統率者戦で注目のカードは?『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』カードレビュー

吉田 敏行

【2025年6月10日追記】
同日に公開しました本記事の「《時を超えた英雄、ミンスクとブー》」「《レイヴンズソープの伯爵、シグルド》」の記述に誤りがございました。お詫びして訂正いたします。

晴れる屋メディア

はじめに

みなさん、こんにちは。

元統率者神の吉田です。今回も『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』の発売に合わせてカードレビューを担当させていただきました。

「FINAL FANTASY」については、スーパーファミコンのⅣ~Ⅵは人がプレイしているのを見ていたのでストーリーは知っている程度で、実際に自分で買ってプレイしたのは、当時学校で流行っていたⅫという異端児なので正直そこまで期待していませんでした。

光の戦士救済者、セフィロス

ですが、「継承史」カードの《光の戦士》《救済者、セフィロス》を見たときは「こんなのズルじゃん!」と思ってしまいました。MTGのカードにあまりにもマッチしている。

空賊バルフレアとフラン自由を求める少年、ヴァン

プレビューを見ているときも「FINAL FANTASY Ⅻ」のカードを主に見てましたが、《空賊バルフレアとフラン》が最初に公開されて以降、ほかのナンバリングの主人公が続々公開されていくなか、ヴァンのカードは全然公開されず「やはり主人公はバルフレアなのか……?」と不安に。

最後の方でようやく《自由を求める少年、ヴァン》が公開されて一安心しました。

今回のセットは、「FINAL FANTASY」の登場キャラが伝説のクリーチャーとして片っ端から収録されているため、とにかく統率者候補が多い!

どんなカードが面白そう、強そうか統率者目線で見ていきましょう。

カードレビュー

《ミッドガルの傭兵、クラウド》

ミッドガルの傭兵、クラウドミッドガルの傭兵、クラウドミッドガルの傭兵、クラウド

《石鍛冶の神秘家》のように装備品をサーチできるカードです。

頭蓋骨絞めリザレクション・オーブ救いの手

統率者にした場合、自身の効果で《頭蓋骨絞め》を持ってきて絞めることで4枚ドロー、統率領域から出し直して《リザレクション・オーブ》を持って来れば、毎ターン絞められるように。2マナと軽いので、墓地に置いて《救いの手》などのリアニメイト呪文で何度も即釣って絞めて4枚ドローしていくのもいいでしょう。これが主人公の姿か……?

我々の刃霊気灯順応する万能工具記憶の仮面火と氷の剣

装備品が一気にほしい場合は、《我々の刃》をつければ4体のクラウドが出て即死亡しながらサーチできます。《霊気灯》《順応する万能工具》《記憶の仮面》《火と氷の剣》などの各種剣を持ってくれば普通にアドも稼げますね。《戦闘の神、ハルヴァール》の裏面、《領界の剣》をサーチできないのが惜しい……!

ヘルメスの杖、カドゥケウスギミックアーム、キャノンボール梅澤の十手エデンの剣、エクスカリバー

主人公らしくまともに殴りたい!というのであれば《ヘルメスの杖、カドゥケウス》《ギミックアーム、キャノンボール》《梅澤の十手》《エデンの剣、エクスカリバー》あたりを使うのがいいでしょう。

《タタル・タル》

タタル・タル

統率者デッキ「サイオンズ・スペル」より。

幾何学の戦術家、テヨ第三の道のロラン

統率者戦では、対戦相手が3人いるので《フェアリーの黒幕》《エスパーの歩哨》のように相手が何かするたびに誘発するカードが強いです。条件がやや厳しいうえにターンに1回しか誘発しませんが、2マナという軽さは非常に魅力的。《幾何学の戦術家、テヨ》《第三の道のロラン》がいれば無理矢理に条件達成もできます。

