みなさんこんにちは。
グランプリ・静岡2018も終了し、現環境のスタンダードは一段落ついた感がありますね。
さて、今回の連載ではグランプリ・静岡2018とSCG Invitational Season 2の入賞デッキを見ていきたいと思います。
グランプリ・静岡2018
やはり最強はGolgari Midrangeか
2018年12月1-2日
- 1位 Golgari Midrange
- 2位 Selesnya Tokens
- 3位 Jeskai Control
- 4位 Golgari Midrange
- 5位 Selesnya Tokens
- 6位 Golgari Midrange
- 7位 Golgari Midrange
- 8位 Boros Aggro
中島 篤史
トップ8のデッキリストはこちら
久々に国内で開催されたスタンダード・グランプリは、現環境ベストデッキの一つとされていたGolgari Midrangeがプレイオフの半数を占めるというパフォーマンスを見せました。
グランプリ・ミルウォーキー2018で多数入賞していたJeskai ControlやIzzet Phoenixといったデッキは少なく、Golgari Midrange、Selesnya Tokens 、Boros Aggroが安定した成績を残していました。
グランプリ・静岡2018 デッキ紹介
「Golgari Midrange」「Selesnya Tokens」
Golgari Midrange
5 《沼》
4 《草むした墓》
4 《森林の墓地》
1 《ゴルガリのギルド門》
2 《愚蒙の記念像》
1 《探知の塔》
-土地 (24)- 4 《ラノワールのエルフ》
4 《マーフォークの枝渡り》
3 《野茂み歩き》
1 《探求者の従者》
4 《翡翠光のレインジャー》
2 《真夜中の死神》
2 《貪欲なチュパカブラ》
2 《破滅を囁くもの》
2 《殺戮の暴君》
-クリーチャー (24)-
環境に応じてカスタマイズしていくことが可能で、常に安定した成績を残し続けているGolgari Midrange。
白いアグロデッキが活躍したプロツアー『ラヴニカのギルド』後の環境では、《喪心》や《野茂み歩き》といったカードがメインから採用され、軽めの構成になりました。しかし現在のメタゲームでは、Jeskai Controlや同型のデッキを上位でよく見かけることが増えたため、《破滅を囁くもの》よりも《殺戮の暴君》が優先され、《真夜中の死神》などもメインに採用される傾向にあります。
☆注目ポイント
《殺戮の暴君》は、Jeskai ControlとGolgari Midrangeとのミラーマッチで最も信頼性の高いフィニッシャーとなります。そのため数少ない回答となる《探知の塔》 は重要で、《潜水》を使ったJeskai ControlやIzzet Drakesに対しても有効なのでメインに採用するのも納得です。
《真夜中の死神》もGolgari MidrangeやJeskai Controlの隆盛に伴い、メインでの枚数が増加傾向にあります。クリーチャーが除去されてもアドバンテージを得られるので消耗戦で有利が取りやすくなり、特に同型では重要となります。
最近採用され始めた《ウルザの後継、カーン》は、マナクリーチャーを経由することで最速3ターン目から展開することが可能で、確定でアドバンテージを稼いでくれます。《探求者の従者》が追加のマナクリーチャーである《僧帽地帯のドルイド》に差し替えられており、プレインズウォーカーや《殺戮の暴君》に繋げやすい構成になっています。
Selesnya Tokens
4 《平地》
4 《寺院の庭》
4 《陽花弁の木立ち》
1 《オラーズカの拱門》
-土地 (21)- 4 《茨の副官》
3 《協約の魂、イマーラ》
4 《敬慕されるロクソドン》
3 《不和のトロスターニ》
-クリーチャー (14)-
プロツアー『ラヴニカのギルド』で、スタンダード部門において優秀な成績を残していたことで注目されていたデッキの一つです。横に並べるタイプのミッドレンジで、単体除去が中心のGolgari MidrangeやBoros Aggroに強い構成となっています。
