Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2019/01/22)
はじめに
多くのマジックプレイヤーが楽しみにしている季節がやってきたね!『ラヴニカの献身』のカードはすべて公開され、創造的で革新的なことができる環境になった。みんなも思いついたアイディアは片っ端から試していこう。
スタンダードの新環境序盤は、アグロデッキが良い結果を残すことが多い。こうなりやすい主な理由は、新環境はデッキの種類が多いから、コントロールデッキがそれらすべてには対応できないことにある。環境に存在するデッキの種類が限定される時期がやってくれば、コントロールはそこに照準を合わせたデッキを組めるってわけさ。しかし今は環境初期だ。今回は活躍するかもしれない新しい「とあるアグロデッキ」を見ていこう!
覚醒のマーフォーク
『イクサランの相克』が発売された当初、僕はマーフォークの可能性に魅了されていた。でも、競技レベルに達することはなかったんだ。しかし今は違う。シミックのカードが新セットに収録され、新戦力が加わった。こいつらがいれば、もしかしたら新たなスタンダードのTier1やTier2のデッキになっていくかもしれない。
マーフォークの新戦力
《繁殖池》
まずはこいつ、《繁殖池》だ!いずれの色も良く使う2色のアグレッシブなデッキは、少なくともアンタップインの2色土地が8枚ないと、デッキとしての動きがとても鈍くなる。《繁殖池》は《内陸の湾港》にとって最高の相棒だし、マナベースも強固になる。マーフォークデッキであれば、《手付かずの領土》も2色土地として換算できるから、より安定性が増すだろうね。
《水底の生術師》
次は大きな可能性を感じる1マナのクリーチャーだ。アグロデッキではなかなか替えが効かないタイプのカードだね。
マナフラッドを解消する、重複している伝説のクリーチャーを手札から捨てる、《呪文貫き》・《潜水》といった状況を選ぶカードを捨てる。これらすべてを叶えてくれるのが《水底の生術師》だ。自身の「順応」に加えて、+1/+1カウンターを置くカードを幅広く採用しておけば、こいつの能力を繰り返し何度でも誘発させることができるだろう。
《楽園党の議長、ゼガーナ》
そして3枚目は《楽園党の議長、ゼガーナ》だ。
+1/+1カウンターが置かれたクリーチャーを安定して展開できるデッキであれば、マナカーブの頂点として活躍してくれるはずだ。また、《水底の生術師》で余った土地を手札から捨てられなかった場合には、その土地を《楽園党の議長、ゼガーナ》の「順応」に使い、トランプル持ちの8/8で勝利を狙いに行ける。全体的な評価としても、このカードはとても良いカードだと思うよ。
新環境の第1週のデッキリスト
新環境の第1週目は、こんな感じのデッキを使おうと思っている。
6 《森》
4 《繁殖池》
4 《内陸の湾港》
4 《手付かずの領土》
-土地 (24)- 4 《翡翠をまとう者》
4 《水底の生術師》
4 《クメーナの語り部》
4 《銀エラの達人》
4 《マーフォークの霧縛り》
3 《翡翠光のレインジャー》
3 《オラーズカの暴君、クメーナ》
3 《楽園党の議長、ゼガーナ》
-クリーチャー (29)-
新戦力以外のカード選択について
さっき紹介したカード以外で、採用しているカードの選択理由について話しておこう。
《ハダーナの登臨》
《水底の生術師》の能力を誘発するのにうってつけのカード。また、《呪文貫き》や《潜水》を採用しているから、《オラーズカの翼神殿》で強化したクリーチャーを守れるのも面白そうだよね。
《翡翠をまとう者》
単体としてみればカードパワーは低いように見えるけど、《オラーズカの暴君、クメーナ》の能力を早い段階から使っていくには軽量クリーチャーが必要だ。それに《水底の生術師》や《楽園党の議長、ゼガーナ》の能力にも寄与するしね。
《銀エラの達人》、《マーフォークの霧縛り》
