準々決勝ダイジェスト

晴れる屋

By Hiroshi Okubo

 『ドミナリア』環境名人戦、準々決勝。ここでは、174名のプレイヤーの中から勝ち上がってきた8名の猛者たちの試合の様子をダイジェスト形式でお届けしよう。

 また、ここに記載のない高橋 優太 vs. 三上 由朗のマッチについてはYouTubeにて実況・解説付き動画がアーカイブされている。そちらもぜひご覧いただきたい。

長尾 尚希(黒緑ランプ) vs. 丹治 謙介(赤黒アグロ)

 長尾の《ヤヘンニの巧技》が戦場のクリーチャーたちを薙ぎ払い、《殺戮の暴君》が丹治を打ち破ると、今度は丹治もプレインズウォーカーや《屑鉄場のたかり屋》といった粘り強いダメージソースを駆使して盛り返す。

丹治 謙介

丹治 謙介

 そうして始まった第3ゲームは丹治から先に動き出す。《ボーマットの急使》《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》で攻撃を仕掛け、長尾はこれらに対応できずにいた。

 《楽園の贈り物》でマナを伸ばし、《約束の刻》でさらに2体のゾンビ・トークンを得て防御姿勢を取るが、丹治は構わず長尾のライフを狙っていく。

 だが、丹治には後続がなかった。一方長尾は好調にマナを伸ばしてきたおかげで早くも8マナへと到達しており、まずは除去で盤面を整理しながら《ウルザの後継、カーン》でリソースを拡充していく。

長尾 尚希

長尾 尚希

 さらに長尾は続くターンに《殺戮の暴君》を着地させて地上を止めると、《秘宝探究者、ヴラスカ》を呼び出してブロッカーを用意する。

 続けざまに展開される脅威を前に、丹治はここまでの後れを取り戻すことはできず、やがて《秘宝探究者、ヴラスカ》の奥義を前に敗北を喫することとなった。

長尾 2-1 丹治

鈴池 史康(赤黒アグロ) vs. 岩﨑 悠大(白青コントロール)

 苛烈に攻める鈴池を岩﨑が3枚の《封じ込め》《試練に臨むギデオン》《ドミナリアの英雄、テフェリー》といったプレインズウォーカーたちで下し、続く第2ゲームでは鈴池が息もつかせぬ速攻で勝ち星を取り戻す。

 最後の1ゲームもまた、鈴池が《ボーマットの急使》《屑鉄場のたかり屋》で猛攻をしかけ、岩﨑が《封じ込め》《一瞬》でライフを守るゲームとなった。

岩﨑 悠大

岩﨑 悠大

 ここまでは第1ゲームと同様の展開。先の除去が足りずに押し切られてしまった第2ゲームと異なり、岩﨑は複数枚の除去を引き込んでおり、鈴池の戦線を押しとどめることに成功する。やがて鈴池の手札も枯渇しはじめ、頼みの綱だった《ボーマットの急使》の能力起動も《不許可》されてしまい、手札とクロックを同時に失ってしまう。

 序盤に岩﨑のライフをそれなりに削れたとはいえ、除去の雨あられを受けていたこともあって岩﨑のライフはまだまだ射程圏には少し遠い。鈴池はトップデッキに望みを託すしかないが――祈りは神に通じたのか、ドローは《熱烈の神ハゾレト》

岩﨑 悠大

岩﨑 悠大

 《封じ込め》《排斥》も使ってしまった岩﨑にとっては非常に対処しにくいクリーチャーの登場。さらに鈴池の剛腕は止まらず、次のターンには《再燃するフェニックス》を引き込み岩﨑へと迫る。

 煙も出なくなってしまったのはどちらだったか。この2体の驚異を対処する術を持たない岩﨑は、鈴池の前に成すすべなく膝を屈するのだった。

鈴池 2-1 岩﨑

三原 槙仁(青赤王神) vs. 松本 悠希(エスパーコントロール)

 最後のこちらの卓もまた、《王神の贈り物》をいち早く着地させた三原が1ゲームを先取したあと松本が《スカラベの神》でゲームカウントを取り戻し、強豪プレイヤー同士一歩も譲らぬまま第3ゲームに運命を託していた。

 先攻の三原は《ボーマットの急使》《戦凧の匪賊》《光り物集めの鶴》といったクリーチャーたちで軽快に攻撃を仕掛ける。《来世への門》は松本に《中略》されてしまうが、三原のクロックは依然として通り続けており、松本のライフを着実に減らしていく。

スカラベの神

 松本にとっては苦しい展開。だが、《喪心》《致命的な一押し》を駆使して松本の土地が何とか時間を稼ぎ、《スカラベの神》を着地させると、今度は三原の表情に陰りが出てくる。

 三原の「青赤王神」は墓地のクリーチャーを利用するデッキであるという性質上、松本にとってはリアニメイト先は選り取り見取り。一度松本のマナがオープンになってしまえば、やがて真綿に締め上げられるようにここまでの優位を取り戻されてしまうことは必至だ。

三原 槙仁

三原 槙仁

 小考しつつ、三原の下した決断は“強行突破”だった。自らの勝ち筋を残すべく、クリーチャーを失いつつも松本のライフを削りに行く。すでにライフが10を切っている松本に、猶予を与えてはいられない。

 こうなると今度は松本が考え込む番だった。盤面には《スカラベの神》、手札には《ヴラスカの侮辱》。だが、その起動型能力の起動とライフを一定水準以上に残しておくことを天秤にかけたとき、松本は後者を選択した。三原のデッキは赤く、《ボーマットの急使》のような速攻クリーチャーはもちろん《歩行バリスタ》も入っているのだ。自らのライフは見かけ以上に少ない、と判断し、時間を稼ぐことを最優先する。

歩行バリスタ

 攻める三原に守る松本。幾たびかの除去とカウンター、そして《スカラベの神》の能力起動によってブロッカーを用意されて行く手を阻まれつつも、三原は決死の攻撃を続けて松本のライフが残り3まで落ち込む。いよいよあとは《歩行バリスタ》《包囲攻撃の司令官》を引き、ゲームを決めるだけ、という状況だった。

松本 悠希

松本 悠希

 だが、ターンが続けば続くほど松本は占術によって手札を充実させていく。その手札には《奔流の機械巨人》が2枚。ここまでの三原のとめどない猛攻は松本にとって非常に苦しいものだったが、《ヴラスカの侮辱》の疑似「フラッシュバック」によって松本がライフを持ち直し、攻守の立場を逆転させると、60分にも及ぶ長いマッチに終止符が打たれるのだった。

三原 1-2 松本

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