世界選手権の終わりに vol.1 -カルカノとポッツォの次なる一歩-

晴れる屋

By Kazuki Watanabe

 世界選手権2017に集った、24名のプレイヤー。その中には、毎年参加を続けているベテランもいれば、今回が初めての世界選手権という者もいる。

 今回は、2人のプレイヤーに話を伺った。


 まず最初に話を伺ったのは、

クリスティアン「とても刺激的な週末でした」

 と嬉しそうに語るクリスティアン・カルカノだ。彼は厳密に言えば”今回が初の世界選手権”ではない。とはいえ、2012年に参加プレイヤーの枠が厳選される形式となり、より高度な戦いとなってからは、初めての参加となる。彼はいつもの笑顔を見せながら、

クリスティアン「ここに来ているのは、世界トップレベルのプレイヤーたちです。彼らと戦えるのは名誉であり、同時に非常に楽しい時間でした。どのラウンドもエキサイティングで、対戦を終えて隣を見ると、当たり前ですがトッププロが試合をしているわけです。こんな素晴らしい場所はありません」

 と会場を見渡し、感想と決意を述べてくれた。

クリスティアン「断言できます、世界選手権以上の大会はありません。来年も出場できるように、頑張ります」

 会話の終わりに、私は彼に「日本に来る予定はあるの?」と投げかけた。すると、「もちろんありますよ!」と明るい声で答えてくれた。

クリスティアン「Hareruya Prosの一員になったので、これまで以上に足を運ぶつもりです。移動時間の都合もありますが、なるべくグランプリに参加したいと思います。もちろん、そのときには晴れる屋にも立ち寄るつもりですよ」

 連続出場を目指すクリスティアンの戦いは、もう始まっている。


セバスティアン新たな目標ができた、と言うべきだろうね」

 スタンダードマスター、セバスティアン・ポッツォは世界選手権に初出場を果たし、アルゼンチン初の世界選手権出場者となった。この大会を、彼は「新たな目標」と表現した。

セバスティアン「もちろん、これまでもここを目指してやってきた。だけど、どちらかと言えば夢に近いような場所だったんだ。いつか出たいな、とね」

 その夢を現実のものとした彼は、

セバスティアン「想像以上だったよ。世界最高峰のプレイヤーしかいないトーナメントが、こんなにも素晴らしいものだなんてね。こんなハイレベルな場所に何年も連続で出場しているプレイヤーもいるなんて、驚くべきことだよね。ぜひ、来年も参加したいよ。もちろん、そのためには練習の質を向上させ、変えていく必要があるね」

 「どのように変えていくの?」と問えば、

セバスティアン「リミテッドの練習をもっと増やさなければならないね。スタンダードラウンドは、6-2だった。昨シーズンに培ったものがこの大舞台でも活きて、まずまずだったと思っているよ。その分、リミテッドが足を引っ張ってしまった。今シーズンは、スタンダードは継続して、リミテッドは今まで以上に力を入れる必要がある」

 と、成績を振り返りながら答え、自身の弱点を克服する決意も語ってくれた。

 今回の取材で彼を始めとするHareruya Latinの面々と私は初対面だった。彼らには、共通する信念がある。これは、南米という地域の特色なのかもしれないが、仲間を大切にし、そして、マジックを楽しむという信念だ。セバスティアンが最後に述べた、

セバスティアン「それにしても、本当に楽しい時間だったよ。ここを離れるのが惜しいくらいにね!」

 という感想には、彼の心の底から溢れ出た感情が込められていた。


 両者は世界最高峰の戦いを経験し、新たな一歩を踏み出そうとしている。その成果は、国別選手権、そしてプロツアー『イクサラン』で発揮されることだろう。このインタビューは、その記念すべき第一歩を記したものだ。

 彼らが繰り広げる次の戦いに注目しよう。

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