タイタンブリーチと共にヨーロッパへ

Francisco Sifuentes

Translated by Kazuki Watanabe

原文はこちら
(掲載日 2018/01/06)

やあ、みんな!

僕の名前は、フランシスコ・シフエンテス。25才で、これが初めての記事だ。

去年の3月にグランプリ・ポルトアレグレ2017に参加して、初めてTop 8に入賞した。信じられなかったよ! それからは、もう一度自分の運を試してみたんだ。京都で開催されたプロツアー『破滅の刻』に参加し、Hareruya Hopesにも加入した。そして、年末にはペルーのキャプテンに就任して、ワールド・マジック・カップ2017グランプリ・リヨン2017グランプリ・マドリード2017に参加するためにヨーロッパに行くことになったんだ。

ヨーロッパへ

出発する直前、僕は複雑な気持ちだったよ。緊張と興奮、そしてちょっとした怖さが同時に襲ってきたんだけど、主な理由は3つあった。

  1. 直近のモダントーナメントの結果が、「不戦勝を除けば0勝」という散々なものであること。
  2. 初めて母国ペルーのキャプテンに就任したこと。
  3. グランプリ・リヨン2017のチームメイトと直接顔を合わせていなかったこと。

グランプリ・リヨン2017

既に述べたとおり、緊張と心配でいっぱいだった。だけど、チームメイトであるペドロ・デ・ディエゴ(PDD)と、アリエル・ナギに会ったことで不安は吹き飛んだよ。二人共素晴らしいプレイヤーであり、良い人だったからね。

さて、いよいよ大会当日だ。手荷物検査のような安全対策がとにかく厳しくてかなり驚いたけど、これは気にするほどではなかった。でも、雨の中で35分過ごして見事にずぶ濡れになってしまったことは、最高の経験の一つには入らないかな。

それでも、僕たちの期待は募っていった。びしょ濡れにはなったけど、シールドプールを受け取って、デッキを組む準備はできていたからね。初日のシールドプールは良かった。「最高」ではないけど、「良かった」という感じだね。しっかりとしたマーフォク、見事な吸血鬼、そして酷い3色恐竜を組み上げた。5ラウンド目が終わって2-3だったんだけど、なんとか初日を6-3で終えることができたんだ。1日を通して、PDDは1マッチも落とさなかったよ

縄張り持ちの槌頭縄張り持ちの槌頭縄張り持ちの槌頭

2日目には、最高のデッキをプレイするチャンスに恵まれた。《縄張り持ちの槌頭》が3枚入った赤白恐竜さ。ただし、カードプール全体は最高ではなくて1-2でドロップしてしまったんだけど、そこから日本代表の様子を見学して、素晴らしいレッスンを受けることができたんだ。他のチームと違って、アドバイスを求めない限り他のプレイヤーが口を挟むことなく試合をしていた姿が印象的だったよね。

もう一つ、このトーナメントで学んだことがある。それは、大事なのはどれだけ個人が勝つか負けるかではなくチームの勝敗だ、ということ。……そう、僕が一番負けたのさ。

豆知識:ケバブは素晴らしい。安くて、深夜までお店が開いている。

ワールド・マジック・カップ2017

大会の前にブラジル、スペイン、ポルトガル、アルゼンチン、そしてクリスティアン・カルカノと十分な練習ができる、という幸運に恵まれた。とにかく多くのことを学び、そして新しい友人ができたよ。

大会前日はチリ代表と一緒に夕食を食べたんだけど、日本代表も含めて他のチームがどのようなデッキを持ち込むのか、完璧に予想することは不可能という結論に至った。でも、ほとんどの国が赤単を一つは使うと確信していたし、いずれにしてもシールドで良い成績を収めなければならないのは間違いなかった。2-1、もしくは3-0で終える必要がある、とね。

僕たちチームは素晴らしかったよ。僕がペルーで最も尊敬するプレイヤーであるマルコ・サクガワと、ミーム・マスターのディエゴ・サンチェスが居るんだからね。

初日

あの時は言葉にしなかったんだけど、僕らのシールドプールはとても良かった。僕たちはマーフォーク、恐竜、吸血鬼を使用してシールドは2-1で終わった。

スタンダードのデッキ選択は、エネルギーと赤単、最後の一つは《副陽の接近》《王神の贈り物》、もしくはサイクリングという青白のいずれかを使用しなければならない、という結論に至ったんだ。

