はじめに
みなさん、こんにちは。
待ちに待った『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』がリリースされましたね。レガシーでも早速活躍しているカードがあるようです。
今回の連載では『Legacy Showcase Challenge』『Legacy Challenge』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
『Legacy Showcase Challenge』 -入賞したすべてが異なるデッキ-
開催日:2025年6月7日
優勝 イゼットテンポ
準優勝 ドゥームズデイ
3位 エスパーテンポ
4位 The Spy
5位 スニーク・ショー
6位 バントナドゥ
7位 ディミーアリアニメイト
8位 セファリッドナドゥ
参加者257名の『Legacy Showcase Challenge』は、プレイオフに入賞したすべてのデッキが異なるアーキタイプとなりました。
ディミーアリアニメイト、Tha Spy、セファリッドナドゥといった墓地を使ったデッキは、各デッキが複数の墓地対策を用意していたこともあり、上位でも見られたものの危険視されるほどの数ではありませんでした。
『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』が実装される前ですが、環境を総括するイベントなので入賞デッキを紹介します。
イゼットテンポ
今大会で優勝したのは、直前の『Legacy Challenge』でも優勝するなど、ここ最近目覚ましい活躍をみせているイゼットテンポでした。
《コーリ鋼の短刀》を採用したバージョンは、イゼットデルバーよりもクロックは遅くなりますが、トークン戦略により《剣を鍬に》 や《致命的な一押し》といった単体除去に耐性があります。
《バロウゴイフ》を採用した青黒系のフェアデッキは苦手なマッチアップになりますが、『Showcase Challenge』のような長丁場なイベントでは、コンボ要素のあるディミーアリアニメイトが多くなる傾向にあります。
火力系の除去に強い《ネザーゴイフ》や《バロウゴイフ》と対面する機会が減り、《オークの弓使い》も減少傾向にある環境では、イゼットテンポは良い選択肢になります。
☆注目ポイント
最近のテンポデッキでは珍しく《もみ消し》が採用されています。《もみ消し》を採用しているデッキが少ないのでケアされることもなく、速い環境ということもあって多くのデッキが土地を切り詰めているので、フェッチランドの起動を妨害するだけで事故らせることができます。
また、The Spyなどさまざまなコンボデッキに刺さり、こちらのデッキに《もみ消し》があると分かるだけでも相手は動きにくくなります。
《稲妻》《紅蓮破》といった赤い除去にアクセスできるところがイゼットテンポの強みです。《稲妻》は《知りたがりの学徒、タミヨウ》を除去できるため、《邪悪な熱気》よりも優先的に枚数が採られています。
レガシーでは《古えの墳墓》《思考囲い》《再活性》などによって相手のライフも著しく減っていくので、最後のトドメとしても有用な《稲妻》の4枚採用は納得です。
《紅蓮破》は《知りたがりの学徒、タミヨウ》《有翼の叡智、ナドゥ》《濁浪の執政》《悪夢滅ぼし、魁渡》などさまざまな脅威に対する解答になります。
ただ、《ネザーゴイフ》と《バロウゴイフ》は厳しいので、メタによっては《稲妻》よりも《邪悪な熱気》が優先されることもありますが、1ターン目から出てくる《知りたがりの学徒、タミヨウ》を処理できるのが《稲妻》なので悩ましいところです。
『Legacy Challenge 32』 -話題の新カードを採用したデッキが優勝-
開催日:2025年6月10日
優勝 青単ペインター
準優勝 ディミーアリアニメイト
3位 土地単
4位 イゼットテンポ
5位 赤単ストンピィ
6位 グリクシスリアニメイト
7位 土地単
8位 イゼットテンポ
『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』実装直後の『Legacy Challenge』で優勝したのは、話題の新カードを搭載した青単ペインターでした。
青単ペインター
新カードの《「占星術師」の天球儀》を採用した青単ペインターが優勝しました。
マナ加速から《絵描きの召使い》+《丸砥石》のコンボフィニッシュを狙い、コンボが対策されても《物読み》や《アノールの焔》といったアドバンテージ源のおかげで耐久性があります。
