プレイヤーインタビュー:田中 宏直 ~Hareruya Hopesにして、帝王~
晴れる屋メディアチーム
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By Akihisa Tomikawa
第四期関西帝王戦スタンダードには84名の参加者が集まり、スイスラウンド7回戦を経て上位8名の席を争っている。
上位スタンディングには関西マジックよりすぐりの強豪たちが名を連ねる。そんな中、先日Hareruya Hopesに加入した第三期関西帝王の田中 宏直も最終ラウンドのIDを終え決勝ラウンドの開始を待つばかりとなっている。
Hareruya Hopesにして、帝王。田中 宏直にインタビューをお願いした。
――「田中さんはグランプリ上海準優勝時はラムナプ・レッド、前回の帝王戦は赤黒アグロをご使用されており、赤が好きなイメージがありますが、今回はどのようなデッキを選択したのですか?」
田中「今回はイゼットフェニックスです。結果を残したデッキは赤系が多いものの、本当は白単が好きなんです」
――「えっ? 一応この環境では白ウィニーも成立していますが……」
田中「僕はあまり好きなデッキで勝ちたいというタイプではないんですよね。マジックに対する関わり方も好きなフォーマットをやりこむのではなく、シーズンごとに目標の大会を作って、そこに向けて練習していくタイプです。目下のところグランプリ・静岡2018、RPTQ、The Finalsが目標です」
――「今年は8月に関西帝王戦優勝、10月にHareruya Hopes加入と新しいことが始まった年になったかと思います。何か大きく変わったことはありましたか?」
田中「プレイヤーの方に声をかけていただく機会が増えました。Hareruya Hopesのユニフォームもそうですが、グランプリで対戦した方に『関西帝王の人ですよね?』と言われることもあり、箔がついたなと感じます。Hareruya Hopes公募にエントリーした理由も、他の人の意見が聞きたいという点にあったので」
――「他の人の意見が聞きたい、という点について詳しくうかがってもよろしいですか?」
田中「もともと『DICE PROS』というチームに所属しており、そのメンバーと調整をしていました。特に2017年からチーム内でも競技志向の高いプレイヤーである鎌田 和大さん、大木 樹彦さん、兒島 竜也さんと4人でアジアのグランプリには全部出ようと話していて、その中で僕がグランプリ上海にて準優勝の成績を収めることとなりました」
――「田中さんの大きな戦績の一つですね」
田中「ですが、そこで権利を得たプロツアー「イクサランの相克」では初日落ちしてしまいました。いわゆるグレイビープレイヤーと自分に何の違いがあるのか。もちろんそれは実力ということになるかと思うのですが、それだけでは漠然としすぎててよくわからない。なのでもっと多くの人と意見交換をしたいと思ったんです。僕はあまり自分から話しかけるのは得意ではないのですが、Hareruya Hopesのユニフォームを着ていると普段よりもプレイヤーの方と交流しやすいように思います」
――「先ほどちらっと名前が出た『DICE PROS』というコミュニティについて教えていただけますか? 関東と違い、関西のプレイヤーは『晴れる屋』や『KMC』など普段の遊び場でコミュニティを形成している印象が強く、チーム名を名乗るケースが少ないように思います」
田中「実際『DICE PROS』というチーム自体は関西のものではなく、慶応大学のサークルが前身だと聞いています。彼らとは関西のPPTQで知り合って、チームリミテッドで開催された『グランプリ・京都2016』で3人目として誘われた縁で加入しました」
――「普段は競技イベントに向けての調整をしているチームということでしょうか」
田中「いえ、基本的には競技向けのチームではないのですが、僕たち4人は競技へのモチベーションが同じくらい高いので一緒に調整を行っています。この中で大木さんを除く3人が関西在住なため、関西のチームという印象が強くなっているのかもしれません。4人で調整を始めて2年になりますが、それぞれがプロツアーに出場することができました。今後は継続参加を目指しています」
――「Hareruya Hopes、『DICE PROS』といくつものコミュニティに参加されている田中さんですが、関西地区のドラフト合宿も主催しているそうですね」
田中「主催は金川さんという方と協力して2人で行っています。関西ドラフト会? でいいのかな? という名前で新セットが発売した直後にドラフト合宿を開催し、『ラヴニカのギルド』では全日程で30名ほどご参加いただきました」
――「関西でリミテッドを行う印象はそれほどなかったのですが、そんなコミュニティが存在したのですね!」
田中「まだ発足して1年くらいです。おっしゃる通り、関西はリミテッドを継続的に行うという習慣がないんですね。せいぜいグランプリに向けて練習するくらいだと思います。去年『イクサラン』のチームリミテッドで開催されたグランプリ・静岡2017秋で黒田正城さんのチーム3名含めて8人でドラフトをする機会があったんですけど、終わってみたら1位、2位、3位が黒田さんたちで、やっぱり強いなと」
――「このままじゃ終われんぞと」
田中「そう(笑) その後仲のいい人たちを中心に誘っていって、平見さんのつながりで有名プレイヤーやプロツアーを控えているプレイヤーも参加してくださるようになり、今に至ります。この前の合宿には黒田さんもいらっしゃって、感慨深いものがありました」
――「実力を磨く環境が整ってきたということですね」
田中「やっぱりプロツアーの存在があるので、発売後の合宿は練習! という空気が強いですが、まだまだ始まったばかりの集団ですのでメンバーは随時募集中です。「リミテッドやりたいぞ!」という方がいたらお気軽にお声かけいただければと思います」
――「緑のユニフォームが目印ですね」
田中「よろしくお願いします!」
Hareruya Hopes、関西帝王、DICE PROS、そして関西ドラフト会。
彼は自らの実力を磨くことに余念がなく、貪欲に意見を求め、そして結果として周囲の人間をも引き上げていく。
新時代のコミュニティ・リーダー、田中 宏直選手の活躍に今後も注目してほしい。