はじめに
お久しぶりです。増田(@tensai_manohito)です。
今回は「ジェスカイブリンク」のデッキガイドになります。
紹介するリストは、先日開催された『チャンピオンズカップファイナル シーズン4ラウンド1』にて私が使用したリストになります。一般的なリストとは多少異なりますが、どういった経緯・理由でそのようになったのかを解説いたします。
今回は実践的な解説が多いので、入門編というよりはある程度デッキを知っている方向けになります。
- 2025/11/21
- ジェスカイブリンク -クリーチャーをブリンクして能力を使いまわす!-
- 晴れる屋メディアチーム
(入門編はこちら)
件のイベントのメタゲーム予想や取り組みなどについて、別途、平山プロの参加レポートがあがってるため、そちらも併せてご覧ください。
- 2025/12/03
- 新環境のモダンをどう攻略する?地域CSの振り返りレポート&ジェスカイブリンク解説
- 平山 怜
なお、私は初日を6勝2敗で折り返すも、2日目に寝坊してそのままトーナメントから消滅しました。目覚ましをかけているからといって二度寝はやめましょう。
起きた お疲れ様でした
— manohito (@tensai_manohito) November 23, 2025
ジェスカイブリンクとは
「ジェスカイブリンク」とは、その名の通りジェスカイカラー(

)のミッドレンジデッキです。
近年のモダン環境は大コンボ・一強時代が続いており、直近のフェアデッキといえば『モダンホライゾン3』で生まれた「ボロスエネルギー」しか存在しませんでした。
ボロスエネルギーは非常に完成度の高いフェアデッキであり、デッキパワーの低いデッキをメタゲームから振るい落とす性能も高いです。それゆえに、ボロスエネルギー以外のミッドレンジが存在しない時代が長く続きました。
が、それも過去の話です。
《量子の謎かけ屋》の登場により、モダン環境のフェアデッキの構図は大きく変わりました。非常に対処の難しいサイズ感に加え、圧倒的なリソース獲得能力。カードを交換していくだけで勝利に近づくその様は、まさに現代に蘇った《一つの指輪》です。
そのほかにも、《火の怒りのタイタン、フレージ》《敏捷なこそ泥、ラガバン》《孤独》《鏡割りの寓話》などの最強クラスの強力なパーマネントを、惜しげなく使ったミッドレンジがジェスカイブリンクなのです。
デッキリスト
採用カード解説(メイン)
《冠雪の平地》《冠雪の山》
《敏捷なこそ泥、ラガバン》で相手の《氷牙のコアトル》を奪った場合、それに接死がつく可能性があるため、基本土地は「氷雪」タイプをついたものを選んでいます。「シミック出産の儀」のように環境に《氷牙のコアトル》を使用しているデッキが存在する以上、氷雪土地を選択しない理由はないでしょう。
(※以後、本文中では自身のデッキの《冠雪の平地》《冠雪の山》のことを《平地》《山》として表記していますが、《冠雪の平地》《冠雪の山》と読み替えてください)
《敏捷なこそ泥、ラガバン》
環境上位に弱いマッチが多いものの、五分~不利な相手に対して勝率を出すためには必要な認識です。採用枚数については練習段階で意見が割れました。
序盤を支える低マナアクションではあるものの、後手で役割が薄いこと&サイドアウト率も高いことから3枚に抑える派閥と、最も簡単な単体キープ基準であることから4枚派閥で分かれました。
個人的には4枚を推していますが、ほかに採用したいカードが出た際には、この枠を3枚に減らすのがよいでしょう。
《溌剌の牧羊犬、フィリア》
自分視点では、ブリンクする対象がなにもなく手札で鎮座する置き物になること多いですが、相手視点ではいつ《量子の謎かけ屋》《鏡割りの寓話》とセットになってシナジーが爆発するか分かりません。
《電気放出》のようなカード1枚と交換されるなら最低限の役割を果たしますが、放置されたり適当なタイミングで《火の怒りのタイタン、フレージ》に除去されるのが最悪です。
基本的に適当なタイミングでプレイせず、ブリンクする対象とセットになるまでは手札に残しておくのがセオリーです。終盤に《栄光の闘技場》で速攻で走らせるのも強力なので、手札に残っていることで立てられるプランもあります。手札に鎮座しているからといって、そう悲観することでもありません。
《火の怒りのタイタン、フレージ》
モダンで最強のクリーチャーといっても過言ではないでしょう。《量子の謎かけ屋》同様、カードを交換した先に唱えるだけで簡単にゲームに勝てます。相手が使えるのに自分が使わないのは損です。何も考えずに使ってください。使わないことはハンデです。
《量子の謎かけ屋》
《量子の謎かけ屋》を引けた試合はボーナスゲームです。ゲームの勝利条件が「相手のライフを20点削る」に加えて「カードを交換する」が加わります。それくらい簡単かつ圧倒的です。ワープからの《溌剌の牧羊犬、フィリア》でのブリンクはもちろんのこと、普通に手出しでも十分に強力です。
対処方法が限られており、また対処できたとしてもリソース面で絶対に不利がつきません。唱えた側が唱えた分だけ得をします。であれば唱える側に回りましょう。
《孤独》
クリーチャーしか消せない《意志の力》です。数少ない《量子の謎かけ屋》を対処できる汎用的な除去でもあります。《孤独》を扱う上で大事なのは、序盤にピッチで唱えることに抵抗を持たないことです。
初手の《敏捷なこそ泥、ラガバン》に対して「どうして《電気放出》《虹色の終焉》じゃないんだ……」と思いながらも諦めて唱えてください。
特にサイド後、《火の怒りのタイタン、フレージ》が《外科的摘出》されやすいので、対アグロのように押されるマッチでは、絆魂を持ったこのクリーチャーの攻撃を通すことがゴールになります。そのため、《栄光の闘技場》で走らせる頻度も高いです。
《電気放出》
通常、2~3枚の採用が主流ですが、紹介するリストはたっぷり4枚の採用です。
対アグロはもちろんのこと、ミラーマッチの《敏捷なこそ泥、ラガバン》や《溌剌の牧羊犬、フィリア》は序盤だけでなく中盤、そして終盤まで役割があるため、この手のインスタント除去が終盤になって腐るという場面はほとんどありません。
当然、対コンボには弱くなりますが、それらにはクリティカルなサイドを採用することでカバーする方針としました。メインから中途半端にせず「勝てる相手には勝つ」という思想です。
赤い除去が増えることによって《孤独》のピッチコストが減っていますが、《孤独》をピッチしたい相手には《電気放出》が強い相手が多いので、その点はほとんど気になりません。
《大梟の小夜曲》