この2マナ域のカードたちは、多分マーフォークデッキで最高のクリーチャーたちなんじゃないかな。《銀エラの達人》は多様なフォーマットで自身の力を示している。《マーフォークの霧縛り》はクリーチャー全体を強化できるカードであり、たったの2マナだ。アグロデッキにとってはこの上なく頼りになるカードで、相手からすればたまったもんじゃないだろうね。
《翡翠光のレインジャー》
そしてご存知《翡翠光のレインジャー》だ。一般的なアグロデッキは、このような効果のカードにはあまり関心はない。でも、この3マナのマーフォークはとても手堅いカードなんだ。「探検」で追加の土地が手に入れば、《水底の生術師》で手札の入れ替えに使っても良い。それにこいつは+1/+1カウンターを置けるクリーチャーだから、《楽園党の議長、ゼガーナ》が戦場に出たときにドローできる可能性が高まるんだ。
《潜水》、《呪文貫き》
最後に話したいのは、《潜水》や《呪文貫き》といったカードがマーフォークのようなデッキでこそ輝くということだ。この手のデッキは、《マーフォークの霧縛り》のようなロードクリーチャーや、アタッカーに+1/+1カウンターを置けるカードを戦闘前のメインフェイズに出すことが多い。そのため、相手はロードクリーチャーや+1/+1カウンターが置かれた重要なクリーチャーに対して除去を使いたいわけだ。だから、こちらとしてはそういう場面においてだけ《潜水》などのマナを構えておけば良い。逆に、それ以外の些細なクリーチャーを展開するだけであれば、マナをすべて使ってしまって構わない。
一風変わったマーフォークデッキ
さっき紹介したデッキとは違ったマーフォークデッキも構築できる。青単テンポのように《執着的探訪》を最大限に活用しながらも、緑のマーフォークの力も使う形だ。このような構築にすると、コントロールに対して強くなり、その他のアグロデッキに対しては脆くなる傾向にある。
4 《森》
4 《繁殖池》
4 《内陸の湾港》
4 《手付かずの領土》
-土地 (22)- 4 《霧まといの川守り》
4 《水底の生術師》
4 《クメーナの語り部》
4 《銀エラの達人》
4 《マーフォークのペテン師》
4 《マーフォークの霧縛り》
3 《オラーズカの暴君、クメーナ》
-クリーチャー (27)-
デッキの特徴
《霧まといの川守り》を採用したのは、《執着的探訪》をエンチャントするクリーチャーとして最適だからだ。
《マーフォークのペテン師》は相手のサイズの大きいクリーチャーをタップさせ、攻撃を通すことができる。しかも、瞬速の2マナ呪文であり、《水底の生術師》と合わせて採用することで、相手のターンに状況に応じて余った2マナをどう使うのか選ぶことができるようになる。
+1/+1カウンターを置けるカードが少ないから《楽園党の議長、ゼガーナ》は採用していないけど、おかげで土地の枚数を22枚まで減らすことができた。《オラーズカの暴君、クメーナ》はこの構築でも採用したい。盤面がこう着してしまったときに大いに役立つカードだからね。
サイドボードについて
サイドボードに関しては、まだ環境が始まってもいないから、上手く組み上げることは難しい。サイドボードに入れる案としてまず思いついたのは、コントロールデッキ対策に《否認》や《軽蔑的な一撃》を何枚か採用することだ。除去が多いデッキと対戦するときのために《形成師の聖域》も良いかもね。
また、グルールのようなクリーチャー満載のデッキ用に《睡眠》も選択肢に入る。新カードから察するに、グルールはとても強そうに見えるから対策が欲しいところだ。あとは《帰化》の効果を持ったカードをサイドボードに入れておくと良いだろう。それが裏目になることはあまりないからね。《黎明をもたらす者ライラ》と対面する可能性があるから、《押し潰す梢》が個人的におすすめだ。
おわりに
今回の内容はここまで。僕のように、みんなにも自分でデッキを作って楽しんで欲しい。記事で紹介したデッキに何か改善案があればぜひコメントしてくれ!
セバスティアン・ポッツォ@sebastianpozzo