はじめに
みなさん、こんにちは。
『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』がリリースされ、早速モダンで活躍しているカードもいくつか見られるようです。
今回は『Modern Challenge』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
『Modern Challenge 32』 -『FINAL FANTASY VII』のあのキャラクターが大活躍-
開催日:2025年6月20日
優勝 エルドラージランプ
準優勝 ジェスカイコントロール
3位 繁殖鱗コンボ
4位 アミュレットタイタン
5位 エルドラージトロン
6位 リビングエンド
7位 感染
8位 繁殖鱗コンボ
定番のデッキが入賞するなかで、『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』の新カードである《ティファ・ロックハート》を使った感染が入賞していたのが印象的でした。
感染
「感染」クリーチャーを強化スペルでサポートし、毒カウンターの蓄積による勝利を狙うアグロコンボデッキです。
『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』で登場した《ティファ・ロックハート》は、モダンの感染の新戦力としてプレビューの時点から注目を集めていました。
☆注目ポイント
《ティファ・ロックハート》は「感染」能力こそないものの、フェッチランドや強化スペルを多用するこのデッキと相性が良く、特に《厚鱗化》で6/4にしてからフェッチランドをプレイすることで3ターンキルが実現します。
感染とカテゴライズされていますが、感染クリーチャーは《ぎらつかせのエルフ》と《墨蛾の生息地》のみで実質《ティファ・ロックハート》デッキといえます。
昨年末に解禁された《緑の太陽の頂点》は、《ぎらつかせのエルフ》や《ティファ・ロックハート》など緑のクリーチャーを状況に応じてサーチできます。《ドライアドの東屋》と8体のマナクリーチャーを採用しているため、序盤は高い確率でマナ加速からスタートすることが可能です。
《緑の太陽の頂点》でサーチできるのもあって、トップデッキしてもあまり強くない《ぎらつかせのエルフ》は1枚のみの採用になっています。
感染デッキ定番の保護スペルである《巨森の蔦》と《顕在的防御》もしっかり採用されています。《巨森の蔦》は「キッカー」でプレイすることで強化スペルにもなるので、《ティファ・ロックハート》との相性が抜群です。
メインは緑単ですが、サイドにはエルドラージやコンボデッキなどに有効な《記憶への放逐》がフルに採用されています。黒い除去を多用するデッキに対しては、《夏の帳》も投入されるのでよりクリーチャーを守りやすくなります。
『Modern Challenge 32』 -ルール変更によって強化されたアーキタイプ-
開催日:2025年6月20日
優勝 アミュレットタイタン
準優勝 オルゾフブリンク
3位 ジェスカイコントロール
4位 レンアンドオムナス
5位 オルゾフブリンク
6位 繁殖鱗コンボ
7位 青単ベルチャー
8位 カーンフォージ
「英雄譚」のルール変更によって強化された《ウルザの物語》を、最も強く使えるデッキのひとつであるアミュレットタイタンが優勝しました。
トップメタのボロスエネルギーは今大会でもプレイオフには残らず、各コンボデッキやオルゾフブリンクなど厳しいマッチアップが増加傾向にあることが敗因のひとつになります。
アミュレットタイタン
《ウルザの物語》はもとから強力な土地でしたが、「英雄譚」のルール変更によってさらに強化されました。
現環境トップメタのボロスエネルギーに強く、デッキパワーの高さもあって環境を問わずモダンで高い勝率を維持しています。ルールの変更前の環境と比べると、《血染めの月》や《海の先駆け》がこのデッキに対して決定的なものではなくなったことも勝率に影響しているようです。
☆注目ポイント
《ウルザの物語》は『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』がリリースされる前のルールでは、《血染めの月》を置かれてしまうと能力を失い墓地に直行していましたが、ルール変更後は章能力を失っても、状況起因処理によって墓地に置かれることがなくなりました。
また章が進まなくなるので、伝承カウンターが2つある状態なら《血染めの月》や《海の先駆け》が場にある限り、毎ターン構築物・トークンを生成できるようになります。しかも、これらを除去したあとは、再び章が進むので《精力の護符》などをサーチ可能です。
《ウルザの物語》で《精力の護符》をサーチしたあとは、《風景の変容》で《変容する森林》+《事件現場の分析者》のコンボを決めます。《ウルザの物語》と《風景の変容》が墓地に落ちるので「昂揚」の達成も容易です。
■コンボ手順
《精力の護符》+土地4枚ある状態で《風景の変容》をプレイします。サーチする土地は《睡蓮の原野》2枚、《シミックの成長室》、《トレイリア西部》で9マナが出ます。
バウンスランドで《トレイリア西部》を戻し、《トレイリア西部》を「変成」して《召喚士の契約》をサーチして《事件現場の分析者》を手札に加えます。《睡蓮の原野》の効果で土地はすべて生け贄に。
浮きマナから《事件現場の分析者》をプレイして能力を起動することで墓地に落ちた土地が場に戻り、十分なマナが確保できるはずなので、そこから再び《トレイリア西部》から《召喚士の契約》をサーチしてきて《原始のタイタン》をプレイします。
《原始のタイタン》の能力によって《変容する森林》をサーチして、《事件現場の分析者》をコピーすることでループさせることができます。バウンスランドによって《トレイリア西部》を使いまわすことで、デッキ内のすべての土地をサーチすることができます。
