はじめに
みなさん、こんにちは。
今週末は『BMO Legacy』が開催されますね。日本国内で開催される大規模なテーブルトップのイベントなのでレガシーファンはお見逃しなく。
さて、今回の連載では『Legacy Showcase Challenge』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
『Legacy Showcase Challenge』 –《納墓》 VS. 《古えの墳墓》–
開催日:2025年8月2日
優勝 エルドラージ
準優勝 ディミーアリアニメイト
3位 スニーク・ショー
4位 ディミーアリアニメイト
5位 ディミーアリアニメイト
6位 イゼットテンポ
7位 赤単ストンピィ
8位 ディミーアリアニメイト
先週末にMOで開催された今シーズン最後の『Legacy Showcase Challenge』。トップ8入賞者にはオンライン最高峰のイベント、『Magic Online Champions Showcase』(MOCS)の予選イベントの参加権が得られるので競技性も高くなります。
345名で行われた今大会の上位は、ディミーアリアニメイトが多数でプレイオフの半数を占めるなどトップメタらしい強さを見せます。そして、その対抗馬とされており、優勝したエルドラージや、赤単プリズン、カーンフォージなど《古えの墳墓》デッキも複数の入賞者を出していました。
エルドラージ
《古えの墳墓》《エルドラージの寺院》《ウギンの目》といった2マナ出せる土地のおかげで、早い段階から強力なエルドラージを展開するアグロデッキ。《まき散らす菌糸生物》が退場して以来、数を減らしていましたが、《虚空の杯》を使えるデッキは、ディミーアリアニメイトが幅を利かせている現環境ではいい立ち位置にあり、今大会では見事に優勝を果たしました。
《不毛の大地》や《虚空の杯》で相手の行動を制限しつつ、マナ加速から展開される効率的なクロック、打ち消しを無効化する《魂の洞窟》、メインから使える墓地対策と、現在のレガシーで勝てるデッキの多くの条件を満たしています。
☆注目ポイント
《七つの死の種父》や《運命を貪るもの》といった重いエルドラージを安定してプレイするために、《厳かなモノリス》が採用されています。《エルドラージの戦線破り》の爆発力は凄まじく、《まばゆい肉掻き》などほかのエルドラージと組み合わせることで非常に速いクロックを作り出すことができます。
《七つの死の種父》は7つもの能力を持つエルドラージで、到達により《濁浪の執政》や《ドラゴンの怒りの媒介者》といった飛行クリーチャーを止めることができます。《荒景学院の戦闘魔道士》はリアニメイトのフィニッシャーをバウンスしたり、置物を追放できるので対応力に優れています。
赤単プリズン
赤単プリズンは、ここ最近の『Legacy Challenge』で高い勝率を維持しています。《虚空の杯》と《血染めの月》をメインから搭載したこのデッキは、苦手なスニーク・ショーがディミーアリアニメイトに抑えられている現環境でいい立ち位置にあります。
また、《ウルザの物語》のルールの変更による恩恵を受けたデッキでもあり、デッキパワーが向上しています。もともとこのデッキは赤マナが1つでも出せればデッキが回るので、それほど多くの《山》を必要としておらず、無理なく《ウルザの物語》をマナ基盤に加えることができます。
☆注目ポイント
英雄譚のルールの変更により、《ウルザの物語》でⅡ章にまで到達した状態で《血染めの月》を置くことによって、構築物・トークンを生成し続けることができるようになりました。《月の大魔術師》と《血染めの月》の計6枚をメインから採用しているため再現性も高くなっています。
《ウルザの物語》パッケージを採用するメリットのひとつは、墓地対策の《魂標ランタン》をメインから無理なく採用できることにあり、ディミーアリアニメイトに対してもメイン戦から渡り合えます。
スニーク・ショーなど苦手なコンボ対策としてサイドに《攪乱のフルート》がフルに採用されています。リアニメイトやThe Spyに対しては、《フェアリーの忌み者》《虚空の力線》など墓地対策も多めに採られているので、サイド後は相性の改善も期待できます。
スニーク・ショー
スニーク・ショーのエキスパート、JPA93のイノベーションであるタッチ緑バージョンがトップ4に入賞していました。今大会の上位で数少ないコンボデッキになります。
