はじめに
みなさん、こんにちは。
先々週に『Eternal Weekend NA』は終了しましたが、日本国内でも来月には『第31期レガシー神挑戦者決定戦』、12月には『Eternal Party 2025 in Tokyo』『Asia Eternal Weekend 2025』が開催されるなどレガシーのテーブルトップのイベントが充実しています。
今回の連載では、『Eternal Weekend NA』で行われた『2025 NA Legacy Championship』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
『2025 NA Legacy Championship』 -カーンフォージが連覇-
開催日:2025年10月11日
優勝 カーンフォージ
準優勝 ディミーアリアニメイト
3位 セファリッドナドゥ
4位 ロームポックス
5位 カーンフォージ
6位 ディミーアリアニメイト
7位 ディミーアリアニメイト
8位 カーンフォージ
9位 黒単リアニメイト
10位 スゥルタイミッドレンジ
11位 イゼットテンポ
12位 青単ポスト
13位 クレイドルコントロール
14位 デス&タックス
15位 ディミーアリアニメイト
16位 ペインター
アメリカで開催された世界最大のレガシー競技イベント、『2025 NA Legacy Championship』には944名ものプレイヤーが集いました。
メタゲームブレイクダウンによると、最も人気があったデッキは「ディミーアリアニメイト」で、全体の15%を占めています。また、勝率は約53%でトップ8にも3名入賞と安定した成績を残していました。
優勝したのは「カーンフォージ」で、昨年11月の『Legacy Championship』でも同デッキが優勝しています。
前回のイベント後に《苛立たしいガラクタ》が禁止になり、弱体化すると思われていましたが、『久遠の終端』から登場した《冷酷な船長、テゼレット》によって強化され、今大会でもディミーアリアニメイトと並んで高い勝率を出していました。
カーンフォージ
カーンフォージは、2マナランドや《厳かなモノリス》《水蓮の花びら》といったマナアーティファクトから、《神秘の炉》《大いなる創造者、カーン》《一つの指輪》など強力な無色スペルを序盤から繰り出すデッキです。
《無のロッド》や《溜め込み屋のアウフ》が弱点でしたが、最近は《冷酷な船長、テゼレット》のおかげで以前より戦えるようになりました。
☆注目ポイント
《冷酷な船長、テゼレット》は3マナと軽く、1枚で複数の役割を担う優秀なプレインズウォーカーです。主にアーティファクトをアンタップする[+0]能力と、1マナ以下のアーティファクトをサーチする[-3]能力を使用し、奥義を発動することは稀です。アーティファクトが出るだけで忠誠カウンターが増えるので、戦闘で落とされづらくフェアデッキにとって脅威となります。
[-3]能力によって《ポータブル・ホール》をサーチできるので、メインから《無のロッド》を対策しやすくなったことも大きく、《無のロッド》1枚で無力化される時代は終わりを迎えました。
このデッキの強みは、《コジレックの命令》や《魂標ランタン》といった墓地対策をメインから無理なく使えることで、ディミーアリアニメイトやセファリッドナドゥなど多くのマッチアップに対して有利に立ち回れます。
特に軽くてサーチしやすい《魂標ランタン》やサイドに4枚採用された《虚空の力線》は、ディミーアリアニメイトの《濁浪の執政》の「探査」を妨害したり、《バロウゴイフ》のサイズを下げたりと、リアニメイトとテンポの両方の戦略に刺さります。
今回結果を残したことで、より多くのデッキが《記憶への放逐》を採用することが予想されるので、今後の動向にも要注目です。
ディミーアリアニメイト
ディミーアリアニメイトは現環境において最高の青いデッキであり、環境の多くのデッキと互角以上に渡り合えます。コンボとミッドレンジ戦略の組み合わせは対処が難しく、対戦難易度の高さがこのデッキの強みといえるでしょう。
☆注目ポイント
赤単プリズンやカーンフォージの1-2ターン目の強力なアクションを対策するために、最近はメインから《否定の力》が2枚以上採用される傾向にあります。《虚空の杯》や《血染めの月》などは止められないと何もできずに負けてしまうので、0マナで唱えられるカウンターはほぼ必須です。
このデッキの真の強みは、《知りたがりの学徒、タミヨウ》によるアドバンテージでミッドレンジとしても振る舞えることです。1マナと軽く、相手の除去に対応して《渦まく知識》をプレイすることで、除去をかわしつつプレインズウォーカーに変身できるため、相手にとって対処しづらい脅威となります。