パワーがないうえに宝物・トークンはタップインなので、防御的なデッキか最序盤にクリーチャーで加速したいデッキでの採用になりそうです。

バッツ・クラウザー意志を縛る者、ディハーダ

戦場に出た際の対戦相手のドローは任意なので、《軍団のまとめ役、ウィノータ》《意志を縛る者、ディハーダ》など4マナに到達させるとまずい統率者相手に《タタル・タル》を出されたときは、宝物・トークンを与えないためにドローしないのも手です。

《グ・ラハ・ティア》

グ・ラハ・ティア

クリーチャー死亡時に誘発する能力はよくありますが、アーティファクトでも引けるのはちょっと珍しい。

息詰まる徴税意志を縛る者、ディハーダ堕落した庄察頭、ロソタタル・タル

《息詰まる徴税》《意志を縛る者、ディハーダ》《堕落した庄察頭、ロソ》に、上で紹介したばかりの《タタル・タル》宝物・トークンには困らないフォーマットなので、ターンに1回ではありますが各ターンに引けそうです。

サムワイズ・ギャムジーアストリッド・ペス

アーティファクトなら食物・トークンでもいいので《サムワイズ・ギャムジー》《アストリッド・ペス》のようなカードと組み合わせてもいいですね。

《フィガロの国王、エドガー》

フィガロの国王、エドガー

1回目のコイン投げであれば確実に勝てる前代未聞のカード。

親指なしのクラーク知恵の目、ゼンドスプルト混沌の目、オカウン運命の炎、ユースリ

《親指なしのクラーク》《知恵の目、ゼンドスプルト》《混沌の目、オカウン》のようにコイン投げの統率者では強力ですが、1回目だけなのでゼンドスプルトのように連続で投げ続けるカードとはそこまで相性がいいわけではありません。しかし、《運命の炎、ユースリ》は挙動が独特で「1回目に5回コインを投げる」のですべて表扱いにできて、いきなり《全知》状態になれます。

本質の変転水飛沫の門欺きのフロストカイトディスプレイサーの仔猫

コイン投げの能力のインパクトが大きいですが、戦場に出た際のドロー能力もかなり強力。デッキをアーティファクトに寄せれば平気で6-7枚は引けるので《本質の変転》《水飛沫の門》《欺きのフロストカイト》で大量ドローが狙えます。《ディスプレイサーの仔猫》までいれば、もう自分のライブラリーアウトを心配したほうがよいでしょう。

デッキ内に入れる場合と統率者にした場合で、役割ががらっと変わる珍しいカードです。

《ルイゾワの献身》

ルイゾワの献身

1マナで広範囲を打ち消せるカード。統率者戦では、追加コストの支払いに統率者を放り込めばいいので比較的簡単ですが、1マナには《白鳥の歌》《断れない提案》《狼狽の嵐》と優秀なカードがそろっています。このカードを採用できる時点で、青い統率者なことが多いのでピッチの《拒絶の閃光》でいいのでは?とも思います。

白鳥の歌イーオスのレインジャー長断れない提案

ただ、クリーチャーを打ち消せないカードばかりで《イーオスのレインジャー長》をプレイ→起動されて負けた、なんてよくあることなので能力を《もみ消し》できるのは嬉しいですね。

ロフガフフの息子、ログラクフWill the Wise

《ロフガフフの息子、ログラクフ》《Will the Wise》のような非青の軽量統率者をコストにできるのも強みですし、指輪に誘惑されているクリーチャーでもOK。最悪3マナで《否認》《もみ消し》を選べるカードと思うと悪くない気もしてきます。

《「青魔道士」の青魔器》

「青魔道士」の青魔器

統率者デッキ「サイオンズ・スペル」より。攻撃して3マナ払うだけで、相手の墓地からソーサリー・インスタントをなんでも唱えられる装備品。

この手のカードはダメージを通す必要があったり、クリーチャー除去1枚で何もできなかったりしましたが、攻撃するだけで誘発し、「ジョブ選択」なので後続に替えが効くのが画期的。墓地に除去があればブロッカーの排除もできます。追放してコピーなので《墓掘りの檻》にも引っかかりません。

