はじめに
みなさんこんにちは。
7月18日(土)に『第14期パウパー神挑戦者決定戦』が開催されるため、今回はパウパー環境の「今」を掘り下げていきたいと思います。
6月29日の禁止制限告知で《天光を求める者》が禁止となり環境には変化がみられます。さらに、世界各地で大規模なイベントが開催されています。
今回はイタリアとアメリカで行われた『Paupergeddon Summer Edition 2026』と『Paupergenesis – CubeCon DMV』の入賞デッキをみていきましょう!
『Paupergeddon Summer Edition 2026』 -ジャンドワイルドファイアが1000人超えのイベントを制する-
開催日:2026年7月11日
優勝 ジャンドワイルドファイア
準優勝 白単ウィニー
3位 奇襲隊レッド
4位 フリッカートロン
5位 ジャンドワイルドファイア
6位 奇襲隊レッド
7位 サイクリングストーム
8位 緑トロン
9位 グリクシス親和
10位 エルフ
11位 マッドネスバーン
12位 ゴーレムトロン
13位 裏返しコンボ
14位 The Spy
15位 裏返しコンボ
16位 呪禁オーラ
7月11日にイタリアのルッカで開催された大規模なテーブルトップイベント『Paupergeddon Summer Edition 2026』は、『マジック・スポットライト・シリーズ』のような2日制のイベントで、なんと1086名が参加し、最高の盛り上がりをみせました。
今大会で最も人気があったのはマッドネスバーンで、次点がグリクシス親和。優勝をおさめたのはパウパー定番のミッドレンジであるジャンドワイルドファイアでした。
奇襲隊レッドやトロン、サイクリング、白単ウィニーなど複数の異なるアーキタイプが入賞するなど開かれた環境であることが分かります。
ジャンドワイルドファイア
ジャンドワイルドファイアはパウパー定番のデッキで《刷新された使い魔》や《のたうつ蛹》といったコモンとは思えないほど強力なカードを主力に、優秀な除去やハンデスでコントロールしていく戦略を取ります。
《胆液の水源》と《熱狂的な献上》のコンボも搭載されているおり、アドバンテージを稼ぎやすく、ほかにもアーティファクトを多用するため、環境でもっとも優秀な全体除去である《クラーク族のシャーマン》を起動しやすくなっています。
環境の多くのデッキと互角以上に渡り合えるため安定した成績が期待できます。しかし、マッドネスバーンとのマッチアップは不利なため、サイドボードの《嵐の乗り切り》は必須となります。
☆注目ポイント
《のたうつ蛹》はこのデッキの主力です。ブロッカーや強化のために使える落とし子・トークンを生み出すことでアグロデッキ相手に時間を稼いでくれます。複数並んだときは強力で、すさまじい早さでフィニッシャー級のサイズになります。
《刷新された使い魔》もこのデッキの主力で、ハンデスしつつ2/1の飛行が残るため、相手にとっては厄介なクリーチャーといえます。しかし、ハンデスは「マッドネス」や墓地を肥やす助けになることもあるため、マッチアップによっては気をつけたいところです。
《クラーク族のシャーマン》の能力は、飛行を持たない各クリーチャーにダメージを与えるので、接死を付与できる《毒素の分析》と組み合わせたときは、アーティファクトを1つ生贄に捧げるだけでクリーチャーを一掃することもできます。
《ニクス生まれのハイドラ》は終盤のフィニッシャーとして活躍します。普段はチャンプブロッカー要員である落とし子・トークンなどをフィニッシャー級のサイズにまで強化することも可能です。
また、一度の除去では対処できないため、相手にとっては非常に厄介なクリーチャーといえます。トランプル持ちなので接死をつけられる《毒素の分析》との相性も抜群です。
《浄化の野火》は破壊不能を持つ橋サイクルの土地と組み合わせることで、マナ加速をしつつキャントリップもできるので、3ターン目から《のたうつ蛹》を展開することも可能です。もちろんトロンランドや《バジリスク門》などを対策する手段としても使えます。
《ブレス攻撃》は、飛行クリーチャーを並べてくる白単ウィニーとのマッチアップに必須です。