横並び戦略が苦手とする全体除去に対抗するため、サイドには《ビビアン・リード》や《不滅の太陽》などクリーチャー以外のアドバンテージ獲得手段が追加で用意されており、除去やスイーパーによる被害を最小限に抑えます。このように白緑という2色ながら多角的な攻めを展開できるのがこのデッキの強みです。
☆注目ポイント
《ベナリア史》や《大集団の行進》などのトークン生成スペルを多用するこのデッキは、「召集」と相性がよく、《敬慕されるロクソドン》によって強化する動きが強力です。
サイドの《不滅の太陽》は、トークン戦略であるこのデッキにマッチしていますが、自軍のプレインズウォーカーも無力化してしまうので使うタイミングは難しくなりそうです。それでもコントロールやミッドレンジとのマッチアップでは、数少ない貴重なアドバンテージ源となり、相手の《ドミナリアの英雄、テフェリー》などを封じる能力は極めて重要なものとなります。
《無効皮のフェロックス》は4マナ6/6呪禁とコストパフォーマンスが非常に高く、ほかのクリーチャーデッキをサイズで圧倒します。相手がこのクリーチャーを処理するには追加のマナを支払う必要があり、相手の動きを制限することに貢献します。Izzet Drakesなどとのマッチアップでは、特に有効なクリーチャーとなります。
《クロールの銛撃ち》は、《パルン、ニヴ=ミゼット》や《弾けるドレイク》など飛行を持つフィニッシャー対策となります。クリーチャーを処理する手段が少ないSelesnyaにとっては貴重な除去となり、《パルン、ニヴ=ミゼット》の能力を誘発さぜずに除去できるのもポイントです。
SCG Invitational Season 2
新たなコントロール、Jeskai Nexus
2018年12月7-9日
- 1位 Izzet Drakes
- 2位 Golgari Midrange
- 3位 Jeskai Nexus
- 4位 Golgari Midrange
- 5位 Golgari Midrange
- 6位 Selesnya Tokens
- 7位 Selesnya Tokens
- 8位 Izzet Drakes
Andrew Jessup
トップ8のデッキリストはこちら
SCG主催の招待制のイベントでスイスラウンドはスタンダードとモダン、プレイオフはモダンで競われました。今回の連載ではスタンダード部門で7-1以上の優秀な成績を残していたデッキを見ていきたいと思います。
成績優秀者のリストを見渡してみると、多くのプレイヤーが手堅い選択としてGolgari Midrangeを使っていたようで、4名のプレイヤーが7-1以上という安定した成績を残していました。
SCG Invitational Season 2 デッキ紹介
「Izzet Drakes」「Jeskai Nexus」
Izzet Drakes
6 《山》
4 《蒸気孔》
4 《硫黄の滝》
1 《水没した地下墓地》
-土地 (22)- 4 《奇怪なドレイク》
4 《弾けるドレイク》
2 《パルン、ニヴ=ミゼット》
-クリーチャー (10)-
2 《再燃するフェニックス》
2 《シヴの火》
2 《軽蔑的な一撃》
2 《イゼット副長、ラル》
1 《パルン、ニヴ=ミゼット》
1 《溶岩コイル》
1 《標の稲妻》
1 《宝物の地図》
-サイドボード (15)-
プロツアーやグランプリで安定した成績を残し続けているIzzet Drakes。今大会のスタンダード部門を優秀な成績で終えたBen Raganのリストは、《弧光のフェニックス》が不採用となっており、8体のDrakeと《パルン、ニヴ=ミゼット》をメインから搭載したコントロール寄りのバージョンでした。
☆注目ポイント
現環境では、《パルン、ニヴ=ミゼット》をコントロールしている状態で自分のターンを迎えることができれば勝利に近づきます。《潜水》はわずか1マナで《貪欲なチュパカブラ》や《ビビアン・リード》の能力に対して疑似的なカウンターとして機能し、Drakeや《パルン、ニヴ=ミゼット》を守りながらゲームを決めるというのが主なプランとなります。