賢きモスマン飛空隊長、アーナ・ケネルッド

《賢きモスマン》のような相手の墓地を肥やせる統率者なら活かせそうですが、「改善」されることを利用して《飛空隊長、アーナ・ケネルッド》で増やしていくのも面白そうです。

《苦悩の竜騎士、カイン》

苦悩の竜騎士、カイン苦悩の竜騎士、カイン苦悩の竜騎士、カイン

ダメージを与えるたびに裏切り、宝物・トークンとドローをさせてくれる統率者。《謙虚な離反者》と異なり、能力解決までに戦場を離れるとボーナスは得られません。対戦相手同士で攻撃し合われると全然正気に戻ってくれないので、《家路》《永遠の聖域》で帰ってきてもらいましょう。

憎悪グラムドリングバスターソード

パワーを上げればその分恩恵も大きくなるので、死ぬほど引ける《憎悪》《グラムドリング》《バスターソード》のように引いたカードを即唱えられる装備品を使っていきましょう。装備品は自分のコントロールのままなので、相手が攻撃しても恩恵を得られます。パワーを上げすぎるとライフロス効果や裏切った相手に攻撃されて死ぬので注意。

アブソリュートの信者

また、裏切ってもオーナーは自分なので《アブソリュートの信者》なら打点を上げつつ、クリーチャーのいない相手に送りつけてアップキープに自爆させられます。人の心とかないんか?

《威名のソルジャー、セフィロス》

威名のソルジャー、セフィロス片翼の天使、セフィロス

《血の芸術家》のような死亡時に誘発する能力を持つ統率者。

見捨てられた鉱夫巣穴の魂商人ファイレクシアの供犠台厄介者、ギサ

対象をとる(=悪事を働ける)ので《見捨てられた鉱夫》の復活条件を達成し、《巣穴の魂商人》《ファイレクシアの供犠台》無限ドレインができます。無限でなくても《厄介者、ギサ》でトークンを並べていくだけでも十分脅威。

呪われた匪賊倒れし者の報復者妖術師の衣装部屋墓石の階段

変身自体は《呪われた匪賊》《倒れし者の報復者》で容易に達成できます。「紋章」は重複するので《妖術師の衣装部屋》で表面に戻せば、死亡時誘発のライフロスが馬鹿にならなくなってきます。《墓石の階段》とも非常に相性が良く、各ターンに大量のトークンが生成→死亡するので、1周するまでに1人焼き切ることも可能です。

世界を支配せんとする者、皇帝

統率者にせずとも、《血の芸術家》系のクリーチャーとしてはサイズが優秀で殴られにくくドローも回復もできるので、《スランの医師、ヨーグモス》のような統率者に入れるのもよさそうですね。

《ゼノス・イェー・ガルヴァス》

ゼノス・イェー・ガルヴァス超越せし者、神龍

裏面に変身する際に選んだ対戦相手1人を倒すとゲームに勝利できるド派手な効果を持つ統率者。多人数前提の効果がなぜ統率者デッキ収録じゃないのかと思いましたが、「比較的現実的に特殊勝利が狙える」&「1人を集中攻撃することになりがち」なこのカードは、構築済みデッキに向いてないと判断されたのかもしれません。

裏面にばかり目がいきますが表面も強力で、出るだけで大半のシステムクリーチャーを一掃できるので、ほかのプレイヤーとしても見えてる全体除去に突っ込むのをためらい、展開を抑止できそうです。

禁忌の果樹園どんぐりカタパルト

逆に誰もクリーチャーを出さないと変身できないので、《禁忌の果樹園》《どんぐりカタパルト》で送りつけたスピリットやリス・トークンを唯一の友認定しましょう。そんな牧歌的な人ではない気がする……。

ヴォーパル・ソード生体融合外骨格憎悪召喚:蛮神オーディン

変身後は《ヴォーパル・ソード》《生体融合外骨格》《憎悪》《召喚:蛮神オーディン》あたりでサクッと勝ちにいきましょう。3対1になってレイド戦みたいになるのも面白そうですが、突如《金粉のドレイク》されかねないのが統率者戦。コントロール奪取だけは気をつけましょう。