《孤独》や《量子の謎かけ屋》といった強力な5マナ域をわずか1マナで交換できる、ミラーマッチの最重要カードです。また、「アミュレットタイタン」「ネオブランド」といったコンボデッキに対しても圧倒的なパフォーマンスを発揮します。キーカードである《原始のタイタン》《アロサウルス乗り》を潰せば、即死の可能性はぐっと下がります。
トークンを渡すデメリットも些細なもの。《溌剌の牧羊犬、フィリア》や《火の怒りのタイタン、フレージ》で簡単に処理できます。ただし、アグロ系にはまったく効きません。相手によって強弱のハッキリしたカードなので、環境次第ではサイドに下げたほうがよいでしょう。
《儚い存在》
このデッキがジェスカイブリンクと呼ばれる所以になったのは間違いなくこのカードですが、このデッキが活躍すればするほどこのカードの評価は落ちていきました。
とにかく浮きやすく、そして消化するのが難しいです。
《量子の謎かけ屋》を戦場に固定するのは非常に強力ですが、相手に《孤独》を合わせられると《儚い存在》の対象を失うだけでなく、《量子の謎かけ屋》という貴重なリソース源も失ってしまいます。そもそも《儚い存在》に頼らずとも、《量子の謎かけ屋》はそれ単体で十分に活躍できます。
結果、わざわざリスクを取ってまでやることではないということでどんどん枚数が減っていきました。ただ、0枚にすると相手視点で楽になってしまうこと、たまたま引いたときに《孤独》や《量子の謎かけ屋》でプランを立てるくらいで丁度よいと判断して1枚だけ残しました。
《虹色の終焉》《冥途灯りの行進》
使い勝手は《虹色の終焉》のほうが上ですが、ソーサリー除去は手札にたまった際に消化しづらいため、1枚は《冥途灯りの行進》と散らしました。《冥途灯りの行進》は《ウルザの物語》にも強いため、リスト公開制では1枚だけでも採用していると相手の行動に裏目をつけやすいです。
《記憶への放逐》
相手の無色のカードや誘発型能力を打ち消すテキストどおりの”守り”の使い方が基本ですが、《火の怒りのタイタン、フレージ》や《量子の謎かけ屋》を戦場に固定したり、《力線の束縛》《孤独》《緻密》のような一部妨害を打ち消す”攻め”の使い方もあります。
使い方は多岐に渡るため、その一部例を紹介します。
《溌剌の牧羊犬、フィリア》で相手のパーマネントを追放し、終了ステップの誘発を打ち消すことで、疑似的な除去として使う。これは、相手が自身のパーマネントを追放した際にも有効です。また《ちらつき鬼火》でも同様のことが可能です。
《キキジキの鏡像》でコピーしたトークンが、終了ステップに生け贄に捧げられる能力を打ち消す。こうすることで、コピーしたトークンを戦場に残すことができます。
《安らかなる眠り》の墓地追放能力を打ち消す。《安らかなる眠り》は戦場に出たときにお互いの墓地を追放する誘発型能力と、戦場にある限り墓地に送られるカードが追放される常在型能力に分かれています。
この誘発型能力を打ち消すことで、墓地の《火の怒りのタイタン、フレージ》を守ることができます(その時点で脱出コスト分の墓地が貯まってなければ意味がないですが……)。
《鏡割りの寓話》
2~3枚程度の採用が主流ですが、今回はたっぷり4枚の採用です。特にミラーマッチで裏目の少ない点を評価しています。
《神秘の論争》や《大梟の小夜曲》のような干渉手段を回避しつつ簡単に1:2交換が可能なので、唱えるだけで一歩リードできます。対コンボでも手出ししたくない《火の怒りのタイタン、フレージ》を墓地に送り込む役割があるため、減らすことはあっても4枚すべてをサイドアウトすることはありません。
採用カード解説(サイド)
《黒曜石の焦がし口》
「エルドラージトロン」「アミュレットタイタン」などの土地を使ったコンボ・ランプデッキ対策です。『チャンピオンズカップファイナル』でのシェア率は低いと判断して枚数は削りましたが、0枚にはしませんでした。
これは、仮に1枚でも入っていると引いた際にプランを立てられるからです。まったくゲームプランが立たないのと、運が良ければゲームプランが立つのでは大きな差があります。
とはいえ、都合のよい考え方ではあるため、この枠を0枚にするのも間違いだとは思いません。
《真昼の決闘》
「ルビーストーム」「イゼット果敢」に対するキラーサイドカードです。どちらも有利とはいえないくらいの相性差ですが、《真昼の決闘》さえ設置できればほぼ勝ちです。シンボルも薄く、対処もされにくい(相手側からも専用のサイドが必要)、設置も2マナと比較的軽い。非常に優れたサイドカードです。
採用するだけで勝率が劇的に改善されますし、これらのデッキとはそれなりに対戦する回数も多いだろうと考え、そのコスパの良さから2枚以上採用することは確定でした。より強く見るなら3枚目の採用も悪くはありませんが、個人的には2枚で十分と考えました。その枠は《黒曜石の焦がし口》のような別デッキに対するサイドに枠を割いています。
《外科的摘出》
ほぼ《火の怒りのタイタン、フレージ》専用サイドです。
《火の怒りのタイタン、フレージ》はいつ禁止されてもおかしくないパワーカードです。戦場に出た際にクリーチャーをなぎ倒し、そのまま攻撃を通すようなことになれば一瞬でゲームが壊れます。それでいてゲームが長引くと何度も戦場へ出るタイミングが訪れますし、フェッチランド+諜報ランドの組み合わせからゲームに絡みやすいです。
そのため、除去のような局所的な対処ではむしろ対処する側がジリ貧になってしまいます。逆にデッキから根こそぎ抜けば大幅に戦力をダウンさせられます。こちらだけ《火の怒りのタイタン、フレージ》が残っていれば、ロングゲームになった際に絶対に負けません。
《空の怒り》
「ボロスエネルギー」「親和」「繁殖鱗コンボ」などの小型のクリーチャー・アーティファクトを多用するデッキに対するキラーカードです。ただ、
のダブルシンボルが重く、意識して土地を並べないと意外と適正ターンに唱えられません。
採用枚数は2枚か3枚かで悩みましたが、初手に引いていたほうがプランを立てやすい(=フェッチランドから持ってくる土地をイメージしやすい)こともあって3枚としました。
サイドインしたいボロスエネルギーや親和といったデッキが、《血染めの月》を採用している可能性が高いため、土地を持ってくる順番を決められるのは見た目以上に重要です。
《天界の粛清》
「ボロスエネルギー」「ドメインズー」「イゼット果敢」などの対アグロで有効です。
単なるクリーチャー除去と異なり、《ゴブリンの砲撃》や《コーリ鋼の短刀》のようなクリティカルな置き物にも対処できます。カバーできる範囲が広く、腐りづらいのが嬉しいです。とはいえ、2マナの1:1交換カードなので、手札に被ると動きが悪くなることから採用は2枚以下に抑えたほうがよいでしょう。
《虹色の終焉》
メインに2枚からのサイドに2枚。過剰と思われるかもしれませんが、過剰です(?)