《奇怪なドレイク》はフィニッシャーとしてはもちろん、3マナという軽さを活かしてアグロデッキに対して序盤を凌ぐ壁としても機能します。《アズカンタの探索》 は墓地を肥やす手段となりつつ変身させることでマナ加速になり、《パルン、ニヴ=ミゼット》+《潜水》のセットアップもしやすくなります。
サイドの《イゼット副長、ラル》 はGolgari MidrangeやJeskai Controlとのマッチアップで、追加のアドバンテージ獲得手段兼除去として活躍するプレインズウォーカーです。「+1」能力で墓地を肥やしつつアドバンテージを稼ぎ出し、奥義を発動させればほぼ勝ち確定なので、サイド後の軸をずらしたフィニッシャーとしても優秀です。
Jeskai Nexus
2 《呪文貫き》
3 《活力回復》
1 《裁きの一撃》
1 《否認》
4 《轟音のクラリオン》
2 《薬術師の眼識》
1 《残骸の漂着》
4 《運命のきずな》
2 《封じ込め》
2 《アズカンタの探索》
2 《宝物の地図》
4 《ドミナリアの英雄、テフェリー》
2 《ウルザの後継、カーン》
1 《イゼット副長、ラル》
-呪文 (35)-
2 《黎明をもたらす者ライラ》
2 《シヴの火》
2 《否認》
1 《パルン、ニヴ=ミゼット》
1 《裁きの一撃》
1 《神聖の発動》
1 《浄化の輝き》
1 《絶滅の星》
1 《イクサランの束縛》
-サイドボード (15)-
コントロールを得意とするGerard Fabianoは、今大会のスタンダード部門でJeskai Controlを使用し7-1という好成績を収め、プレイオフ進出の原動力となりました。毎回ユニークな調整が施されているFabianoのデッキは、今回もプレインズウォーカーが多数採用され、《運命のきずな》がメインにフル搭載という個性的なリストに仕上がっていました。
☆注目ポイント
定番の《ドミナリアの英雄、テフェリー》のほかに、《ウルザの後継、カーン》と《イゼット副長、ラル》もメインから採用されプレインズウォーカーが多めになっており、その分カウンターが少なめなタップアウトタイプのコントロールになっています。従来のJeskai Controlは《パルン、ニヴ=ミゼット》などのクリーチャーを数種類採用しているリストが主流ですが、Fabiano のリストはメインではクリーチャーを一切採用していないため、相手のクリーチャー除去をメインで腐らせることで疑似的なアドバンテージになります。
《宝物の地図》と《アズカンタの探索》という2つの異なるアドバンテージエンジンを搭載しており、この2枚を変身させてマナ加速することによって《運命のきずな》にも繋がりやすくなり、追加ターンを得ることでプレインズウォーカーや《水没遺跡、アズカンタ》でアドバンテージを広げていきます。対戦相手もJeskai Controlからまさか《運命のきずな》が唱えられるとは思いもしなかったでしょう。前環境で活躍したTurbo Nexusのように《ドミナリアの英雄、テフェリー》のアンタップ能力を利用することで、土地が5枚でもキャストすることが可能なので覚えておきたいところです。
サイドには追加の勝ち手段としてクリーチャーが数種類見られます。《軍勢の戦親分》はJeskai Control同型で有力な勝ち手段として機能します。コストが軽いので5ターン目に《否認》を構えながらキャストすることで、大きな隙を作ることなく攻めに転じることができます。
総括
グランプリ・ミルウォーキー2018では《宝物の地図》入りのJeskai Controlが優勝したり、グランプリ・静岡2018ではGolgari Midrangeが多数勝ち残っていたりと『ラヴニカのギルド』リリース後のスタンダードは目まぐるしく変化を続ける面白い環境です。
SCG Invitationalの結果を見る限りでは、《運命のきずな》を採用したJeskai Controlや《弧光のフェニックス》が抜けて《パルン、ニヴ=ミゼット》をメインから搭載したIzzetなども見られるなどまだまだ研究の余地がありそうです。
USA Standard Express vol.136は以上です。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!