金粉のドレイク

《召喚:蛮神オーディン》

召喚:蛮神オーディン

6マナのカードですが、「斬鉄剣」による一撃死はかなり怖い。第Ⅰ章の除去でどのプレイヤーを一撃死させるか推量させたところで、回避能力を付与して全然関係ないプレイヤーを殴るとうまくいきそうな気がしますね。

突撃鎧

《突撃鎧》を装備すると相手同士で「斬鉄剣」による辻斬り合戦が始まり、生け贄に捧げられないので最終章が終わっても維持することができます。《突撃鎧》がなくなったらその瞬間に自壊するため、自分が殴られることはありません。

Deadpool, Trading Card

ちなみに、《召喚:蛮神オーディン》が「斬鉄剣」の能力を得たあと《Deadpool, Trading Card》でテキストを交換すると、章能力を失うため斬鉄剣を持ったオーディンを維持できます(なお、デッドプールは実質5/3バニラになります)。

《七番街スラムのアバランチ》

七番街スラムのアバランチ

統率者デッキ「リミットブレイク」より。

生体融合外骨格

マナを伸ばすためにアーティファクトが多用されるゲームなので、かなりの打点になりそうです。マナ能力であってもダメージを与えるのが優秀。《生体融合外骨格》なら殴りでも能力でも毒10個が狙えますね。

マイコシンスの格子行進するデュオドロンアヴェルヌスへの下降

統率者にするなら《マイコシンスの格子》があれば気軽に打点が21を超え、土地からマナを出すだけでもダメージを受けるようになります。序盤のうちは《行進するデュオドロン》《アヴェルヌスへの下降》で宝物・トークンを配ってサイズを上げていきましょう。

最深の力、オヘル・アショニル美術家の才能ケラーモーフ、ギルソン・スターン囚われの黒幕、オブ・ニクシリス

1個1個につき1点を与えるので《最深の力、オヘル・アショニル》《美術家の才能》《ケラーモーフ、ギルソン・スターン》ではダメージが数倍に、《囚われの黒幕、オブ・ニクシリス》ではその数分のアドが得られます。

《召喚:G.F.ケルべロス》

召喚:G.F.ケルべロス

昔からある強いソーサリー・インスタントが使えるフォーマットなので、合わせて3回コピーできるのは便利そうです。

レイヴンズソープの伯爵、シグルド

《レイヴンズソープの伯爵、シグルド》がいれば毎ターンⅡ章で呪文をコピーしたり、Ⅱ,Ⅲ章まとめて解決して一度に3回コピーもできるように。

ジェスカの意志けちな贈り物

普通に使っても適当にサーチや追加ターン呪文、《ジェスカの意志》を投げるだけで大惨事になります。《けちな贈り物》3回とかやり始めると、使用者含めてみんなバグるからやめましょう!

《はないき》

はないき

統率者デッキ「トランス・リアニメイト」より。

ジェスカイの意志戦争の世継ぎ、ローアンイズマグナスのミジックス

なんだか気の抜けるような名前のカードですが、書いてることはちょっと前に登場した《ジェスカイの意志》に近く強力。原作の時点でなんか強いので……。1枚で計10枚引けるので、《戦争の世継ぎ、ローアン》《イズマグナスのミジックス》のようにコスト軽減できる統率者ならそのまま勝てるでしょう。

永遠衆、ネヘブ

相手に5点与える効果があるので《永遠衆、ネヘブ》で使われるとドローを選択しにくく、1人だけ5枚ドローができそうです。

《自由を求める少年、ヴァン》

自由を求める少年、ヴァン自由を求める少年、ヴァン自由を求める少年、ヴァン

《敏捷なこそ泥、ラガバン》のような能力をスカウト・海賊・ならず者に付与するカード。1体以上~のテキストですが、多人数戦なら3人に攻撃すれば3回誘発します。

《敏捷なこそ泥、ラガバン》のように宝物・トークンを出しながら相手のカードを唱えることはできず、唱えるタイミングもめくったその瞬間なので打ち消し呪文を保持することはできません。