《無のロッド》や《溶融》といったアーティファクト対策の使用率によって強さが変動するデッキなので、リアニメイトやThe Spyなどプレイヤーの意識がアーティファクトよりも墓地に向いている現環境では良い選択肢になります。
☆注目ポイント
《ウルザの物語》によってコンボパーツの《丸砥石》以外にも、状況に応じたアーティファクトをサーチすることができます。《魂標ランタン》は墓地デッキ以外にも、《濁浪の執政》や《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の牽制にもなり、必要ならドローに変換できるため腐りにくい墓地対策になります。
《溶岩拍車のブーツ》は《ウルザの物語》のⅢ章の能力に対応して、生成されたばかりの構築物・トークンに除去耐性を付与しつつ速攻で殴ることが可能です。
《湖に潜む者、エムリー》と《知りたがりの学徒、タミヨウ》は両方とも軽いコストながらアドバンテージを稼ぐことができ、特に《湖に潜む者、エムリー》は墓地に落ちたコンボパーツをプレイできるので、カウンターやハンデスを多用するマッチアップで活躍します。また、どちらもウィザードなので《アノールの焔》をより強く使えるようになります。
《「占星術師」の天球儀》は『FINAL FANTASY XIV』に登場するジョブ「占星術師」を再現したカードで、軽いスペルを多用するレガシーに合ったカードです。《ミシュラのガラクタ》や《オパールのモックス》といった0マナのアーティファクトが大量にあるので、このカードの強さを最大限に引き出すことができます。装備されているクリーチャーがウィザードになるので、《アノールの焔》との相性も抜群です。
『Legacy Challenge 32』 -イゼット祭り-
開催日:2025年6月13日
優勝 イゼットテンポ
準優勝 イゼットテンポ
3位 ティムールデルバー
4位 グリクシスミッドレンジ
5位 ティムールデルバー
6位 ドゥームズデイ
7位 ディミーアリアニメイト
8位 ディミーアテンポ
先週末に開催された『Legacy Challenge 32』は、イゼットテンポがプレイオフの半数を占めるという結果になりました。
現環境の青赤系のテンポデッキは、《コーリ鋼の短刀》を軸にした形と《秘密を掘り下げる者》と《探索するドルイド》を採用した伝統的な形があります。《コーリ鋼の短刀》を採用した形は、果敢を最大限に活かすため《ウルザのガラクタ》も採用され、1マナ域には《知りたがりの学徒、タミヨウ》が採用されています。
墓地デッキや《古えの墳墓》デッキが多い環境なため、墓地対策、アーティファクト対策をしつつ《不毛の大地》や《目くらまし》で妨害できるイゼットテンポはいい選択肢になります。
グリクシスミッドレンジ
今回入賞していたJamesKisauは、レガシーでグリクシスを使い続けているエキスパートです。
テンポデッキのように振る舞うこともできますが、《食糧補充》などアドバンテージを稼げるカードが複数採用されているので、除去やハンデスで脅威を捌いていき、じっくりとコントロールしていきます。
☆注目ポイント
《オークの弓使い》は《秘密を掘り下げる者》や「昂揚」していない《ドラゴンの怒りの媒介者》を除去でき、《悪意の大梟》は《濁浪の執政》を含めた多くの脅威と相討ちができる優秀なクリーチャーです。
青黒系のデッキは《悪夢滅ぼし、魁渡》を効率的に処理する手段が限られているため、現レガシーの最高クラスの脅威となります。「忍術」を活かすには軽い優秀なクリーチャーが必須となりますが、《瞬唱の魔道士》《オークの弓使い》《悪意の大梟》は忍術と相性がいいクリーチャーになります。
《悪意の大梟》や《瞬唱の魔道士》を「忍術」で戻せば、再度カードをドローしたり墓地のスペルをフラッシュバックさせて、さらにバリューを得ることができます。
『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』に収録されている《マテリアハンター、ユフィ》は、『FINAL FANTASY VII』のキャラクターの忍者で、アーティファクト奪取も原作のとあるイベントを意識した内容になっています。除去耐性こそないものの、アーティファクト奪取は各種装備品、《一つの指輪》など強力なアーティファクトが散見されるレガシーでは非常に強力な能力になります。
『Legacy Challenge 32』 -忍者がトップメタの仲間入りか-
開催日:2025年6月14日
優勝 ディミーア忍者
準優勝 イゼットテンポ
3位 ディミーアリアニメイト
4位 ディミーアリアニメイト
5位 ディミーアリアニメイト
6位 赤単プリズン
7位 ティムールデルバー
8位 カーンフォージ