メインから墓地対策を複数採用したデッキが多いため、最近はサイドに《バロウゴイフ》や《ダウスィーの虚空歩き》といったクリーチャーが多めにとられています。これにより、サイド後はリアニメイトパーツをすべて抜き、フェアデッキに変形する選択肢がより取りやすくなりました。
セファリッドナドゥ
今大会でトップ4に入賞したJohan Larsson氏は、セファリッド・ブレックファーストのエキスパートであり、昨年開催された『Eternal Weekend 2024 Europe』でも同デッキで優勝している強豪プレイヤーです。
《有翼の叡智、ナドゥ》が登場したことで、《セファリッドの幻術師》コンボ以外に毎ターン大量のカードを引くことでアドバンテージ差をつけて勝つこともできるようになりました。
ディミーアリアニメイト相手には勝率ほぼ五分と健闘していたものの、墓地に対するマークが厳しい現環境では苦戦を強いられたようで、そんななかでもトップ4入賞は流石といったところです。
☆注目ポイント
環境に合わせてメインから墓地対策の《除霊用掃除機》が採用されており、《ウルザの物語》でサーチできるようになっています。
《セファリッドの幻術師》《有翼の叡智、ナドゥ》《知りたがりの学徒、タミヨウ》《タッサの神託者》はすべて「ウィザード」なので、《魂の洞窟》によって青いデッキに対してもカウンターを無視して戦場に出すことができます。
《記憶の旅》は、《フェアリーの忌み者》や《外科的摘出》など相手の墓地対策を対策する手段として機能します。
メイン、サイドともに《虹色の終焉》や《剣を鍬に》といった除去を複数採用しているため、フェアデッキとのマッチアップではサイド後にミッドレンジに寄せる選択肢もあります。また、カーンフォージなどマナ加速から強力なスペルをプレイしてくるマッチアップ用に、《否定の力》も多めにとられています。
ロームポックス
今大会で最も印象に残ったデッキがこのロームポックスでした。
《小悪疫》と《壌土からの生命》を軸にしたデッキで、手札・クリーチャー・土地など複数のリソースを同時に攻めることができます。相手をリソース不足に陥らせている間に、クロックでライフを詰めたり、《壌土からの生命》と《不毛の大地》によってマナを縛ってロック状態することが主な狙いです。
今回入賞したリストは《甦る死滅都市、ホガーク》がフィニッシャーとして採用されており、相手を妨害して墓地を肥やしたあとに速やかにゲームを決めることができます。デッキの性質上フェアデッキに強い一方で、コンボデッキには弱くなります。
☆注目ポイント
統率者デッキから登場した《ユーミディアンの孵化場》は、《小悪疫》との相性が抜群でこのデッキを大幅に強化しました。マナを出すたびに孵化カウンターが乗るので、ゲーム中に自然とカウンターが蓄積されていきます。カウンターが貯まった後に《小悪疫》をプレイすれば、相手を妨害しつつクロックを展開することが可能です。
《壌土からの生命》によって使いまわすこともでき、《小悪疫》がない場合でも《不毛の大地》や《幽霊街》で《ユーミディアンの孵化場》を対象にして墓地に送ることもできます。
《オークの弓使い》はクリーチャーが横に並ぶので、《甦る死滅都市、ホガーク》を効率的にプレイする手段としても機能します。また、《ユーミディアンの孵化場》で出たトークンを召集のコストにすることも可能です。
《飢餓の潮流、グリスト》や《バロウゴイフ》は圧をかけつつカードアドバンテージを稼いでくれます。
プレイヤーが自分の各ドロー・ステップで引く1枚目のカードでないカード1枚を引くなら、代わりにそのプレイヤーはカード1枚を捨てる。そのプレイヤーがこれによってカードを捨てるなら、そのプレイヤーはカード1枚を引く。そのプレイヤーがこれによってカードを捨てないなら、そのプレイヤーはカード1枚を切削する。
《Chains of Mephistopheles》は古いカードなのでテキストが長くわかりにくい文章になっていますが、ドローの制限をかけるエンチャントで、1ターンに1枚しか手札を増やせないという制限が付くため、さまざまなドロースペルを封じることができます。
総括
『Eternal Weekend』の結果から、「ディミーアリアニメイト」と「カーンフォージ」の2つのデッキが、現在のレガシーのベストデッキというのが再確認できました。
今回の結果から、11月10日に予定されている禁止改定で何かしらの調整が出るのか注目です。
以上、USA Legacy Express vol.264でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!