サイドの《炎魔法》は、1マナでプレイできる「ファイア」でもボロスエネルギーの猫・トークンや《オセロットの群れ》をまとめて除去することができるなど、優秀な全体火力スペルになります。
『Modern Challenge 64』 -高速コンボが優勝-
開催日:2025年6月20日
優勝 ネオブランド
準優勝 マルドゥエネルギー
3位 エスパーブリンク
4位 ボロスエネルギー
5位 オルゾフブリンク
6位 繁殖鱗コンボ
7位 マルドゥエネルギー
8位 エルドラージトロン
今大会で優勝したのは、モダン屈指の高速コンボであるネオブランドでした。
ネオブランド
2枚の緑カードを追放して《アロサウルス乗り》をマナを支払わずにプレイし、その後デッキ名にもなっている《新生化》で生贄に捧げて、《グリセルブランド》をプレイして大量にドローするデッキです。
モダン屈指の高速コンボで、オールインデッキなので打ち消しなど妨害に対して弱くなるものの、妨害の少ないボロスエネルギーなどに強く、ほかのコンボデッキに対しても速度で競うことができます。
☆注目ポイント
《暴走暴君、ガルタ》は、デッキから出すはずの《グリセルブランド》や《偉大なる統一者、アトラクサ》が手札に来てしまったとき用のカードで、手札のクリーチャー次第では圧倒的な場を作り上げることができます。
《歓楽の神、ゼナゴス》を出すことができれば、速攻を付与して瞬殺を狙うこともできますし、《召喚士の契約》でサーチしてくることも可能で、そのターンにゲームを決めてしまうなら「契約」コストの心配も要らなくなります。
《否定の契約》や《召喚士の契約》の契約コストが支払えないとゲームに敗北してしまうので、契約の誘発を打ち消すために《記憶への放逐》がメインからフルに採用されています。エルドラージやコンボデッキに対して、メインからついでに対策できる手段があるのは、このデッキの強みです。
『Modern Challenge 32』 -コンボデッキが複数入賞-
開催日:2025年6月22日
優勝 アミュレットタイタン
準優勝 青単ベルチャー
3位 青単ベルチャー
4位 ボロスエネルギー
5位 マルドゥエネルギー
6位 青単ベルチャー
7位 エルドラージランプ
8位 エスパーブリンク
アミュレットタイタンや青単ベルチャーなどコンボデッキが中心でしたが、エネルギーデッキも入賞しているなど地力の高さを見せます。
特にベルチャーはプレイオフに3名も入賞しており、トップメタのエネルギーに強いデッキであると同時に、打ち消しを複数採用しているためコンボに対しても有利で、現環境のベストな選択肢のひとつになります。
青単ベルチャー
エネルギーに強いデッキとして、現在のモダンで定着している青単ベルチャー。両面カードによってデッキ内の土地が0枚なので、《ゴブリンの放火砲》を起動することで大ダメージを相手に与えられます。
《睡蓮の花》を使用しても最速でコンボを決められるのは4ターン目なので、従来のベルチャーよりも遅いデッキになります。
ただ、その分打ち消しやバウンスなど妨害が豊富でロングゲームにも対応可能なため、コンボ速度に特化する必要がなく、純粋なコンボというよりもコンボコントロールにカテゴライズされます。
☆注目ポイント
マナ基盤として採用されている両面ランドですが、スペルとして使用する機会も多いです。《水力発電の検体》はタフネス4の瞬速持ちのブロッカーとしても機能し、《ベイーンのヴェール》はボロスエネルギーに対してコンボまでの時間稼ぎに貢献します。
アドバンテージを稼げる《海門修復》はコストこそ重くなりますが、《睡蓮の花》によるマナ加速を利用することでプレイしやすくなります。《朦朧への没入》は両面ランドのなかで最もプレイする機会が多く、さまざまな脅威に対応できるフレキシブルなスペルになります。
《否定の力》《撹乱する群れ》《拒絶の閃光》など0マナでプレイできる打ち消しが複数採用されています。ほとんど青いカードなのでピッチコストに困ることは少なく、《ファラジの考古学者》や《稲妻罠の教練者》で必要なカードを探しつつ《拒絶の閃光》を構えることもできます。
コンボ、フェア問わず脅威となる2マナスペルが多いモダンでは、《呪文嵌め》は最高の打ち消しとなり、《厳しい説教》もボロスエネルギーに対して優秀な打ち消しとして機能します。
《現実の設計者、タメシ》は墓地に落ちた《ゴブリンの放火砲》をリアニメイトしたり、場にある土地の数だけ《睡蓮の花》を再利用することで大量のマナを得ることができます。また、土地をバウンスすることで手札が貯まるので《海門修復》で大量ドローしたり、《発明品の唸り》で《ゴブリンの放火砲》をサーチしてそのままコンボを決めてしまうことも可能です。
サイドボードの《求道者テゼレット》は、[-X]能力によって《ゴブリンの放火砲》を直接戦場に出すことができ、《睡蓮の花》にいたっては忠誠度を消費することなく出せます。いざというときには、[-5]でゲームを決めることも可能です。
総括
新環境になってもエネルギーデッキの支配力は変わらず、エネルギーとそれに強いコンボデッキが中心になっています。そのなかでも、アミュレットタイタンが「英雄譚」のルール変更で強化されて高い勝率を維持しています。
『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』のカードが徐々に存在感を示しており、感染の新戦力として《ティファ・ロックハート》、サイドの全体除去枠として《炎魔法》、軽いクロックの《暗黒騎士、セシル》、イゼット果敢の新戦力《迷える黒魔道士、ビビ》などが見られます。
USA Modern Express vol.135は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!