『第29期レガシー神決定戦』でも結果を残していたディミーア忍者が、今大会で優勝という快挙を成し遂げました。2色でまとめられた強固なマナベースで、最近台頭してきている《血染めの月》にも耐性があり、打ち消しで対処されない「忍術」、ロングゲームにも対応できる持久力など現環境の複数のデッキに対して強い要素を持っています。
赤単プリズン
赤単プリズンは「英雄譚」のルール変更によって強化されたアーキタイプです。
《虚空の杯》や《血染めの月》などで相手の行動を制限しつつ、《古えの墳墓》や《裏切り者の都》といった2マナランド、《金属モックス》などのマナ加速を活用して、1-2ターン目には《パイロゴイフ》や《一つの指輪》といった強力な4マナスペルをプレイしていきます。
☆注目ポイント
「英雄譚」のルール変更により、《血染めの月》があると《ウルザの物語》はルールテキストは失いますが、墓地に置かれることなく山として場に残るようになりました。
これだけでも十分な強化ですが、第Ⅱ章のカウンターが置かれているときに《血染めの月》が場に出れば、構築物・トークンを毎ターン生成できる土地になります。また、《ウルザの物語》の代表的な対策手段である《不毛の大地》も、《血染めの月》が場にある場合は山になるため機能しなくなります。
《髑髏砕きの一撃》と《引き離しの噴火》という2種類のスペルランドのおかげで、安定して《金属モックス》の「刻印」や《激情》を「想起」でプレイすることができます。相手も《血染めの月》をケアして基本土地をサーチしてくるので、《引き離しの噴火》で土地破壊を狙うことも可能です。
打ち消しが使えないので、サイドの《虚空の力線》はThe Spyをはじめとした墓地デッキに対してコンボを止める数少ない手段になります。サイドにフル搭載されている《攪乱のフルート》も、さまざまなコンボデッキに有効です。
『Legacy Challenge 32』 -ディミーアとイゼットの2強-
開催日:2025年6月14日
優勝 ディミーアリアニメイト
準優勝 イゼットテンポ
3位 バントナドゥ
4位 TES
5位 ディミーアリアニメイト
6位 ディミーアテンポ
7位 イゼットテンポ
8位 ギャラクシーカスケード
日曜日に開催された『Legacy Challenge』では、TESやギャラクシーカスケードといったニッチなデッキが見られました。
バントナドゥ
《有翼の叡智、ナドゥ》+《コーの遊牧民》コンボを搭載したバントミッドレンジで、セファリッドナドゥにくらべて速度が遅く、エルフナドゥのような爆発力はありません。ですが、墓地対策に引っ掛からず、アドバンテージも稼げるので除去に強い型となります。《ウルザの物語》や《手甲》が不採用なのも特徴です。
ドロー、打ち消し、優秀な除去とそろっており、緑のクリーチャーを状況に応じて《緑の太陽の頂点》でサーチしてこれるので動きが安定しています。
☆注目ポイント
《大鎌猫の仔》は「上陸」で好きなクリーチャーに+1/+1カウンターを置くことができ、ターン中2回目の上陸であればカウンターを倍にできます。フェッチランドがあるので上陸2回を達成するのは簡単で、短時間で大ダメージを叩き出すことができます。
トランプル持ちなのでダメージを通しやすく、伝説ではないので場に複数並べることができます。単体でも十分に脅威となる性能なので《有翼の叡智、ナドゥ》以外の勝ち手段として活躍します。
《緑の太陽の頂点》はキーカードの《有翼の叡智、ナドゥ》だけでなく、《森を護る者》や《大鎌猫の仔》といったコンボに必要な緑クリーチャーもサーチできます。《森を護る者》は《有翼の叡智、ナドゥ》を除去から守りつつ能力を誘発させることができ、《大鎌猫の仔》はナドゥと組み合わせることでクリーチャーを大幅に強化することができるので、速やかにゲームを終わらせられます。
総括
ディミーアリアニメイトが高い勝率を維持しており、先週末の『Legacy Challenge』でも優勝を含めて多くの入賞者がいました。このデッキがトップメタの環境では、墓地対策がメインから採用したデッキも多いので、They Spy、セファリッドナドゥなどほかの墓地デッキで勝つのは難しかったようです。
『Legacy Showcase Challenge』を制したイゼットテンポも複数入賞しており、それに強いディミーアテンポも上位で見られました。イゼットテンポは《血染めの月》に耐性があり、《稲妻》や《紅蓮破》を使えるので《知りたがりの学徒、タミヨウ》を対策しやすいのも強みです。
6月30日の禁止改定ではどんな変更点があるのか、要注目です。
以上、USA Legacy Express vol. 256でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!