はじめに
みなさん、こんにちは。
今週末にはアメリカで『Eternal Weekend NA 2025』が開催されます。エターナルフォーマットの祭典で、目玉イベントのひとつとして『Legacy Champs』も行われるので要注目です。
今回の連載では、先週末にMagic Onlineで開催された『Legacy Showcase Challenge』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
『Legacy Showcase Challenge』 -リアニメイト多数、エルドラージが優勝-
開催日:2025年10月4日
優勝 エルドラージ
準優勝 マルドゥエネルギー
3位 ディミーアリアニメイト
4位 ディミーアリアニメイト
5位 イゼットテンポ
6位 赤単プリズン
7位 ディミーアテンポ
8位 アゾリウステンポ
9位 ディミーアリアニメイト
10位 ディミーアリアニメイト
11位 赤単プリズン
12位 ディミーアリアニメイト
13位 カーンフォージ
14位 カーンフォージ
15位 ジェスカイコントロール
16位 TES
217名で開催された今回の『Legacy Showcase Challenge』は、今週末にある『Eternal Weekend』がどのようなメタゲームになるのか予想するうえで参考になります。
ディミーアリアニメイトはダントツの人気で、プレイオフにも2名入賞していました。ほかには優勝したエルドラージや、赤単プリズンといった《古えの墳墓》デッキ、そしてレガシー版のエネルギーアグロ、テンポ系のデッキなど多種多様なデッキが見られます。
エルドラージ
今大会で優勝したのは、《古えの墳墓》+《虚空の杯》デッキの代表格であるエルドラージでした。
1マナスペルをシャットアウトできる《虚空の杯》は、ディミーアリアニメイトを含めた多くの青いフェアデッキに刺さります。クロックも速く、メインから墓地対策もできるため、現環境トップメタのリアニメイトに強いデッキになります。
☆注目ポイント
《虚空の杯》や《不毛の大地》で相手の行動を制限しつつ、《魂の洞窟》から打ち消し不能の《エルドラージの戦線破り》《難題の予見者》といったエルドラージ・クリーチャーを展開して圧をかけていきます。
《荒景学院の戦闘魔道士》は「キッカー」で《一つの指輪》を追放したり、《濁浪の執政》をバウンスできたりとなにかと便利なエルドラージです。
《七つの死の種父》はフェアデッキに対して最強のエルドラージで、《ウギンの目》などからレガシーでは速い段階にプレイすることも容易です。
ライブラリー操作、除去、墓地対策など非常にフレキシブルなスペルの《コジレックの命令》は、《まばゆい肉掻き》との組み合わせることによって強力な本体火力としても機能します。
《血染めの月》に弱いデッキではありますが、置かれてしまっても《厳かなモノリス》さえあれば無色マナを供給することが可能です。
マルドゥエネルギー
モダンのエネルギーデッキと同様に《魂の導き手》や《オセロットの群れ》《ナカティルの最下層民、アジャニ》を使ったアグロデッキですが、モダンでは禁止になった《色めき立つ猛竜》を使用できます。そのほか、《剣を鍬に》《陰謀団式療法》といった脇を固めるカードも優秀なものになっています。
速い段階からクリーチャーを横に並べてプレッシャーをかけれるため、単体除去では処理が追いつかないことも多く、《ゴブリンの砲撃》のように戦闘以外でライフを削る手段もあるのでフェアデッキに強くなっています。一方、妨害手段がハンデスのみなため、コンボデッキとの相性はそこまで良くありません。
☆注目ポイント
《オセロットの群れ》と《魂の導き手》の組み合わせはレガシーでも強力で、継続的にエネルギーとライフを得つつトークンを並べることができます。《ゴブリンの砲撃》が場に出ればトークンを直接火力に変換することができ、《ナカティルの最下層民、アジャニ》ともシナジーがあります。
《ゴブリンの砲撃》によって猫・トークンを生け贄にすることで、《ナカティルの最下層民、アジャニ》を即座に変身させられます。赤いパーマネントである《ゴブリンの砲撃》が場にあるため、[+0]能力で好きなところに直接ダメージを飛ばすことが可能です。
モダンと違って《火の怒りのタイタン、フレージ》が不採用となっており、《オークの弓使い》《勝利の楽士》《色めき立つ猛竜》といった2マナ域がフル搭載されて全体的に軽い構成になっています。
《オークの弓使い》は青いデッキ全般に強く、トークンを生成するので《陰謀団式療法》ともシナジーがあり、これらで相手のプランを妨害していくのが、このデッキの強い動きになります。