ジェスカイブリンクがボロスエネルギーやイゼット果敢に対して負ける要因として、《記憶への放逐》や《大梟の小夜曲》のようなそこまで有効でない青いカードがサイド後に残ってしまうことが挙げられます。これを解決するために、in/outの整合性が取れるだけのサイドを用意したい=そのなかで最も使い勝手がよい除去が《虹色の終焉》と判断して採用しました。
《記憶への放逐》
「アミュレットタイタン」や「繁殖鱗コンボ」など、有効な相手にはとことん有効な対策カードです。75枚に4枚は絶対に必要と考え、メイン3枚の不足分をサイドに1枚用意しました。
《呪文嵌め》
汎用的なカードで影響力はそこまで大きくないですが、フェアデッキからコンボデッキまで広くサイドインできる相手が多いです。サイドin/outを考えたときに入れ替え枚数を合わせるために採用しましたが、どこまでいっても1:1交換カードなのでサイドとしての役割は薄いです。
逆にメインにあっても悪くないため、この枠をスライドさせて別のサイドカードをとるのも悪くはないです。
不採用カード解説
《島》
素引きしたときのデメリットが大きいと判断しました。《島》は《火の怒りのタイタン、フレージ》の脱出に絡まない色なので、序盤に引いてしまうと動きが悪くなりがちです。《血染めの月》をケアするために《島》を置いた結果、《フレージ》の脱出が遅れてしまっては本末転倒です。
また今回の私のリストは、《血染めの月》を採用している一番手デッキのボロスエネルギーに対して、青いカードを極力サイドアウトできるようにしつつ、《平地》が1枚あれば動けるように構築しています。
逆にサイド後に青いカード(《記憶への放逐》《大梟の小夜曲》など)が残る場合は《島》を採用するべきです。このあたりは採用カードや思想に合わせて柔軟に変更してください。
《時を解す者、テフェリー》
ボロスエネルギーやイゼット果敢などの上位Tierのデッキに対して無力であり、「シミック出産の儀」や「エスパー御霊」などの中堅Tierのデッキには滅法強いカードです。
このカードが有効に働くマッチの多くは青系デッキであるため、サイド後に《神秘の論争》が採用されている場合が多いです。序盤の攻防で通れば楽にゲームを進められますが、逆に《神秘の論争》で打ち消されると途端に返しが無防備になるリスクもあります。
総じてハイリスク・ハイリターンなカードだと考え、またシミック出産の儀やエスパー御霊に対してそこまでガードを上げる必要はないと判断して不採用としました。
《栄光の闘技場》(3枚目~)
《栄光の闘技場》の有無は《火の怒りのタイタン、フレージ》の攻防で大きな差がつきます。《フレージ》が有効なマッチでは絶対に戦場に置きたいため、どうしても3枚目を採用したかったのですが、色バランスの問題で断念しました。ただ、リスクに見合った十分なリターンがあるカードなので、《山》や《湿地の干潟》と交換する価値は大いにあります。
《黒曜石の焦がし口》(2枚目~)
サイドカードの項で解説したとおり、イベントや予想メタゲーム次第では増量も視野です。環境や想定次第なので、このカードが複数枚入っているリスト=誤りだとは思いません。
《夢を引き裂く者、アショク》
対アミュレットタイタンを想定したときに最強クラスのサイドカードです。ですが、ジェスカイブリンクには《平地》《山》《聖なる鋳造所》《栄光の闘技場》と、《夢を引き裂く者、アショク》を唱えるのに絡まない色の土地が合計で6~7枚入っています。この内、2枚を引いてしまうと《アショク》を適正ターンに唱えられません。
優れたサイドカードは威力の高さ、対処のされにくさ以外にも唱えやすさも重要です。《夢を引き裂く者、アショク》は3マナと若干重く、その色から唱えるのも難しいです。
ただでさえ、対アミュレットタイタンはサイドカードを求めてマリガン回数が増えがちなのに、いざマリガン後に《夢を引き裂く者、アショク》が見つかったとしても、手札の土地の色が悪くて唱えられない……といった状況に陥ってしまっては本末転倒です。威力は申し分ないですが、唱えられないリスクは看過できないと判断して不採用としました。
プレイ方針(プレイアドバイス)
本項ではプレイ方針について解説します。ジェスカイブリンクを使う上ではぜひとも覚えておきたい・意識してください。
どの土地からフェッチランドで持ってくる?
