by Jeremy Dezani
Translated by Kazuki Watanabe
(掲載日 2017/09/01)
「プレイヤーフォーカス」へようこそ!
「プレイヤーフォーカス」は、世界に名立たるマジックプレイヤーにインタビューする企画です。日本のみなさん、そして世界中へ彼らの事を広めていきたいと思っています。毎回違うプレイヤーを紹介しますので、楽しみにしてくださいね!
今回は、プロツアー『破滅の刻』でトップ4入賞を果たした、香港のヤン・ウィンチャン(@walkingbye)にインタビューしました。
彼はマジックトーナメントのために世界を飛び回る偉大なる旅人で、グランプリのためにアジアからアメリカへ行くことも決して躊躇しません。
インタビュー
氏名: Yam, Wing Chun
年齢: 25
国籍: 香港
スポンサー: MTG Ming Card
現在 / 生涯 プロポイント: 131
プロレベル 2017-2018: ゴールド
職業 / マジック以外の趣味:
アメリカに住んでいた頃は、経理担当として働いていました。最近はダーツをたくさんしていて、マジックのトーナメントでより良い考え方を持つことができています。
マジックを始めたのはいつ? どのセット? マジックを知ったきっかけは?
2007年の『ディセンション』の頃に始めました。『デュエル・マスターズ』という他のカードゲームをプレイしていたのですが、カードショップでマジックをプレイしている人たちを見かけました。彼らが翌週に開催されるプレリリースに誘ってくれて、それからFNMにも参加するようになりました。
プロプレイヤーになるまでに、あなたに一番影響与えた有名プレイヤーは?
リー・シー・ティアンです。2008年に彼と出会い、彼がローカルプレイヤーから現在のようなマジックのスーパースターに変わっていく姿を見て、多くの刺激を受けました。彼はマジックについて私に様々なことを教えてくれる偉大な先生であり、そして、トーナメントのために常に一緒に旅行をする親しい友人でもあります。
これまでの実績:
プロツアートップ8: 1
グランプリトップ8: 2
その他: 香港オープン2017、優勝
好きな日本人選手とその理由:
熊谷 陸です。彼はプロツアーレベルの戦いでも見事な成績を収めていますし、彼のプレイは見るたびに常に良くなっているように思われます。いつか、どこかの大会の決勝戦で彼と戦ってみたいですね。
お気に入りのフォーマットとその理由:
モミール・ベーシックが好きです。遊びの幅が広く、非常に面白いフォーマットです。その中で、正しい攻撃と正しいブロックという基礎的な技術を伸ばすことができます。
現時点のドラフトでお気に入りのアーキタイプとその理由:
青のアグロですね。《這い寄る刃》と《送還》はとても素晴らしいカードだと思います。
お気に入りのデッキ:
スタンダード: ラムナプ・レッド
モダン: ボロスバーン
レガシー: BUGデルバー(《トーラックへの賛歌》を採用した型)
アグレッシブやコントロール、ミッドレンジやコンボなどでお気に入りはありますか? また、それはなぜ?
アグレッシブです。積極的に動けることや、相手に対して多くの脅威を与えられるデッキが好きですね。
ただ、「アグレッシブなデッキをプレイする」というのは、どんなときでも考えることなく攻撃する、という意味ではありません。臨機応変に、アグレッシブなデッキで防衛に回るというのは、私が最も好きなことであり、マジックの美しい技術の一つだと思っています。
フォーマットを問わず、今現在、特に気に入っているデッキは何ですか?
京都で開催されたプロツアー『破滅の刻』で使用した、ラムナプレッドです。
14 《山》 4 《ラムナプの遺跡》 4 《陽焼けした砂漠》 1 《海門の残骸》 -土地 (23)- 4 《ファルケンラスの過食者》 4 《損魂魔道士》 4 《ボーマットの急使》 4 《地揺すりのケンラ》 2 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》 4 《アン一門の壊し屋》 3 《熱烈の神ハゾレト》 -クリーチャー (25)- |
4 《ショック》 4 《焼夷流》 4 《集団的抵抗》 -呪文 (12)- |
4 《削剥》 3 《マグマのしぶき》 3 《反逆の先導者、チャンドラ》 2 《歪める嘆き》 1 《屍肉あさりの地》 1 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》 1 《アクームの火の鳥》 -サイドボード (15)- |
《ラムナプの遺跡》と《陽焼けした砂漠》のパッケージや、《地揺すりのケンラ》、《熱烈の神ハゾレト》という終盤に役立つカードが多数含まれている、とても強力なアグロデッキです。
《ショック》、《焼夷流》、そして《集団的抵抗》は対戦相手のライフも対象に取れる優れた火力呪文であり、ゲーム終盤でトップデックして勝つ、というエキサイティングな瞬間を与えてくれます。私がこれまで数年間使用し、好成績を収めてきたモダンのボロスバーンにも似ています。
プロツアーの構築ラウンドは9-1という成績で終えました。唯一の敗北はミラーマッチです(赤単とのミラーマッチは4-1という成績でした)。ミラーマッチに対するプランはアグレッシブに攻め続けるというもので、このプランによって私とチームメイトたちは好成績を収めました。このデッキは、スタンダードで引き続き活躍を続けてくれると信じています。
1パック目の1手目、どれをピックしますか?
《呪文織りの永遠衆》を取ります。先ほど述べたとおり、私は本当に青のアグレッシブなデッキが好きなのです。
《呪文織りの永遠衆》によって、対戦相手のブロックは非常に困難なものになります。あらゆるコンバットトリックが大打撃になる「加虐」という能力は、ほとんどトランプルのようなものです。
昨シーズン、あなたはたくさんのイベントに参加しましたが、つい先日の京都で、ようやく生涯最高成績となるプロツアー準決勝進出を果たしました。プロプレイヤーとなるために研鑽を続けるというのは、どういうものでしょうか?
プロプレイヤーとなるために研鑽を続けるというのは、精神的にも経済的にも確かに難しいものです。
プロツアー連続出場を果たすまでには、多くのイベントに参加するための時間とお金が必要です。グランプリの成績が最も悪かったシーズン、私は16回グランプリに出場し、最高成績が恥ずかしながら11-4という状態だったのですが、虚しい結果に終わった週末を過ごしたあと、よく自問自答していました。「一体、どうしてこんなことをしているのだろう?」と。
鍵は、ゲームを楽しむことだと思います。負けてフラストレーションがたまることは、いつだって起こり得ます。そして、ゲームに対する情熱が失われてしまえば、諦めることも簡単でしょう。ゲームを楽しもうとすることで、大会前に行われる長時間の練習も、苦痛な経験ではなく、きっとあなたにとって楽しいものになるはずです。
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