《やんちゃなアウフ》は橋やエンチャントも除去できるため、グリクシス親和をはじめ複数のマッチアップで活躍します。また、自分の橋を協約のコストに使えるおかげで能力を誘発させやすく、《血の泉》で使い回せる点も魅力です。
奇襲隊レッド
奇襲隊レッドは、海外ではラリーレッドとも呼ばれ、デッキ名にもなっている《角笛城での結集/Rally at the Hornburg》と《炎樹族の使者》を組み合わせることで、過去にパウパーで活躍した《カルドーサの再誕》+《ゴブリンの奇襲隊》のコンボの再現を図っています。
軽い赤のクリーチャーを横に並べてビートダウンする戦略のため、青単テラーなど除去が薄いデッキに強く、《角笛城での結集》と《炎樹族の使者》の組み合わせで速度が勝るマッドネスバーンにも有利を取れます。
息切れ防止のために《無謀なる衝動》や《レンの決意》といった衝動的ドロースペルが採用されています。
赤いアグロデッキですが、火力よりもクリーチャー中心の戦略なため《クラーク族のシャーマン》には弱くなります。
☆注目ポイント
《ゴブリンの墓荒らし》は、アーティファクト土地の《大焼炉》や血・トークンを生み出す《ヴォルダーレンの美食家》などがあるこのデッキおいては、基本的に1マナ2/2速攻クリーチャーとして機能します。
《機械仕掛けの打楽器奏者》はアーティファクトでもあるため、先ほどの《ゴブリンの墓荒らし》とも相性が良く、さらに《感電破》の「金属術」の条件達成にも貢献します。そして、除去されたとしてもアドバンテージを取ることができます。
《角笛城での結集》は《炎樹族の使者》からプレイすることで速攻4点クロックを展開することができ、このデッキにおける2ターン目の理想的な動きです。また、《ゴブリンの奇襲隊》をキッカー込みでプレイすることができれば、更地からでも高いダメージを叩きだすことができます。
《発明者の斧》は瞬速持ちなのでコンバットトリックとしても使用することができます。1マナと軽い装備品・アーティファクトなので《ゴブリンの墓荒らし》とも相性が良く、「金属術」の条件も達成しやすくなります。
サイドの《火の中へ投げ捨てる》はグリクシス親和対策としてフルに採用されていますが、複数の小型クリーチャーを対策する手段としても機能します。エルフや白単ウィニー、同型など横に並べる戦略にも対策する必要があるため、全体除去の《地盤の危険》も重要です。
フリッカートロン
今大会の入賞デッキのなかでも珍しいカードを採用したトロン。ビッグマナ戦略を実現するために、トロンランドをサーチできる《探検の地図》や、キャントリップの《レンバス》《予言のプリズム》などを採用し、安定してトロンランドを揃えられるようにしています。
《棘茨のワーム》や《ケアヴェクの火吹き》でのダメージのほかに、《幽霊のゆらめき》を利用することで《ミシディアの長老》や《「黒魔術士」の杖》からウィザード・トークンを複数体生成し、トークンの能力で一気にライフを削り切ることもできます。
トロンランドのマナアドバンテージからカードアドバンテージを稼ぐことができるためグリクシス親和やジャンドワイルドファイア、青単テラーなどミッドレンジ、コントロール戦略に対して強く出ることができます。
☆注目ポイント
《棘茨のワーム》は赤いデッキにとって除去しづらいタフネス6のクリーチャーで、場に出たときに5点ライフを得られます。もし除去されて墓地に落ちたとしても、能力を起動することでさらに5点のライフを得られます。そのためカードアドバンテージを得るまでに十分な時間を稼ぐことが可能です。
現在のパウパーでもかなり強力なフィニッシャーであり、このクリーチャーのおかげでビッグマナデッキが本来苦手とする奇襲隊レッドなどのアグロデッキとの相性も緩和されています。
《氷魔法の秘宝》は《胆液の水源》と異なり、墓地に置かれたときだけでなく、場から離れたときにもカードを引くことができます。これにより《幽霊のゆらめき》などブリンクとも相性が良く効率的に手札を増やすことができます。
《予言のプリズム》は2025年の3月31日に禁止解除されたカードで、手札の枚数を減らすことなく無色マナを有色マナに変換することができます。《爆破ゼリーの樽》もマナフィルターであり、《トレイリアの恐怖》をはじめとしたクリーチャー除去としても機能します。
『Paupergenesis – CubeCon DMV』 -ディミーアテラーが優勝-
