By Kazuki Watanabe
『イクサランの相克』によって齎された新環境。
「この環境の最適解は何か?」
という問いに答えを出すべく、この『Pros&Hopes練習会』では朝から晩まで、長時間の休みを挟むことなくドラフトが繰り広げられている。
もちろん、今の段階で答えを出すのは時期尚早だ。しかし、トッププレイヤーたちが思考を巡らせながら対戦し、その結果を振り返りながら議論を繰り返すことで、少しずつ解明されている。
ここでお届けするのは、解明に至る道の第一歩……環境の第一印象だ。
今回は、Hareruya Prosの熊谷 陸に、環境の第一印象や『イクサラン』環境との変化。そして、この環境で気を付けるべき点を伺ってみた。
環境トップと、それ以外の差
――「お疲れ様です。まずはこの環境の第一印象を教えていただけますか?」
熊谷「まだ始まったばかりですが、環境トップと、それ以外の差が大きいですね。明確に越えられない壁があるという印象を受けました」
――「なるほど。環境トップはどの色なのでしょうか?」
熊谷「白黒と赤緑が強い印象です。白黒は吸血鬼を中心としたトークン戦術。赤緑は恐竜のような大型フィニッシャーでゲームを決める戦術ですね」
――「吸血鬼と恐竜は『イクサラン』から引き続き登場しているクリーチャータイプですが、『イクサラン』環境からどのように変化したのでしょうか?」
熊谷「クリーチャーのサイズが全体的に小さくなりました。除去の数は少し増えた印象ですが、それよりもクリーチャーの質が変わった方が重要かな、と。そして、環境の速度は目に見えて速くなりましたね」
――「たしかに先ほどのラウンドもあっという間に終わっていましたね」
熊谷「そうですね。そして、環境が速くなった影響で、動き出しが重要になっています。具体的には、2ターン目から動き出してクリーチャーを展開できないとかなり厳しいです」
――「2ターン目から動き出す、というのは一つのキーワードかもしれませんね」
熊谷「そうだと思います。2ターン目に動き出すことが環境の大前提です。動き出せないと、相手に追いつくことができず、そのまま押し切られてしまいますからね。そして、これもキーワードかもしれませんが、序盤だけではなくて最後の一押しが必要なんです」
――「動き出し方だけではなくて、ゲームを決める手段も大事、ということですか?」
熊谷「そうですね。動き出しを良く、というのは先ほども述べたとおり”大前提”なんです。赤緑も単純にフィニッシャーを盤面に送り出すのではなくて、序盤から動き、相手とすり潰し合いながら、フィニッシャーに繋げていくわけです」
――「なるほど。最後の一押しがないと勝てないわけですね」
熊谷「そのとおりですね。たとえば、赤黒のアグロを組んで気持ちよく動き出しても、相手との潰し合いで消耗し、最後は負けてしまう、ということがあります。負ける、というよりは、勝ちきれないといったところでしょうか」
――「白黒と赤緑がトップ、とのことですが、環境のベストカラーは何色だと思いますか?」
熊谷「トップは白か赤ですね。この二色は単純にクリーチャーの質が良くて、除去も豊富なんです。逆にワーストは青だと思います。クリーチャーの質でどうしても劣っていますからね。ただ、《帆凧の海賊》のように優秀なものはあるので、活かし方次第だとは思いますが」
最後の一押しを逃さない
――「なるほど、ありがとうございます。では最後に『これからドラフトに挑戦したい』と考えているプレイヤーにアドバイスをお願いします」
熊谷「2ターン目から、という大前提を忘れずに。そして、最後の一押しができないと、どれだけクリーチャーを並べたとしても、そのままズルズルと負けてしまうことが多いはずです。なので、2マナ域を始めとする小さなクリーチャーを確保しながら、最後の一押しになる手段を逃さないようにピックする、という意識を持つと良い思います。飛行、大型クリーチャーが分かりやすい手段ですが、他にも様々な呪文があるので、ぜひ挑戦してみてください」