Round 4: 荒堀 和明 vs. 辻川 大河

晴れる屋

By Atsushi Ito

 モダンは極めてデッキの種類が多い環境だ。グランプリのトップ8が4人同じアーキタイプということもスタンダードでは珍しくないが、モダンでそんな事態が起こるのはかなり珍しいと言える。

 だがそれだけに、様々な相性的不利もマッチアップによって生まれてくる。たとえばグランプリ・仙台2001の王者、荒堀 和明が選択した「エルドラージトロン」にとっては、3-0ラインで当たった辻川 大河「親和」がそうだ。

 トップ8に残るためには、8回戦で2敗することは許されない。荒堀は、相性的不利を乗り越えることができるのか。

Game 1

 先手の辻川が1ターン目に《メムナイト》《信号の邪魔者》から2ターン目には《信号の邪魔者》《信号の邪魔者》と並べる、飛行持ちのブロッカーがいない「エルドラージトロン」にとっては厄介この上ない展開。

 荒堀も《歩行バリスタ》を「X=1」で送り出してクロックを減速させようとするが、辻川は3ターン目に《電結の荒廃者》をプレイしてからアタック、《歩行バリスタ》の能力の対象となった《信号の邪魔者》を生け贄にしてリソースを回収する。

信号の邪魔者歩行バリスタ電結の荒廃者

 しかも荒堀は3枚目の土地が引けない。2体目の《歩行バリスタ》を「X=1」で送り出すのだが、続けて辻川が《エーテリウムの達人》をプレイしたところで、「はい、投了します」と宣言して速やかにカードを片付けた。

荒堀 0-1 辻川

Game 2

 後手1ターン目に《大霊堂のスカージ》を送り出す辻川に対し、荒堀は2ターン目《難題の予見者》

エルドラージの寺院エルドラージの寺院難題の予見者

 だが公開された手札は《信号の邪魔者》《信号の邪魔者》《バネ葉の太鼓》《電結の荒廃者》《頭蓋囲い》という強力なもの。荒堀は少考ののち、《頭蓋囲い》を追放する。

荒堀 和明

 さらに返しで辻川が引き込んだ《鋼の監視者》《歩行バリスタ》でしっかりと処理すると、辻川が《信号の邪魔者》《信号の邪魔者》《バネ葉の太鼓》とフル展開した返しで《現実を砕くもの》をプレイ、強烈な9点アタックをお見舞いして辻川の残りライフを7点まで追い詰める。

 辻川も《電結の荒廃者》を出してからフルアタック。《大霊堂のスカージ》の3点ライフゲインで返しの9点アタックでもちょうど1点のライフが残るように調整し、返す刀での「接合」による一撃死を目論む。

 が、9点アタックからの《作り変えるもの》で地上が止まってしまうと、それでも辻川が当初のプラン通り回避能力持ちのフルアタックから《電結の荒廃者》へのオールイン+「接合」という動きを見せたところで、荒堀の「スタックで」という無情な声が響く。

歪める嘆き

 繰り出されたのは《歪める嘆き》。直後、辻川の「投了します」という声が響いた。

荒堀 1-1 辻川

Game 3

 後手の荒堀がマリガン。辻川は《大霊堂のスカージ》《大霊堂のスカージ》と送り出すが、返すターンにプレイされたのは《漸増爆弾》。辻川の手札には《鋼の監視者》《頭蓋囲い》とあり、2ターン後の盤面崩壊は免れえない状況。

 ここで辻川は死中に活とばかりに《鋼の監視者》を追加するが、荒堀は3ターン目にウルザ土地3種を揃えると、《現実を砕くもの》を走らせる。

 それでも返す辻川は《墨蛾の生息地》1体を起動して3体で攻撃に向かわせつつ、さらにセットしたばかりの《墨蛾の生息地》と置いてあった《ちらつき蛾の生息地》を起動。絆魂でライフを引き戻しながら、毒殺プランへの道筋を作る。

辻川 大河

 対する荒堀はメインで《漸増爆弾》を起動して辻川のパーマネントを土地4枚の更地に帰すと、さらに《作り変えるもの》2体を追加してエンド。次のターンの打点は11点で、辻川のライフは13点。ウルザ土地が揃っている割には、アクションが弱い。

 それでも、こちらもできることが少ない辻川は5枚目の土地と《電結の荒廃者》を出して2/2の《墨蛾の生息地》でアタックし、荒堀を4毒まで追い詰める。フラッド気味の荒堀を見る限り、次のターンには「接合」による勝利が見えそうだ。

 そして返すターン、荒堀は予定調和の11点アタック。これに対し、ライフ13点の辻川は手札の《頭蓋囲い》を見ながらブロックを慎重に検討する。その結果、《作り変えるもの》のうちの1体をブロックし、解決前に《墨蛾の生息地》を起動して1個だけ「接合」。見た目の打点は5毒だが、手札の《頭蓋囲い》を設置すれば足りている。あとはこのままターンが返ってくれば。

虚空の杯

 しかし戦闘後に荒堀がプレイしたのは、そんな辻川のプランを破綻させる「X=2」の《虚空の杯》

 打点が、1毒足りない《電結の荒廃者》でブロックしなければ、あるいは「接合」の前に《ダークスティールの城塞》を1個でも生け贄に捧げていれば防げたはずの事態だった。それでも、6枚目の土地を引けば《ちらつき蛾の生息地》でパンプできるところだったが。

 そんな辻川のラストドローは天の報いか、《バネ葉の太鼓》なのだった。

荒堀 2-1 辻川

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