開催日:2026年7月12日
優勝 ディミーアテラー
準優勝 使い魔コンボ
3位 ジャンドワイルドファイア
4位 グリクシス親和
5位 奇襲隊レッド
6位 カルニブラック
7位 エルフ
8位 ディミーアフェアリー
9位 ディミーアフェアリー
10位 赤緑ビートダウン
11位 The Spy
12位 ディミーアフェアリー
13位 マルドゥシンセサイザー
14位 The Spy
15位 ジェスカイブリンク
16位 使い魔コンボ
7月12日にアメリカで開催された『Paupergenesis – CubeCon DMV』は、参加者248名と大盛況でした。
今大会で一番人気があったのはマッドネスバーンでしたが、上位には少数でした。そのほかにもエルフ、ディミーアフェアリー、青単テラー、グリクシス親和、ジャンドワイルドファイアなど様々なアーキタイプが存在しました。
ディミーアテラー
キャントリップを多用する青単テラーは動きが安定しており、高確率で初手をキープできるのが魅力です。
パーミッションスペルで対戦相手のプランを妨害していくという、基本的には受け身な戦略を取ります。しかし、《留意》 や《思考掃き》のおかげで墓地にカードが溜まりやすく、デッキ名にもなっている《トレイリアの恐怖/Tolarian Terror》などを早い段階から展開することもできます。
エルフや白単ウィニーなどクリーチャーを並べてくるデッキなど、不利なマッチアップは存在しますが、カウンターでバックアップしつつ先を見越した戦略も実行できるので、圧倒的な不利になることは少ないです。
今大会で優勝をおさめたディミーアバージョンの「テラー」デッキで、黒の除去《殺し》などが使えるため、特に青単だと苦戦を強いられたエルフや奇襲隊レッド、白単ウィニーなどとの相性が改善されています。
☆注目ポイント
主力の《トレイリアの恐怖》4枚に加えて《グルマグのアンコウ》も採用されています。ただ墓地のカードを追放してしまう「探査」は《トレイリアの恐怖》と相性が悪いため、2枚の採用にとどまっています。《紅蓮破》および《赤霊破》に引っ掛からないところも《グルマグのアンコウ》の強みの一つです。
《秘密を掘り下げる者》が《刷新された使い魔》を使うジャンドワイルドファイアやグリクシス親和に弱いこともディミーアバージョンを選択する理由です。ディミーアテラーは墓地から復活してこれる《こそこそサクサク》が使えるためミッドレンジとの消耗戦でも渡り合えます。《愛着を捨てる》との相性も抜群で2枚ドローしつつ戦場に戻すことができます。
《殺し》や《喪心》といった除去を使えるのがディミーアバージョンの最大のメリットです。ミラーマッチでも対戦相手の《トレイリアの恐怖》などを対策することができるため青単テラーとのマッチアップにも強くなります。
《予想外の牙》で《トレイリアの恐怖》や《グルマグのアンコウ》といった大型クリーチャーに絆魂を付与することで、奇襲隊レッドとのマッチアップを有利に進めることができます。
メインから採用されている《息詰まる噴煙》や、サイドの《アームズ・オヴ・ハダル》といった全体除去が使えるのもディミーアバージョンの強みで、エルフなどクリーチャーが並ぶマッチアップとの相性が劇的に改善されます。
また、墓地の対策をしつつキャントリップもできる《虚無の呪文爆弾》も無駄なく使え、The Spyやドレッジ、ミラーマッチなど多くのマッチアップで重宝します。
総括
現在のパウパーは様々なアーキタイプが環境に存在する面白いフォーマットです。試験的に禁止解除された《眷者の装飾品》はそれほど大きな影響を与えていないものの、2025年に禁止解除された《予言のプリズム》はトロンの強化、復権に貢献しています。
マッドネスバーンや青単テラー、ディミーアテラーなど多くのデッキが採用している《こそこそサクサク》についても、6月29日の禁止制限告知で監視対象にしていると言及していたため今後の動向が気になるところです。
USA Pauper Express Vol.5は以上になります。それでは次回の連載でまた。良いパウパーライフを!






























