ジタン・トライバル鋭い目の航海士、マルコム

一方、《敏捷なこそ泥、ラガバン》の欠点だった「ブロッカーを用意されて攻撃が通らない」点をサイズが上がることで克服しているのが強み。《鋭い目の航海士、マルコム》系のデッキはサイズが心もとなく、コンボ狙いするしかなかったのですが、殴り倒す選択肢が出てきたのは大きいですね。

《旅するチョコボ》

旅するチョコボ

《クルフィックスの狩猟者》のように土地をライブラリートップから置けるカード。

円渦海峡の暴君、アシー屍花復活した精霊信者、ニッサ創造の座、オムナス謎の解明者、ジモーン世界魂の代弁者、ニッサ

「上陸」が2回誘発するのが強力で、《円渦海峡の暴君、アシー》《屍花》が倍速に、《復活した精霊信者、ニッサ》《創造の座、オムナス》《謎の解明者、ジモーン》のように複数回「上陸」が必要な能力もかなり使いやすくなります。《世界魂の代弁者、ニッサ》ではフェッチランド1枚で呪文踏み倒し!

マネドリ秘密売り、ティヴィット

土地以外にも鳥の着地時の誘発も倍になるので、鳥を保持したままコピーする《マネドリ》《秘密売り、ティヴィット》をコピーすると大変なことに。《浄火の戦術家、デリーヴィー》《狙い澄ましの航海士》との無限ブリンクが狙いやすくなります。

《ジャボテンダー》

ジャボテンダー

統率者戦においてもギャグみたいな修整値ですが、通れば死ぬという点においては強力。

帰還した王、ケンリス時を超えた英雄、ミンスクとブーアメーバの変わり身

《帰還した王、ケンリス》なら墓地に置いて蘇生し、速攻&トランプル付与能力で奇襲が一応できます。《時を超えた英雄、ミンスクとブー》では殴ったあと1万点で投げられるわ、でやりたい放題。数値が適当すぎて《アメーバの変わり身》でハムスター化させられると、なぜか投げたほうも死にます。

梁町の暴漢野生の心、セルヴァラ帝国の徴募兵夕暮れヒバリ

ほかで味わえない体験を自分だけがしているのはもったいない!と思うなら《梁町の暴漢》で相手にも体験させてあげましょう。《野生の心、セルヴァラ》では1万マナ……マナバーンがあれば死んでましたね。基本のパワーが1しかないので、《帝国の徴募兵》《夕暮れヒバリ》の恩恵を受けれることは覚えておきましょう。

多色

《迷える黒魔道士、ビビ》

迷える黒魔道士、ビビ迷える黒魔道士、ビビ迷える黒魔道士、ビビ

スタンダードで話題沸騰のトップレアカード。

好奇心二人組の見張り番激しき乗りこなし

統率者戦においては、下の能力で対戦相手全員にダメージを与えられる点を活かして《好奇心》《二人組の見張り番》などから軽量アーティファクトを唱え続けてチェインするデッキが考えられているようです。マナも出せるので《激しき乗りこなし》などで一気に加速もできます。

水銀の精霊雷の頂点、ヴァドロック断絶

少し前に話題になりましたが《水銀の精霊》がいるとビビの能力を得る→マナを出す→ビビの能力を再度得ることでターンに1回の壁を超えて無限マナになります。統率者にしない場合も《雷の頂点、ヴァドロック》の「変容」先としてかなり優秀。コスト軽減もしくは2マナ土地が必要になりますが《断絶》で無限ダメージができます。

コンボ特化すればかなり早くなるので、大会でも見かけることになるかもしれません。

《パラメキア皇帝》

パラメキア皇帝地獄の魔物を率いる者

ビビが話題沸騰の赤青統率者なら、こっちは特に話題になってない赤青統率者!

