きたしまの『プロツアーへの道』~ラストチャンストライアル&ジャパンスタンダードカップ参加レポート~

晴れる屋メディアチーム

プロツアー出場を目指して大会出場!

きたしま:みなさん、こんにちは。晴れる屋のきたしま(@oolong___chan)です。

■人物紹介:きたしま

きたしま: 晴れる屋商品管理チームスタッフ。高校3年の冬に『ワールド・マジック・カップ2017』を見てマジックの魅力にのめり込む。現在、競技マジックに挑戦する様子を記事にした「きたしまの『プロツアーへの道』」を連載中。

今回は『チャンピオンズカップファイナル シーズン3ラウンド3』開催前日に行われたラストチャンストライアルと、5月4日に行われたジャパンスタンダードカップ:『タルキール:龍嵐録』に参加したので、レポートします!

残念ながらチャンピオンズカップファイナル エリア予選では権利を得ることができなかったので、このラストチャンストライアルが勝負です!

ラストチャンストライアルとは

『チャンピオンズカップファイナル』の権利が手に入る最後のチャンスで、ファイナルの直前に開催される。

大会の参加人数に応じて権利獲得者数が増えるシステムとなっており、先日、晴れる屋トーナメントセンター東京で開催された際には115名が参加し、上位4名が権利を獲得した。

デッキ選択

コーリ鋼の短刀

『タルキール:龍嵐録』発売後に試したのは《コーリ鋼の短刀》を採用したイゼット果敢でした。

僧院の速槍嵐追いの才能手練

MTGアリーナで回してみたところ、《コーリ鋼の短刀》の「疾風」を誘発させるのがあまりにも簡単だと気づきます。この手の能力にしては珍しくクリーチャー・呪文でも誘発するため、3ターン目に《コーリ鋼の短刀》+《僧院の速槍》と出すだけで良いのです。

特に2ターン目に《コーリ鋼の短刀》、3ターン目に《コーリ鋼の短刀》+1マナというぶん回りがあまりにも強く、これまで環境トップだった赤単アグロにも負けないキルターンの速さを持っていました。

僧院の導師切り崩し喉首狙い

本体が装備品であるため除去があたらず、設置した次のターン以降もモリモリとトークンを生成し続けます。除去耐性のある《僧院の導師》といっても過言ではなく、むしろ1マナ軽いというお化けっぷり。

一度《コーリ鋼の短刀》が定着してしまえば、あっという間に盤面は果敢持ちのモンクまみれになります。《切り崩し》《喉首狙い》のような単体除去ではなすすべもありません。

カワウソトークン僧院の速槍精鋭射手団の目立ちたがり

《コーリ鋼の短刀》の脇を固める果敢クリーチャーも精鋭揃いです。《嵐追いの才能》(カワウソ・クリーチャー・トークン)と《僧院の速槍》は1ターン目から展開できる果敢クリーチャーでありながら、3ターン目に《コーリ鋼の短刀》とセットで出す動きも強力です。

《精鋭射手団の目立ちたがり》は最近のスタンダードでは鳴りを潜めていましたが、イゼット果敢の台頭で再び目立ち始めました。「計画」により相手の構えた除去をすかしつつ、次ターン以降は0マナで唱えることができるので「疾風」との相性も抜群です。

クリーチャーでない呪文を唱えると誘発するスーパー果敢能力はモダンでも通用するほどのパワーがあり、一撃で20点近いバーストダメージを出すこともよくあります。

食糧補充嵐追いの才能

神話アンコモンと名高い《食糧補充》は、任意の2枚を選べることから《コーリ鋼の短刀》の「疾風」を誘発させやすくなります。デッキのほとんどがマナコストの軽い呪文で構成されているため、《食糧補充》で加えたカードをそのまま唱えて誘発、という状況が頻発します。

さらに《嵐追いの才能》をレベルアップさせれば、墓地から《食糧補充》を回収することも可能。リソースは途切れません。

……白状すると、このイゼット果敢が回していて楽しすぎたため、ほかのデッキを試すこともなく、イゼット果敢一本に絞って練習していました。

きたしま:《コーリ鋼の短刀》すごい!本当にすごいんだ!

