By Hiroshi Okubo
さて、PWCCの予選ラウンド6回戦が終わり、いよいよ準々決勝が開始される。勝ち残った強豪8名の中で準決勝へと勝ち進む4名は誰になるのか?
ここでは4卓の対戦をダイジェスト形式でお届けしよう。
準々決勝 第1テーブル: 長尾 泰貴 vs. 村栄 龍司
まずは「白青《王神の贈り物》」の村栄と、「白黒トークン」の長尾の試合を見ていこう。
「白黒トークン」がデッキ全体のシナジーで戦うフェアなデッキであるのに対し、「白青《王神の贈り物》」はその名を冠するキーカード《王神の贈り物》1枚で完結するコンボデッキだ。これに対抗するには墓地対策カードを使ったり《王神の贈り物》を破壊したり、あるいは”やられる前にやる”のがセオリーだが……
白黒トークンは、少なくともそのメインボードにおいていずれの手段も持ち合わせていない。村栄は墓地を肥やしながら悠々と《王神の贈り物》を設置してワンサイドゲーム演じ、第1ゲームを先取する。
サイドボード後の第2ゲームでは長尾が《失われた遺産》で村栄のデッキから《発明の天使》を追放するが、無論それも根本的解決にはならない。第1テーブルでは村栄が圧倒的なデッキ相性差を見せつけ、準決勝へと駒を進めた。
村栄 Win!
準々決勝 第2テーブル: 渡辺 雄也 vs. 鈴木 明由
続いて第2テーブルへと目を移そう。こちらの対戦カードは初代ミスターPWC・渡辺 雄也と、これまたPWCの古豪プレイヤーである鈴木 明由によるPWCベテラン同士の対決だ。
鈴木の《狂信的扇動者》、《地揺すりのケンラ》、《熱烈の神ハゾレト》を、渡辺が《渇望の時》、《致命的な一押し》、《ヴラスカの侮辱》で防ぐ、といった「赤単」と「青黒ミッドレンジ」の激しい攻防が続く。
だが、鈴木の速攻持ちクリーチャーと直接火力の猛打を完全に防ぎきることはできない。長引けば長引くほど着実に渡辺のライフは減らされていき、やがて除去が尽きると、それがゲーム終了の瞬間となった。
続く第2ゲームは渡辺がサイドインした《才気ある霊基体》をしっかりと引き込み、先攻の利もあって鈴木を搦め取っていく。鈴木の攻撃がひとたび止めば渡辺が《歩行バリスタ》を着地させ、盤面は完全に渡辺が掌握することとなる。
やがて煙も出なくなった鈴木の前に《機知の勇者》を「永遠」で呼び戻し、手札の拡充を図りつつクロックを刻む。かくして第2ゲームは渡辺が完勝を収めた
ここまで両者ともに一歩も譲らずといった調子で続いてきたこのマッチも、第3ゲームは少し趣が異なっていた。後攻の渡辺は初手の7枚を見てじっくりと唸る。ちゃんと色マナの出る土地3枚に、2~3ターン目もしっかりと動ける4枚の呪文。何を悩む必要があるのか? と思いきや、よく見ればその手札には除去がない。
渡辺はじっくりと考え込みながら《光袖会の収集者》と《機知の勇者》というドローサポートがあることもありこの7枚をキープを宣言するが、ここにきて鈴木が驚異的なブン回りを見せる。
1ターン目に《狂信的扇動者》、2ターン目に《地揺すりのケンラ》という理想的な立ち上がりを見せ、渡辺の《光袖会の収集者》には《ショック》。さらに4ターン目には渡辺の「頼む! ハゾレトはやめてくれ!!」の叫びも空しく叩きつけられた《熱烈の神ハゾレト》が殴り抜け、渡辺をノックアウトしていった。
鈴木 Win!
準々決勝 第3テーブル: 木村 一生 vs. 深谷 祐太
『《スカラベの神》というカード、なんかおかしくない?』それがこのマッチを見た感想だ。
「白青《王神の贈り物》」の木村が墓地を肥やしていき、オリジナルの「グリクシスコントロール」を操る木村は気にせずどうぞどうぞと木村の動きを眺める。ただし《王神の贈り物》はしっかりと《削剥》。木村はせっかく溜まった墓地をなかなか利用させてもらえず、ならばと手札からクリーチャーをプレイしても除去で撃ち落とされ、ターンばかりが経過していく。
ゲームが長引くにつれ、木村の墓地は10枚、20枚と積み重なっていき、そこにひしめくクリーチャーたちから「早く戦場に出たい!」という声なき声が聞こえてくるようだった。
さて、ここで冒頭の『《スカラベの神》というカード、なんかおかしくない?』という所感に戻る。深谷が《スカラベの神》をプレイし……あとはもうお分かりだろうか?
深谷の《スカラベの神》が無双する。なにしろリアニメイトの対象はよりどりみどりなのだ。第1ゲーム、第2ゲームともに同様の展開で深谷が勝利を収めた。
深谷 Win!
準々決勝 第3テーブル: 中道 大輔 vs. 河合 宏樹
最後は第9期ミスターPWC・中道 大輔の「スゥルタイエネルギー」とThe Finals 2010トップ8入賞経験もある河合 宏樹の「赤単」によるマッチだ。
が、ここで河合は痛恨のダブルマリガン。ただでさえスタートで大きな差がついているところにマナフラッドの憂き目に合い、中道は《歩行バリスタ》+《新緑の機械巨人》で盤面を完全に掌握。
それでも河合は勝負を捨てずに《熱烈の神ハゾレト》で攻めにいくのだが、中道も《逆毛ハイドラ》を7/6にしてブロッカーとして立たせておき、ダメ押しに2枚目の《新緑の機械巨人》を追加して河合を介錯した。
第2ゲームは先攻の河合が序盤から《アン一門の壊し屋》2枚で果敢にライフを攻めたてる。が、中道も《巻きつき蛇》と《歩行バリスタ》+《致命的な一押し》で応戦。地上のアタッカーが殲滅される。
ならば空から、と《再燃するフェニックス》をプレイする河合だったが、《巻きつき蛇》が生き残っている状況で中道に《新緑の機械巨人》を出されてしまってはさすがにダメージレースにならず、中道の勝利を称えてカードを片付けるほかなかった。
中道 Win!