最新のスタンダード大会結果をチェック!
こんにちは。晴れる屋メディアの紳さんです。



いよいよ、6月6日から『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』環境となります!スタンダードにも新しい風が吹きますね!
さて、今回は直近の大型大会である『Montreal Round 9 Regional Championship』と『Standard Showcase Challenge』の結果をサラッと紹介しつつ、激動であった『タルキール:龍嵐録』シーズンのメタゲームを振り返りたいと思います。
『Montreal Round 9 Regional Championship』
まずは先週末、カナダのモントリオールで開催された地域チャンピオンシップの結果をチェックしていきましょう。
447名と多くのプレイヤーが参加し、世界選手権&プロツアー出場の権利を懸けて戦いました。
『Montreal Round 9 Regional Championship』
優勝 アゾリウス全知
準優勝 イゼット果敢
3位 イゼット果敢
4位 ディミーアミッドレンジ
5位 ジェスカイ眼魔
6位 イゼット果敢
7位 イゼット果敢
8位 赤単
この大会もトップ8にイゼット果敢が4名入賞するなど、圧倒的なパフォーマンスを見せつけました。
しかし、優勝したのは《一時的封鎖》を4枚フル採用したアゾリウス全知でした。
コンボパーツを探しにいける《ファラジの考古学者》と《悲劇の神託者》は、チャンプブロッカーとして時間を稼ぐのにも有用です。いざとなれば相手の小粒パーマネントと一緒に《一時的封鎖》で巻き込んで追放することもでき、《一時的封鎖》を破壊されたりバウンスされた際に「出たとき能力」をふたたび誘発させる点が強力です。
アグロ対策として採用されている《エファラの分散》も、いざとなれば《ファラジの考古学者》や《悲劇の神託者》を手札に戻す用途で使う狙いがあります。
オールイン寄りのコンボデッキでも、しっかりとメタカードを採用することで赤単やイゼット果敢のようなアグロデッキに対抗しています。
『Standard Showcase Challenge』
つづけて、MOの大型大会『Standard Showcase Challenge』の結果です。232名が参加しました。
『Standard Showcase Challenge』
優勝 アゾリウスコントロール
準優勝 オルゾフミッドレンジ
3位 赤単
4位 ボロスミッドレンジ
5位 イゼット果敢
6位 オルゾフミッドレンジ
7位 イゼット果敢
8位 イゼット果敢
優勝したのは、今、もっともホットなデッキ、アゾリウスコントロールでした。
トークンシナジーがそれほど多いわけではありませんが、フィニッシャーとして《嵐の討伐者、エルズペス》が採用されています。《噴水港》が強く使えますね。
伝説のプレインズウォーカー – エルズペス
あなたのコントロール下で1つ以上のトークンを生成するなら、代わりにその2倍の数のそのトークンを生成する。
+1:白の1/1の兵士・クリーチャー・トークン1体を生成する。
0:あなたがコントロールしている各クリーチャーの上にそれぞれ+1/+1カウンター1個を置く。次のあなたのターンまで、それらのクリーチャーは飛行を得る。
-3:対戦相手がコントロールしていてマナ総量が3以上であるクリーチャー1体を対象とする。それを破壊する。
メインからアグロデッキをメタりつつ、サイドボードには《真昼の決闘》が3枚採用され、イゼット果敢を徹底マークしています。
メインの打ち消しと除去に加え、サイドボードプランも豊富で対応できる幅が広いのが特徴です。
打ち消せない呪文に対しては《ティシャーナの潮縛り》で対抗し、《完成化した精神、ジェイス》はランプデッキやミラーマッチなどのロングゲームで重宝するカードで、《萎れ葉のしもべ》はイゼット果敢を倒すために持ち込まれたオルゾフピクシーを刈り取ります。
もうひとつ、《嵐の討伐者、エルズペス》を採用したデッキをご紹介します。4位に入賞したボロスミッドレンジは、これまで見たことがないデッキでした。
クリーチャー・トークンを出すカードをたくさん採用していますが、《世話人の才能》までは採用していません。《世話人の才能》は強力なカードですが、3ターン目にプレイしても実質的にターンをパスするようなものでやはり、赤単やイゼット果敢がトップメタの現在のメタゲームでは悠長です。
《放浪する牧場主、ブルース・タール》はトークンを生成できるカードでありながら、生き残れば衝動的ドローによってアドバンテージを得ることができ、自身も4/3と悪くないサイズのクリーチャーです。
終盤は、クリーチャー・トークンを並べて《嵐の討伐者、エルズペス》の[0]能力で一気にライフを詰めるといったフィニッシュ手段が狙えます。
ボロスカラーにはトップメタのデッキに対して強いカードが集まっており、立ち位置も悪くなさそうです。メタゲームの流れが生んだ新デッキといった感じですね!