最初に戦場にそろえる土地は基本的に《蒸気孔》or《轟音の滝》+《平地》から。これが基本になります。
この状態で《火の怒りのタイタン、フレージ》用の色(


)をそろえたいなら《聖なる鋳造所》、《量子の謎かけ屋》用の色(
)をそろえたいなら《神聖なる泉》、《血染めの月》をケアしたいなら追加の《平地》と派生させていくのがよいでしょう。
もちろん、これはフェッチランドから土地を持ってくる場合の話であり、直接ショックランドや諜報ランドを引いている場合はその限りではありません。その色に合わせて足りない色を持ってくるようにしましょう。
適当に諜報ランドを使わない
諜報ランドの登場によって、フェッチランドを採用できるデッキの安定感は段違いになりました。フェッチランド×2枚キープでも安定して土地を伸ばせます。ただ、諜報ランドは確定タップイン。なんとなく相手ターンの終了ステップにフェッチランドから持ってきて消化しがちです。
少し立ち止まって考えてみてください。その諜報ランド、本当に持ってくるべきですか?
例①:対ジェスカイブリンク
メイン戦、自分の先手4ターン目。引いてきた《鏡割りの寓話》を唱え、4枚目の土地として《乾燥台地》を置いてターンを返したところです。
この状況では、5枚目の土地は追放領域の《量子の謎かけ屋》を唱えるため、そして手札の《孤独》を唱えるために必要です。
次のターン、土地を引かない限りは《鏡割りの寓話》の第Ⅱ章で《平地》を捨てることはまずありえません。また、ゲームもまだまだ長引く都合上、手札の《孤独》《大梟の小夜曲》も必ずどこかで使うタイミングが訪れるので、これらも第Ⅱ章で捨てないでしょう。
では、この場面で返しの相手ターンの終了ステップに、《乾燥台地》から諜報ランドを持ってくるのは本当に正しいことでしょうか?
諜報ランドを持ってきてデッキトップの不要なカードを落とすことと、ショックランドを持ってきてデッキトップの不要なカードをそのまま引き、《鏡割りの寓話》の第Ⅱ章でそのカードを捨てることにはどれくらいの差があるのか。
実際、これらはほぼ等価ではないでしょうか?(厳密には、山札の上から2番目に目当てのカードがあった場合には異なりますが、ではそのお目当てのカードとはこの状況で何になるのかという話になります)
つまり、この状況ではフェッチランドから諜報ランドを持って来ずに温存するべきです。そもそも、この時点で目当てのカードは《火の怒りのタイタン、フレージ》くらいであり、それを狙って諜報ランドを使ってしまうのはもったいないです。
まだまだゲームが続く状況で、お互いの干渉手段の豊富さを考えると《フレージ》が通ってハイ勝ちです!というのも考えにくいでしょう。それよりも終盤、それこそトップ合戦になって即《フレージ》がほしい場面で、諜報ランドから《フレージ》や《量子の謎かけ屋》を探せるようにしたほうがよいです。
もちろん、状況によっては「ライフや戦場が押されていて、返しにターンですぐに《フレージ》が必要」「手札に除去がなく、このままだと《敏捷なこそ泥、ラガバン》《精鋭射手団の目立ちたがり》に殴られて負けてしまう」といった展開も当然起こります。
そういったときは、間違いなく諜報ランドで目的のカードを探すべきです。
ここで重要なのは、あくまで「何がほしいのか」が不明瞭な状況で諜報ランドを使うのは避けたほうがよいということです。諜報ランドは「何がほしいのか」を明確にした上で使いましょう。
フェッチランドを温存する
フェッチランドは便利な土地です。ショックランドを持ってくることで色マナを確保できますし、諜報ランドを持ってくることでドロー操作になります。ただ、なんとなく相手ターンの終了ステップに土地を持ってきていないでしょうか。
少し立ち止まって考えてみてください。そのフェッチランド、本当にいま切るべきですか?
例②:対ボロスエネルギー
サイド後、自分の後手(1マリガン)、相手の2ターン目です。
相手はサイド後に7枚キープかつ1ターン目にクリーチャーなし、からの2ターン目に《ゴブリンの砲撃》をプレイ。よくある展開です。次のターンに《ナカティルの最下層民、アジャニ》が来そうだなとなんとなく予想も立てられます。
が、それ以上に意識したいのは《血染めの月》です。この状況で何も考えず適当に諜報ランドやショックランドを並べてしまうと、いざ《血染めの月》を貼られたときに行動不能になってしまいます。ここでは「《血染めの月》をどう回避するか」を考えてプレイする必要があります。
最速で相手が先手3ターン目に《血染めの月》を唱えた場合、フェッチランドから土地を持ってくるタイミングは1-2ターン目の2回しかありません。
つまり、例②のような場面で「相手の終了ステップに《乾燥台地》から《轟音の滝》を持ってくる」→「次のターンに《乾燥台地》から《平地》を持ってくる」→「《虹色の終焉》で《ゴブリンの砲撃》を対処」という進行だと、返しの《血染めの月》にハマってしまい、手札の《空の怒り》を唱えたり《火の怒りのタイタン、フレージ》を脱出させることができなくなります。この展開は絶対に避けなければならないです。
要するに、このタイミング(2ターン目の相手の終了ステップ)ではフェッチランドは切らずに温存するべきです。迎えた次の自分のターンも《乾燥台地》を置くだけで《虹色の終焉》は唱えずにパスします。こうすることで、次のターンに相手の《血染めの月》を完全に回避することができます。
仮に《血染めの月》以外のカードを唱えられた場合、そのターン中に《血染めの月》が唱えられることはないため、その場合は相手の行動に合わせてこちらも行動すればよいです。
例③
自分の後手2ターン目です。
【パターン①:相手が《血染めの月》を唱えてきた場合】
この場合は、《血染めの月》を唱えるのに対応して《乾燥台地》で2枚とも《平地》を持ってきます。
相手の戦場は《血染めの月》《ゴブリンの砲撃》と置き物だけでプレッシャーがほとんどないため、4-5ターン目にX=2~3の《空の怒り》が十分に間に合う展開です。