どのデッキを誰が使用するか決めるのは、全員がはっきりとした好みを持っていたから簡単に決まったよ。マルコは普段からコントロールプレイヤーとして知られているから、青白《副陽の接近》。ディエゴは《熱烈の神ハゾレト》を手放す気がなかった。そして僕はどうか、と言えば《顕在的防御》《致命的な一押し》の大ファンだ。だから、スゥルタイ・エネルギーを使うことにしたんだ。

顕在的防御致命的な一押し

だけど、僕たちは失敗を犯していた。予備のカードが不足していて、最終調整ができなかったのさ。もっと良い青白《副陽の接近》を使用することができたはずだから、これは残念だったね。

試合内容については、スタンダードの第一ラウンドは5ターンで終わらせる劇的な勝利だった。そこからもう1勝必要だったけど、その後の2ラウンドを終えたときの成績は1-2だった。ニュージーランドに勝利して、最終的には4-3という成績で2日目に進出したんだ。

2日目

この日、僕たちはとても手強い相手である日本代表と対戦した。あと一歩で勝てる、というところまでは行ったんだけどね。楽しかった思い出ももちろんあるよ。八十岡 翔太が《砂かけ獣》を唱えたんだけど、勝利するために必要な砂漠がなかった。それに気づいて、彼は笑っていたよ。それから、僕らの青白《副陽の接近》よりも優れた青白《王神の贈り物》を彼らは使用していたね。

次のラウンドには勝利できたけど、最後のTop 16に入るための一戦で負けてしまった。失敗だったのは《王神の贈り物》を過小評価したことだ。僕らが負けたほとんどのマッチは、このデッキとの対戦だったからね。でも、Top 32に入賞できて、とにかく幸せだよ!

記念写真

ペルー代表と日本代表の記念写真。このとき、僕は別で昼食を取っていたから、残念ながらここには写っていないんだ。

グランプリ・マドリード2017

ホリデーシーズンで、Airbnbの予約がキャンセルされてしまった! その瞬間は、どうするべきかわからなかったよ。とにかく予想外だったからね。だけど、こんなことで落ち込んでいるわけにはいかなかったから何時間も検索して、どうにかしてホテルを見つけたんだ。もう何も僕らを止められない。トーナメントの準備が整ったんだ。

ルイス・サルヴァット、フランシスコ・シフエンテス、そしてランタンマスターのペドロ・デ・ディエゴ……これ以上見事なチームを組むことはできないだろうね。

Luis Fransisco Pedro Calcano

あと、写真のレベルを上げてくれたクリスティアン・カルカノのことも忘れずに。

シート プレイヤー 使用デッキ
A ペドロ・デ・ディエゴ ランタンコントロール
B フランシスコ・シフエンテス タイタンブリーチ
C ルイス・サルヴァット エルフ

初日

さて、グランプリ・マドリード2017が始まり、会場は熱気で包まれていた。アブザントークンとエルドラージトロンが最も多かったかな。初日は7-0-2で終えることができた(オンドレイ・ストラスキーのチームと引き分けたのが僕たちさ)。素晴らしい日だったよ。

2日目

僕らの運命は劇的に変化した。1ラウンド目は、何の誇張でもなく見事に粉砕されてしまって、そこから残りの4ラウンドを勝ち抜かねばならなくなった。だけど最後はトップデッキした《罠の橋》をテーブルに叩きつけて、Top 4に入賞し、プロツアーにもう一度出場することができるようになったのさ!

僕らは決勝で、アブザントークン、《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》、ストームというチームに負けてしまった。だけど、負けたことに文句を言うような真似はしない。僕たちは見事な一戦を繰り広げたんだからね。

優勝したチーム、そしてこんな素晴らしい大会を共にしてくれた仲間に、改めて祝福を!

さて、2日目の終わりにルイスと僕はターボドラフトをしたんだ。勝利して1日を見事に締めくくって、賞品は『カラデシュ』のブースターにしたんだ。グランプリで優勝を逃して運に見放された、と思っていた僕らが開いたパックの中身が、これさ。

Image 5

まだまだ魔法は終わっていないみたいだ!

