はじめに
こんにちは。晴れる屋メディアの紳さんです。
先日行われた『第31回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権』にて、圧倒的な強さで優勝&準優勝の1,2フィニッシュを決めたイゼット講義。
スタンダードはこのままイゼット講義による支配が続く……かのように思われましたが、最新の大会では予想をまったく裏切る結果となりました。
今回は大波乱となった『Standard Showcase Qualifier』の大会結果をチェックしていきます!
『Standard Showcase Qualifier』
MOの重要な大会である『Standard Showcase Qualifier』は、『Showcase Challenge』や『Showcase Last Chance』の上位入賞者のみが参加できる招待制のイベントです。
優勝すればプロツアー & MOの頂点を決める大会『Champions Showcase』への参加権利が手に入るなど、世界選手権とも繋がっている非常にレベルの高い大会で、どのようなデッキが活躍したのでしょうか。
『Standard Showcase Qualifier』
優勝 コーナコンボ
準優勝 イゼットブリンク
3位 シミックウロボロイド
4位 ディミーアミッドレンジ
5位 ゴルガリミッドレンジ
6位 ジェスカイコントロール
7位 ジェスカイコントロール
8位 イゼットルーティング
イゼット講義、入賞できず。
メインから《安らかなる眠り》《鋭い目の管理者》《除霊用掃除機》といった墓地対策を採用したデッキが数多く入賞しており、墓地利用デッキにとっては厳しいメタゲームとなりました。
さらには《破壊の嵐孵り》《腹黒茸》《被害対策の作業員》などエンチャント・アーティファクトを過剰にメタったゴルガリミッドレンジなども活躍しており、メタゲームがかなり回っている印象です。
イゼット講義がいかに強力なデッキでも、ここまで徹底的に対策をされては結果を残すことは難しいようですね。
優勝したのは”墓地を使わない”コーナコンボでした。
コーナコンボ
「《救助のけだもの、コーナ》を「生存」させて《全知》を出す」というシンプルな狙いですが、妨害されなければ最速4ターン目に勝負がつくほど、スピードがあります。
《迷路での迷子》は戦闘前に相手のクリーチャーをタップ & 麻痺カウンターを置く効果によって、おおむね2ターンの安全を確保できるカードです。
プレイした《コーナ》を《目覚めの安息地、エヴェンド》や《巨大な神核、ウスロス》に「配備」させれば簡単にタップ状態になり、《迷路での迷子》の影響下では呪禁を持つため、安全にコンボを決めることができます。
《全知》の設置に成功したなら、あとはひたすらドロー呪文をタダで唱えていくだけです。
なかでも《マラング川の執政》はループコンボ中のドローソースとして活躍しながら、最終的にはフィニッシュ手段としても関わってくるなど、フレキシブルに活躍します。
ドロースペルを繋いで手札に《マラング川の執政》が2枚ある状態を作れば、勝利は目前。お互いをバウンスし合いながら《乱動するドラゴンの嵐》を延々とプレイすることで無限ドローとなります。
デッキに1枚だけ採用された《峰の恐怖》にたどり着いたなら、これまた《マラング川の執政》を出し続けることでダメージを飛ばして勝利することが可能です。
万が一、手札にきてしまった《峰の恐怖》がハンデスなどで捨てられた場合でも、対戦相手の土地以外のパーマネントを全バウンス + 《マラング川の執政》 4体 + 手札に大量の打ち消しという盤面になるため、勝ちは揺るがないと思われます。
時間制限が厳しいMOならではのリストという感じがしますね。テーブルトップの大会なら《峰の恐怖》をより有効なカードと入れ替えても良いかもしれません。
サイドボードの《受け継ぎし地の開墾》はエンチャント・アーティファクト破壊としても、墓地追放としても使用できる、用途の広いカードです。特にイゼット講義に対してはすべてのモードが刺さるため、環境的にかなり強いカードと考えられます。
墓地が過剰にメタられている今こそ、コーナコンボが輝きそうですね。今後の展開に注目しましょう!
