか。今後の展開が楽しみですね!
次回の大会結果もお楽しみに!それでは、また!