チャンピオンズカップファイナル出場を懸けたラストチャンストライアル

というわけで、ラストチャンストライアルはイゼット果敢で挑みました。

デッキリストページ

使用したリストはこちらです。

ドレイクの孵卵者精鋭射手団の目立ちたがり噴出の稲妻

《ドレイクの孵卵者》イゼット果敢ミラーを意識して採用したカードで、《精鋭射手団の目立ちたがり》と2:2で散らしています。

イゼット果敢のメイン除去である《噴出の稲妻》で落ちない1/3というサイズが偉く、戦闘ダメージを通したときの能力も強力で、《巨怪の怒り》でトランプルがつくと2/2飛行のドレイクを量産できるようになります。

一方で《精鋭射手団の目立ちたがり》も間違いなく強力なカードですが、ミラーマッチでは《噴出の稲妻》で落ちてしまうことがネックです。大会ではイゼット果敢がトップメタになることが予想され、4枚は多いと感じました。

ただ、2:2という枚数配分については流行のリストを見て決めただけであり、もう少し自分の考えや意思を持って構築した方が良かったなと感じています。

1回戦:オーバーロード ××

真昼の決闘一時的封鎖ホーントウッドの大主永遠の策謀家、ズアー

1回戦の対戦相手は、メインから《真昼の決闘》《一時的封鎖》を大量に積んだオーバーロード。イゼット果敢をメタったデッキですね。

メイン戦はかなり緊張してしまい、《永遠の策謀家、ズアー》がいるにもかかわらず、《真昼の決闘》を対象に《洪水の大口へ》をプレイするという凡ミスをやらかしています。(呪禁が付与され、台無しに)

陽背骨のオオヤマネコ

やってしまったミスを気にしても仕方がないので、気を取り直して2本目へ。こちらはサイドインした《陽背骨のオオヤマネコ》を2枚引き込んでおり、順当にプレイすれば勝てると思っていました。相手は除去ばかり引いているのか、あまり動いてきません。

きたしま:何を構えているかわからんけど、相手のライフも半分以下だし、《陽背骨のオオヤマネコ》連打で勝てそうだ。迷わずプレイ!

方程式の改変

きたしま:《方程式の改変》!?最近あまり見ないカウンターだな……

きたしま:気にせず、2枚目の《陽背骨のオオヤマネコ》を……

ティシャーナの潮縛り

きたしま:あっ。

永遠の策謀家、ズアーホーントウッドの大主

きたしま:まいりました。

という感じで、まったく意識していなかった《方程式の改変》《ティシャーナの潮縛り》によって負けました。

対戦終了後、相手の方とお話したら、《コーリ鋼の短刀》はメインからかなり対策しているため、サイド後の負け筋になる《陽背骨のオオヤマネコ》を潰すための2枚だと教えていただきました。

2回戦:オルゾフピクシー ×〇×

一時的封鎖分派の説教者跳ねる春、ベーザ

2回戦はオルゾフピクシーと対戦。このデッキも《一時的封鎖》がメインから採用されています。

轟く機知、ラル陽背骨のオオヤマネコ

1本ずつ取り合い、一進一退の3ゲーム目。こちらの真打として繰り出した《轟く機知、ラル》《陽背骨のオオヤマネコ》は、しっかりと《失せろ》で対処され、あまり活躍できず。

お互いライフ1桁台までもつれ込みましたが、中盤にライフを攻める判断をしたお相手の方が上手で、押し切られて敗北となりました。

後日、対戦した方のインタビュー記事が公式カバレージにて掲載されており、その中でイゼット果敢相手にはサイドから《失せろ》を増量することについて触れられていました。

きたしま:考えが甘かった。自分がトップメタのデッキを使うのであれば、相手がどのような対策をしてくるのかも考えておかないといけないな。

というわけで、ラストチャンストライアルは早々に敗退してしまいましたが、気持ちをすぐに切り替えます。次回の『チャンピオンズカップファイナル』の出場権利獲得を目指し、2日後の『ジャパンスタンダードカップ』に向けて調整です!