場合によっては《電気放出》を適当に唱え、《暗黒の儀式》のように使うことも視野に入れておくとよりよいです。
【パターン②:相手が《ナカティルの最下層民、アジャニ》を唱えた場合】
この場合、《乾燥台地》から《山》または《蒸気孔》を持ってきて、《ナカティルの最下層民、アジャニ》の戦場に出たときの誘発に対応して《ナカティルの最下層民、アジャニ》を《電気放出》で倒しましょう。
このターンに《血染めの月》を唱えられないことが確定しているので、《平地》以外の土地を持ってきても問題ありません。次のターンに再び《乾燥台地》を置いて、これもまた次の相手の行動を見て《平地》にするかどうかを選びましょう。
【パターン③ 相手が何も唱えなかった場合】
この場合、やはり《血染めの月》が唱えられないことが確定します。次のターンに手札の《乾燥台地》を置くことができる=再び同じ状況(戦場に《乾燥台地》×2で《血染めの月》をケアできている)ので、このターンは相手の終了ステップに《乾燥台地》から《轟音の滝》を持ってくるのがよいでしょう(もう1枚の《乾燥台地》はそのまま)。
《血染めの月》が貼られるとフェッチランドが機能しなくなるため、《火の怒りのタイタン、フレージ》用に墓地が足りなくなりがちです。先に肥やしておきましょう。
ここまでの話は、あくまで例のような行動を取った場合です。
たとえば、相手が1ターン目に《敏捷なこそ泥、ラガバン》を唱えていたのであれば、その場での対処は必須です。フェッチランドを温存してラガバンの攻撃を通し、2ターン目に《血染めの月》を貼られたのではケアした意味がありません。あくまで“場合によっては”フェッチランドを切らない展開もある、ということです。
マリガン判断
本項ではマリガン判断について解説します。
すべてリスト公開が前提になっていますので、リスト非公開制の場合は2本目以降の場合のみ参考にしてください。
キープ例①:対ジェスカイブリンク メイン戦(先手)
序盤から積極的にプレッシャーをかけられる良い手札です。ここからすべての重いカードが受け入れになるので、初手は重いアクションの有無よりも軽いアクション(手数)の多さで判断してください。
キープ例②:対ボロスエネルギー メイン戦(後手)
対ボロスエネルギーの後手の場合は、《敏捷なこそ泥、ラガバン》《溌剌の牧羊犬、フィリア》の価値が低いです。なので、捌くことに特化した手札のほうが嬉しいです。
この手札は「捌くための除去」=《電気放出》も、「切り返す手段」=《火の怒りのタイタン、フレージ》もそろっていて理想的な手札です。《火の怒りのタイタン、フレージ》はメイン戦では《スレイベンの魔除け》以外で干渉されないので信頼できるフィニッシャーですが、サイド後は《外科的摘出》もあるので過信は禁物です。
キープ例③:対イゼット果敢 サイド後2本目(1-0)(先手)
土地の組み合わせが悪いですが、対イゼット果敢における《真昼の決闘》はプレミアムな対策カードです。この手札をマリガンしてこれより良い組み合わせがくる確率よりも、上から足りない色の土地を引くことに期待してキープしたほうが勝率は出るでしょう。
青マナに不安は残りますが、干渉手段が豊富なので多少土地が止まっても勝算は高いです。
マリガン例①:対ルビーストーム サイド後2本目(0-1)(先手)
初動が遅く、干渉手段もイマイチなのでマリガンです。対アミュレットタイタンやルビーストームなど、こちらが攻めないと無限に待ってリソースを稼がれてしまうため、対策の上から仕掛けられてしまいます。
対策も重要ですが、それと同じくらい素早く攻められることも重要です。それらが両立した手札なんて早々そろわない……というのもまた事実ですが、かといってこの7枚で勝てる未来が見えない以上はマリガンするべきです。
マリガン例②:対親和 サイド後2本目(1-0)(後手)
《溌剌の牧羊犬、フィリア》+《量子の謎かけ屋》によってリソースは取れますが、干渉手段に欠けているためマリガンです。
対親和は最序盤である1-2ターン目が重要なマッチなため、初手での干渉手段の有無はそのまま勝敗に直結します。《空の怒り》《神秘の論争》《大梟の小夜曲》あたりを求めてマリガンしましょう。
マリガン例③:対ボロスエネルギー サイド後2本目(1-0)(後手)
色が悪く、《血染めの月》だけに負ける可能性が高い上に《空の怒り》も現状では唱えられません。マリガンです。
《天界の粛清》のように《血染めの月》ヘの干渉手段を持っているなら、《沸騰する小湖》から《行き届いた書庫》で追加の白マナを探すことでキープを肯定できますが、現状では《平地》が1枚手に入ったところで何もできません。
このマッチに限った話ではないですが、リソースは《量子の謎かけ屋》で取り戻せます。多少のマリガンはほとんど試合に影響を与えないので、怖がらずに積極的にマリガンしていきましょう。
サイドボーディング&マッチアップガイド
本項では、サイドボーディングとマッチアップごとの立ち回りについて解説します。
対ジェスカイブリンク
vs. ジェスカイブリンク
鍵になるのは《鏡割りの寓話》です。序盤に通せると一気に有利に傾きます。第Ⅱ章で《火の怒りのタイタン、フレージ》を直接墓地に送り込めますし、土地を引く&ゴブリン・シャーマン・トークンのマナ加速で《量子の謎かけ屋》の5マナ目を確保しやすくなります。
《鏡割りの寓話》を強く使うには、序盤のアクションを埋めることが大事です。《敏捷なこそ泥、ラガバン》→《溌剌の牧羊犬、フィリア》→《鏡割りの寓話》と動けば、どれかが《電気放出》や《記憶への放逐》で対処されたとしても、どれかが残る展開になります。
逆に初動が《鏡割りの寓話》になるような展開では、相手の《溌剌の牧羊犬、フィリア》に簡単に返されてしまいます。そういった展開の場合は《溌剌の牧羊犬、フィリア》を《電気放出》で除去できるまで《鏡割りの寓話》のプレイを待ったほうがよいです。
