はじめに
みなさん、こんにちは。
今週末には大規模なテーブルトップのイベントである『MMM Finals 2025』が開催されますね。
今回の連載では、『チャンピオンズカップファイナル シーズン4ラウンド1』『Regional Championship Seoson4 Round1』『Regional Championship Antwerp 2025』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
『チャンピオンズカップファイナル シーズン4ラウンド1』 -環境のトップメタが優勝-
開催日:2025年11月22日
優勝 ジェスカイブリンク
準優勝 繁殖鱗コンボ
3位 イゼット果敢
4位 グリクシス親和
5位 グリクシス親和
6位 イゼット果敢
7位 ベルチャー
8位 アミュレットタイタン
先月末の『プレイヤーズコンベンション横浜2025』には、400名以上のプレイヤーがプロツアーの権利を求めて集いました。
多種多様なデッキが活躍するモダンは、プロツアー後もメタが動き続けています。今大会で見事に優勝したのは、各地域予選イベントで活躍しているジェスカイブリンクでした。
ジェスカイブリンク
《量子の謎かけ屋》はモダンの主要なクリーチャーとして定着するようになりました。
ジェスカイブリンクは《敏捷なこそ泥、ラガバン》と《鏡割りの寓話》の2種類の赤いカードによる能動的な動きが特徴で、宝物・トークンによるマナ加速によって中盤以降に5マナ以上の脅威を素でプレイしやすくなります。
☆注目ポイント
《溌剌の牧羊犬、フィリア》は《量子の謎かけ屋》や《孤独》以外にも、《鏡割りの寓話》をブリンクすることでアドバンテージを稼ぐことができ、《敏捷なこそ泥、ラガバン》のブロッカーを退かしたりとさまざまな場面で活躍します。
ジェスカイブリンクがエスパーよりも優れている点は、サイドの《黒曜石の焦がし口》が使える点です。《溌剌の牧羊犬、フィリア》でブリンクすることで相手の土地を複数破壊できるため、このタイプのデッキが苦手としていたトロンなど、ビッグマナ系との相性も改善されています。
《記憶への放逐》はコンボデッキやビッグマナデッキに有効な妨害手段ですが、《量子の謎かけ屋》を早い段階から戦場に残す効率的な手段にもなります。また、《溌剌の牧羊犬、フィリア》の遅延誘発をもみ消せば、実質1マナの除去としても機能します。
最新セット『アバター 伝説の少年アン』からは、トップレアの《司書、ワン・シー・トン》が採用されていました。モダンでは、フェッチランドを採用したデッキがほとんどなので能力を誘発させやすく、ゲーム後半のフィニッシャーにもなるのが優秀です。
繁殖鱗コンボ
《日を浴びる繁殖鱗》を使ったコンボデッキで、このクリーチャーに《血の長の刃》を装備させ、落とし子・トークンを生け贄にすると《血の長の刃》の能力で+1/+1カウンターが置かれて再度落とし子・トークンが生成されるので、これをループすることができます。
最近では、《ウギンの迷宮》や《真実を溺れさせるもの》《七つの死の種父》といったエルドラージとハイブリットしたものが主流になっています。
☆注目ポイント
コンボプラン以外に、エルドラージランプと同様に《邪悪鳴らし》で墓地を肥やし、可能な限り《約束された終末、エムラクール》を速くプレイしてゲームを終わらせるプランもあります。《邪悪鳴らし》は墓地肥やしだけでなく、コンボのために必要なパーツを探し出し、落とし子・トークンまで生成してくれる優秀なカードです。
《孤独》《否定の力》《オパールのモックス》《ミシュラのガラクタ》《睡蓮の花》《召喚士の契約》など、現在のモダンでは0マナでプレイできるスペルが複数散見されます。
《苛立たしいガラクタ》はこれらをシャットアウトでき、安全にコンボを決めることが可能になります。また必要ならドローに変換できるため、無駄になりにくいのもポイントです。
エルドラージデッキのように《難題の予見者》でハンデスしつつクロックをかけることもできます。エルドラージクリーチャーによるビートダウン、《日を浴びる繁殖鱗》コンボ、《約束された終末、エムラクール》と多角的に攻めることができるのがこのバージョンの強みです。
『Regional Championship Season 4 Round 1』 SCG CON Las Vegas -タイタンがアメリカの地域予選を踏み鳴らす-
開催日:2025年11月23日
優勝 アミュレットタイタン
準優勝 イゼットコーリ鋼
3位 親和
4位 ボロスエネルギー