インスタント・タイミングでの応酬になることが多いレガシーでは、《勝利の楽士》はモダン以上に強力なクリーチャーです。「応召」によって生成されたトークンも《陰謀団式療法》や《ゴブリンの砲撃》で有効活用できます。
モダンでは禁止になった《色めき立つ猛竜》もレガシーでは健在です。メインのカードがすべて2マナ以下なので、ほぼ確実にアドバンテージを稼げます。
ディミーアリアニメイト
現環境のトップメタであり、今週末の『Eternal Weekend』でも多くなることが予想されます。
ハンデスやカウンターにより対応力があり、《知りたがりの学徒、タミヨウ》のおかげで消耗戦にも強いです。さらに、リアニメイトという強力な勝ち手段を持ち合わせているため、対戦難易度が非常に高いデッキになります。
今大会で入賞したデッキはメインから墓地対策を採用したリストが多く、現在のレガシーでは墓地対策を徹底的におこなうことが重要であると確認できます。
☆注目ポイント
メインのリストは完成された感のあるディミーアリアニメイトですが、今回入賞したJUJUBEAN__2004のリストは特徴的なものでした。
《否定の力》がメインから3枚、サイドにも1枚と、《意志の力》と合わせてピッチカウンター8枚体制になっています。その枠の確保のために《厚かましい借り手》の枚数と土地が削られていました。土地の枚数もメイン18枚と、最近のリストの中では少なめです。
1マナ域に重要なスペルが多く、赤単プリズンなどに1ターン目から《虚空の杯》や《血染めの月》を置かれてしまうとそれだけで負けてしまうため、ピッチカウンターでより確実に妨害できるようにしたと予想されます。また、カウンターを増量したことによってコンボデッキにも強くなっています。
《動く死体》は1枚だけ採用されることが多いですが、《再活性》を止めてしまう《虚空の杯》が環境に増えていることを考慮して、追加でもう1枚採用するリストも見られるようになりました。
また、一般的なリストにはサイドに《バロウゴイフ》や《ダウスィーの虚空歩き》といったクリーチャーが複数とられていますが、追加のクリーチャーは《厚かましい借り手》と《濁浪の執政》のみになっているのも特徴です。
その代わりに、墓地対策の《フェアリーの忌み者》や、置物・構築物トークン対策の《仕組まれた爆薬》、追加のハンデスの《コジレックの審問》などが採用されており、サイド後はフェアに寄せるよりもリアニメイトプランを続行させるためのサポートが厚めになっていました。
アゾリウステンポ
最後に紹介するのは、モダンのプロツアー『久遠の終端』でも大活躍していた《量子の謎かけ屋》採用のアゾリウステンポです。
ほかのアゾリウスベースのコントロールと同様に、青のカウンターと白の優秀な除去でコントロールしつつ《溌剌の牧羊犬、フィリア》と《量子の謎かけ屋》でアドバンテージを取っていきます。
☆注目ポイント
メインから採用された《封じ込める僧侶》は、ディミーアリアニメイトやセファリッドナドゥ、《緑の太陽の頂点》デッキなど複数のデッキに刺さるヘイトベアーで、《溌剌の牧羊犬、フィリア》と組み合わせることでブリンクしたクリーチャーが帰ってこなくなるという強力な除去としても機能します。
ほかにも《溌剌の牧羊犬、フィリア》は、「ワープ」した《量子の謎かけ屋》を戦場に残したり、《時を解す者、テフェリー》の忠誠値をリセット、相手の《虚空の杯》や《金属モックス》を機能不全にするなど幅広い場面で活躍します。
《記憶への放逐》で《溌剌の牧羊犬、フィリア》の遅延誘発を打ち消すことでも、ブリンクしたカードを追放したままにできるのは覚えておきましょう。メインから《記憶への放逐》を採用することで、《石鍛冶の神秘家》デッキやエルドラージ相手にも優位に立ち回れます。
《激しい叱責》はコントロールにとってやっかいな《ウルザの物語》の構築物・トークンをまとめて流すことが可能です。
サイドには、出てしまった《悪夢滅ぼし、魁渡》に触れる《天界の粛清》や、アーティファクトデッキを咎める《無のロッド》《鳴り渡る龍哮の征服者》、《溌剌の牧羊犬、フィリア》で使いまわせる《白蘭の幻影》など、複数のマッチアップに対応できるよう幅広く採用されていました。
総括
『Legacy Showcase Challenge』の結果からディミーアリアニメイトが中心なのは変わりませんが、赤単プリズンやエルドラージなど対抗できるデッキも増加傾向にあるようです。
今週末の『Eternal Weekend NA』ではどんなデッキが活躍するでしょうか。
USA Legacy Express vol.263は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!
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