はじめに

みなさん、こんにちは。斉藤 伸夫です。この記事は『第17回 ディミーアリアニメイト(前編)』の続きです。後編を読む前に、前編を読んでみませんか?
- 2025/09/17
- のぶおの部屋 -第17回 ディミーアリアニメイト(前編)-
- 斉藤 伸夫

前回の記事ではディミーアリアニメイトのスペシャリストである高野 成樹さん、柳澤 由太さんのデッキを紹介しながら、気になるカードの採用理由などについて深堀りをしました。

後編は「苦手なマッチアップ」や「各デッキに対応するサイドボードのインアウト」について触れていきたいと思います。
人物紹介

斉藤 伸夫:『THE LAST SUN 2013』トップ4をはじめとして、国内の大型レガシートーナメントにおける数多くの入賞経験を持つプレイヤー。自身が所属するコミュニティにも積極的に参加し、数多の強豪レガシープレイヤーを育て上げた「レガシー界の母」。

高野 成樹:『Asia Legacy Championship 2024』優勝、BMOレガシー優勝3回、元ヴィンテージ神、元レガシー神など輝かしい実績を持つ、関東を代表するレガシープレイヤー。趣味は筋トレと料理。

柳澤 由太:関西を中心に活動するレガシー集団「柳澤流」の初代総師範。グランプリ・静岡2018トップ8、KMCインビテーショナル優勝、BMOレガシー優勝など、素晴らしい成績を残している。
■ 苦手なデッキ・やられて嫌なことは?

まずは2人にざっくりと、「対戦相手にやられて困ること」「苦手なデッキ」についてお聞きします。ディミーアリアニメイトを使ってて、「こんなことをされたら困る」って思うことはありますか?

前回も少し話しましたが、「序盤の強打」ですかね。速攻でライフを7以下にされるパターンもキツイですが、1ターン目から《虚空の杯》や《血染めの月》などを置かれてデッキ否定されるのが嫌ですね。

特に赤単プリズンはディミーアリアニメイトにとっての「即死」が多いデッキなんですよね。強打(致命的な行動)が1ターン目にくることもあり、《意志の力》がなければ受けきれません。

序盤からディミーアリアニメイトを否定するカードが多いですよね。《虚空の杯》の処理でまごついている間に、《ウルザの物語》が出てくると対処が難しいし。

なるほど。最速でデッキ否定を狙ってくる相手はたしかに苦手そうですね。そのほかはどうですか?

赤単プリズンと少し重なる部分があるのですが、《古えの墳墓》を使うデッキには苦手意識があります。初動からマナ差をつけられてしまうと、強い盤面を押しつけられ、受けきることが難しくなります。

ほかには《湖に潜む者、エムリー》を使った8-Cast系統のデッキも、専用のサイドカードを多く要求してくる相手のため、苦手なデッキとして挙げていいと考えています。

《湖に潜む者、エムリー》でリソース勝負に持ち込まれるのもキツイですし、《ピナクルの特使》からの爆発的な展開や、《河童の砲手》を最速でプレイされるパターンも対処が難しく、相手ペースとなります。

自分はそれでいうと青単ペインターにもよく負けます。このデッキ、ちょっと変わってるんですよね。ほとんど8-Castみたいな動きをしながらコンボを決めてきます。

一方で、カーンフォージも《古えの墳墓》を使ったデッキですが、赤単プリズンやエルドラージほど相性は悪くないと思います。

《虚空の杯》を採用しておらず、メイン戦略となるカードが4マナなので、1ターン目の動きが赤単プリズンやエルドラージに比べればマイルドになりやすく、《思考囲い》が間に合うことも少なくありません。

メインから墓地対策をサーチしてくるところは要注意ですけどね。
■ 各主要デッキに対するサイドボーディング
高野 成樹のディミーアリアニメイト
柳澤 由太のディミーアリアニメイト
対 ディミーアリアニメイト

vs. ディミーアリアニメイト
高野 成樹
Out
In
柳澤 由太
Out
In
ワンポイントアドバイス

後手の場合は《意志の力》を1枚戻して《再活性》を1枚減らします。

サイドボード後、相手が《納墓》を全抜きしてると感じたら、《動く死体》《思考囲い》《不毛の大地》を戻して《意志の力》を0枚にします。

お互いのデッキに入っているカードは同じなので、相手よりどれだけ効率よく手札を使えるか、相手の有効札を吐き出させるかが、そのまま盤面の優位に繋がるマッチアップです。
対 赤単プリズン

vs. 赤単プリズン
ワンポイントアドバイス

《虚空の杯》や《虚空の力線》など相手の妨害1枚でこちらの手札がまとめて機能不全になると敗色濃厚となります。そのため、それらの妨害に引っかかるリアニメイトパッケージを減らし、《ダウスィーの虚空歩き》意外はすべてサイドインします。

