準々決勝: 岡井 俊樹 vs. 吉田 悠太郎

晴れる屋

By Atsushi Ito

 2017年にブレイクしたプレイヤーといえば、プロシーンだけで見ればゴールド・レベルを達成した原根 健太の名前が挙がるだろうが、競技シーン全体で見れば岡井 俊樹の活躍はめざましい。

 3月にPWCC2017で優勝したのを皮切りに、6月のプロツアー『破滅の刻』地域予選では決勝ラウンドでその原根を倒してプロツアーの権利を獲得。先月のグランプリ・京都2017では、初日全勝プレイヤーにその名を連ねていた。弱冠21歳ながら確かなデッキの選択眼とプレイ中の大局観とを持ち合わせており、これからの活躍が楽しみな逸材だ。

 一方、そんな岡井と準々決勝で激突することとなった吉田 悠太郎は、オリジナルの4色機体をデッキウォッチングで紹介したこともあるプレイヤーであり、こちらもブレイクの可能性を感じさせる。

 岡井がティムールエネルギー、吉田は黒緑エネルギー。どちらがエネルギーをより効率良く運用できるかの対戦となりそうだ。

Game 1

 先手の吉田が《巻きつき蛇》を唱えれば岡井が《蓄霊稲妻》で応じ、《牙長獣の仔》《削剥》。さらに《不屈の追跡者》《蓄霊稲妻》で落ち、岡井の徹底した3連続除去を前に吉田はクロックを定着させることができず、《歩行バリスタ》「X=2」で一息付くほかない。

 そしてこれを見て岡井が2体の《森の代言者》を送り出すと、一転して攻守が交代。うち1体は《闇の掌握》で沈むが、まずは《反逆の先導者、チャンドラ》が岡井の下に着地し、これは吉田が返しに送り出した《最後の望み、リリアナ》で回収された《巻きつき蛇》を処理したところで《歩行バリスタ》に撃ち落とされるものの、続けて岡井はトップデッキした《逆毛ハイドラ》を戦場へ。

 さらに吉田の戦場が《牙長獣の仔》《歩行バリスタ》《風切る泥沼》で手札も1枚なのを見てとるや、岡井は《森の代言者》で5/5となった《伐採地の滝》も含めてのフルアタックを敢行する。

吉田 悠太郎

 だが吉田もさるもの、《逆毛ハイドラ》《風切る泥沼》で、《導路の召使い》は3/3の《牙長獣の仔》で止めると、ブロック成立後に《森の代言者》を手札に構えていた《致命的な一押し》で処理し、ライフ3を残してどうにか踏みとどまることに成功する。

 「《栄光をもたらすもの》引かれたら即負けですね」 という吉田の言葉が示すとおりに、どちらも手札はなく、あとは互いのドローだけがゲームの趨勢を決めるという状況。そんな状況で吉田は、《牙長獣の仔》《伐採地の滝》を受けるためのブロッカーを残しながら果敢に岡井のライフを削りにいく。そしてそれが功を奏した結果、岡井に何も引かれなければ先に押し切れる状況にまで逆に追い込む。

 追い詰められた岡井のドロー。そのカードは《栄光をもたらすもの》……ではない。

 ではないのだが、それはこれ以上ないほどに盤面への解答だった。有り余るエネルギーでブロッカーのみならずアタッカーをも大量供給する、《つむじ風の巨匠》

吉田「……くっそー……!」

 逆転まで、あと一歩届かず。その悔しさが、思わず吉田の口をついた。

岡井 1-0 吉田

Game 2

 またしても吉田の2体の《巻きつき蛇》《削剥》《蓄霊稲妻》で処理される立ち上がり。それでも今回は《ピーマの改革派、リシュカー》《牙長獣の仔》と戦線を整えた吉田は、《ならず者の精製屋》から《森の代言者》《導路の召使い》と並べた岡井の《森の代言者》をエンド前に《闇の掌握》で葬ると、ついに4枚目の土地を引き込み《新緑の機械巨人》を降臨させる。

 《反逆の先導者、チャンドラ》《栄光をもたらすもの》をケアして《新緑の機械巨人》《牙長獣の仔》に1個/3個で乗せ5/5とした吉田は早速《牙長獣の仔》でアタック。

 だがここで、これを《ならず者の精製屋》《導路の召使い》でダブルブロックすることもできた岡井はしかしスルーを選択。その目論見は、次のターンに明らかとなる。

岡井 俊樹

 《慮外な押収》。盤面の最大サイズのクリーチャーである《牙長獣の仔》が、岡井の大量のエネルギーのバックアップを受けて主人である吉田に牙を剥く。

 これを受けて吉田は5/5の《新緑の機械巨人》に向けられたダブルブロックに《栄光の刻》を合わせ、あえて《牙長獣の仔》を1ターン放置するが、さらに岡井は《栄光をもたらすもの》《ピーマの改革派、リシュカー》を葬りつつ一撃14点の大打撃。《ハシェプのオアシス》から地味に2点食らっていた吉田のライフは残り4点。

 10/10となった《牙長獣の仔》こそ《致命的な一押し》するものの、「督励」が解ける《栄光をもたらすもの》《反逆の先導者、チャンドラ》という構えを作られ、吉田は悔しそうに1ゲーム目と同じ言葉を漏らしたのだった。

岡井 2-0 吉田

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