エターナルウィークエンド直前!今勢いのあるデッキとは?【USA Legacy Express vol. 267】

Kenta Hiroki

はじめに

みなさん、こんにちは。

いよいよ今週末には『Eternal Weekend Asia 2025』が開催されますね。日本国内最大規模のエターナルフォーマット(レガシー&ヴィンテージ)・イベントで、筆者も参加予定なので楽しみにしています。

さて、今回は先週末の『Eternal Party 2025』とヨーロッパで開催された『Eternal Weekend EU 2025』の入賞デッキを見ていきたいと思います。

『Eternal Weekend EU 2025』 -レガシーでもピナクル親和が大活躍-

禁止改定後、初の大規模イベントとなった『Eternal Weekend EU 2025』。今大会での最大勢力は、禁止改定の影響を受けず、相性が悪かったディミーアリアニメイトとナドゥが退場したことでトップメタに躍り出たイゼットデルバーでした。

秘密を掘り下げる者悪夢滅ぼし、魁渡

しかし、プレイオフには残らず、青いフェアデッキでは2番目に人気があったディミーアテンポが上位に2名入賞しています。

8-Cast

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ピナクルの特使オパールのモックス河童の砲手

今大会で見事に優勝した8-Cast。モダンでも活躍している《ピナクルの特使》を軸にしたアーティファクトデッキで、「ワープ」でプレイしたあとに《オパールのモックス》《ミシュラのガラクタ》などを連打してトークンを並べることができ、1ターン目から《河童の砲手》をプレイすることができます。

湖に潜む者、エムリーミシュラのガラクタ

マリガンも多いデッキですが、爆発力がこのデッキの魅力です。《湖に潜む者、エムリー》《ミシュラのガラクタ》などを使いまわすことでアドバンテージも取れるため、ロングゲームにも強い構成になっています。

☆注目ポイント

教議会の座席ウルザのガラクタ水蓮の花びら

モダンでは禁止にされているアーティファクト・土地の《教議会の座席》が使えます。《ウルザのガラクタ》《水蓮の花びら》などモダンよりも使える0マナアーティファクトが多いため、《オパールのモックス》の「金属術」の条件も満たしやすく《ピナクルの特使》をより強く使うことができます。

記憶への放逐否定の力攪乱のフルートトーモッドの墓所

《意志の力》も使えるのでコンボデッキに対してもある程度耐性があり、サイドには追加のカウンターとして《記憶への放逐》《否定の力》が用意されています。

サイドはほかに、さまざまなカードを対策できる《攪乱のフルート》、墓地対策の《トーモッドの墓所》などコンボデッキ対策が厚くとられていました。

意志の力古えの墳墓

高額なデッキが多いレガシーですが、このデッキは再録禁止カードが採用されていないため、モダンの親和をすでに使っているなら《意志の力》《古えの墳墓》などを購入するだけで組むことができます。これからレガシーをプレイしたいという方にも、おすすめです。

ディミーアテンポ

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今大会で高い勝率を出していたディミーアテンポ。《納墓》が禁止になり、リアニメイトは大幅な弱体化を強いられたため、テンポへと乗り換えたプレイヤーも多かったと思われます。

ライフを詰める性能に関しては火力も使えるイゼットテンポが優勢ですが、ディミーアはイゼットよりもカードの質が高く、フェアデッキとのマッチアップで有利です。

思考囲い目くらまし

ハンデス、打ち消しのおかげでコンボデッキに対しても強い一方で、クロックが遅いためエルドラージやカーンフォージ、8-Castなど《古えの墳墓》系は苦手なマッチアップになります。また、《溶融》などアーティファクト対策が使えないので、《ウルザの物語》の構築物・トークンを処理しにくいのも弱点です。

☆注目ポイント

バロウゴイフオークの弓使い

《オークの弓使い》は変身前の《秘密を掘り下げる者》や、「昂揚」前の《ドラゴンの怒りの媒介者》を除去しつつ、相手のドロースペルを牽制することができます。《オークの弓使い》が強い環境では、ディミーアテンポは良チョイスになります。

最近では《バロウゴイフ》をメインから複数採用したものが主流になっています。3マナと重いため《目くらまし》に引っ掛かりやすくなりますが、イゼットデルバーに対しては《バロウゴイフ》を着地させて守ればほぼ勝ちです。

トーラックへの賛歌

《トーラックへの賛歌》は色拘束は強いものの、相手に無作為で2枚のカードを捨てさせるという歴代でも強力なハンデススペルで、過去に活躍していた「チームアメリカ」などでも採用されていました。

相手のゲームプランを妨害しつつ墓地も肥やせるので《バロウゴイフ》の強化にも貢献します。スニーク・ショー系やドゥームズデイといったコンボデッキが多い環境では、非常に強力な妨害スペルとして機能します。