デッキガイド:タイタンブリーチ

風景の変容原始のタイタン裂け目の突破

「どうしてこのデッキを使用したの?」と聞かれたら、答えは簡単だ。僕は常に積極的に(攻撃的に、とみんなは言うかもしれないね)動くデッキを使いたいと思っている。そして何よりも大切なことは、チーム構築という特殊なフォーマットで無理なく使用できるデッキ、ということさ。

もちろん、他にも理由はある。このデッキは大抵のデッキに対して有利に1ゲーム目を進められるし、優秀なサイドボードを採用できるんだ。親和とランタンコントロール対策のために、白を採って《石のような静寂》を採用することも考えたくらいさ。ここまで説明した以外にも理由はあって、とにかくたくさん練習したからかなり自信を持っているよ。

さて、これがデッキリストだ。

チーム構築ということで採用できなかったカードは、わずか2枚。ランタンコントロールが使用した《墓掘りの檻》と、エルフの《再利用の賢者》だ。

墓掘りの檻再利用の賢者

僕が最も気がかりだったのは、ランタンコントロールの存在だ。大会での成績は1勝1敗だったよ。対策として《粉砕の嵐》が良いと思っていたんだけど、テストを重ねた結果《古えの遺恨》の方が良いと気づいたんだ。

もう一つ気になっていたのはグリクシス《死の影》だ。だけど、チーム構築では通常の大会に比べて青絡みのフェッチランド、黒の手札破壊、そして《稲妻》を使える数がはるかに少なくて、そこまで恐れるものでもないと判断した。

引き裂かれし永劫、エムラクール

それから《引き裂かれし永劫、エムラクール》の採用ももちろん検討したけれど、《罠の橋》《思考囲い》が多いと思ったから今回は見送っている。あと、メインボードに《神々の憤怒》を採用した理由の一つは、5C人間の人気が高まっていたことだ。一度対戦したけど、素晴らしいデッキだね。

想像よりも良かったカード

虹色の前兆

《虹色の前兆》は素晴らしいカードだ《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を1ターン早く起動できて、最終的にはダメージを与え続ける機械になってくれる。

森滅ぼしの最長老

《森滅ぼしの最長老》はまったくと言って良いほど使われていないカードだけど、勝利をもたらしてくれる1枚だ。《召喚士の契約》の対象としてぴったりだし、《裂け目の突破》で出せば、-1/-1カウンターは乗ってしまうけど戦場に戻ってくるんだ。

あまり良くなかったカードたち

召喚士の契約

《召喚士の契約》:残念ながら「必要悪」といったところで、最後の手段として利用することがほとんどだったね。

約束の刻

《約束の刻》:劣化版の《原始のタイタン》のようなもので、《否認》《頑固な否認》でカウンターされてしまうという弱点がある。

カメレオンの巨像

《カメレオンの巨像》:以前はよく使われていたけれど、今はどのグリクシス《死の影》《ヴェールのリリアナ》を採用しているから微妙になってしまったかな。

アドバイス&まとめ

赤マナを生み出す土地を持ってくるためのフェッチランドは、バラバラの方が良い(《真髄の針》対策)

フェッチランドを起動するのはギリギリまで我慢しよう。《虹色の前兆》があれば、1枚1枚が《稲妻》になるからね。

裂け目の突破

もし《裂け目の突破》を相手のエンドフェイズに唱えたら、そのクリーチャーは自分のターンに攻撃できることを忘れずに

《血染めの月》に備えて、緑マナを用意できるようにフェッチランドを残しておくこと。

親和や赤いデッキと対戦するならば、最初の《明日への探索》、もしくは《桜族の長老》では必ず《森》を持ってくること(これも《血染めの月》対策だ)。

虹色の前兆約束の刻

アグロデッキに対して、《虹色の前兆》《約束の刻》の組み合わせでは間に合わないと考えよう。

強情なベイロス

《強情なベイロス》はコントロールに対して有効だ。向こうは《聖トラフトの霊》があるけれど、こっちには《召喚の罠》がある。

神々の憤怒大祖始の遺産

メタゲームに合わせて、《神々の憤怒》《大祖始の遺産》に変更することもできる。

グリクシス《死の影》はとにかく相性が悪い。親和も想像以上に厳しいマッチアップだ。

このデッキは、従来のタイタンシフトよりも爆発力があるのでミラーマッチを制することができる。もちろん、相手の回り方によっては負ける可能性もあるので気をつけよう。

緑絡みのデッキに対しては、かなり有利に立ち回れる。トロンは駆逐できるはずだ。

山森

こういうタイプのデッキでは、『アンステーブル』の土地を使うのがおすすめだ。

今、使用するならば……

もしグランプリ・トロント2018が明日開催されるとしたら、リストはこんな感じになるよ。

この記事を通じて、僕のヨーロッパへの旅がどのようなものだったかを伝えたかったんだ。チームメイト、そして助けてくれたすべての人に感謝しているよ。

みんなが楽しんでくれたならば嬉しいよ。ここまで読んでくれてありがとう。すぐに、また別の冒険について話す日が来るはずさ。

フランシスコ・シフエンテス

この記事内で掲載されたカード


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