イゼット講義とのフィーチャーマッチを終え、2-0となった芝田 輝良にインタビューする時間をいただいた。
次のラウンドが始るまでのわずかな時間なので、手早くおこないたいがここで「結果の報告だけ先でお願いします!」とジャッジから指示。
「ああ、すみません!こないだは全部やってくれたから……」
世界選手権ってそうなんですか?
「フィーチャーは”こっちで全部やっとくからいいよ、次行って”って感じでしたね~」
そう、この芝田 輝良、先日の世界選手権で準優勝し、日本人選手の活躍が目立った2025年のマジックを締めくくった選手である。
そんな強豪なら日本マジックの締めくくりである「THE LAST SUN 2025」もやはり固いデッキ選択をしたのだろうか。
「いやあ、おもちゃですよ!」
芝田 輝良のデッキ選択は「セレズニア上陸」であった。
デッキテク「セレズニア上陸」
――緑ベースの上陸デッキは従来からありましたが、白緑とは新しいデッキですね。
先日のStandard Challengeで勝っていたのを見て面白そうだと思いました。せっかくのマジックおさめ、面白いデッキを使わなくっちゃね!イゼット系に強く、一方で《強靭形態の調和者》や《重厚な世界踏破車》での3ターンキル、4ターンキルもあり得ます。
対イゼット系では重要なクリーチャーのタフネスが高さが魅力です。イゼット系デッキではインスタントタイミングでの対応が困難で、ソーサリータイミングのバウンスで対応してもらうことになります。
《氷耕しの探検家》《強靭形態の調和者》が揃うと、《寓話の小道》+《氷耕しの探検家》で大量に上陸でき、巨大なクリーチャーを作ることができます。こうなってしまえばイゼットは対応が困難で、《変容する悪党、サンドマン》や《巨大なガラガラワーム》ならブロッカーがいても関係ありません。
――おもちゃと言いつつ、メタゲームにあったいいデッキのように感じます。今回に向けてリストを変更した個所はありますか?
例のChallengeで入賞したプレイヤーに実際に意見をもらいました。
なかでも《フェリダーの撤退》は強かったから増やしたい、とのことで数を増やしました。
先ほど話したような展開で勝つと、こちらのデッキを対戦相手は「一点突破」のデッキだと感じるでしょう。除去を増やしたり、メインでより積極的にバウンスを使って対応してくるはずです。
そこをずらして横に並べて全体強化で「面突破」します。1ターンに何度も上陸できるデッキなので非常に強力です。これ1枚で勝ててしまいます。
デッキが安いのもいいですよね。カードをほとんど持っていませんでしたが、無事晴れる屋で3万円くらいで揃えられました。(編集注:価格は当時のものです)
――ちなみにレガシーはどんなデッキにしたんでしょうか。
エルドラージです。実はレガシーをプレイするのはグランプリ・静岡2018以来で久しぶりです。当時もエルドラージでしたね。
友人がエルドラージでMO Showcaseを抜けていて、アドバイスを得られる環境があったこともあり選択しました。正直練習はぜんぜんできていなくて自信はないですね。
今年を振り返って
――改めて、今年は大活躍でしたね。ご自身で今年のマジックに点数を付けるなら何点でしょう?
う~ん……100点満点で200点ですね!
【#マジックチャンピオンズカップ】ファイナル シーズン3ラウンド3(スタンダード)、初日全勝者1名のプロフィールおよびデッキリストを掲載しました。強豪たちを相手に破竹の8連勝を遂げたプレイヤーとその使用デッキにぜひご注目ください。 https://t.co/BVjxVPIJic #mtgjp pic.twitter.com/oq9OLN6wbg
— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) May 3, 2025
ゴールデンウィークにおこなわれた「チャンピオンズカップファイナル シーズン3ラウンド3」は初日全勝からの準優勝。
そこで得た権利で参加した世界選手権は準優勝。
勝ちすぎですね。これまでは「チャンピオンズカップファイナル」に出場できることはたびたびあれど、初日落ちばっかりでした。予選を回って権利を得ることはできるけれど、自分はそこまでのプレイヤーなのかなー、と思っていたんですけどね。
――素晴らしい戦績です。なにか習慣やマインドを改善するなどきっかけはあったんでしょうか。
スマホを新しくしました。
古い機種から買い換えたことで、「MTG Arena」をプレイできるようになったので、通勤時間や出先でもプレイして、マジックに触れる時間を増やしました。周囲もモチベーションが高く、プレイしているところをお互いに配信して意見を出し合ったりと、かなりいい練習ができていたと思います。
――最高の一年となりましたが、来年に向けての目標はありますか。
世界選手権ではドラフトで運良く勝てました。でも、Arenaのドラフトは全然勝てなくて、ミシックランクまでいけないんですよね。
リミテッドはパック運の要素がありますよね。自分が開封するパックだけでなく、上家から色が会わなかったのであろうレアが流れてくるとか。でも、自分は勝てたときに「今のは運が良かったのか?それとも実力だったのか?」というのがまだつかみ切れていないと感じています。来年は自分の実力を見つめなおして、実感をつかみたいですね。
以上、唯一「セレズニア上陸」を選択し、インタビュー後の初日スタンダードラウンドを全勝で突破した芝田 輝良のインタビューをお届けした。「セレズニア上陸」はおもちゃじゃないかも?