1マナしか出せませんが、本体が2マナというのが便利で最序盤にほぼ土地事故が起こりません。また、統率者戦においては「強すぎない」ことが大事で、ほかのプレイヤーの脅威と比べた結果、妨害を受ける頻度を減らすことができます。

別れの波飲み込む潮心の傷跡催眠の宝珠鏡狂の幻

やることとしては《別れの波》《飲み込む潮》などで+1/+1カウンターを溜めつつ妨害し、変身したら《心の傷跡》を自分に撃って攻撃するだけ。簡単!墓地が肥えるなら《催眠の宝珠》でも《鏡狂の幻》でも構いません。

時間操作完全化の杖神託者の広間

《時間操作》などの追加ターンも変身に貢献しながら、変身後の打点向上に繋がるので悪くないでしょう。ちゃんと4マナ払わないと+1/+1カウンターが置かれないので、ピッチスペルによるズルができず変身タイミングが読まれやすいです。《完全化の杖》の「増殖」モードや《神託者の広間》などでタイミングをズラしていきましょう。

《SeeDの傭兵、スコール》

SeeDの傭兵、スコールSeeDの傭兵、スコールSeeDの傭兵、スコール

4マナでありながら、単独で攻撃すれば《太陽のタイタン》超えの仕事をしてくれるカード。フェッチランドを2回釣るだけでも十分強いです。

イーオスのレインジャー長塔の長官、ボロミア疫病造り師汚染不吉なとげ刺しブリッツボールテヴァルの裁き

統率者にする場合は自爆できるカードをメインに、《イーオスのレインジャー長》《塔の長官、ボロミア》《疫病造り師》《汚染》のような妨害、《不吉なとげ刺し》《ブリッツボール》《テヴァルの裁き》のようなドローを入れていきましょう。

意志を縛る者、ディハーダ秘密売り、ティヴィット

統率者以外では、墓地が肥えやすい《意志を縛る者、ディハーダ》や、序盤の加速に使えて二段攻撃付与が強い《秘密売り、ティヴィット》あたりで使われそうです。

《ルシスの王子、ノクティス》

ルシスの王子、ノクティスルシスの王子、ノクティスルシスの王子、ノクティス

墓地からアーティファクトを脱出させる統率者。ただし、ライフ3点が必要なのと戦場に出ると最終カウンターが置かれてしまうため使い回しはできません。最終カウンターは戦場から墓地に置かれる際に追放されるので、《師範の占い独楽》のように墓地以外の領域にいく分には問題ありません。

厳粛呪詛の寄生虫魔力の導管魂の占者浸食するマイコシンス

《厳粛》《呪詛の寄生虫》《魔力の導管》《魂の占者》最終カウンターを置かれない/取り除くことでも使い回しは可能。《浸食するマイコシンス》があればアーティファクト以外でも脱出できます。

虚空の鏡苛立たしいガラクタ虚空の杯Nether Void霊気貯蔵器

《直観》から《ボーラスの城塞》+《師範の占い独楽》をそろえてもいいのですが、戦場に出なければ最終カウンターは関与しないので《虚空の鏡》《苛立たしいガラクタ》《虚空の杯》《Nether Void》0マナアーティファクトが自動で打ち消される状態にして、《霊気貯蔵器》で何度も回復しながら50点砲を叩きこむという無茶苦茶なコンボも考えられているようです。

《魔導戦士、ティナ》

魔導戦士、ティナ幻獣の血を引く少女、ティナ

赤緑のカードですが、裏面の第Ⅳ章に5色のマナシンボルがあるため固有色は5色。表面も裏面もエンチャントに特化した統率者です。

リスティックの研究死の国からの脱出

表面は切削しながらエンチャントを回収。《リスティックの研究》《死の国からの脱出》といった超強力なカードを拾えます。

食物連鎖不死身、スクイーベイルマークの大主鍛冶の神、パーフォロス

なかでも、《食物連鎖》統率領域に戻すことでティナを何度も使い回すことができ、適当なエンチャント・クリーチャーを拾ってはマナに変換してライブラリーを掘り進むことで《不死身、スクイー》までたどり着きやすくなります。無限マナになったら《ベイルマークの大主》《鍛冶の神、パーフォロス》で勝ちにいきましょう。