『タルキール:龍嵐録』を振り返る
それでは、『タルキール:龍嵐録』シーズンのメタゲームを振り返りながら、新しくやってくる『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』環境に想いを馳せるとしましょう。
ちなみに、ドラゴンたちと共に今セットの顔となっていた《嵐の目、ウギン》は、スタンダードでの目立った活躍こそありませんでしたが、レガシーやモダンのランプデッキで大活躍中です。新環境ではぜひ、スタンダードでも活躍して欲しいですね。
環境初期に活躍したカード
『タルキール:龍嵐録』が発売してすぐに活躍したのは、《光砕く者、テルサ》でした。《氷河の龍狩り》と共にジェスカイ眼魔などに採用され、墓地を肥やしながら《プロフトの映像記憶》を誘発させる動きが強力で、自身に+1/+1カウンターを乗せながら速攻で殴りかかるなど、《忌まわしき眼魔》が封じられても勝ちきれるパワーがあるクリーチャーとして高い評価を得ています。
新たに《マラング川の執政》と《乱動するドラゴンの嵐》を獲得したアゾリウス全知にも熱い視線が向けられました。《全知》を墓地に落としながら《アブエロの覚醒》を手札に引き込む動きに磨きがかかり、デッキ全体の安定度が増しています。
また、環境初期の頃は新カードである《ジェスカイの啓示》をサイドボードに入れておき、《アルケヴィオスへの侵攻》から持ってくることで簡単に無限コンボが実現することも話題となりました。
研究が進むにつれて《ジェスカイの啓示》と《アルケヴィオスへの侵攻》はどちらも不必要であることが判明し、現在は《マラング川の執政》のみで勝ちきるか、1枚だけ《第三の道の創設》を採用したリストが主流となっています。
ちなみに、マジックオンラインやMTGアリーナでは、時間切れを防ぐために《ジェスカイの啓示》《アルケヴィオスへの侵攻》パッケージを採用することもあるようです。
《食糧補充》をもっとも強く使えるデッキとしては、《道の体現者、シィコ》を軸としたジェスカイコントロールに注目が集まりました。
《道の体現者、シィコ》が着地したときのイケイケ感はスタンダードでも最高クラスの迫力があります。
しかし、このデッキはダメージランドが痛すぎることで、やや使用が控えられる傾向となっております。ジェスカイ眼魔も同じ問題を抱えていますが、『タルキール:龍嵐録』シーズンは、やや多色デッキのマナベースに課題を残している状況が続いています。
《コーリ鋼の短刀》を採用したイゼット果敢が大暴れ!
『タルキール:龍嵐録』発売から約2週間が過ぎた頃には、《コーリ鋼の短刀》を採用したイゼット果敢が猛威を奮う環境となりました。
ほとんどの大会で上位入賞するようになり、その活躍は現在進行形で続いています。
イゼット果敢を巡っては、《トレイリアの恐怖》や《かまどの精》を採用した墓地利用型も一定の活躍を見せました。
さらに、あまりにもイゼット果敢が増えたことでミラーマッチを意識した《ドレイクの孵卵者》を採用するリストが爆増するなど、短時間で流行りのデッキリストも変化しております。
チャンピオンズカップファイナルでオルゾフピクシーが優勝
《コーリ鋼の短刀》の価格が1,000円 → 2,000円 → 3,000円と上がり続けるなかで開催された『チャンピオンズカップファイナル シーズン3ラウンド3』。トップ8の半数がイゼット果敢になるなど、圧倒的なパフォーマンスを見せました。
そんな状況下で、準々決勝・準決勝・決勝とイゼット果敢に当たり、そのすべてで2-0ストレート勝利を収めたオルゾフピクシーが優勝という印象的な出来事がありました。
「イゼット果敢だけは絶対に倒す」という強い意志が込められたこのデッキは、使用者の執念が実ったのか、予選およびシングルエリミネーションでイゼット果敢と当たり続け、「最強のデッキが常に勝つわけではない」マジックの奥深さを体現しています。
また、優勝したオルゾフピクシーの影に隠れていますが、黒単デーモンもイゼット果敢に対して強いデッキとして復権しました。1マナ火力では高タフネスのクリーチャーが対処できず、《黙示録、シェオルドレッド》だけでゲームが決まる場面も少なくありません。
《強迫》《鋼と油の夢》《残虐爪の強奪》といったハンデスカードも多く採用され、単色デッキでありながら対応できる幅が広く、ほとんど黒単ながら白や緑をタッチしたデッキなども派生で誕生しています。
アグロ、コンボ、コントロールなど幅広いデッキが活躍
そして現在。イゼット果敢など《コーリ鋼の短刀》デッキの人気は依然として高いままですが、それ以外のデッキもしっかりと活躍しています。
ハツカネズミシナジーを軸とした赤単アグロは常に安定した成績を収めていますし、環境最強のコンボデッキであるアゾリウス全知も地域チャンピオンシップで優勝するなど、存在感を示しています。
《道の体現者、シィコ》と手を切ることで「純度の高いコントロールデッキ」へと昇華したアゾリウスコントロールは直近の『Standard Showcase Challenge』を制しており、今後はますます使用者が増えそうです。
苦戦しているのは「オーバーロード」でしょうか。タップイン土地が多いなどマナベースに不安があり、環境の高速化についていけず、最近は鳴りを潜めています。
カードパワーは環境随一で、愛好家も多いデッキですので、また輝きを取り戻して欲しいです。『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』でなにか、浮上するきっかけがあればと思います。
以上、駆け足でしたが、『タルキール:龍嵐録』シーズンの振り返りをさせていただきました。
おわりに
《コーリ鋼の短刀》のような強力なカードが登場しても、けして「一強環境」になることもなく、それをメタるカードにも注目が集まり、メタゲームが目まぐるしく変化するのがマジックというカードゲームの醍醐味です。
今のスタンダードはカードプールも広いですから、さまざまなデッキにチャンスがあって楽しいですね!
さて、来週は『Just Nowスタンダード!』がお休みとなります。次の記事では『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』のカードをいち早く採用したデッキを紹介できると思いますので、お楽しみに!