イゼットブリンク
《量子の謎かけ屋》と《水飛沫の門》をフル採用のイゼットブリンク。
ワープでプレイした《量子の謎かけ屋》に《水飛沫の門》をプレイすれば最速3ターン目に飛行4/6が定着 & 着地時の誘発ドロー2回となり、手札をまったく減らさずに盤面を作ることが可能です。カワウソである《稲妻罠の教練者》をブリンクした場合も追加ドローがついてくるなど、シナジーがあります。
さらには、《量子の謎かけ屋》が《降霜断崖の包囲》によって飛行速攻トランプル5点パンチという強力なムーブもあり、デッキの見た目以上にクロックが速いです。もちろんワープで唱えていてもOK!カワウソ・トークンにも速攻がつくため、《嵐追いの才能》と《ブーメランの基礎》を連打しているだけでもかなりのプレッシャーとなります。
先述した通り、手札が減りづらいこのデッキにおいて、《咆哮する焼炉》はかなり信頼のおける除去です。さらには《ブーメランの基礎》や《今のうちに出よう》でバウンスすることで「何度でも再利用できる除去」として機能します。
長期戦になりそうな相手には

を支払って《蒸気サウナ》を「開放」するなど、無駄がありません。4枚フル採用も納得の性能ですね!
来月発売の新セット『ローウィンの昏明』で《蒸気孔》が再録されることも発表されており、マナベースがより強固になる予定です。それにしても、最近のイゼットカラーは強すぎませんか?
ゴルガリミッドレンジ
メインから《破壊の嵐孵り》《腹黒茸》《被害対策の作業員》、さらにはサイドボードに《再利用の賢者》とエンチャント・アーティファクトを徹底して破壊する構成のゴルガリミッドレンジが入賞していました。
「あー、なるほどね。クリーチャーを出しながら置き物破壊して、《ウロボロイド》で全体強化する狙いね」……と思いきや、なんと《ウロボロイド》は不採用。
《幻獣との交わり》や《ベイルマークの大主》で粘り強く戦う、リソース勝負上等の構成となっております。
注目は《損失の季節》を4枚フル採用している点でしょうか。これまで使われてこなかったカードではありますが、モード次第では全体除去にもドローソースにもフィニッシュ手段にもなる面白いカードです。クリーチャーを大量に採用している強みがここで発揮されます。
さらには、《損失の季節》でお互いに生け贄を要求したとき、自分だけ「土地の技」でクリーチャー化した土地を生け贄に捧げることで被害を最小限に留めることが可能。《氷耕しの探検家》の「上陸」も誘発し、どんどん状況が有利になりますね。「切削」によって墓地に落ちた土地もプレイし放題ですが、ライブラリーアウトには気をつけましょう。
サイドボードにはアグロ対策兼マナフラッド受けにもなる《蜘蛛を貪る者、モーラン》の姿がありました。このカード、《叫ぶ宿敵》がいなくなった今、最強なのでは?
《狡猾な怪盗、ブラックキャット》は5マナ2/3と一瞬、気を失いそうになるスタッツですが、戦場に出たときの能力が強力無比です。コントロールデッキ相手の切り札として使ってみたいですね。
ジェスカイコントロール
毛色が違うジェスカイコントロールが2つ入賞していました。1つは比較的メジャーな《道の体現者、シィコ》を採用した型、もう1つは《呪われた録画》であらゆる呪文をコピーする狙いがあるデッキでした。
どちらのデッキにも強力な墓地対策カードとして《安らかなる眠り》が採用されています。現スタンダード環境で猛威を奮っているイゼット講義とスゥルタイリアニメイトの両方に有効で、《道の体現者、シィコ》を採用していない《呪われた録画》型のデッキにはメインから2枚採用されているなど、新しい試みが見られました。
「《道の体現者、シィコ》は必須カード」という固定概念を崩すことで、かなり自由な構築が可能となりますね!
一時は採用が見送られることもあった《稲妻のらせん》ですが、今大会ではどちらのデッキにもフル採用されていました。イゼットルーティングやグルール昂揚、赤単といったアグロ系のデッキに刺さるカードで、特に1ターン目から着地する3/3の《トラアザラシ》を処理しながらライフゲインできるカードとして価値が上がっています。
おっと、タフネス3の《救助のけだもの、コーナ》も倒せますね!(迷路で迷子にならなければね!)
《叫ぶ宿敵》が禁止となった現在はライフ回復効果の信頼度も高く、今後もジェスカイコントロールの屋台骨となりそうです。
それにしても、《呪われた録画》で《ジェスカイの啓示》をコピーするのは楽しすぎますね!
おわりに
以上、『Standard Showcase Qualifier』の結果と活躍デッキをお伝えしました。
イゼット講義の勢いに惑わされず、しっかりとメタゲームを読んでコーナコンボを選択した優勝者の腕と経験が光った大会だと思います。
さて、今週末はいよいよ「年末の祭典」、『THE LAST SUN 2025』が開催されます!スタンダード&レガシーのダブルフォーマットでの開催となりますが、どんなデッキが活躍するでしょうか?
次回の大会結果もお楽しみに!



















