押す展開はドンドンパーマネントを展開して押していき、受ける展開はじっくり諜報ランドなどで手札を整えていく。変に緩急をつけるのではなく、一貫したプレイを意識しましょう。
サイド後も総力戦になりますが、序盤からの早期決着があるとすればやはり《鏡割りの寓話》が鍵になります。《大梟の小夜曲》《神秘の論争》では消しにくく、とにかく通りがよいです。《鏡割りの寓話》を序盤に引けた場合は、このカードを中心にプランを立てていくのがよいでしょう(どうやってゴブリン・シャーマン・トークンの攻撃を通すのか、除去を貰ったときの反撃などをイメージしながら唱えるカードを考える)。
対ボロスエネルギー
vs. ボロスエネルギー
メイン戦は運ゲーです。身も蓋もないですが……。1ターン1アクションずつで交換していけるなら不利になることはありません。交換した先に有利になるのはジェスカイブリンク側です。問題は1ターン2アクション以上を取られる場合です。対処能力の限界を越えた途端に厳しくなります。
つまり、ボロスエネルギー側が初手で行動回数の多い手札をキープしていると、余程のことがない限り勝てません。
が、ボロスエネルギー側はマリガンしてそういった手札を探すことはできません。リソースが減った状態で2アクションを取ってもすぐ息切れしてしまいます。ボロスエネルギー側から展開を選べない、ジェスカイブリンク側はそれに付き合うことしかできない。つまりは”運”です。
サイド後は不要なカードをすべてサイドアウトできるため、メイン戦とは比べものにならないくらい戦いやすくなります。《空の怒り》のおかげで序盤に行動回数で差がついても十分に捲れるようになるからです。
《血染めの月》だけは絶対にケアしてください。《血染めの月》だけに負けるのが世界一ダサい負け方です(※増田調べ[諸説あり])。
とにかく最優先で《平地》を確保すること。これで《天界の粛清》が受かるようになります。《血染めの月》を置かれても、仮に《平地》×2が確保できているなら無理に《血染めの月》を対処する必要はなくなります。
サイド後は青いカードを減らす関係上、《血染めの月》があってもデッキの8割以上のカードは唱えられます。また、《血染めの月》を維持させていればフェッチランドが切れない&諜報ランドが機能しない&《栄光の闘技場》が使えないため、相手の《火の怒りのタイタン、フレージ》による即死もないのでむしろ安心して戦えます。
対イゼット果敢
vs. イゼット果敢
基本的に先に攻めることはありません。カードを交換したあと、《火の怒りのタイタン、フレージ》+《栄光の闘技場》で蓋をするのが最も簡単かつ再現性のある勝ちパターンです。
序盤から押し負けることがあるとするなら《コーリ鋼の短刀》絡みですが、《虹色の終焉》もあるので無抵抗というわけではありません。《記憶への放逐》は腐りがちですが、《ミシュラのガラクタ》や《コーリ鋼の短刀》の誘発型能力を打ち消せるので覚えておきましょう。
サイド後は《真昼の決闘》のような強烈なメタカードが入るため、メイン戦よりも戦いやすくなります。逆に《火の怒りのタイタン、フレージ》は《外科的摘出》や《邪悪な熱気》で対処されやすくなるため、《火の怒りのタイタン、フレージ》に体重を乗せた進行は避けたほうがよいです。
《儚い存在》で《量子の謎かけ屋》を固定しても《邪悪な熱気》で倒されてしまいます。《儚い存在》+《孤独》との組み合わせも《コーリ鋼の短刀》が絡む展開ではイマイチです。単体クリーチャーたちは《電気放出》《虹色の終焉》で、《コーリ鋼の短刀》は《空の怒り》で対処するとなると、それらの呪文と特にシナジーのない《儚い存在》は浮きやすいため、サイドアウトしたほうが無難です。
対ドメインズー
vs. ドメインズー
通常、《ギルドパクトの力線》+《ドラコの末裔》の組み合わせは、そろえばほとんどのフェアデッキを破壊する威力の必殺コンボです。しかし、ジェスカイブリンクはメインからこれに対処する方法がたくさん用意されています。
《大梟の小夜曲》《記憶への放逐》は《ドラコの末裔》を打ち消し可能です。《大梟の小夜曲》はアグロデッキにトークンを渡すことには抵抗があるかもしれませんが、《火の怒りのタイタン、フレージ》の当たりどころにもなるので、《ドラコの末裔》を打ち消すメリットに比べれば些細なことです。
また、《記憶への放逐》は《ドラコの末裔》だけでなく《力線の束縛》の誘発型能力も打ち消すことが可能です。最終的に《フレージ》や《量子の謎かけ屋》を守る”盾”になってくれます。
《量子の謎かけ屋》は定着さえしてしまえば、《ギルドパクトの力線》+《ドラコの末裔》を素で受け止めてくれます。ほかにも、《溌剌の牧羊犬、フィリア》で《ギルドパクトの力線》を一時的に退けて《ドラコの末裔》は《孤独》で対処、といった展開もあります。このように多種多様な方法で”力線ドラコ”に対処できます。
《門衛のスラル》はこちらの《火の怒りのタイタン、フレージ》のアシストになることもあります。相手が《火の怒りのタイタン、フレージ》を唱えてきた際には除去するしかないですが、そうでない場合は敢えて除去せず、こちらの《火の怒りのタイタン、フレージ》を強く使うまで待つというのも手です。
サイドの《天界の粛清》はこのマッチにおける万能除去です。《ギルドパクトの力線》《縄張り持ちのカヴー》《火の怒りのタイタン、フレージ》などの影響力の高いパーマネントを対処できます。《ギルドパクトの力線》の影響下であれば《力線の束縛》も対象に取れます。
ドメインズーは《火の怒りのタイタン、フレージ》の入ったデッキではありますが、《外科的摘出》はサイドインしません。ドメインズーはボロスエネルギーと異なり小型クリーチャーが少なく、また諜報ランドの枚数も少ないので、何度も墓地から戻ってくる展開は稀です。
しかも《門衛のスラル》から直接手出しされることもあるため、《外科的摘出》が腐る展開になりがちです。「《火の怒りのタイタン、フレージ》の入ったデッキには絶対に《外科的摘出》をサイドインする!」ではなく、相手のデッキ構造を紐解いて本当に必要かどうかを考えた上でサイドインするか判断するようにしましょう。