見習いの愚行イレニカスの不快な複製月霧

裏面は第Ⅰ~Ⅲ章は伝説でないエンチャントのコピー。自身は伝説のためコピーできませんが《見習いの愚行》《イレニカスの不快な複製》などで非伝説としてコピーすれば(非伝説であることはコピー可能な値のため)、自身を無限にコピーして6/6速攻軍団として殴り倒せます。裏面までの変身が遅いと感じたら《月霧》で強制変身させましょう。

《食物連鎖》に放り込み続けるのも、自身を無限にコピーするのも、兵器運用してるみたいで少し悲しいですね。これがMTGに出演するということ……!

《ルーンナイト、セリス》

ルーンナイト、セリスルーンナイト、セリスルーンナイト、セリス

統率者デッキ「トランス・リアニメイト」より。

残忍なレッドキャップくぐつ師の徒党しつこい締め付け蛇

サクリ台があれば《残忍なレッドキャップ》《くぐつ師の徒党》《しつこい締め付け蛇》のような「頑強」持ちを無限にサクることができます。直接その場で勝てなくても、自軍全員が無限パワーになるのでそのまま攻撃すれば勝てそうです。

我々の刃Saw in Half

戦場に出たときのドロー能力も、捨てる枚数を選べるためそれなりに便利。1枚しか増えないので手札はなるべく多めを維持したいところ。《我々の刃》《切断マジック》で増やして一気に掘り進んでいきたいですね。

無色

《三闘神》

三闘神

統率者デッキ「トランス・リアニメイト」より。条件を満たすとクリーチャー化するカード。伝説のクリーチャーなので、もちろん無色の統率者として指定できます。

ワイアウッドの呼び手、ギランラスーザン・フォアマン暴動の長、ラクドス

《ワイアウッドの呼び手、ギランラ》《スーザン・フォアマン》のように「そこまで強くないけど軽くてマナを出せる」統率者が使いやすかったりするので、エルドラージに寄せたりとデッキ全体が重くなりそうなら潤滑油としてアリだと思います。《暴動の長、ラクドス》などクリーチャーのコストを軽減できる統率者では、0マナのマナアーティファクト感覚で使えます。

通電式キー偏向はたき眷者の神童、キナン

統率者セットのカードらしく、マナを相手にあげることも可能。《通電式キー》と合わせて困ったときに相手にマナをあげて助けてもらいましょう。《幽体の照明灯》《勝利の鐘》と異なり対象をとるのでマナ能力ではなく、《偏向はたき》されたり《眷者の神童、キナン》下で追加でマナが出ないので注意です。

《原初の生命体、アルテマ》

原初の生命体、アルテマ原初の生命体、アルテマ原初の生命体、アルテマ

こちらも無色統率者として強力な1枚。

旅人のガラクタニッサの欲動、苦茨忘却石ネビニラルの円盤

たいていの無色統率者はマナアーティファクトを並べて加速しますが、こちらは《旅人のガラクタ》《ニッサの欲動、苦茨》などで《荒地》をサーチしてマナ加速していくのが特徴。土地以外を吹き飛ばす《忘却石》《ネビニラルの円盤》といった全体除去が使いやすいです。相手の《ガイアの揺籃の地》を潰せる能力も地味に嬉しい。

荒地

普通の統率者戦でも十分な強さですが、本領を発揮するのは統率者戦の派生フォーマットである「ヒュージリーダーズ」でしょう!5マナという最軽のマナ総量に加え、ゲーム開始時から《荒地》が4枚用意されているので安定して暴れられます。

