加茂「当たるかねー」

　プロツアーの権利をかけた地域予選ともなれば、強豪同士の対戦は必然だ。

　前回の地域予選の突破者でもある加藤と、グランプリ・北京2017トップ8のブロンズレベルプロ・加茂。ともにプロツアー出場経験を持つプレイヤーであり、知り合い同士でもある2人は、「サイドプラン知られてるよー」といった様子で和やかに会話しながら相手のデッキをシャッフルする。

　加藤が「ストーム」、加茂が黒緑ベースの「4色《死の影》」というマッチアップ。互いに手の内を知っている点がどのように影響するか。

Game 1

　「ストーム」相手に緩い手札はキープできないと判断したか、加茂がダブルマリガン。対する加藤は7枚キープから《手練》からの《血清の幻視》で手札内容を整えるが、加茂の先手3ターン目《ヴェールのリリアナ》を見て顔をしかめる。

　手札の枚数差があるとはいえ、ある程度の手札とマナが必要となる「ストーム」にとって、「－6」能力まで含めたリソースを削る力はやはり脅威だ。

　「＋1」能力で土地を捨てた加藤は、ドロー次第でうっかりコンボが決まる可能性も加味して《遵法長、バラル》から《魔力変》を2連打。少考ののち、「ストーム」3回の《ぶどう弾》で忠誠度4の《ヴェールのリリアナ》を排除してお茶を濁すことを選択する。

加茂 里樹

　返す加茂は《遵法長、バラル》を《突然の衰微》してひとまず即座のコンボ始動の可能性を下げる。加藤は4マナを立て、《けちな贈り物》を匂わせてエンド。

　ここで加茂は《通りの悪霊》の「サイクリング」からフェッチランドを引き込んで自身のライフ水準を一気に下げると、「昂揚」達成した《ウルヴェンワルド横断》から6/6の《死の影》を送り出そうとするが、スタックで《けちな贈り物》をプレイされ、手札1枚が《頑固な否認》の加茂は悩む。今打つか、《炎の中の過去》に合わせてテンポを取るべきか。

　ひとしきり悩んだ加茂は、それでも加藤の残る手札に何もない可能性を考え、ここで《頑固な否認》をプレイすることを選択する。

　返すターンの加藤の行動は、《捨て身の儀式》「連繋」、《捨て身の儀式》プレイ、《炎の中の過去》。ライフが7しかない加茂は、墓地の《ぶどう弾》を見てカードを畳んだ。

加藤 1-0 加茂

加茂「んー……でも (《頑固な否認》を温存しても結局《炎の中の過去》を) また打たれるからなー。ていうか結論として、 (ダブルマリガンで) カードが足りないｗ」

加藤「まあ、でもどっちにしてもメインはそんなもんだと思うよ。メインくらい勝たせてくれーｗ」

Game 2

　《血染めのぬかるみ》《新緑の地下墓地》《踏み鳴らされる地》《死の影》《タルモゴイフ》《タルモゴイフ》《致命的な一押し》という7枚を見た加茂は、初手で手札破壊を引き込めない勝負弱さを恨みつつ、悩んだ末にマリガンを選択。手札破壊を探しにいく。

　《思考囲い》はないものの、3ターン目の《集団的蛮行》で覗きみた加藤の手札は、《魔力変》《魔力変》《捨て身の儀式》《炎の中の過去》《遵法長、バラル》と土地2枚というテンパイハンド。ここから《魔力変》を捨てさせる。

　返すターン、加茂にマナが立っているため加藤は仕掛けずに、《蒸気孔》タップインでエンド。クロックがなく、《頑固な否認》などの受けるカードしか引いていない加茂は4マナまで伸びるのを待つか悩むが、意を決してフルタップで《ヴェールのリリアナ》プレイ、「＋1」能力でリソースを絞ってターンを返す。頼む、コンボが決まらないでくれと祈りながら。

加藤 健介

加藤「(何もせず) ゴー？……“祈り”か」

　そんな加茂の心境を見透かしたように、加藤は迷わず《遵法長、バラル》から《魔力変》でコンボスタート。墓地には1ターン目に打った《手練》と《集団的蛮行》で捨てた《魔力変》があり、確定情報だけなら上5枚がすべて土地ならコンボは止まりうる。加茂にとっての”祈り”の時間。

　手札から《手練》。《捨て身の儀式》。《炎の中の過去》。《捨て身の儀式》「フラッシュバック」。《魔力変》「フラッシュバック」。《魔力変》「フラッシュバック」。《パズルの欠片》プレイ、《魔力変》と《血清の幻視》が手札に。《魔力変》プレイ。《手練》「フラッシュバック」。《ぶどう弾》。本体12点。加茂のライフも、12点。

加茂「たぶん7枚がキープでしたね……」

加藤 2-0 加茂