By Kazuki Watanabe
プロツアーは、海外に在住するHareruya Prosと直接顔を合わせる貴重な機会だ。
これまで何度も海外取材に赴いているため、必然、彼らとは顔なじみになる。会場で顔を合わせると、「お久しぶり」「元気だった?」「いつも記事をありがとう」といった言葉を交わすことになるわけだが、「はじめまして」という挨拶をすることも、もちろんある。
今回、会場で彼と交わした第一声は、「はじめまして」だった。そして、私の次の言葉は、
「遅くなったけど、二度目のMOCS優勝おめでとう!」
というものだった。
MOCSの王者、ドミトリー・ブタコフ。
2017 Magic Online Championshipでの優勝、という輝かしい戦績を引っ提げ、彼はHareruya Prosに加入した。
加入インタビューでの情報、そして記事を読む機会はあったが、直接会話をするのはこれが初めてである。
それでは、早速インタビューをお届けしよう!
王者、ドミトリー・ブタコフとMagic Online
――「初めまして! お会いできて光栄だよ」
ドミトリー「こちらこそ、初めまして」
――「早速だけど、Magic Online(以下、MO)との付き合い方について教えて欲しいんだ。今回のプロツアーに向けた準備も、MOが主な調整場所だったの?」
ドミトリー「そうだね。MOのリリースと同時に動き出したよ。スタンダードとドラフトのリーグに参加して、結果を眺めながら情報を精査して、という日々の繰り返しだ」
――「なるほど。そう言えば、インタビューで『MOを週にどれくらいプレイするの?』という質問に、『大体は一日2時間以上、多いと14時間くらい』と答えていたけど、これは本当?」
ドミトリー「ああ、本当さ。何の誇張もしていない。実際、プロツアーに向けた練習では14時間以上プレイした日もあったよ。準備にすべてを注いだのさ。もちろん、その翌日は少し控えめになるが、まったくプレイしないということはなかったね」
――「それはすごい! そんなに長時間プレイしていると、やはり疲れてくるよね?」
ドミトリー「もちろんだ。14時間ぶっ通し、というのはさすがに応える。だから、3時間プレイして小休止。また3時間、というのが基本サイクルのようなものだね」
リアルとの違い
――「MOを知り尽くしているあなたにぜひ聞いてみたかったことがあるんだ。MOとリアルのマジックで、一番の違いは何だと思う?」
ドミトリー「かなり色々なものが違うね。だが、一番大きいのはシャッフルする必要がないということかな?」
――「たしかに、MOだとクリック1つでシャッフルが終わるね」
ドミトリー「地味だと思うかもしれないが、これはかなり大きい。《進化する未開地》を起動して、シャッフルして、相手にデッキを渡し、それを受け取る。続けて何かをサーチする呪文を唱えたら、同じことの繰り返し……これが一切ない。MOを長時間プレイできる理由だと思うね。リアルでは、こういったことの積み重ねが疲れに繋がるんだ」
ブタコフ流・休憩の取り方
――「疲労との戦いは大きな問題だよね。どういう風に休憩を取るの?」
ドミトリー「時間にも依るが、簡単な運動をすることがほとんどだ。長めに取る場合は、自転車に乗ったり、泳いだりするよ。あとは、気晴らしに料理することもある」
――「料理! それは少し意外だね」
ドミトリー「そうかい? 料理は素晴らしいよ。レシピを見て、時々思うがままのアレンジを加える。できあがったものを食べるのも楽しみだし、栄養も取れる。マジックをプレイしている最中は頭をフル回転させているから、別の方向に思考を向けるんだ。食べながらプレイすることも、MOなら許されるからね」
――「そう言われてみると、素晴らしい休憩方法だ」
ドミトリー「私が思うに、トッププレイヤーというのはアスリートなんだ。サッカーや野球の選手たちは、技術を磨くと同時に健康に気を使っているだろう? マジックプレイヤーも同じだ。体調が悪いと、思考も濁るものだ。もちろんこれは私なりの休憩だから、自分自身に合った休憩方法を見つけることも大事だと思うね」
次なる目標に向けて
――「さて、MOCSを制して、今やあなたは世界でも有数のトッププレイヤーになったわけだ。次の目標を教えてもらえる?」
ドミトリー「まずは、プラチナレベルの維持。ただしこれは、結果だ。その結果を導き出すために日々の練習や、各大会に向けて全力を注がねばならないね。これからは少しずつリアルの大会に参加することも増えるだろう。このシャツを着て、なるべく多くの大会に挑みたいと思っているよ」
――「なるほど。もちろん、来年のMOCSでも優勝を目指すわけだよね?」
ドミトリー「もちろんだ。あらゆる大会で勝利を目指す。それがプロプレイヤーだ。参加した大会では、必ず頂点を目指すよ。簡単に頂点に立てない、ということは分かっている。だからこそ、目指したくなるのさ」
また、日本へ
――「ありがとう。では、最後に日本の読者に向けてメッセージをもらえるかな?」
ドミトリー「そうだな……前回、プロツアー『破滅の刻』で日本を訪れた。加入時のインタビューでも書いたが、たった5日しか滞在できなくてね。本当に後悔しているんだよ。本当に美しい国で、誰もが優しかった。機会は限られているが、必ずまた足を運ぶよ」
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