あまりにもヒュージすぎるので、本当に使えるのか心配になるほど。委員会の動向に注目しましょう。

《召喚:バハムート》

召喚:バハムート

通常の構築ではオーバーキルすぎるこのカードも、統率者戦ならちょうどいいくらいのフィニッシャー。マナアーティファクトから出てきて「メガフレア」で焼き切ってくれます。

時計回し魔力の導管仲介人、フェイン

英雄譚で生け贄に捧げられるのは、最終章の能力が解決後に伝承カウンターが最終章の番号以上のときなので、最終章誘発後に《時計回し》《魔力の導管》などで減らせば、またメガフレアが撃てます。インスタントタイミングでカウンター移動ができる統率者は《仲介人、フェイン》など極一部なのが残念。

地味に無色のカードでありながら《無のロッド》を壊せる貴重なカード。無色デッキの救世主!……いやすでに9マナ出てますが。

過去セットの注目カード

FINAL FANTASYといえば「召喚獣」。今回はそんな召喚獣の特徴である英雄譚のサポートカードを挙げてみます。

《レイヴンズソープの伯爵、シグルド》

レイヴンズソープの伯爵、シグルド

まずは『Assassin’s Creed』登場の《レイヴンズソープの伯爵、シグルド》。「誇示」なのでターンに1回ですが、伝承カウンターを減らせるので召喚獣をずっと維持できます。

召喚:フェンリル召喚:ヨウジンボウ

伝承カウンターを減らせば、次のターンに再び伝承カウンターが置かれ、さきほどと同じ章能力が誘発します。《召喚:フェンリル》の第1章を繰り返して毎ターン土地加速、《召喚:ヨウジンボウ》なら毎ターン追放除去ができます。

エリシュ・ノーンエリシュ・ノーン

召喚獣ではありませんが《エリシュ・ノーン》変身後の《銀白の刻文》では、毎ターン全体に+1/+1・二段攻撃を付与して殴ってきます。無理でしょそんなの……。

《バーバラ・ライト》

バーバラ・ライト

次に『ドクター・フー』登場の《バーバラ・ライト》。教えてもらったカードですが、英雄譚の最終章をいきなり誘発させられます。

バハムートのドミナント、ディオン光の召喚獣、バハムート
フェニックスのドミナント、ジョシュア火の召喚獣、フェニックス
魔導戦士、ティナ幻獣の血を引く少女、ティナ

英雄譚に変身するカードと相性がよく、《バハムートのドミナント、ディオン》《フェニックスのドミナント、ジョシュア》では最終章で盤面を荒らしたあと、表面で戻ってきて表面の能力が誘発します。《魔導戦士、ティナ》では10マナを出して戻ってくるので、《稲妻のすね当て》などで速攻付与すれば無限マナ、無限切削です。

物語編み

《物語編み》で伝承カウンターが一度に2個置かれた場合、通常Ⅰ章ずつ誘発しますが、「先読」を持つ英雄譚は間の章が誘発しなくなり、Ⅱ章後しか誘発しなくなるので気をつけ……いやそんな場面そうそうないか……。

《トム・ボンバディル》

トム・ボンバディル

最後に『指輪物語:中つ国の伝承』登場の《トム・ボンバディル》。バードとして活動してたような気がしましたが実は召喚士でした。英雄譚の数が一気に増えたため、ターンに1回の制限が地味に不便。「増殖」を駆使して相手ターンにも出せるようにしておきましょう。

MTGでないIP同士が、MTG上でシナジーを形成しているのはちょっと不思議な気分ですね。コラボセットは独特な能力を持つカードが多いので、組み合わせるのが面白いです。


これで『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』カードレビューは以上となります。

今回紹介したカードのほかにも面白そうなカードがたくさんあるので、みなさんもいろいろ試してみてください!

吉田 敏行

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吉田 敏行 全国の統率者の大会に出すぎて「コラッタ」「レア度コモン」とか呼ばれ始めた(第4期統率者神、第5期統率者帝王) 吉田 敏行の記事はこちら