『ジャパンスタンダードカップ』トップ8を目指す!

『ジャパンスタンダードカップ』は、上位8名に次回の『チャンピオンズカップファイナル』の出場権利が与えられ、その他の上位入賞者にも《ティシャーナの潮縛り》の限定プロモが配付される激アツなイベントです。

ティシャーナの潮縛り

当日は同じ会場で『チャンピオンズカップファイナル シーズン3ラウンド3』の2日目の戦いが行われていました。「プロツアー権利をかけた熱戦がすぐ横で繰り広げられているのに、自分は……」という悔いも感じましたが、ラウンドの合間に間近でハイレベルな試合を観戦することができ、良い刺激になりました。

今回は、この『ジャパンスタンダードカップ』でトップ8に入賞し、次回の『チャンピオンズカップファイナル』の権利を獲得することが目標です!

2日前のラストチャンストライアルでは《一時的封鎖》にやられてしまいましたが、これまでの練習は全てイゼット果敢に費やしてきたため、『ジャパンスタンダードカップ』でもイゼット果敢を続投します。

この町は狭すぎる洪水の大口へ嵐追いの才能

ラストチャンストライアルからのおもな変更点としては、メインの《この町は狭すぎる》《洪水の大口へ》の3枚目に変更しました。

これまでは《この町は狭すぎる》《嵐追いの才能》で何回でも回収することができるため、デッキに1枚は入れ得だと考えていましたが、《洪水の大口へ》より1マナ重いことでプレイしづらく、そもそも《嵐追いの才能》がなければ手札に戻したいカードもなく、バリューが生まれません。これはラストチャンストライアルの対戦中に気になったことなので、その経験を活かしたいと思います!

きたしま:参加者は320名!プレイヤーズコンベンションがなくてもこれだけの参加者が集まるとは、スタンダードの盛り上がりを感じるな。

きたしま:さておき、この人数だと目標である『チャンピオンズカップファイナル』の権利獲得のためには、スイスラウンド8回戦を1敗以内で終える必要がある。頑張るぞ!

1回戦:グルールアグロ ×〇×

いきなりトリプルマリガンでメインを落とす立ち上がり。

毒を選べ

サイド後は相手の《毒を選べ》によりこちらの《コーリ鋼の短刀》がまったく定着せず、クリーチャーの質で上回る相手にそのまま押し切られました。

対戦相手はMOパンダさん(@mopanda_mtg)。負けたことは悔しいですが、いつも配信を見ていたので対戦できて嬉しかったです。

2回戦:グルール果敢 ×〇〇

洪水の大口へ

メイン戦は落とすものの、サイドボード後は2本とも《洪水の大口へ》が機能して勝利!《この町は狭すぎる》との1マナの差を早々に実感し、ささやかな成長を感じます。

3回戦:エスパーピクシー 〇〇

強迫鋼と油の夢食糧補充

2本ともデッキがスムーズに回って勝利!サイド後に《強迫》《鋼と油の夢》で的確に手札を攻められるも、《食糧補充》でリソースを回復できたのが良かったです。

4回戦:ボロスアグロ ××

雇われ爪叫ぶ宿敵

メイン戦はサイズの上がった《雇われ爪》《叫ぶ宿敵》を除去できず、じりじりとライフを詰められて負けました。

僧院の速槍選択手練

サイド後の2本目、《僧院の速槍》×2に《選択》《手練》という手札をキープしたら、土地ばかり引いて何もできませんでした。

除去が見えていない手札ですが、こちらが先手で《僧院の速槍》2体で仕掛けることができるという考えでのキープです。《選択》《手練》でなにかしら見つかるだろうと思ったのですが……。

5回戦:ジェスカイ眼魔 ××

巨怪の怒り洪水の大口へ

メイン戦、1マナだけ構えている相手に果敢クリーチャー軍団でフルアタックし、《巨怪の怒り》が通れば勝ち、という盤面。

なにもないことを祈ってモンク・トークンを対象にプレイしますが、《洪水の大口へ》でバウンスされました。打点が足りず、ブロッカーも立てていないため、返しに昂揚を達成した《逸失への恐怖》に殴り切られて敗北。