対繁殖鱗コンボ
vs. 繁殖鱗コンボ
基本的に捌いていくだけで負けない=勝ちに近づくマッチではありますが、長引いて土地を伸ばされていると《約束された終末、エムラクール》で一発逆転されるので注意が必要です。《魂の洞窟》+《約束された終末、エムラクール》は本当に止まらないので、ある程度捌いたあとは速やかにライフを削ってゲームを畳みましょう。
繁殖鱗コンボは除去・打ち消し・手札破壊などすべてのカードが当たるコンボのため、特に意識せずともサイド後にオーバーボードになりやすいです。そのため、「何が必要か」ではなく「何が不要か(何が弱いか)」を判断して、サイドアウトするカード・サイドインしないカードを決めるのが大事です。
《孤独》は素出しが重く、《苛立たしいガラクタ》で止まるリスクがあるので、捌くカードとしては一番弱いため減らします。しかし、0枚にすると《約束された終末、エムラクール》への対処手段を失うので、少しは残しておきます。《虹色の終焉》は《空の怒り》と範囲が被る、かつソーサリータイミングで使いにくいため、サイドインはしません。
対アミュレットタイタン
vs. アミュレットタイタン
メイン戦は祈りです。ジェスカイブリンク側からできることはほとんどありません、普段と同じことをやるのみです。
つまり、アミュレットタイタン側がどれくらい回るかどうかに委ねられています。
一応、《虹色の終焉》《記憶への放逐》《大梟の小夜曲》といった妨害はそろっているものの、攻めが遅い展開ではいずれ《原始のタイタン》が通ってしまいます。なので、展開するか妨害を構えるかで悩んだ場合は展開を優先しましょう。とにかくクロックを用意するのが先決です。妨害しているだけでは勝てません。
サイド後に《敏捷なこそ泥、ラガバン》を残すかどうかは所説ありますが、今回のリストでは残すべきだと考えています。《夢を引き裂く者、アショク》のようなキラーカードを取っていない以上、ある程度のリスクは取るべきです。
《敏捷なこそ泥、ラガバン》は《樹上の草食獣》で攻撃が止まるリスクがあり、またその攻撃を通すために《電気放出》のようなあまり有効でないカードをサイド後に残さなくてはなりません。しかし、いざ《樹上の草食獣》が出なければ、宝物・トークンによる行動回数差によって不利を覆すレベルの影響力があります。
対ルビーストーム
vs. ルビーストーム
メイン戦は有効打がなく、理屈上は不利です。しかし、ルビーストーム自体が爆発力もある一方で非常に安定感に難のあるデッキであり、コンボ自体が未確定で多少の妨害で途中停止もありえます。悲観するほど勝率が出ないわけではないため、《敏捷なこそ泥、ラガバン》+1干渉くらいは求めてマリガンして、あとは祈るくらいが丁度よいでしょう。
サイド後は劇的に相性が改善されます。《真昼の決闘》は最強の対策カードで、設置に成功し維持できればまず負けることはありません。
《呪文嵌め》は裏目のない打ち消しです。マナ軽減の《ルビーの大メダル》《モンスーンの魔道士、ラル》、リソースの《レンの決意》《無謀なる衝動》、マナ加速の《発熱の儀式》《捨て身の儀式》。すべてに当たるため、逆に当てどころに悩むかもしれませんが、基本的にはマナ軽減の置き物に当てるのがよいです。爆発の元となる部分さえ断てば、そう簡単に負けることはありません。
《神秘の論争》は優れたサイドというわけではないですが、最低限《マナ漏出》として使うことは可能です。《敏捷なこそ泥、ラガバン》前提になるものの、それでも《火の怒りのタイタン、フレージ》や《孤独》よりは役に立つと判断してサイドインしています。《天界の粛清》もそこまで当たる対象が多いわけではないですが、《モンスーンの魔道士、ラル》《美術家の才能》に対して当たるのでサイドインします。
対親和
vs. 親和
負けパターンを潰すゲームになります。負けなけば、いずれ勝ちは勝手に転がってきます。
《河童の砲手》/《ウルザの物語》/《武器製造》+《ギックスのかぎ爪》が三大負けパターンです。《火の怒りのタイタン、フレージ》《孤独》で殴り返せばライフを回復できる都合上、《ピナクルの特使》+《金属の叱責》によるビートダウンで負けることは少ないです。
《大梟の小夜曲》は《河童の砲手》を1マナで対処できるプレミアムな打ち消しです。特にメイン戦は干渉手段が限られているため、初手にある場合は多少手札が弱くてもキープしたいです。
《冥途灯りの行進》も《ウルザの物語》を1マナで対処できます。この辺りが引けているとメイン戦でも勝ちやすいです。《火の怒りのタイタン、フレージ》は墓地に落とすと《トーモッドの墓所》で追放されてしまうので、可能であれば《記憶への放逐》を使って直接手札から戦場に固定したいです。
サイド後は大量のキラーカードによって相性が逆転します。《空の怒り》は小さい値で相手の戦場を壊滅させられます。これは親和が最も苦手とするカードの1つです。《神秘の論争》は《河童の砲手》だけでなく《湖に潜む者、エムリー》にも対処できますし、《金属の叱責》の上から《空の怒り》を通すためのバックアップとしても活躍が期待できます。
《天界の粛清》は意外に思われるかもしれませんが、《血染めの月》《武器製造》《ピナクルの特使》と当たる対象が多いのでサイドインします。特に《血染めの月》は影響力が非常に大きく、土地の並び方次第では一瞬で詰むのでプレイでも意識しておきましょう。最低でも《平地》を1枚は用意しておけば《天界の粛清》が受かります。
《電気放出》は大したカードではないですが、《湖に潜む者、エムリー》を放置できないことも考えると最大枚数残したほうがよいです。適当に《メムナイト》を倒して、貯めたエネルギーで《空の怒り》を大きなX値で撃てるようになります。展開次第では《河童の砲手》を倒せるようになることもあります。
対青単ベルチャー
