By Hiroshi Okubo
サンプルリスト
2 《霊気拠点》
4 《燃え柳の木立ち》
4 《ダークスティールの城塞》
3 《埋没した廃墟》
3 《発明博覧会》
-土地 (18)- 2 《マイアの回収者》
4 《屑鉄さらい》
-クリーチャー (6)-
4 《オパールのモックス》
3 《仕組まれた爆薬》
2 《黄鉄の呪文爆弾》
4 《彩色の星》
4 《精神石》
4 《テラリオン》
3 《彩色の宝球》
4 《胆液の水源》
4 《クラーク族の鉄工所》
-呪文 (36)-
3 《耳障りな反応》
2 《稲妻》
1 《ワームとぐろエンジン》
1 《感電破》
1 《紅蓮地獄》
1 《内にいる獣》
1 《ギラプールの霊気格子》
1 《防御の光網》
-サイドボード (15)-
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基本的な動き
「アイアンワークス」は《クラーク族の鉄工所》をキーカードにしたコンボデッキです。《クラーク族の鉄工所》の英語名、《Krark-Clan Ironworks》の頭文字を取って「KCI」などとも呼ばれます。
コンボルートが無数に存在するため、デッキの挙動を簡単に説明するのは難しいのですが……何はともあれコンボは《クラーク族の鉄工所》を設置するところから始まります。その後はドローに関する起動型能力や誘発型能力を持った軽量アーティファクト群を連打しデッキを掘り進めていき、《屑鉄さらい》と《黄鉄の呪文爆弾》を探し出してゲームエンドを目指します。
《屑鉄さらい》が戦場にいる状態で《黄鉄の呪文爆弾》を起動し、《オパールのモックス》を回収。その後戦場の適当な2マナのアーティファクトを生け贄に捧げて《黄鉄の呪文爆弾》も回収……このようにアーティファクトをぐるぐると墓地と戦場を循環させ、その過程でマナとドローを増やしていきます。
十分に循環システムが構築できたなら、あとは《黄鉄の呪文爆弾》を10回対戦相手に向けて投げつけるだけ。そんなにうまくいくもの? と眉唾かもしれませんが、《クラーク族の鉄工所》があればアーティファクトを能動的に墓地に落とすことができるため、実質的に《胆液の水源》は0マナ2ドロー、《彩色の星》や《テラリオン》はマナを増やしながらドローを進めることができますし、分かりやすい例として《マイアの回収者》を2枚引けば無限マナも可能(※)です。《クラーク族の鉄工所》さえ引き込めれば圧倒的な爆発力を発揮するデッキとなっています。
※これ以外にもループコンボが存在します。ループについては有志が作成したこちらのスライドもご覧ください。
デッキの起源自体は古く、過去には《蔵の開放》などと組み合わせてモダンのローグデッキの名を欲しいままにしていたアーキタイプでしたが、『霊気紛争』で《屑鉄さらい》を得てから徐々にデッキの研究が進んでいき、マット・ナス/Matt Nassがこのデッキを用いてグランプリ・ハートフォード2018、グランプリ・ラスベガス2018を連覇したことから一躍トップメタのデッキとして知られるようになりました。
デッキ自体の強さについては誰もが認めるところではありますが、その難解な挙動からトッププロからも使用を躊躇われることの多いデッキで、モダンのメジャーな墓地対策やアーティファクト対策に引っかかってしまうので、使用する際には自身のデッキの挙動についてはもちろん十分な環境理解も求められます。ただし、それらの弱点を差し引いてもデッキの強さは疑う余地もなく、“やりこみ”が求められることから非常に使い出のあるデッキと言えるでしょう。
TIPS
得意なマッチアップ/苦手なマッチアップ
アイアンワークスはデッキのおよそ93%が無色の呪文で構成されているため色事故とは無縁で、コンボ成立速度もそれなりに速いです。なおかつ大量のキャントリップアーティファクトによって安定した挙動が期待できるため、メインボードはあまり有利不利を気にすることなくプレイすることができます。これこそがアイアンワークスの最大の強みと言えるでしょう。
ただし、問題となるのは先にも述べた通り、墓地を利用するアーティファクトデッキという弱点の目白押しのようなデッキの構成。サイドボード後はあらゆるデッキからコンボを妨害されるので、「どのデッキがどのような妨害をしてくるのか」「それに対してどのようなサイドボーディングを行うのか」をしっかりと理解している必要があります。
また、コンボデッキらしく「自分との戦い」が重要なデッキでもあります。無限マナ→勝利という動きが即座に決まるようなら苦労はありませんが、いかに「(どこかで止まるかもしれないけど)コンボできそう」といった状況を見逃さずに仕掛けることができるかが大切です。
《仕組まれた爆薬》や《黄鉄の呪文爆弾》という妨害カードはあるものの、典型的なオールインコンボ(※コンボパーツのみで構成されていて、ほとんど対戦相手を妨害する手段を持たないデッキ)なので、自分よりも速度のデッキや対戦相手のブン回りに対してできることはほとんどないという点も弱点です。「よく回った・回らなかった」の勝ち負けはお互い様と割り切るしかありません。