『Eternal Party 2025』 -MOの強豪プレイヤーが優勝-

『Eternal Party』は毎年冬に開催されるレガシーの大規模イベントになります。

今週末の『Eternal Weekend Asia 2025』に向けた最終調整の場として、多くのプレイヤーが参戦しており200名を超える大盛況でした。

トップ8には「アゾリウス石鍛冶」など懐かしいアーキタイプも見られるなか、優勝したのは現環境の最速のコンボデッキ「The Spy」でした。

The Spy

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今大会で見事に優勝したのは、Magic Onlineの強豪プレイヤーである中村 涼太郎氏(Choutin)でした。自身の得意とするThe Spyを使用し、多くのプレイヤーを1ターンキルしてきたようです。

地底街の密告人欄干のスパイ戦慄の復活タッサの神託者

The Spyは現在のレガシーで猛威を振るう高速コンボデッキです。1ターン目からマナ加速を利用して《地底街の密告人》または《欄干のスパイ》をプレイし、能力でライブラリーのカードをすべて墓地に落とします。その後、《戦慄の復活》のフラッシュバックで《タッサの神託者》をリアニメイトしてゲームに勝利します。

否定の契約

《否定の契約》を利用して無理やりコンボを決めることも可能で、そのターンにゲームに勝てるので契約のデメリットも無視できます。

☆注目ポイント

むかしむかし再活性別館の大長

《思考囲い》は不採用で、《むかしむかし》《再活性》《別館の大長》といったカードが採用されており、安定してコンボを決めることを優先しているようです。

《再活性》は一度仕掛けて打ち消しなどで妨害されても、墓地に落ちた《欄干のスパイ》《地底街の密告人》をリアニメイトしてコンボを決めることが可能になります。

《別館の大長》強力なコンボ保護手段として機能します。相手にとっては0マナで撃てる《意志の力》が頼みの綱になることも多く、それに1マナ余分にかかるとなれば、特に相手が後手だった場合はほぼ確実にコンボを決めることができます。

ゴブリンの放火砲

サイド後は、墓地対策に対抗するために《ゴブリンの放火砲》をサイドインしてベルチャーデッキへと変形する選択肢もあります。

アゾリウス石鍛冶

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アゾリウス石鍛冶は今大会で最も印象に残ったデッキのひとつであり、トップ8に2名も送り込むという快挙を成し遂げました。

石鍛冶の神秘家溌剌の牧羊犬、フィリア量子の謎かけ屋

打ち消しと除去でコントロールしつつ《石鍛冶の神秘家》+装備品で勝つ白青のミッドレンジですが、現在の形は《溌剌の牧羊犬、フィリア》《量子の謎かけ屋》も採用されており、レガシー版のアゾリウスブリンクといったところです。

虹色の終焉剣を鍬に

《虹色の終焉》《剣を鍬に》など優秀な除去が使えるので、テンポデッキには強いデッキになりますが、今大会のプレイオフで両プレイヤーともにThe Spyに負けていることからも、除去が役に立たないコンボデッキとのマッチアップは相性が悪いようです。

☆注目ポイント

石鍛冶の神秘家隕鉄剣溌剌の牧羊犬、フィリア

『マジック:ザ・ギャザリング | アバター 伝説の少年アン』から《隕鉄剣》が早速採用されています。《石鍛冶の神秘家》と組み合わせることで、インスタントの打ち消されない《名誉回復》のように機能します。

さらにこの装備品と相性が抜群なのが《溌剌の牧羊犬、フィリア》です。《隕鉄剣》をブリンクさせることで、毎ターン相手のパーマネントを破壊することが可能になります。

もみ消し不毛の大地量子の謎かけ屋

《もみ消し》《不毛の大地》により、相手の土地を縛ることも可能です。また《もみ消し》は、《溌剌の牧羊犬、フィリア》の遅延誘発を打ち消したり、ワープで唱えた《量子の謎かけ屋》を戦場に残せます。

戦前の正装

《戦前の正装》《石鍛冶の神秘家》からの定番のサーチ先となっています。クリーチャーを再利用可能で、序盤に除去されがちな《石鍛冶の神秘家》《溌剌の牧羊犬、フィリア》《知りたがりの学徒、タミヨウ》などをリアニメイトしてアドバンテージを稼いでいきます。

封じ込める僧侶安らかなる眠り石のような静寂アゾリウスの造反者、ラヴィニア

《封じ込める僧侶》《安らかなる眠り》《石のような静寂》《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》など白青系はサイドの選択肢が豊富なため、コンボとのマッチアップもサイド後は改善が期待できそうです。

総括

『Eternal Weekend EU』と『Eternal Party Tokyo 2025』の結果から、現在のレガシーはさまざまなデッキに活躍のチャンスがある環境といえます。

欄干のスパイ

こういった混沌としたメタでは使い慣れたデッキを持ち込むのがベストになりますが、The Spyのように墓地を使ったコンボデッキはまだまだ健在なため、《納墓》が禁止になったとはいえ墓地対策だけは怠らないようにしたいところです。

今週末に開催される『Eternal Weekend Asia 2025』では、どのようなデッキが活躍するのか楽しみですね。

USA Legacy Express vol. 267は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!

この記事内で掲載されたカード

Kenta Hiroki アメリカ在住のプレイヤー。 フォーマットを問わず精力的に活動しており、SCGやグランプリの結果などからグローバルな最新情報を隔週で発信する「USA Modern Express」「USA Legacy Express」を連載中。 Kenta Hirokiの記事はこちら