5位 ボロスエネルギー
6位 エスパーブリンク
7位 ドメインズー
発させるのは簡単で群雄割拠なモダンらしく、ボロスエネルギーを除いてプレイオフに入賞したすべてのアーキタイプが異なるものでした。
優勝したのはアミュレットタイタン。ジェスカイブリンクとボロスエネルギーに次いで3番目に人気があったデッキで、プレイングが難しいとされているアーキタイプですが、ここ最近で数を多く増やしています。
イゼットコーリ鋼
青赤ベースのアーティファクトデッキは、《ピナクルの特使》や《河童の砲手》《思考の監視者》を採用した型が主流ですが、準優勝したJoseph Puglisiのリストは《量子の謎かけ屋》《知りたがりの学徒、タミヨウ》《コーリ鋼の短刀》といったアドバンテージを得られるカードを複数搭載したものになっています。
☆注目ポイント
《ミシュラのガラクタ》や《量子の謎かけ屋》のドローにより、《知りたがりの学徒、タミヨウ》を2ターン目に変身させることができます。手札を使い切るのが速いこのデッキでは、《量子の謎かけ屋》でのドロー増加の条件を満たすのも容易です。
《湖に潜む者、エムリー》はアドバンテージエンジンであり、《ミシュラのガラクタ》を毎ターン使いまわしてドローしたり、《上天の呪文爆弾》や《トーモッドの墓所》といったシルバーバレットも有効活用できます。
《湖に潜む者、エムリー》と《知りたがりの学徒、タミヨウ》はともにウィザード・クリーチャーなので、《アノールの焔》の恩恵を最大限に得られるのも強力です。
0マナアーティファクトの多いこのデッキでは、毎ターン《コーリ鋼の短刀》の「疾風」を誘発させるのも簡単です。墓地から呪文を唱えられる《湖に潜む者、エムリー》とも相性が良く、果敢を何度も誘発させて速やかにゲームを終わらせることができます。
『Regional Championship Antwerp 2025』 -ボロスエネルギーがトップに復権-
開催日:2025年11月22日
優勝 ボロスエネルギー
準優勝 アミュレットタイタン
3位 ルビーストーム
4位 ジェスカイブリンク
5位 イゼット果敢
6位 ボロスエネルギー
7位 親和
8位 アミュレットタイタン
ヨーロッパで開催された地域予選は、ボロスエネルギーがアミュレットタイタンやルビーストームといった相性が悪いデッキが勝ち残るなかで優勝しました。
ボロスエネルギー
コンボデッキとの相性が悪いボロスエネルギーですが、サイドボードの選択肢が豊富で、メインから《血染めの月》が使えるのでアミュレットなどビッグマナ系のデッキとも戦えます。
☆注目ポイント
対処を迫ることで相手がタップアウトすることも多いため、メインから採用された《マナの税収》は知らない相手には特に刺さります。ミラーマッチでも《歴戦の紅蓮術士》や《スレイベンの魔除け》をカウンターする活躍を見せていました。
サイドの《封じ込める僧侶》は《御霊の復讐》デッキなどリアニメイト対策だけでなく、《霊気の薬瓶》《儚い存在》《出産の儀》《新生化》《緑の太陽の頂点》など、多くのカードを対策できるため複数のマッチアップで活躍します。
《オアリムの詠唱》《真昼の決闘》《減衰球》といったカードは、主にスペルベースのコンボデッキに有効です。《真昼の決闘》は「果敢」や「疾風」も止めることができるため、イゼット果敢にも使えます。
モダンはデッキの数が多く、すべてのマッチアップに対応するのが難しいので、こういった複数のマッチアップで有効なものが厳選されています。
総括
日本、アメリカ、ヨーロッパで開催された地域チャンピオンシップが終了し、モダンはさまざまなデッキが活躍できる面白いフォーマットであることが再確認できました。
そのなかでも、やはりアミュレットタイタンが頭一つ抜けており、プレイングが難しいデッキではありますが、苦労に見合う価値があるデッキといえます。
USA Modern Express vol.145は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!
おすすめ記事
- 2025/12/03
- 新環境のモダンをどう攻略する?地域CSの振り返りレポート&ジェスカイブリンク解説
- 平山 怜
- 2025/08/05
- アミュレットタイタンにおける《風景の変容》の使い方
- Piotr Glogowski
- 2024/11/25
- 無限パワー!無限トークン!無限ダメージ!「繁殖鱗コンボ」デッキガイド
- 増田 勝仁






