ディミーアリアニメイトとの相性は良くありませんが、最近上位でよく見られるようになった赤単プリズンに強く、《食糧補充》や《湧霧の村》など直近セットからも収穫があります。
☆注目ポイント
メインから《夏の帳》を採用することで、テンポとリアニメイトの両デッキへの耐性が上がっています。本来の枠は《呪文貫き》や《狼狽の嵐》といったソフトカウンターでしたが、現在の環境は《思考囲い》やピッチで撃てる《意志の力》《否定の力》といったハンデスやカウンターが主な妨害であるため、《夏の帳》は有用なコンボ保護手段になります。サイドからは《花の絨毯》も投入されるため、《目くらまし》などにも耐性がつきます。
《食糧補充》はソーサリーではあるものの、《古えの墳墓》や《裏切り者の都》のおかげで効率よくプレイすることができ、《実物提示教育》などキーとなるスペルを探しだせます。また、カードを引くのではなく手札に加えるため《オークの弓使い》に引っ掛からないところも重要です。
《湧霧の村》はプレビューから《実物提示教育》系で使われると話題になっていました。《すべてを護るもの、母聖樹》と似た役割の土地になりますが、《すべてを護るもの、母聖樹》はタップインで無色マナしか出せず、ライフの損失も大きい一方で、《湧霧の村》は高確率でアンタップインでプレイでき、青マナが出るマナ基盤としてカウントすることができます。
ソーサリーやインスタントに限定されていないのも重要なポイントで、《実物提示教育》やエンチャントの《騙し討ち》を確実に通すことができます。
ジェスカイコントロール
現在のレガシーで活躍している数少ないコントロールデッキ。白の優秀な除去とカウンターで相手の脅威を捌きつつ、《知りたがりの学徒、タミヨウ》や《稲妻罠の教練者》などのウィザードと《アノールの焔》のシナジーを利用してアドバンテージを稼いでいきます。
ディミーアテンポやイゼットテンポなどフェアデッキに強く、リアニメイトとのマッチアップでもフィニッシャーを《剣を鍬に》で除去できるのですぐに負けることはありません。また、リアニメイトのプランBであるミッドレンジプランは、除去とアドバンテージ源のおかげで問題なく対応することができます。
そのため、ディミーアリアニメイト側はリアニメイトプランが現実的な勝ち手段になりますが、メインは《激しい叱責》と《剣を鍬に》で対応でき、サイド後は《外科的摘出》《墓掘りの檻》で妨害します。
☆注目ポイント
《稲妻罠の教練者》は最近よく見られるようになったカードで、ブロッカーになりつつ必要なカードを探せます。タフネスが2あるのも地味に嬉しい点で、《オークの弓使い》の能力で落ちず、1/1トークンの攻撃も止めることが可能です。
クリーチャー・タイプがウィザードなので《アノールの焔》とシナジーもあり、場に残しておいても《アノールの焔》でさらにアドバンテージ差が広がるため、相手にとって非常に厄介となります。《アノールの焔》はアドバンテージ源になると同時に、メインから使えるアーティファクト除去手段にもなるので、《虚空の杯》など厄介な置物を対処できます。
このデッキの弱点は勝ち手段が少ないことで、フィニッシャーの《進め、エオルの家の子よ!》はメインに1枚だけで《神秘の聖域》など使いまわせる手段は採用されていないので注意です。
基本土地が多く採用されているため《血染めの月》に耐性があり、逆に《基本に帰れ》や《月の大魔術師》で多色デッキのマナを縛ることもできます。《激しい叱責》は対策が困難だった《ウルザの物語》の生成する構築物・トークン対策として機能し、《偉大なる統一者、アトラクサ》などの誘発も防げるなど複数のマッチアップで活躍します。
総括
今回の『Legacy Showcase Challenge』は、プレイオフの半数がディミーアリアニメイトという結果になりました。それ以外で結果を残しているアーキタイプは、赤単プリズンやカーンフォージ、エルドラージといった《古えの墳墓》デッキです。次点では、イゼットやディミーアといったテンポ系も見られました。
現環境で結果を残すには、リアニメイト対策をしつつ基本地形を採用し、《虚空の杯》を置かれたときのためにスペルのマナ総量を散らすことが重要で、勝っている多くのデッキがそれらの条件を満たしています。
USA Legacy Express vol.259は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!