サイド後の2本目も、普通にジェスカイ眼魔の強い動きを止められず、負けとなりました。

……1本目は堅実にプレイしていれば勝てる見込みもあったのに、相手が《洪水の大口へ》を持っていなければ勝ちという誘惑に負け、自らただの運ゲーに突っ込んだことによる敗北でした。反省しきりです。

6回戦:アゾリウス全知 〇〇

除霊用掃除機一時的封鎖呪文貫き

メイン戦は全知が墓地に落ちる前にライフを詰め切り、サイド後は《除霊用掃除機》の設置に成功し、相手の《一時的封鎖》《呪文貫き》して勝利しました!

7回戦:イゼット果敢 ××

島選択コーリ鋼の短刀コーリ鋼の短刀

後手で始まったメイン戦、土地が《島》1枚のみの手札をキープしました。

《選択》があったのと、《コーリ鋼の短刀》が2枚も手札にあり、赤マナを引ければかなり強い動きができると判断したからです。

結果、永遠に土地が引けずに負けました。

この、あまりに情けない負け方でプレイが雑になり、サイド後の2本目は果敢クリーチャーの打点計算をシンプルに間違えて敗北。

普段ならマリガンする手札をキープしたのも良くない上に、その後ミスを引きずったのはさらに良くなかったと反省しました。

8回戦:赤単アグロ ×〇×

心火の英雄ドレイクの孵卵者魔道士封じのトカゲ

メイン戦は「あと1回果敢すれば」というところで呪文が繋がらずに負けてしまいました。

2本目は《ドレイクの孵卵者》が6点パンチを決めて取り返しますが、3本目は2ターン目に出てきた《魔道士封じのトカゲ》を除去できずに敗北。

全8回戦を終え、3勝5敗という成績でジャパンスタンダードカップを終えました。

現状からの脱却

2025年現在 きたしまが参加した競技マジックの戦績

チャンピオンズカップファイナル シーズン3ラウンド2 → 1勝6敗(モダン)

チャンピオンズカップファイナル エリア予選 → 5勝6敗(スタンダード)

ラストチャンストライアル → 0勝2敗(スタンダード)

ジャパンスタンダードカップ → 3勝5敗(スタンダード)

今年を振り返ると、圧倒的に負け越しています。FNMのような平日大会では勝ち越せていますが、こと競技マジックにおいては勝てるビジョンがまったく見えていません

挑戦を本格的に始めてから約1年。単純に経験が浅いことも関係あると思いますが、現状を維持したまま練習していてもこのまま抜け出せないのではと思ってしまいます。

脱出

前回の記事で「質よりもまず量をこなす」ということを目標とし、実際にプレイ量はかなりやったつもりでした。しかし、マジックをただゲームとして楽しみながらたくさんプレイしているだけでは、他の競技プレイヤーに追いつくことはできないのではないでしょうか。

日々のマジックのプレイ体験の中で少しでも疑問を感じたら、それがなぜ起きているのか自分なりに分析する。自分で解決できないことは他のプレイヤーに意見を求める。

まずは、それを意識するようにします。

幸いなことに、今の僕にも競技イベントに出続けたことでマジックのことを相談できる友人ができました。プロツアーの権利は獲得できませんでしたが、得るものがまったくなかったわけではありません。

1年前に比べたら、少し成長している実感があります。

おわりに

今回のレポートは以上となります。

そして、6月末には待ちに待った『マジック・スポットライト:FINAL FANTASY』が開催されます!

ここまで2回連続でしょんぼりした記事をお届けしてしまっているので、次の『マジック・スポットライト:FINAL FANTASY』では自分なりに実のある大会になるように頑張りたいと思っています!

早速、今週末のストアチャンピオンシップに出て修行してきます!

最後まで読んでいただきありがとうございました!それではまた!

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