By Kazuki Watanabe
様々なデッキが存在するモダンのメタゲームに、また新たなデッキが名を連ねることになった。
そのデッキとは、『ブリッジヴァイン』。名前の由来は、デッキの核となっている《黄泉からの橋》と《復讐蔦》である。
このデッキの強さは会場でも話題となり、対戦する様子を世界中のトッププロが見つめ、議論を繰り広げていた。
これまでも《復讐蔦》に魅了されたプレイヤーが様々なデッキを生み出してきたが、ここに来てメタゲームの中心に食い込んできたのは、やはり『基本セット2019』の影響である。《復讐蔦》の再録と共に、このデッキの完成度を高める新戦力が登場したのである。
このデッキを使用している、Hareruya Hopesの宇都宮 巧に話を伺ってみよう。
7割勝てる、『ブリッジヴァイン』
――「早速ですが、今回『ブリッジヴァイン』を選択した経緯について、教えていただけますか?」
宇都宮「先週の土曜日に、Team Cygamesの市川 ユウキさんが使用されていて、そのときに『人間以外には、7割勝てる』と仰っていたんです。リストを拝見して、実際に回してみたら本当に強かったんですよね。『これはプロツアーで使用するべきかもしれない』と考えて、調整を始めました」
――「先週の土曜日……直前ですね」
宇都宮「ギリギリでしたね。それまでも様々なデッキに触れてみたのですが、どれもしっくり来てなかったんです。その中でもマルドゥ・パイロマンサーが第一候補ではあったのですが、デッキパワーの高さを考えて、こちらにしました」
――「なるほど。デッキ名になっているとおり、デッキの核となるのは《黄泉からの橋》と《復讐蔦》で、決して新しいカードではありませんよね?」
宇都宮「そうですね。基本的なパーツは、新しいものではないです。最近だと『ホロウワン』に《復讐蔦》を加えたデッキもありましたが、《縫い師への供給者》によってデッキの完成度が高まっていますね。戦場に出たときと死亡したとき、どちらでもデッキを掘れるのがとにかく優秀です」
――「ちなみに、『人間以外には、7割勝てる』というのは本当なのですか?」
宇都宮「本当だと思います。『人間』のような『自分よりキルターンが早いデッキ』はたしかに苦手ですね。《カマキリの乗り手》と《民兵のラッパ手》のタフネス3が厄介で、こちらは2/2のゾンビ・トークンをひたすら並べるような展開になると、越えられないんです。それでも勝てるマッチもありますし、他のデッキとの相性もかなり良いですよ」
――「そうなのですね。先週の土曜日からの数日で、どのような調整を加えたのですか?」
宇都宮「メインボードはほとんどそのままですね。マナベースに少し手を加えて、《墓所這い》を確実に唱えられるように黒マナを増やしています」
――「では、具体的なデッキの動きについてお伺いしたいのですが、理想の動き出しはどのようなものなのでしょうか?」
宇都宮「1ターン目の《信仰無き物あさり》で《黄泉からの橋》と《復讐蔦》が落ちると、かなり良い展開ですね。理想は、《復讐蔦》を2ターン目に戦場に出せることです。《復讐蔦》か、ゾンビトークンをひたすら並べるか、このどちらも勝ちパターンですね。《臓物の予見者》、《墓所這い》といったカードを利用すると、毎ターン2/2を生成して盤面を埋め尽くせるようになりますし、《ゴブリンの奇襲隊》で一気に勝負を決められることもありますよ」
――「なるほど、ありがとうございます。今回のプロツアーで、『ブリッジヴァイン』の人気は高まりそうですよね。このデッキを使ってみたい、と思っているプレイヤーに向けて、アドバイスをお願いします」
宇都宮「とにかく色々な分岐があって、リストを見ても強さがわからないかもしれませんが、まずは一度触ってみて欲しいですね。気持ち良く回って圧勝できることもありますし、墓地に落ちたカードによって展開を変えていくのはかなり楽しいです。サイドボードを含めて調整すべき点がまだあるかもしれません。デッキパワーの高さは間違いないので、ぜひ、回してみてください」
1 《山》
2 《血の墓所》
1 《草むした墓》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《湿地の干潟》
4 《黒割れの崖》
-土地 (18)- 4 《ボーマットの急使》
4 《墓所這い》
4 《傲慢な新生子》
4 《縫い師への供給者》
4 《臓物の予見者》
2 《ゴブリンの奇襲隊》
4 《恐血鬼》
2 《血の芸術家》
4 《復讐蔦》
2 《大いなるガルガドン》
-クリーチャー (34)-
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