By Akihisa Tomikawa
レガシー
《死儀礼のシャーマン》 禁止
《ギタクシア派の調査》 禁止
俗に『死儀礼デッキ』と呼ばれたデッキの消滅。
《死儀礼のシャーマン》を『使うもの』と『使われるもの』に分かれていたレガシーの世界は終わりを告げた。
KMCや晴れる屋大阪店を中心に活動している関西レガシーきっての赤単使い・小平 昇太は《大変動》後の世界をどう生きているのか。
第二期関西帝王レガシー、現在予選ラウンド7回戦中5回戦全勝で終え、勢いに乗る彼にインタビューをお願いした。
赤単から見た禁止改定後の世界
――「早速ですが、禁止改定で大きく変わったことはありますか?」
小平「《ゴブリンの熟練扇動者》が強くなりました。もちろん《死儀礼のシャーマン》のマナ能力は《血染めの月》を乗り越えてくるので強いのですが、それ以上に1/2というサイズで1/1のゴブリントークンを止めてくるのが厄介でした」
小平「現環境のマナクリーチャーは《極楽鳥》や《貴族の教主》に変わっているのでトークンが生き残りやすくなり、2ターン目の動きが強くなりました」
――「なるほど。デッキ構築などは変化しましたか?」
小平「《死儀礼のシャーマン》に頼った多色デッキが減ったことで『赤単プリズン』以外の構築が取れるようになりました。今回の構築で言うと《三なる宝球》はメイン、サイドともに採用していません。禁止改定後にトップメタに立った奇跡とスニークショーに対してこのカードはあまり仕事をしないからです。スニークショーもいわゆる全知型が相手ならまだ役に立ちますが、それも減っていますからね」
――「それ以外に環境の変化で変わったことはありますか?」
小平「これはデッキ構築に関する話ではないのですが、《目くらまし》が減ったことは追い風です。《意志の力》は手札を1枚使うので、テンポを失ってもアドバンテージ差で勝つことができるのですが、《目くらまし》を使ってくるデッキはそのテンポロスが致命的な結果をもたらしていました。一般的に赤単プリズンはデルバーに有利と言われていましたが、一方的に有利というわけではなかったので、そういうデッキが減ったことはありがたいですね」
――「小平さんのリストで特徴的な点として《領空のヘルカイト》が挙げられますが、使い勝手はいかがでしょうか」
小平「このカードは強いですね! 見た目よりデメリットが大きくないですし、さっきの試合もこのカードが勝負を決めました!」
――「見た目は《魂の洞窟》でカウンターされない、飛行《ボール・ライトニング》という印象ですが」
小平「さっきプリズンではないと言った理由がここにありまして、1ターン目に《ゴブリンの熟練扇動者》で1点、2ターン目に《領空のヘルカイト》を追加して12点。レガシーはほとんどのデッキでフェッチランドを1回は起動するので、こちらの3ターン目には相手のライフは残り6点です。あとは《焦熱の合流点》でも勝つことができます。このパターンで勝つことは多いですね」
小平「それと、今回メインに採用した《魔術遠眼鏡》がいい仕事をしています。レガシーではどんなデッキもフェッチランドや厄介な能力を持つ土地、プレインズウォーカーを採用しているので腐ることはないです。1ターン目に出すことで相手の手札を見て、その後のゲーム展開を組み立てやすくなり、除去や土地の有無により《虚空の杯》や《血染めの月》をより効果的に設置できます。つまり、このデッキだけに許された《ギタクシア派の調査》みたいなものです」
――「すごい! 聞いていると環境最強デッキのように思えてきました!」
小平「奇跡とスニークショーに弱いんですけどね……」
――「ええ……? トップメタのデッキですが」
小平「その通りですが、レガシーのようなフォーマットはメタゲームが地域性に左右されやすいので、一般的なメタゲームでは測れないところがありますよね。今回はそれらのデッキを意識してきましたし、今流行りのグリクシスコントロールみたいな3色以上の遅いタイプのデッキには依然として有利です。ANTが想像以上に多かったのは誤算でしたが」
――「ありがとうございました。最後にデッキ名をお願いします。やはり小平さんと言えば『赤単ヤ○ザキック』にしますか?」
小平「いえ、“殺虫剤”の方で。例え忘れ去られたとしても私だけはデルバーを倒し続けるので(笑)」
いかがだっただろうか。
赤単プリズン。あるいはドラゴン・ストンピィ。
取り巻く環境のみならず、デッキの名前すら変わっていく中で、このデッキは今もまだ進化を続けている。