vs. 青単ベルチャー
メイン戦はやはりお祈りです。対コンボは仕方ありません。《記憶への放逐》や《大梟の小夜曲》など、妨害の枚数はそこそこありますが、どれも当たったり当たらなかったりなので、噛み合うことを祈ります。
展開と妨害の考え方についてはアミュレットタイタンと同じです。まずは展開を最優先。返しにコンボが成立する可能性があったとしても、ゲームを進めるクロックが不十分であれば妨害を構えずに展開を優先するべきです。青単ベルチャーのキルターンは展開から読みやすいので、どのタイミングから構えればよいかという点に関してはアミュレットタイタンよりはやりやすいです。
サイド後も方針は大きく変わりません。クロックの展開と妨害。これだけです。《神秘の論争》はクリティカルなサイドカードですが、イゼット果敢における《真昼の決闘》のような「これ1枚で勝ち!」となるレベルのカードではありません。
あまり対処する側に回りすぎると相手の望む展開になりやすいので、できれば妨害が豊富な手札よりも素早いクロックがそろった手札でゲームを開始したいです。
《白蘭の幻影》があれば《溌剌の牧羊犬、フィリア》との組み合わせで相手の土地を一方的に破壊し尽くすこともできます。メタゲーム上で青単ベルチャーが優勢になっているのであれば、採用を検討してみるのもありでしょう。
対シミック出産の儀
vs. シミック出産の儀(先手)
vs. シミック出産の儀(後手)
ゲーム展開が先手と後手で大きく変わります。先手の場合は《敏捷なこそ泥、ラガバン》が非常に強力です。練習当初は《氷牙のコアトル》《とぐろ巻きの巫女》に《電気放出》を唱えて《敏捷なこそ泥、ラガバン》の攻撃を通すことに違和感を覚えていました。
しかし、シミック出産の儀視点で2マナのクリーチャーが残らないと《出産の儀》を強く使えないことから「《敏捷なこそ泥、ラガバン》の攻撃を通すこと」と「相手のカードを強く使わせないこと」は一貫しており、最終的にはこのプランを採用することにしました。
一方、後手の場合は必要な除去の枚数が増えることから、《敏捷なこそ泥、ラガバン》の攻撃を通しつづけるのは非現実的です。素直にサイドアウトしましょう。代わりに、クリーチャーと《出産の儀》をまとめて流せる《空の怒り》をサイドインします。
《呪文嵌め》は《氷牙のコアトル》を始めとした2マナ域のクリーチャーと、《出産の儀》というキーカードの両方に対処できます。リスト公開制であれば、1枚あることが見えているとプレイに裏目を作りやすいです。
対エスパー御霊
vs. エスパー御霊
練習段階で最も相性を測るのが難しかったデッキです。「相性を測る」というのは練習において最も重要といっていい目的です。正しく相性を測ることで、有利であればサイドに枠を割かない・不利であればサイドに枠を割くか、またどの程度まで割けば相性が改善するかという次の目標になります。
しかし、エスパー御霊は最後までそれが不明でした。というのも最大値が異常に高い反面、最小値は異常なまでに低く、そして平均値の動きというのもほとんどありません。
ジェスカイブリンクがエスパー御霊に対して取れるプランというのも特になく、見た目どおり「やれることをやる」となった結果、「エスパー御霊が回れば負け、エスパー御霊が回らなければ勝ち」という身も蓋もない結論になってしまいました。
その結果をどう捉えるか次第ですが、私は「サイドは取るだけ無駄」と判断しました。最大値が異常に高い以上、専用の墓地対策を取ったところで上がる勝率はたかが知れています。とはいえ、墓地対策が0枚では流石に相手側のプレイが簡単すぎるので、《火の怒りのタイタン、フレージ》対策を兼ねている《外科的摘出》の1枚があれば十分だろうと判断しました。
《電気放出》は当たる対象が少なく、《超能力蛙》を倒せるかも運次第(2枚引いてる場合は倒せるが、1枚の場合は手札を捨てられて巨大化した《超能力蛙》に殴られてしまう)なのでサイドアウトします。《天界の粛清》や《神秘の論争》《呪文嵌め》など、《超能力蛙》に当たるカードが増えるので、《超能力蛙》によるイージーウィンだけは防ぎ、あとはエスパー御霊側が並回りであることを祈ります。
対エルドラージトロン
vs. エルドラージトロン
残念ですが諦めてください。ほぼ無理です。『チャンピオンズカップファイナル』ではあまり人気ではないと考え、割り切ってサイドをほとんど取りませんでした。
勝つ気があるのであれば《黒曜石の焦がし口》を増やせば改善しますが、そうなると環境上位のボロスエネルギーやイゼット果敢へのサイドの枠が不足して勝率が落ちます。どちらが重要かを考え、汎用対策を優先した結果、土地コンボ・ランプ系デッキへのガードは意図的に下げています。
《空の怒り》はあまり効果的ではないですが、相手視点で《記憶への放逐》の入ったデッキに対してはタップアウトの隙に《コジレックの命令》を通したい気持ちがあります。トークン生成モードの返しに一掃できる、その裏目を作るために1枚だけサイドインします。
対エルドラージランプ
vs. エルドラージランプ
エルドラージトロン同様、厳しい戦いになります。当たったら運が悪かったと割り切っています。
《外科的摘出》は《コジレックの帰還》に対応するためにサイドインします。《呪文嵌め》は各種タリスマンと《邪悪鳴らし》に当たりますが、別にそれがすごく良いかといわれるとイマイチではあります。
正直、まったくサイドが足りていないので相手が普通に回ったら勝てません。《記憶への放逐》を複数枚引けること、そして相手が並以下の動きであることを祈りましょう。
おわりに
ジェスカイブリンクのデッキガイドは以上になります。
このデッキは最近のモダン環境には珍しく、ミッドレンジらしいがっぷりとしたゲーム展開がウリのデッキです。
本記事を通じて興味を持ち、手に取るきっかけになれば幸いです。
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