さらに、相手が《虚空の力線》を使ってくるのを確認した場合は《ダウスィーの虚空歩き》も入れて、残りの《再活性》を抜きます。ただし、《ダウスィーの虚空歩き》は自分の《バロウゴイフ》の成長を阻害するため、相手のよさげなカードとトレードできそうなときは積極的に検討するとよいでしょう。
対 カーンフォージ

vs. カーンフォージ
ワンポイントアドバイス

基本的には《納墓》《再活性》を残しても良いマッチアップだと思いますが、今のカーンフォージは《冷酷な船長、テゼレット》の登場によって墓地対策カードへのアクセスが良くなっているので、最近はリアニカードを全抜きする戦略を試しています。

相手の妨害はそこまで厚くはないため、こちら側の脅威はそれなりに通ると考えてよいでしょう。初動で置いていかれないように、キープ基準は高く保つことが大切です。
対 ナドゥ(セファリッド・ブレックファースト含む)

vs. ナドゥ(セファリッド・ブレックファースト含む)
ワンポイントアドバイス

セファリッド型のナドゥは《剣を鍬に》による追放除去が強いため、リアニメイトを狙うよりもテンポデッキに変えた方が戦いやすいと思います。クリーチャーをサイドインし、豊富な除去とカウンターで勝負しましょう。

僕は《花の絨毯》を意識したインアウトをしています。《花の絨毯》に対するガードを下げるなら、《沼》と《厚かましい借り手》を1枚ずつ抜いて《目くらまし》を2枚戻します。

ライフへのプレッシャーが少なく、盤面形成が穏やかなマッチアップのため、ハンデスの通りはよい相手です。攻めるときも守るときも、《思考囲い》をプレイするなら落としたいカードを意識した上でプレイしましょう。
対 イゼットコーリ鋼

vs. イゼットコーリ鋼
ワンポイントアドバイス

相手のクリーチャーを釣るプランが有効なので、《再活性》は残します。1ターン目から《ドラゴンの怒りの媒介者》を見かけたら、《コーリ鋼の短刀》を捨てさせるために《思考囲い》を優先的にプレイしましょう。

リアニメイト側の攻め手に対し、コーリ鋼側の受け札は墓地対策・《紅蓮破》・火力など役割が固定されているため、仕掛ける直前に《思考囲い》をプレイすることで対策をスカしながら脅威を展開できればグッと楽なゲームになります。

対 The Spy

vs. The Spy
ワンポイントアドバイス

相手がクリーチャープランに切り替えてくることを想定しつつも、過剰に除去をサイドインしないことを意識します。相手が《ダウスィーの虚空歩き》を使ってくるのは厄介ですが、ハンデスや打ち消しで対処しつつ、こちらの《再活性》で逆に利用することを狙います。最悪、《厚かましい借り手》で戻すか、こちらも《ダウスィーの虚空歩き》で対抗します。

そのほかのクリーチャーは、こちらのファッティをリアニメイトすることで押し返します。
■ まとめ -ディミーアリアニメイトを組みたいプレイヤーに一言-

それでは最後に、このデッキをこれから組もうと考えているプレイヤーへ一言、アドバイスをお願いします。

かつてのデルバーデッキが使い手によって回し方が違ったように、現在のディミーアリアニメイトもさまざまなデッキ構築、立ち回りを肯定してくれる懐の深いデッキです。

一方で、プレイヤーが選択肢を間違えていても、デッキのパワーで勝利をもぎ取ってしまうことがあるため、最適解が見えづらく、極めるのは難しいデッキです。やりがいがあるデッキであるのは間違いないと思います!

デッキは間違いなく最強だと思います。ただ、11月24日の禁止制限告知でレガシー環境が大きく変わる可能性があるため、今すぐカードを買い揃えようとしている方は、少しだけ様子を見ることをおすすめします。

いろいろと貴重なお話、ありがとうございました。お二人の今後の活躍と、進化し続けるディミーアリアニメイトに期待しています!
この記事内で掲載されたカード

斉藤 伸夫 【The Last Sun 2013】トップ4をはじめとして、国内の大型レガシートーナメントにおける数多くの入賞経験を持つ関東レガシー界のエースオブエース。 レガシー環境に対する深い造詣と幅広い人脈を武器に、常に最先端のテクニックを取り入れたデッキを作り上げ、コミュニティにシェアしている。 レガシーにおけるプレイスピードと正確性はプロにもひけをとらない。